親族が亡くなったとき、気落ちしているなかでも行わなければならないのが「相続手続き」です。日常的に体験する機会が少ないことから、手続きに不安を抱く人も多いでしょう。
適切に手続きを進めるにあたっては、ご自身で行うことも可能ですが、プロに任せるのもおすすめです。
この記事では、親族が亡くなった際に行うべき手続きや、適切な手続きのスケジュールを解説します。相続手続きが必要な際には、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
相続手続きのスケジュールと方法を時系列で解説
相続に関する手続きは多岐にわたるため、全体的なスケジュールを把握しておかなければ何から始めればよいか悩む可能性があります。手続き内容によっては期限が設けられており、遅れることでトラブルに発展する可能性も考えられるでしょう。
ここでは、相続手続きについて順を追って解説します。期限内に手続きを完了できるように内容を把握しておきましょう。
死亡日から14日以内に行う手続き
相続手続きを実施する際には、まず被相続人の資産の整理が必要です。年金や銀行口座などの手続きははやめに行う必要がありますので、それぞれ見ていきましょう。
年金関連
亡くなった親族が年金を受給していた場合、年金受給の停止手続きを行います。この際、国民年金を受給している場合は14日以内、厚生年金を受給している場合は10日以内と、手続きの期限が異なる点に注意しましょう。
その際、遺族年金に関しても確認する必要があります。受け取れたとしても相続税は課されませんが、相続割合を協議する場合の前提情報として、受け取り資格があるかどうかを把握しておくとよいでしょう。
銀行口座関連
被相続人がいくつの口座を所持していたのかを把握する必要があります。銀行口座だけでなく、証券口座なども確認しましょう
また、亡くなった人の銀行口座は凍結され、これまで口座振替で支払っていた公共料金などは引き落とされなくなります。そのため、公共料金の名義人が亡くなった場合は、期限の有無に関わらず早めに手続きを済ませるのがおすすめです。
死亡日から3ヵ月以内に行う手続き
遺産相続は遺言書の有無で今後の手続き内容が異なるため、遺言書があるかを確認しましょう。また、遺産に借金が含まれていて、相続放棄や限定承認をする場合は3ヵ月以内に手続きを行う必要があります。
遺言書がある
遺言書が残されていた場合は、家庭裁判所にて「検認」という手続きが必要です。検認の期日には、相続人全員が家庭裁判所に集まり、遺言書の開封および確認を行います。
なお、公正役場に「公正証書遺言」を残していれば、公証人役場の認証をすでに受けていることになるため、検認手続きは不要です。
遺言書がない
遺言書が残されておらず遺産相続人が複数いる場合は、相続人全員で分割方法を協議します。このとき、相続人が1人でも漏れていると遺産相続が無効になるため、相続人調査を行わなければなりません。
そのためには、亡くなった人の出生から亡くなるまでの戸籍を途切れることなく取得する必要があります。
遺産に借金が含まれている場合
亡くなった人が所有していた財産を調査した際、借金などが含まれている場合もあるでしょう。このような場合は、以下の3つの選択肢があります。
- 単純相続:借金も含めて遺産をすべて相続する
- 相続放棄:一切の相続を放棄する
- 限定承認:遺産から借金の支払いをして、プラスになった分があれば相続する
相続放棄と限定承認は、自分に対する相続の存在を知ってから3ヵ月以内に、家庭裁判所に申請しなければなりません。
相続放棄を行えば、すべての財産に対し受け取る権利を失いますが、借金の返済義務もなくなります。
限定承認は、遺産のなかから借金を返済し、残された遺産を相続できる手続きです。なお、借金が遺産を上回る場合は、遺産の範囲内で返済することになるため、超過分を支払う必要はありません。
ただし、限定承認は、すべての相続人で行わなければならないことに注意しましょう。
死亡日から4ヵ月以内に行う手続き
自営業や不動産賃貸を行っていた人など、確定申告の対象者が亡くなった場合、相続人が代わりに確定申告をすることになります。相続人が確定申告を代行することを「準確定申告」といい、相続を知った日の翌日から4ヵ月以内に申告および納税を行います。
なお、亡くなった日が1月1日から3月15日の間であれば、前年分および本年分の申告期限は、いずれも相続を知った翌日から4ヵ月以内です。前年分の申告についても、完了しているかしっかり確認しましょう。
死亡日から10ヵ月以内に行う手続き
遺言書が残されていない場合は、残された財産を誰がどのくらいの範囲で相続するかを相続人同士の相談で決めます。その際、内容を明確にするために作成される書類が「遺産分割協議書」です。
遺産分割協議書の作成に期限は設けられていませんが、作成していないと不動産や金融機関の名義変更や口座の解約が行えないほか、相続税の申告に支障をきたすことが想定されます。諸手続きへの影響を考慮し、早めに対応しましょう。
相続する財産が明確になったら、相続があることを知った日の翌日から10ヵ月以内に相続税の申告を行います。申告や納税を行う際は、亡くなった人が最後に住所を置いていた管轄の税務署に行わなければなりません。
相続手続きを専門家にお願いする場合
相続手続きはご自身でも行えますが、必要書類の準備や手続き方法の段取りなどで、相応の時間や労力を費やします。
スムーズに相続手続きを進めるには、やはり弁護士などの専門家に依頼するのがおすすめです。専門家に適切な手続きを行ってもらえれば、手間がかからないだけではなく、遺産を少しでも多く手元に残せる可能性が高くなるでしょう。
ここでは、専門家に依頼する際のポイントを解説するので、手続きを進める際の参考にしてください。
専門家の選び方
遺産の相続手続きを専門家に依頼する際は、一般的に弁護士か税理士に依頼することになります。基本的には、相続時にトラブルが起こるかどうかで、選ぶとよいでしょう。
相続人同士の意見が合わず、遺産分割協議が思うように進められないなどといったケースでは、当事者間での解決が難しいこともあるでしょう。このようなトラブルに発展した場合は、相続人の代理人業務が認められている弁護士に依頼するのが賢明です。
相続人同士でのトラブルなどもなく、スムーズに手続きを進められるようであれば税理士に依頼し、適切に手続きを完了させましょう。
弁護士や税理士を選ぶ基準
弁護士や税理士を選ぶ際には、以下の点を確認することが大事です。
- 実績や得意分野
- 対応のスムーズさ
- 費用
弁護士は法律全般の業務に携わるため、相続問題のみに特化しているわけではありません。所得税や法人税の手続きが多い税理士の場合も、相続の手続きに精通しているとは限らないでしょう。
相続に関する知識や実績、経験の豊富な専門家かどうかを、事前に確認することをおすすめします。
また、相続関連の手続きには、期限が設けられているものもあるため、スムーズな対応が不可欠です。手続きを進めるなかで専門外の対応が必要となった場合、提携している他分野の専門家と連携するなど、ワンストップで手続きを行えることが理想といえます。
費用については、遺産の額を基準とするのが一般的です。ただし、依頼する専門家によって、細かい金額設定は異なります。明朗で良心的な価格設定か確認するためにも、事前に相場を調査しておきましょう。
相続手続きは流れを事前に把握しておこう
親族が亡くなり精神的に落ち込んでいるなかでも、適切な相続手続きを行わなければなりません。しかし、慣れない手続きで不明な点が多く、ご自身での対処に不安がある方も多いでしょう。
期限が定められている手続きも多く、相続放棄や限定承認など、具体的な財産に関わる手続きを放置していると、後々大きなトラブルに発展しかねません。
漏れなく正確な手続きを済ませるためにも、事前に流れを把握しておき、不安な場合は弁護士や税理士などの専門家に依頼するのも1つの手段です。
この記事のポイント
- 相続手続きの期間とは?
相続の手続きを始めるには被相続人の資産整理をしなければいけません。
例えば、年金や銀行口座関連であれば被相続人が亡くなった日から14日以内といったようにそれぞれ期限があります。
詳しくは「相続手続きのスケジュールと方法を時系列で解説」をご確認ください。- 相続手続きを専門家に任せるなら?
相続の手続きを専門家に任せる場合は、弁護士または税理士に依頼するのが一般的です。
専門家を選ぶ際は、実績や得意分野・対応のスムーズさ・費用に重点をおいて選ぶと良いでしょう。
詳しくは「相続手続きを専門家にお願いする場合」をご確認ください。
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