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固定資産税評価額とは?価格の決定方法や確認方法、土地の価格を詳しく解説

住宅購入を検討している方のなかには、毎年のランニングコストとなる固定資産税を踏まえて支出の計算をしたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

資金計画を立てるうえで欠かせないのが固定資産税ですが、固定資産税について調べていると固定資産税評価額という言葉を目にします。

固定資産税と固定資産税評価額は似て非なるものであるため、違いを把握しなければ正しい計算ができません。

そこで本記事では、固定資産税と固定資産税評価額の違いや、固定資産税評価額の決定方法、確認方法を解説します。

本記事を読んでいただければ、固定資産税に関する知識が深まり、今後の住宅購入に活かせるでしょう。

住宅購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

固定資産税評価額とは固定資産税を計算するもとになる数値

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算するもとになる数値です。

名前は似ていますが、固定資産税とは異なるものであるため注意しましょう。固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で求められます。

そのほかにも、固定資産税と一緒に支払う都市計画税や、不動産の購入後に支払う不動産取得税、不動産登記をする際の登録免許税にも固定資産税評価額が用いられています。

このように不動産に関する計算をする際のもとになるのが固定資産税評価額です。

固定資産税評価額は自治体が決定する

さまざまな計算のもとになるのが固定資産税評価額ですが、固定資産税評価額は固定資産評価基準に基づき各自治体が決定しています。

固定資産税は地方税であるため、総務大臣が定めた固定資産税評価基準に基づき、市町村の長が評価しているのです。

建物の固定資産税評価額の決め方

ここからは固定資産税評価額を決めるにあたり、どのような項目が評価されているのかを解説します。

建物の固定資産税評価額は、以下のような項目で評価されています。

  • 建物の構造
  • 使用されている建材
  • 築年数

これらの項目で建物が評価されている理由は、再建築価格を基準にしているためです。

再建築価格とは、同一の建物を新築する際に必要とされる建築費です。年数の経過よって建物は劣化するため、建物の構造や使用されている建材に、築年数による補正率をかけて算出しています。

なお、代表的な構造である木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造は、木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造の順番で耐用年数が長く、評価額も高くなります。

そのため、同じ面積のマンションと木造一戸建てを比較すると、マンションの方が評価額が高くなります。

土地の固定資産税評価額の決め方

建物の固定資産税評価額の決め方がわかったところで、ここからは土地の固定資産税評価額の決め方を解説します。

土地の固定資産税評価額は、市町村間、地域間のばらつきを均衡化、適正化するために、公示価格の約7割が目安とされています。

公示価格とは、国土交通省が毎年3月に発表する指標です。

1地点につき2人以上の不動産鑑定士が鑑定後、国土交通省が結果を審査して決定しています。

なお、すべての土地に公示価格がついているわけではありません。実際に固定資産税評価額を算出する際には、その土地の形状や間口の広さなどによって価格が異なります。

そのため、同じエリアにある土地であっても、価格が大きく異なることもあるのです。

土地には5つの価格がある

土地は一物五価といい、1つの土地に対して5つの価格があります。

  • 時価(実勢価格)
  • 公示地価
  • 路線価
  • 基準地価
  • 固定資産税評価額

それぞれの価格について解説します。

時価(実勢価格)

時価(実勢価格)とは、不動産を取引する際の価格です。

不動産は現物資産であるため、価格が変動します。そのため売却する際にはその時の市況などを踏まえて査定を行ったうえで売却価格を決定します。

不動産の時価を算出する方法は以下の3つです。

  • 原価法
  • 取引事例比較法
  • 収益還元法

原価法とは、建物の再建築価格から築年数などの減価修正を行って算出する方法です。

主に一戸建ての価格を決める際に用いる計算方法ですが、一戸建ての場合建物は原価法、土地は取引事例比較法を用いて計算するのが一般的です。

取引事例比較法とは、近隣の類似する物件の取引事例と比較して価格を求める方法です。類似した物件が多いマンションや住宅地の価格を算出する際に用いられます。

収益還元法とは、不動産から得られる収益を適正な利回りで割り戻すことで価格を求める方法です。

  • 収益価格=純収益÷還元利回り

収益価格自体は簡単な式で求められますが、純収益の計算や、適切な還元利回りの設定が難しいという特徴があります。

公示地価

公示地価とは国土交通省が公示する標準地の価格で、毎年1月1日時点の地価を評価し、3月下旬頃に発表されます。

公示地価は一般的な土地取引において、価格の指標とするために設定されています。

各エリアの公示地価は国土交通省の「土地総合情報システム」で閲覧できるため、気になる方は調べてみましょう。

路線価

路線価には相続税路線価と固定資産税路線価がありますが、一般的に路線価を表すのは相続税路線価です。

路線価は、相続税や贈与税の課税基準になる価格です。

価格は土地ではなく、道路に対して設定され、その道路に面している宅地の1㎡あたりの価格を指しています。

土地が借地の場合の補正率や、土地の形状による補正率があるため、さまざまな項目を踏まえて計算する必要があります。

なお、路線価の目安は公示地価の約80%です。

基準地価

基準地価は、都道府県が発表する土地売買の目安となる価格です。公示地価と似た性質を持っており、互いに補う関係にあります。

基準地価は毎年7月1日を基準日として9月に発表されるため、公示地価とちょうど半年の差があります。

価格が変動する不動産において半年の差は大きいため、年始の公示地価と年半ばの基準地価を踏まえて価格を算出します。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、以下のようにさまざまな税金の基準となる価格です。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税

また、固定資産税評価額は3年に一度評価替えが行われます。

評価替えによって、毎年納める固定資産税も3年に一度納税額が変わることを覚えておきましょう。

固定資産税評価額の確認方法

住宅を購入する前は、固定資産税を把握するためにも固定資産税評価額を確認しましょう。

固定資産税評価額の確認方法は新築住宅と中古住宅で異なるため、それぞれの確認方法を解説します。

新築住宅の場合

新築住宅の場合、正確な固定資産税評価額はわかりません。

なぜなら、固定資産税評価額は家屋調査の実施後に算出されるためです。

実際に建物が建たなければ正確な評価額は計算できませんが、不動産会社であればおおよその価格がわかるため聞いてみるのもいいでしょう。

しかし、正確な価格ではないためあくまでも参考程度に考えます。

中古住宅の場合

中古住宅の場合はすでに固定資産税評価額が出ているため、以下4つのいずれかの方法で確認しましょう。

  • 納税通知で確認する
  • 評価証明書を取得して確認する
  • 固定資産課税台帳を閲覧する
  • 不動産会社に質問する

自分で調べる方法もありますが、基本的には不動産会社が把握しているため、質問するのが一番早いでしょう。

購入が3年に一度の評価替えのタイミングの場合は、固定資産税が変動する場合もあるため注意が必要です。

課税標準額との違い

納税通知や評価証明書には、固定資産税評価額のほかに課税標準額が記載されていますが、2つの数字は別物であるため注意しましょう。

通常、家屋の場合は固定資産税評価額と課税標準額が同額ですが、土地の場合は特例措置や負担調整措置などで数字が調整されているため、固定資産税評価額と課税標準額は一致しません。

実際に土地の税額を計算する際には、課税標準額をもとに計算します。

まとめ

本記事では、固定資産税と固定資産税評価額の違いや、固定資産税評価額の決定方法、確認方法を解説しました。

固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税の計算のもととなる価格です。固定資産税評価額は3年に一度評価替えがあるため、納税額も変わることを覚えておきましょう。

固定資産税は不動産を所有している限り毎年納めるものであるため、購入前に必ず確認する必要があります。

新築住宅の場合は目安の数値にはなりますが、確認した数値をもとに資金計画を立ててみましょう。

この記事のポイント

固定資産税評価額の決め方とは?

固定資産税評価額は建物と土地でそれぞれの決め方があります。建物であれば、構造や建材・築年数によって評価額は変化します。
詳しくは「建物の固定資産税評価額の決め方」をご確認ください。

土地の価格とは?

土地には1つの土地に対して5つの価格があります。

  • 時価
  • 公示地価
  • 路線価
  • 基準地価
  • 固定資産税評価額

固定資産税評価額であれば、固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの基準となります。
詳しくは「土地の固定資産税評価額の決め方」をご確認ください。

この記事の監修

岡﨑 渉
資格情報: 宅地建物取引士

国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。現在はフリーランスのWebライター・Webディレクターとして活動。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとしては主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。

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