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ローコスト住宅とは?価格相場やメリット、デメリットを解説

住宅の購入を検討している方のなかには、なるべく費用を抑えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

住宅の購入価格を抑えるための選択肢の1つがローコスト住宅です。

しかし、ローコストで住宅を供給できる仕組みがわからなければ、ローコスト住宅の建築に不安を感じてしまうでしょう。

そこで本記事ではローコスト住宅の価格相場やメリット、デメリットを紹介します。

本記事を読んでいただければ、ローコストで住宅を建てられる仕組みや購入する際のポイントがわかり、住宅購入を具体的に検討できるでしょう。ローコスト住宅に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

ローコスト住宅とは従来よりも安価な価格帯で販売されている家

ローコスト住宅とは、従来の住宅よりも安価な価格帯で販売されている住宅です。

「安価な価格」には人それぞれ違いがありますが、ローコスト住宅の場合は、一般的に本体工事費が1,000万円台で建てられる住宅を指します。

ローコスト住宅の相場

ローコスト住宅とは1,000万円台で建てられる住宅を指しますが、住宅の面積によって総額は変動するため、1坪あたりの価格で考えてみましょう。

ローコスト住宅や通常の住宅、ハイグレード住宅の坪単価の相場は以下のとおりです。

  • ローコスト住宅:坪単価40〜50万円
  • 通常の住宅:坪単価50〜70万円
  • ハイグレード住宅:坪単価70万円超え

ローコスト住宅は、ハイグレード住宅の約半分程度の価格で住宅を建てられるため、ローコスト住宅がいかに安価であるかがわかるでしょう。

ちなみに、住宅金融支援機構の「2020年度フラット35利用者調査」では、注文住宅の平均価格は3,534万円との結果が出ています。

また、同調査では注文住宅の平均面積は124.4㎡(約37坪)との結果が出ているため、平均単価は1㎡あたり約284万円(坪単価約95万円)です。

ローコストで建てられる理由

ローコストで住宅を建てられる理由は以下のとおりです。

  • 一括仕入れなどで材料費を抑えている
  • プランを均一化して人件費を抑えている
  • 広告に多額な費用をかけない

それぞれについて解説します。

一括仕入れなどで材料費を抑えている

ローコストで住宅を建てるためにも、ハウスメーカーは一括仕入れなどで材料費を抑えています。場合によっては、ほかの工務店やハウスメーカーと協力して一括仕入れをすることもあります。

また、一括仕入れをするうえで重要なのが住宅グレードの統一です。ローコスト住宅では住宅グレードを統一することで、使用する材料の種類を少なくし、一括仕入れをしやすい体制を整えています。

そのほかにも住宅の壁を少なくするなど、住宅建築時に使用する材料を減らす工夫も行っています。

プランを均一化して人件費を抑えている

ローコストで住宅を建てるためにも、建築プランを均一化して人件費を抑えています。

ローコスト住宅のハウスメーカーは、キューブ型住宅のように設計をシンプルにすることで、熟練工でなくとも住宅を建築できるようにしています。

また、プランを均一化することで材料の大量生産、加工が可能です。工場でまとめて材料を加工し、建築現場では組み立てるだけの状態にすることで人件費を抑えています。

広告に高額な費用をかけない

ローコスト住宅のハウスメーカーは広告に高額な費用をかけないのが一般的です。

そのため、建築価格に広告費が上乗せされず、適正価格で住宅を販売できています。しかし、広告に高額な費用をかけない分、あまり知名度が高くないことが多いです。

一方でハイグレード住宅のハウスメーカーは、テレビCMなどを数多く放送してブランド化を図っている分、建築費用に広告費が上乗せされている傾向にあります。

ローコスト住宅のメリット

ローコスト住宅は価格が安い以外にも以下のようなメリットがあります。

  • 建て替えのハードルが低い
  • 工期が短い

ローコスト住宅は、住宅のグレードにあまりこだわりがない方や、購入費用を抑えたい方、住宅設備は豪華でなくてもいい方におすすめです。

それぞれのメリットについて解説します。

建て替えのハードルが低い

ローコスト住宅は建築費が抑えられるため、建て替えのハードルが低くなります。

建築費が抑えられることで、ローンの繰り上げ返済や一括返済がしやすくなり、ライフステージに合わせた柔軟な選択ができるでしょう。

例えば、子どもが独立してコンパクトな家に建て替える場合や、介護が必要な両親との同居でバリアフリーの建物に建て替える場合などです。

このように、ローコスト住宅に住むことで、将来の選択肢が広がります。

工期が短い

ローコスト住宅は通常の住宅と比べて工期が短いのがメリットです。

一般的な住宅の工期は5ヶ月程度ですが、ローコスト住宅は3ヶ月程度で完成します。ローコスト住宅の工期が短いのには2つの理由があります。

  • 建築プランがある程度決まっており、打ち合わせをする項目が少ない
  • 工場で材料を加工することが多く、現場での作業時間が短縮される

ローコスト住宅は建築プランを均一化しているため、工期も短くなっています。

ローコスト住宅は家族構成の変化や子どもの入学など、新居での生活をスタートさせる期限が定まっている方におすすめです。

ローコスト住宅のデメリット

ローコスト住宅のデメリットは以下のとおりです。

  • 設計の自由度が低い
  • 設備がシンプル
  • 機能性が限定的
  • 保証期間が短い

それぞれについて解説します。

設計の自由度が低い

ローコスト住宅はある程度建築プランが均一化されているため、設計の自由度が低いです。

そのため、注文住宅であっても完全自由設計にするのが難しいでしょう。オプション工事も選択できますが、ローコスト住宅のハウスメーカーが強みにしているプランの均一化から外れるため、費用が割高になる傾向があります。

自由度の高い設計をしたい場合は、ローコスト住宅以外を選んだ方がいいでしょう。

設備がシンプル

ローコスト住宅はトイレやユニットバス、キッチンといった設備がシンプルになっています。

デザイン面だけでなく、機能面でも通常の住宅より劣ってしまう可能性があるため、どのような設備が付けられるのかを事前に確認しておきましょう。

設備に関しては、モデルハウスなどで実物を見て判断するのがおすすめです。

機能性が限定的

ローコスト住宅は、通常の住宅と比べて機能性が限定的です。

もちろんのことながら、家を建てる際には建築基準法に則って建てる必要があるため、一定の品質はクリアしています。

しかし、耐震性能や断熱性能で最高級品質を取るほど優れているケースは少ないです。

断熱性や気密性が低いと快適な室内環境を保てず、冷暖房費が高くなる傾向にあるため注意しましょう。

保証期間が短い

ローコスト住宅は保証期間が短い傾向にあります。

新築住宅は引き渡しから10年間の保証義務がありますが、11年目以降の保証はハウスメーカーによって異なります。

ハイグレードなハウスメーカーでは、30年保証や60年保証といった長期保証が一般的ですが、ローコスト住宅では長期間の保証を用意していないケースが多いです。

ローコストゆえに長期間の保証は付けられないといった事情がありますが、住宅購入は安心感も重要なため、保証について考えたうえで判断しましょう。

ローコスト住宅を購入する際のポイント

ローコスト住宅を購入する際のポイントは以下のとおりです。

  • 複数のハウスメーカーを比較検討する
  • 費用には余裕を持っておく
  • 契約内容はしっかりと確認する

それぞれについて解説します。

複数のハウスメーカーを比較検討する

ローコスト住宅を建てる際には複数のハウスメーカーを比較検討しましょう。

一般的に本体工事費が1,000万円台の住宅をローコスト住宅といいますが、明確な定義はありません。

また、住宅は広告費なども価格に含まれているため、高いから良いという単純なものでもありません。

本体工事費は同程度の価格であっても、庭や塀などの外構費用が大きく異なる可能性もあるため複数社を比較検討する必要があります。

ハウスメーカー選びは本来工事費だけでなく、トータルでかかる費用をもとに考えましょう。

費用には余裕を持っておく

ローコスト住宅であっても費用には余裕を持っておきましょう。

建築費ギリギリの予算では、こだわりたい部分にこだわれない可能性もあるため、余裕を持った資金計画が大切です。

ローコスト住宅の場合、建築プランはある程度決まっていますが、追加でオプションを付けられます。

別途オプション費用がかりますが、大切な家づくりであるためこだわりたい部分にはこだわった方が満足度も高くなるでしょう。

契約内容はしっかりと確認する

ローコスト住宅を建てる際には、契約内容をしっかりと確認しましょう。

ローコスト住宅は工期が短い分、契約からすぐに建築工事に取り掛かります。そのため、契約後に契約内容を変更するのは難しく、変更する場合には違約金がかかることもあります。

また、建築プランだけでなく、定期点検やアフターメンテナンスの内容まで納得したうえで契約しましょう。

ローコスト住宅の特徴を踏まえ慎重に検討しよう

本記事ではローコスト住宅の価格相場やメリット、デメリットを紹介しました。

ローコスト住宅とは、一般的に本体工事費が1,000万円台で建てられる住宅を指します。通常の住宅よりも安価に建てられるため、価格を抑えたい方にはおすすめですが、設備のグレードや機能性が劣る可能性もあります。

ローコスト住宅を検討している方は、住宅に何を求めるかの優先順位をつけて慎重に検討しましょう。

ローコスト住宅に関するQ&A

ローコスト住宅に関するよくある質問を紹介します。

この記事のポイント

ローコスト住宅はなぜ安いの?

ローコスト住宅が通常の住宅よりも安価な理由は以下のとおりです。

  • 一括仕入れなどで材料費を抑えている
  • プランを均一化して人件費を抑えている
  • 広告に多額な費用をかけない

詳しくは「ローコストで建てられる理由」をご覧ください。

ローコスト住宅のデメリットは?

ローコスト住宅のデメリットは以下のとおりです。

  • 設計の自由度が低い
  • 設備がシンプル機能性が限定的保証期間が短い

詳しくは「ローコスト住宅のデメリット」をご覧ください。

この記事の監修

岡﨑 渉
資格情報: 宅地建物取引士

国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。現在はフリーランスのWebライター・Webディレクターとして活動。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとしては主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。

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