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つなぎ融資とは?メリット・デメリットや仕組みをわかりやすく解説

執筆者プロフィール

中村諭
ファイナンシャルプランナー/貸金業務取扱主任者

働くお母さんからの相談が多く、離婚時における住宅ローン相談等、住宅ローンの見直しから借り換え、融資まで実務支援をしているFP事務所(融資媒介業として金融庁登録のFP事務所)経営。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、貸金業務取扱主任者、情報サイトAll About住宅ローンガイド。住宅ローンソムリエ(2007年商標登録)。

ざっくり要約!

  • つなぎ融資は、注文住宅を購入する場合、買換えで購入資金が先に必要な場合、買換えで住宅ローンを完済する資金が必要な場合などに使える
  • つなぎ融資を利用すれば、自己資金がなくても住宅を購入できる場合がある

つなぎ融資は、住宅ローン実行までに必要となる費用を自己資金でまかなえない場合に役立つサービスですが、その仕組みがいまいち理解できていない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、つなぎ融資の仕組みや必要なタイミング、利用の手順などをわかりやすく解説します。

注意点やシミュレーションも紹介しますので、つなぎ融資を検討している方、住宅ローンの借入金が入金されるまでの資金が心配な方はぜひ参考にしてください。

つなぎ融資があれば不動産購入の際に一時的にお金を借りられる

つなぎ融資とは、住宅ローンが実行されるまでの間や不動産の売却代金が手元に入るまでの間に必要となる資金を一時的に借りることです。

基本的に、住宅ローンは、住宅が完成して売主から引渡しを受けるときに実行されます。

引渡しを受けるときに初めて借入金が入金されるため、それまでに必要となる土地購入費や着工金、中間金などの支払いに間に合いません。

土地代だけでなく、着工金や中間金も工事代の3割程度を用意しなければならないため、自己資金でまかなえないケースも多いでしょう。

以下の支払いに充てる資金として、つなぎ融資を利用します。

  • 土地購入費
  • 着工金
  • 中間金
  • 上棟金
  • 施工金

金融機関により異なりますが、金利相場は2.0~4.0%程度です。

一般的に、つなぎ融資で借りたお金は、住宅ローンが実行されたときにその借入金で完済します。住宅ローンとは違い、借入期間中に元金の返済は行いません。

ただし、利息については、元金返済時にまとめて返済する方法や毎月返済していく方法、融資実行時に利息分を差し引いて入金される方法があります。

つなぎ融資を利用するケース

つなぎ融資が必要になるのは、以下のようなケースです。

  • 注文住宅を購入する場合
  • 買換えで購入資金が先に必要な場合
  • 買換えで住宅ローンを完済する資金が必要な場合

主に、注文住宅を購入する場合に、土地の購入代、着工金、中間金などを自己資金でまなかえない場合につなぎ融資を利用します。

また、新しく住宅を購入するときだけではなく、買換え時にも利用できます。具体的には、買換えで購入資金を先に支払わなければならないケースや、住宅ローンの完済資金が足りない場合などです。

なお前提として、金融機関のつなぎ融資は一般的に住宅ローンとセットで申し込む必要が多い点に注意してください。

つなぎ融資の申し込み条件には「当行住宅ローンにお申し込みのうえ、審査の承認を得ている方」などと定められているケースが多いです。

つなぎ融資のみを単体で利用することはできない場合が多いと理解しておきましょう。

つなぎ融資の事例シミュレーション

つなぎ融資を利用した場合に、どれだけコストが増えるのかをシミュレーションしてみましょう。

以下の条件で注文住宅を購入したと仮定します。

【土地・建物の価格】
土地価格:1,000万円
建物価格:2,500万円

【つなぎ融資の条件】
金利:年3.0%
借入回数:3回

土地購入費:1,000万円(借入期間6ヶ月)
着工金:750万円(借入期間4ヶ月)
中間金:750万円(借入期間2ヶ月)
借入金額合計:2,500万円
融資事務手数料:110,000円
収入印紙代:20,000円

上記の条件で、利息額を計算してみましょう。

土地購入費の利息額=1,000万円×3.0%÷365日×180日=147,945円
着工金の利息額=750万円×3.0%÷365日×120日=73,972円
中間金の利息額=750万円×3.0%÷365日×60日=36,986円

利息額の合計は258,903円です。

融資事務手数料と収入印紙代を含めると、258,903+110,000+20,000=388,903円となります。

このケースでは、つなぎ融資を利用することでコストが388,903円増える計算です。

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つなぎ融資のメリット

つなぎ融資には、以下のようなメリットがあります。

自己資金がなくても家が購入できる

住宅価格の100%まで融資可能な住宅ローンは少なくありません。さらには、住宅購入時の諸費用も住宅ローンに上乗せして借りられる銀行もあります。

ということは、自己資金がなくても家は購入できるのですが「借りることができる」ことと「お金が必要なタイミング」は別の話です。

住宅ローンは基本的に、完成した住宅に融資されるため、銀行から住宅ローンとして提供された資金が使えるのは住宅完成後になります。

しかしながら、これから建築する注文住宅の場合は、土地の購入代金や建築工事の着工時、建築中、そして完成時に3~4回に分けて支払いが必要になるため、完成するまで間の支払いは、住宅ローンとは別に資金が必要となります。

つなぎ融資を利用することで、自己資金がない人も注文住宅を購入できることとなります。

不動産の買換え時に活用できる

「買換え」とは、賃貸や実家暮らしではなく、自己所有の家に住んでいる人があらたに家を買い、住み替えるケースが該当します。

住み替えに際しては、それまで住んでいた家を売却する人が大半だと思われますので、「売却」と「購入」を同時期に考える必要があります。

例えば、売りと買いが同時であれば、引越しは一度で済みます。しかし、先に売ることになって新居への入居までの間の仮住まいが必要な場合には、引越しが複数回必要になってしまいます。このため、住み替えの場合に購入を先に検討するケースがあります。

この場合は、売却代金を購入物件の支払いに充てることができないため、つなぎ融資を有効活用できます。

家を高く売れる可能性がある

現在住んでいる家を売却する場合には住みながら売却活動するよりも、自宅を空にして、部屋をきれいにし、いつでも内覧できる状態にしてから売却する方が、高値で売却できるケースがあります。
 
何らかの事情で現金が早く必要な際には、必要資金をつなぎ融資で借りておき、売却できたらつなぎ融資を返済することで、納得のいく価格で売ることができるかもしれません。

つなぎ融資のデメリット

つなぎ融資には以下のようなデメリットもあります。

住宅ローンに比べて金利が高い

金融機関により異なりますが、つなぎ融資の金利相場は2.0~4.0%程度になるため、住宅ローンに比べて金利が高くなります。

利息は日割り計算で算出します。

利息額=融資金額×金利÷365日×借入日数

契約する際に金利を確認し、返済額がいくらになるのかをシミュレーションしておくことが重要です。
また、工事が計画どおりに進まず、つなぎ融資の借入期間を延長することになれば、当初の予定よりも利息が高くなります。返済日が先になるほど利息負担が増えるため、注意が必要です。

借入期間を延長する場合、金融機関によっては追加で融資事務手数料がかかるケースもあります。

手数料や保証料などの諸費用がかかる

金融機関により異なりますが、金利の他に次のような費用がかかります。

  • 融資事務手数料
  • 収入印紙税もしくは電子契約事務手数料
  • 住宅融資保険手数料 等

取り扱っている金融機関が少ない

すべての金融機関がつなぎ融資を取り扱っているわけではないため、つなぎ融資に対応している先を探す必要があります。

住宅ローン控除の対象外である

つなぎ融資は、住宅ローン控除の要件に合致しないため対象外になります。

工期の延長で利息の負担が増えることも

つなぎ融資は住宅ローンに比べて金利が高い融資であることから、工期が長引いてしまうとそれだけ利息負担もかさみます。

また、つなぎ融資で借りられる期間は、一般的に1年以内となっています。返済期間の延長が必要な場合は早めに金融機関へご相談ください。

以上のようなデメリットがあることから、基本的には買換え先を先行購入する必要がある場合のみ、利用しがいのある方法だと理解しておきましょう。

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つなぎ融資利用の手順

つなぎ融資利用の一般的な手順を解説します。

  1. 住宅ローンの申し込み
  2. 住宅ローンの審査
  3. つなぎ融資の申し込み
  4. つなぎ融資の審査
  5. 契約
  6. つなぎ融資実行
  7. 住宅ローン実行
  8. 住宅ローン借入金でつなぎ融資完済

申し込みは住宅ローン審査の承認を得てから行いますが、まずはつなぎ融資を利用したい旨を事前に相談しましょう。

つなぎ融資の審査に通過して契約をしたあとは、土地の引渡し時や建物着工時などに合わせ、借入回数に応じて融資が実行されます。

つなぎ融資実行後は、毎月利息のみを返済、あるいは住宅ローン実行後に利息と元金をまとめて返済するのが一般的です。融資実行時に、利息が差し引かれて入金されるケースもあります。

住宅ローン借入金でつなぎ融資を完済したあとは、毎月住宅ローンを返済していきます。

実際の流れは金融機関などにより異なるため、確認しながら進めましょう。

住宅ローンの分割融資も検討しよう

土地購入費や着工金などに充てる自己資金が足りないなら、つなぎ融資のほかに「住宅ローンの分割融資」も検討しましょう。

住宅ローンの分割融資とは、名前のとおり住宅ローンの借入金を分割して受けることです。

借入金を数回に分けて受け取れるため、土地購入費を自己資金でまかなえない場合などに対応できます。

つなぎ融資とは違い、新たに申し込みをする必要がありません。審査も1回で済むため、手続きの負担が軽減できます。一般的に、つなぎ融資と比べて金利が低めなのも特徴です。

どの住宅ローンも分割融資に対応しているわけではないため、つなぎ融資と同様、事前に相談しましょう。

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つなぎ融資について理解し、計画的に利用しよう

つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでに必要となる資金を、一時的に借り入れることです。つなぎ融資を利用すれば、自己資金を用意できない場合に、土地購入費や着工金に充てる資金を借りられます。

ただし、金利や諸費用の負担が増える点には注意が必要です。つなぎ融資の利用を検討している方や住宅購入に充てる資金が不安な方は、不動産会社に相談しましょう。

この記事のポイント

つなぎ融資のメリットは何ですか?

つなぎ融資には、自己資金がなくても家が購入できる、不動産の買換え時に活用できる、家を高く売れる可能性があるといったメリットがあります。

詳しくは「つなぎ融資のメリット」をご覧ください。

つなぎ融資のデメリットは何ですか?

つなぎ融資には、住宅ローンに比べて金利が高い、手数料や保証料などの諸費用がかかる、取り扱っている金融機関が少ない、住宅ローン控除の対象外である、工期の延長で利息の負担が増えることもあるなどのデメリットがあります。

基本的には、買換え先を先行購入する必要がある場合のみ、利用しがいのある方法だと理解しておきましょう。

詳しくは「つなぎ融資のデメリット」をご覧ください。

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