東京都では、2025年4月から太陽光パネルの設置を義務化する制度を導入すると発表されました。すでに京都府や群馬県などの一部の自治体では太陽光パネルの義務化を実施しており、日本全体でエコロジーな街づくりが強化されると考えられます。
この記事では、太陽光パネルの義務化制度の内容や太陽光パネルを設置するメリット、注意点を解説します。設置費用やランニングコストも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
太陽光パネルの設置義務とは?
東京都では2025年4月から、太陽光パネルの設置が義務化される予定です。京都府や群馬県、川崎市でも義務化を実施、あるいは実施の予定があり、太陽光パネルの設置義務化は全国的に広がっているとみられます。
太陽光パネルの設置義務化制度が施行される前に、知っておきたいことをまとめて紹介します。
設置義務の背景
都内の二酸化炭素の約7割は、建物でのエネルギー使用から生まれています。太陽光パネルを設置することで、建物で消費するエネルギーを自家発電すれば、脱炭素化と良質な都市環境の実現を目指すことができるでしょう。
建物は一度建築されると長期にわたって使用されますが、定期的に建て替えも行われるため、2050年時点では約半数の建物が今後建築される建物に置き換わると考えられます。また、住宅に関しては約7割が新築に置き換わると見込まれています。
そのため、新築住宅だけに限って太陽光パネルを設置しても、将来的にはほとんどの住宅の屋根に搭載されることになります。新築住宅への太陽光パネルの設置義務化は、このような背景から誕生しました。
設置義務があるのはハウスメーカーなどの事業者
義務の対象者は、年間2万平方メートル以上の建物(住宅やビル)を建築する大手事業者です。50社程度が対象になると見込まれており、都内での年間新築棟数の半数ほどがカバーされると想定されています。
太陽光パネルの設置義務化は事業者対象の制度ですが、新築住宅の購入者や施主も環境負荷についての理解を深めたうえで、住宅の注文などを行うことが求められます。
太陽光パネルの設置コスト
住宅に太陽光パネルを設置する場合、初期費用として約130万円かかります。
ただし、お住まいの自治体によっては、太陽光パネルの設置に補助金を支給していることがあるかもしれません。補助金は返済不要のため、条件に該当して受給できる場合には自己負担額が減ります。
また、太陽光パネルを導入すると、定期的なメンテナンスやパワーコンディショナー(発電した電力を家庭で使用できる電力に換える装置)の交換費用などのランニングコストがかかります。メンテナンスの頻度などにもよりますが、ランニングコストは1年あたり約1.5万円と見込まれます。
太陽光パネル導入のメリット
太陽光パネルの設置で個人が得られるメリットとしては、次のものが挙げられます。
- 補助金や補助制度を受けられる
- 電気代の節約になる
- 環境に配慮できる
- 災害の備えになる
それぞれのメリットを具体的に解説します。
補助金や補助制度を受けられる
太陽光パネルを設置すると、国や自治体の補助金や補助制度が適用されて、安価に導入できることがあります。また、補助金の対象は太陽光パネルに限りません。作った電気を貯める蓄電池システムでも対象となる場合があります。
補助制度の例には、以下のようなものがあります。
- ZEH支援事業なお、東京都の太陽光パネル設置義務化の制度では、対象の事業者で住宅を建てるときでも、狭小地や日照条件が良くない立地の場合は設置義務の対象から除外されることがあります。
- 自治体の太陽光発電システムや蓄電池システム補助金制度
それぞれの制度を、具体的に解説します。
ZEH支援事業
ZEH支援事業とは、ネットゼロエネルギーハウス(ZEH)を建てるときに補助金を受給できる制度です。ネットゼロエネルギーハウスとは、エネルギーの収支がゼロになることを目指した住宅で、環境に優しいだけでなく、電気代の節約も実現できます。
ZEH支援事業では、蓄電池システムや電気自動車用のコンセントなども同時に導入すると、補助金額が増えます。
エコロジーと節約のためにも利用できる制度です。
自治体の太陽光発電システムや蓄電池システム補助金制度
都道府県単位、市町村単位で、太陽光発電システムや蓄電池システムを導入するときに補助金を受けられる制度を実施していることがあります。
例えば、八王子市では太陽光発電システムや太陽熱利用システム、木質ペレットストーブ、リチウムイオン蓄電池システムの設置で、補助金の受給を受けられることがあります。支給は先着順となるので、該当している場合には早めの申請が必要です。
また、京都府では太陽光発電システムや蓄電池システムを導入する場合に、補助金の受給を受けられることがあります。
市町村によって適用条件が異なるので、まずはお住まいの自治体に問い合わせてみましょう。
電気代の節約になる
自家発電した電気を利用できるので、電気代を節約できます。発電状況によっては、年間のランニングコスト以上の節約も可能です。
環境に配慮できる
太陽光発電システムでは、発電時に温室効果ガスを排出しません。また、石炭や石油などの化石燃料とは異なり、太陽光は使用しても枯渇しないので、資源を減らさないというメリットもあります。
災害への備えになる
災害時でも太陽光がある限り発電できます。電気をいつでも利用可能な状態で維持できることは、太陽光パネルを導入する大きなメリットです。
また、蓄電池システムがあれば作った電気を蓄えることができ、夜間などにも電気を使えるようになります。
太陽光パネル導入の際の注意点
節電になり地球にも優しい太陽光パネルですが、導入にあたって検討すべき点もあります。特に次の4点には、注意が必要です。
- 初期費用や建設コストがかかる
- 立地が設置に向いていない場合がある
- メンテナンスが必要な場合がある
- 発電量が天候に左右される
それぞれ何に注意すべきか、また、どのような解決策があるのか解説します。
初期費用や建設コストがかかる
まず、導入コストが高いという点には注意が必要です。太陽光パネルを設置するだけでも、約130万円は見ておく必要があるので、気軽には導入できないと感じるかもしれません。
ただし、補助金を受給できれば、自己負担額を抑えることが可能です。また、住宅ローンやリフォームローンなどを利用して導入すれば、まとまった資金がなくても太陽光パネルの設置が可能です。
立地が設置に向いていない場合がある
日当たりが悪く、太陽光パネルの設置には向かない場所もあります。また、周囲の建物が高く、直射日光が当たりにくい場所に住宅がある場合も、太陽光パネルを設置しても期待するほどの発電量を得られないかもしれません。
ハウスメーカーや工務店などに相談し、解決策はないか検討しましょう。
なお、東京都の太陽光パネル設置義務化の制度では、住宅の立地により対象外になることがあります。狭小地や日照条件が良くない場合は除外の可能性があるので、よく確認しておきましょう。
メンテナンスが必要な場合がある
定期的に太陽光パネルの汚れを落とすことで、発電効率を高められます。しかし、メンテナンス費用がかかるので、コストに見合う発電量を得られるかどうか計算しておく必要があります。
また、ソーラーパネルの寿命は25~30年程度です。寿命が来る前に買換えを検討する必要があります。
発電量が天候に左右される
太陽光で発電を行うため、雨や曇りが続くと発電量が減ります。天候によっては、安定した発電量が得られない場合があり、電気代がかさんでしまうこともあります。
特に、エコロジー目的ではなく電気代節約のために太陽光パネルの導入を検討している場合は、支払うコストと節約できる電気代について具体的に試算しておくことが必要です。
太陽光発電からエコ生活を始めよう
太陽光パネルの導入で、電気代を節約でき、なおかつ二酸化炭素の排出量削減に繋がるエコな生活を始められます。大切な地球環境を守るためにも、太陽光発電から環境に優しい生活を実現してはいかがでしょうか。
また、東京都では2025年4月以降は太陽光パネルの設置義務化が予定されています。制度の内容やエコロジーの問題について、理解を深めておきましょう。
この記事のポイント
- 太陽光パネルを設置することでどんなメリットがある?
太陽光パネルの設置で、自家発電が可能になります。電気代を節約できるだけでなく、二酸化炭素の排出量も抑えることができます。
詳しくは、「太陽光パネル義務化によるメリット」をご覧ください。
- 太陽光パネル義務化により消費者には何が求められる?
太陽光パネルの設置義務化は、大手ハウスメーカーなどの事業者に課せられる義務です。しかし、消費者にも太陽光発電やエコロジーについての理解を深めることが求められます。
詳しくは、「設置義務があるのはハウスメーカーなどの事業者」をご覧ください。
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