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狭小地とは?メリット、デメリットや建築時の注意点を解説

ざっくり要約!

  • 狭小地とは、一般的に15〜20坪以下の土地のこと
  • 限られた予算で立地のいい場所に住めるというメリットがある
  • 生活動線を意識して間取りを検討する必要がある

狭小地とは名前のとおり、面積の小さい土地を指します。

狭小地に住宅を建てる場合、一般的な住宅よりも面積が小さくなってしまいますが、その分土地の購入費用を抑えられます。

都市部は土地の価格が高く、一戸建てを建築するために多くの予算が必要になりますが、狭小地であれば検討しやすいでしょう。

しかし、狭小地にはデメリットや注意点もあるため、それらを加味して考えなければいけません。

この記事では狭小地のメリット、デメリットや建築時の注意点を解説します。狭小地の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

狭小地とは15〜20坪以下の土地

狭小地に明確な定義はありませんが、一般的に15〜20坪以下の面積の小さい土地を指します。

正方形や長方形の土地を「整形地」と呼ぶ一方で、狭小地は三角形や台形などの「変形地」が多い傾向にあります。

変形地は住宅を建てる際の間取りプランを立てにくく、整形地と比べると需要が低いとされる土地です。

狭小地が生まれる3つの理由

狭小地の多くは、昔から狭小地だった訳ではありません。よく見受けられるのは、もともと1つだった土地が小さく分けられて、狭小地になったケースです。

狭小地の理解を深めるためにも、どのようにして狭小地が生まれるのかを把握しましょう。狭小地が生まれる理由は大きく分けて以下の3つです。

  • 不動産会社が小分けにして販売するため
  • 開発、都市計画で土地が取り残されるため
  • 相続で土地を分筆するため

それぞれについて解説します。

不動産会社が小分けにして販売するため

1つのまとまった土地を不動産会社が購入して、小分け(分筆)にしてから販売するケースが多く見受けられます。

都市部では土地の価格が高いため、土地の面積が大き過ぎると高額になり、買手が付きません。土地を小さくすることで、1坪あたりの価格を高く設定しても全体の価格が抑えられます。

つまり、1つのまとまった土地を売るよりも、小分けにして売ったほうが不動産会社にとっては利益が増えます。

例えば、60坪で18,000万円(1坪300万円)の土地があるとしましょう。一戸建てを建てるために、18,000万円の土地を購入できる方は限られています。

しかし、土地を15坪ずつ4つに分けて、1つあたり5,000万円(1坪333万円)で販売すれば、購入できる層が増加することに加え、不動産会社の売上もアップします。

あえて狭小地として売るのは、不動産会社の販売戦略の1つです。

開発、都市計画で土地が取り残されるため

道路の建設や大規模な商業施設の開発がある際には、周辺の土地所有者に土地買収の話が持ちかけられます。

このタイミングで多くの土地所有者は土地を手放しますが、なかには土地買収の話を断る方もいます。

その際、土地買収の話を断った方の土地が、開発、都市計画に大きな影響を与えない場合、その土地を残して開発が進むことがあります。

結果として、その土地だけが狭小地として取り残されてしまいます。

相続で土地を分筆するため

相続した土地の使い道をめぐって、相続人同士で意見が割れるケースがあります。

例えば、相続人が2人いる場合、片方は売却したい、もう片方は家を建てたいと意見が割れることもあります。

この場合の解決策の1つが土地の分筆です。相続人2人で土地を分ければ、その後の使い道は自由です。

相続した土地が30坪程度の場合、土地を2つに分けると2つの狭小地が生まれることになります。

狭小地に家を建てるメリット

狭小地が生まれる理由、背景がわかったところで、本章では狭小地に家を建てるメリットを解説します。

  • 限られた予算で立地のいい場所に住める
  • 税金を抑えられる
  • ランニングコストを抑えられる

住宅購入の予算や将来のことを踏まえて、狭小地を検討してみましょう。

限られた予算で立地のいい場所に住める

狭小地は、土地の価格が高い都市部や駅近など立地のいい場所に多く見受けられます。

理由は先述したとおり、不動産会社が好立地の土地を取得して分筆してから販売するためです。

都市部で一戸建てを建てる場合、多くの予算が必要になりますが、狭小地であれば比較的購入しやすいと言えるでしょう。

広さよりも立地を重視したい方には、狭小地がおすすめです。

税金を抑えられる

狭小地は土地が小さい分、税金を計算する元となる固定資産税評価額も小さくなります。

固定資産税評価額が小さくなることで、毎年納める固定資産税や都市計画税、不動産購入時の不動産取得税や登録免許税が抑えられます。

都市部や駅近の物件を購入すると多くの税金を納めなければいけませんが、狭小地であればそのようなコストも抑えやすくなるでしょう。

また、同じエリアで同じ面積の土地がある場合、税金の計算上、不整形地の評価額の方が小さくなります。

ランニングコストを抑えられる

狭小地に住宅を建てると、固定資産税や都市計画税以外の費用も抑えられます。

具体的には、光熱費や交通費などです。

狭小地に建てる住宅は建物がコンパクトな分、冷暖房の効率が良くなります。また、アクセスの良い立地で生活できるため、車を持つ必要もありません。

このように、住んだあとの生活やコストを踏まえて考えてみましょう。

狭小地に家を建てるデメリット

狭小地にはメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 居住空間が狭くなる
  • 防音、防犯面で近隣への配慮が必要になる
  • 建築コストやメンテナンスコストがかかる傾向にある

それぞれについて解説します。

居住空間が狭くなる

狭小地に住宅を建てることで、必然的に居住スペースが狭くなってしまいます。

部屋と部屋の距離も近くなるため、家族同士のプライバシーにも配慮が必要になるでしょう。

小さな子どもがいる家庭は、将来のことも考慮して間取りを考える必要があります。

防音、防犯面で近隣への配慮が必要になる

狭小地は近隣住宅との距離が近い傾向にあるため、周囲からの視線や音が気になる可能性があります。

住宅を建てる際には、近隣住宅の窓の配置などを踏まえてプランを考えましょう。

何も考えずに住宅を建てると、窓を開けたときに隣の家の窓と向き合う形になってしまうことも考えられます。そうなるとプライバシーだけでなく、防犯面でも不安が生じてしまいます。

また、音に関しては近隣住宅から迷惑をかけられる立場だけでなく、反対に迷惑をかけてしまう立場になる可能性も否めません。 一戸建てとはいえ、夜間に大音量でテレビを見る、楽器を演奏するといった行動は避けるのが無難です。

建築コストやメンテナンスコストがかかる傾向にある

狭小地は、立地によっては多くの建築コストやメンテナンスコストがかかる恐れがあります。

狭小地は特性上、前面道路の幅員が4mに満たないほど狭いこともあります。このような場合、重機が入れないので、人の手で作業しなければいけません。多くの人手が必要になることに加え、工期も長くなるため、その分の人件費がかかってしまいます。

また、隣家との距離が近く、足場を作りにくい場合もあります。

その場合、建築時や外壁塗装、屋根の修繕などで、通常よりも費用がかかると考えましょう。

狭小地に建築する際の注意点

狭小地のメリット、デメリットを踏まえて、狭小地の購入を進める際には、以下の注意点を押さえておきましょう。

  • 生活動線を意識して間取りを決める
  • 理想の建物、間取りを実現できない可能性がある

それぞれについて解説します。

生活動線を意識して間取りを決める

狭小地の住宅は、面積を確保するために3階建てにするケースが一般的です。

しかし、3階建てにすると階段の上り下りが多くなるため、移動に負担がかかります。極力上下の移動を少なくするための工夫をしましょう。

例えば、洗面所やトイレなど、1日に何回も使用する場所をリビングから遠いところに設置すると移動が面倒になってしまいます。リビングと水まわりを同じフロアにすることで、移動の負担を減らせるでしょう。

また、小さな子どものいる家庭では、子どもが成長したあとのコミュニケーションなどを考慮して子ども部屋を設置する必要があります。

家族のコミュニケーションを重視したい家庭では、子ども部屋に行くために必ずリビングを通るような間取りにするのも1つの方法です。

理想の建物、間取りを実現できない可能性がある

建物を建てる際には、建築基準法の要件を満たす必要があるため、理想の建物、間取りを実現できない可能性があります。

狭小地でとくに注意しなければならないのは、道路斜線制限北側斜線制限です。

  • 道路斜線制限:道路の日照、採光、通風を確保するための規制
  • 北側斜線制限:北側にある土地の日照、採光、通風を確保するための規制

これらの制限によって建物の高さや角度が制限されてしまいます。とくに前面道路の幅員が狭い場合は、制限が厳しくなるため注意しましょう。立地によっては3階建てにできない可能性もあります。

土地を購入する前にハウスメーカーでプランを作成し、どのような住宅が建てられるかを明確にしましょう。

動線や間取りなど、建築後の生活を意識して狭小地を検討しよう

本記事では狭小地のメリット、デメリットや建築時の注意点を解説しました。

狭小地に明確な定義はありませんが、一般的に15〜20坪以下の小さな土地を指します。

狭小地は居住スペースが狭くなる、間取りの制限を受けるといったデメリットがある一方で、限られた予算で立地のいい場所に住める、税金を含めたランニングコストを抑えられるといったメリットもあります。

住宅購入は人生における大きな決断となるため、動線や間取りなど、実際の生活を意識して狭小地を検討しましょう。

この記事のポイント

狭小地のメリットは?

狭小地のメリットは以下のとおりです。

  • 限られた予算で立地のいい場所に住める
  • 税金を抑えられる
  • ランニングコストを抑えられる

詳しくは「狭小地に家を建てるメリット」をご覧ください。

狭小地で気をつけることはある?

狭小地を購入する際には、以下の点に気をつけましょう。

  • 生活動線を意識して間取りを決める
  • 理想の建物、間取りを実現できない可能性がある

詳しくは「狭小地に建築する際の注意点」をご覧ください。

この記事の監修

岡﨑 渉
資格情報: 宅地建物取引士

国立大学卒業後新卒で大手不動産仲介会社に入社。約3年間勤務した後に独立。現在はフリーランスのWebライター・Webディレクターとして活動。不動産営業時代は、実需・投資用の幅広い物件を扱っていた経験から、Webライターとしては主に不動産・投資系の記事を扱う。さまざまなメディアにて多数の執筆実績あり。

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