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不動産を売却した年の固定資産税は誰が払う?「精算金」ってなに?

この記事の監修

植村拓真
公認会計士/税理士 植村会計事務所・代表

植村会計事務所代表税理士・公認会計士。大手監査法人勤務時に鉄道系不動産会社の会計監査を経験。
監査法人独立後も不動産会社の予算管理や事業計画の策定に携わる他、不動産投資家向けの税務顧問、節税アドバイス、申告代行業務なども担当。
高い効率性・正確性を追求すべく、ITツールを駆使した税理士業務の運営を行う傍ら、各種セミナーや執筆協力なども行なっている。

ざっくり要約!

  • 不動産を売却した年も納税義務は1月1日時点の所有者にあるものの、税額を日割計算して精算するのが一般的
  • 固定資産税額は納税通知書で確認できるが、買主は閲覧できないため実勢価格などから推測しよう

固定資産税は、土地や建物を所有している人に納税義務がある税金です。不動産の売却によって所有権が買主に移れば、納税義務も移行します。しかし、固定資産税の納税通知書が届くのは1年に1度であり、買主に納税通知書が届くのは売買の翌年からです。不動産を売却したら、固定資産税は売主、買主どちらが払うのでしょうか?

本記事では、不動産を売却した年の固定資産税について解説します。

固定資産税は「1月1日時点」の所有者に納税義務がある

固定資産税は、1月1日時点で土地や戸建て、マンションなどを所有している人に納税義務がある地方税です。たとえば、6月1日に売買によって所有権が買主に移行しても、その年の1月1日時点の所有者は売主にあるため、納税するのは売主となります。

売買時は買主から売主に「精算金」を支払うのが一般的

固定資産税は1月1日時点の所有者に納税義務があるとはいえ、たとえば7月1日に所有権が買主に移行した場合も、残り半年間の固定資産税を売主が負担するのは公平とはいえません。

そのため不動産売買では、売買した日に応じて日割り計算し、買主から売主に対して固定資産税精算金を支払うのが一般的です。

地域や不動産会社によって異なる「起算日」に注意

固定資産税の精算における起算日は、1月1日とは限りません。関東では1月1日を起算日とするケースが多いようですが、関西では多くの場合、4月1日が起算日。起算日によって精算金も変わってくるため、あらかじめ不動産会社に確認しておきましょう。

どちらがいくら払う?固定資産税精算金の計算シミュレーション

例えば、2023年7月1日に所有権が移行したとすれば、売主が負担するのは1月から6月までの181日分、買主が負担するのは7月から12月までの184日分となります。税額が10万円だとすれば、買主は「10万円×184/365=5万410円」を売主に精算金として支払います。

ただし、これは1月1日を起算日とする場合です。4月1日を起算日とする場合、売主が負担するのは4月から6月までの91日分、買主が負担するのは7月から3月までの274日分となります。税額が10万円だとすれば、買主は「10万円×274/365=7万5,060円」を売主に精算金として支払います。

固定資産税額の調べ方

固定資産税額がわからなければ、精算金を計算することはできません。売主は、納税通知書や評価額から税額を知ることができますが、納税義務があるのは1月1日時点の所有者。売主に聞かない限り、買主が税額を知ることはできません。しかし、固定資産税額の目安なら、購入検討時にも知ることができます。購入の相談をしている不動産会社に確認してみましょう。

固定資産税納税通知書を確認

毎年1月1日時点に土地や建物を所有している人には、4〜5月頃に各自治体から固定資産税納税通知書が送付されます。通知書には、固定資産税評価額や納付額、支払い期限などが記載されています。

固定資産税評価額から計算

固定資産税納税通知書が手元にない場合は、市区町村の役所や東京23区の都税事務所で固定資産課税台帳を閲覧したり固定資産税評価証明書を取得したりして、固定資産税評価額を確認しましょう。

税額は、次の計算式で求められます。

固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額)× 税率

税率は「1.4%」とされていることが多い傾向にありますが、自治体ごとに適用税率が異なる場合があるので注意しましょう。なお、新築住宅や住宅が建つ土地などは、下記のような減税措置を受けられます。

減税措置名減税対象減税割合減税期間
新築住宅の軽減措置建物2分の1戸建ては3年間
マンションは5年間
住宅用地の特例土地6分の1〜3分の1基本的に建物を解体するまで
リフォーム減税建物3分の1〜3分の21年間
マンション長寿命化促進税制建物6分の1〜2分の1令和7年3月31日まで

実勢価格や再建築価格から目安を計算

固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書は、売主やその家族しか見ることができないものです。これから購入する不動産や購入した不動産の固定資産税額を知りたい場合は、実勢価格や再建築価格から目安を計算しましょう。

土地は、実勢価格を1.1〜1.2で割りおおよその公示価格を算出し、その70%程度を目安に評価されます。よって、次の計算式で固定資産税評価額が推測できます。

固定資産税評価額 = 実勢価格 ÷ 1.2 × 70%

一方、建物の固定資産税評価額は、再建築価格と経年減点補正率によって算定されます。新築時には、家屋の建築費の50〜70%程度が固定資産税評価額の目安となり、その後は経過年数に応じた経年減価補正率を乗じて固定資産税評価額の目安を推測しましょう。経過年数ごとの経年減価補正率の詳細は、法務省のサイトで確認できます。

不動産売却時には買主が売主に固定資産税精算金を支払うのが一般的

不動産を売却した年も、建物や土地を1月1日時点で所有している人に納税義務があることは変わりません。しかし、それでは公平性に欠けるため、所有権が移行した日を起点に日割計算し、買主から売主に固定資産税精算金を支払うのが慣例となっています。ただし、精算時の起算日は、エリアや不動産会社によって異なるためご注意ください。

この記事のポイント

不動産売却時の固定資産税精算金ってなに?

売買した日に応じて固定資産税を日割り計算し、買主から売主に支払われる金銭です。

詳しくは「固定資産税は「1月1日時点」の所有者に納税義務がある」をご覧ください。

固定資産税精算金はいくらになる?

7月1日に所有権が移行したとすれば、売主が負担するのは1月から6月の181日分、買主が負担するのは184日分です。ただし、これは起算日が1月1日の場合です。

詳しくは「どちらがいくら払う?固定資産税精算金の計算シミュレーション」をご覧ください。

固定資産税額はどうやって調べるの?

売主は、4〜5月頃に各自治体から送付される固定資産税通知書で確認できます。買主は、実勢価格などから目安を計算してみましょう。

詳しくは「固定資産税額の調べ方」をご覧ください。

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