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不動産売買の手付金とは?相場や役割、支払い方法を解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • 不動産売買の手付金には「証拠手付」「解約手付」「違約手付」という3つの役割がある
  • 手付金の相場は売買代金の10%ほどだが、売主によっては法律で上限が定められている

不動産売買では、買主から売主に「手付金」が支払われるのが一般的です。この手付金は売買代金に充当される金銭ですが、それ以外にも重要な役割があります。

本記事では、不動産売買における手付金の相場や役割、支払い方法について解説します。

不動産売買における手付金の3つの役割

手付金とは、不動産の売買契約時に買主から売主に対して支払われる金銭です。原則的に、手付金は現金で支払われます。その理由は、次のように手付金には3つの役割があり、着金が遅れることなく確実に買主から売主に支払われるべき費用だからです。

1.証拠手付

手付金の役割の1つは、不動産売買が成立した証拠です。不動産の売買契約では、契約日とは別に物件引き渡し日を設けるのが一般的です。この間にも契約が成立したことを明確に示すため、買主から売主に手付金を支払います。

2.解約手付

売買契約後も契約の相手が履行に着手するまで、買主は手付金の放棄で、売主は手付金の倍額の償還によって任意に契約を解除できます。つまり、手付金は解約金の役割も持つということです。

3.違約手付

債務不履行が発生したときには、買主は手付金が没収され、売主は手付金の倍額を償還します。解約手付と同様にも見えますが、違約手付は任意ではない点が解約手付と異なります。多くの売買契約で、手付金にはこの「違約手付」の意味をもたせています。

申込金や契約金との違い

手付金の3つの役割のうち「解約手付」は、民法で規定されている手付金の役割です。「申込金」には法律の規定はなく、あくまで申し込みの証拠や優先交渉権を得るために分譲会社やハウスメーカーと買主との同意のもと支払われる金銭です。

一方「契約金」は、手付金と同義の意味として使われることが多い用語です。

不動産売買契約の手付金の相場

不動産売買契約の手付金は、売買代金の1割ほどが相場です。とはいえ、売主と買主の間で合意さえすれば、売買代金の5%ほどであっても問題ありません。ただし、金額や売主の属性によっては、手付金額が法律に違反する可能性がありますのでご注意ください。

売主が宅地建物取引業者の場合

売主が宅地建物取引業者の場合、売買契約の手付金は「売買代金の20%を超えてはならない」と宅地建物取引業法で定められています。たとえば、買主が売主に対し、売買代金の30%を売買契約時に支払った場合、20%を超える部分は前金として扱われます。

個人間売買の場合

個人間売買においては、手付金の上限額が定められていません。しかし、高すぎれば買主が手付金を準備することが難しくなり、安すぎれば解約時や違約が発生した場合、簡単に契約解除されてしまうおそれがあります。よって、売主と買主が話し合い、売買契約の拘束力を保ちながらも、万一のときには双方が現実的に解除できる手付金額を設定する必要があります。

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手付金授受のタイミングと支払い方法

原則的に、手付金は売買契約時に現金で支払われます。その理由は、先のように手付金には「証拠手付」「解約手付」「違約手付」といった3つの役割があり、売買契約が成立した証として着金が遅れることなく確実に買主から売主に支払われるべき費用だからです。

しかし「契約日に手付金を持参したくない」「自宅で紙幣を保管したくない」という買主の意向があれば、契約に先立って手付金が振り込まれるケースもあります。ただ、この場合、振り込まれた費用はあくまで「預かり金」であり、手付金としての効力が生じるのは契約後です。

売主側から契約解除するときの手付金の扱い

売主は、買主が履行に着手するまでは、任意に契約を解除することが可能です。しかし、手付金には「解約手付」といった役割があるため、売主の都合によって契約が解除された場合は、買主に対し、手付金の2倍額を返還しなければなりません。これは、民法第557条第1項に規定されています。

「契約の相手が履行に着手するまで」というのは、客観的に外部から認識できるような形で契約の履行行為の一部をなしたこととされています。過去の判例によれば、買主の履行の着手とは「売買代金の準備をして何度も売主に契約の履行を催促」や「残代金決済のため融資の承認を受け待機している」などの行為や状況が挙げられます。

ただし「履行に着手」は非常に曖昧な表現であるため、売買契約書には解除期日を明記するのが一般的です。

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買主が手付金を放棄しなければならないケースは?

買主もまた、売主が履行に着手するまでなら任意に契約を解除できます。しかし、買主の都合で契約を解除する際には、手付金を放棄しなければなりません。

売主の履行の着手は、過去の判例によれば「引き渡しのためのローン完済」「決済日に所有権移転登記の準備して現地に赴いた」などの行為や状況が挙げられます。ただ、先の通り、売買契約書には解除期日を明記するのが一般的なため、この期日を超えての契約解除は違約にあたります。

手付金の役割や支払い方法をしっかり理解しておこう

不動産売買の手付金は、高すぎても安すぎてもいけません。売主が宅建業者の場合は、手付金が売買代金の20%を超えてはならないと定められているため、こちらもご注意ください。手付金には解約金、違約金としての役割もあるため、不動産会社の仲介のもと売主、買主で相談し、適切な金額を設定しましょう。

この記事のポイント

不動産売買における手付金の役割は?

「証拠手付」「解約手付」「違約手付」という3つの役割があります。

詳しくは「不動産売買における手付金の3つの役割」をご覧ください。

手付金の相場はどれくらい?

売買代金の1割ほどが相場です。ただし、売主が宅建業者の場合は手付金が売買代金の20%を超えてはならないと定められています。

詳しくは「不動産売買契約の手付金の相場」をご覧ください。

契約を解除したときの手付金の扱いは?

売買契約後も契約の相手が履行に着手するまで、買主は手付金の放棄で、売主は手付金の倍額の償還によって任意に契約を解除できます。履行の着手後は違約手付の扱いとなります。

詳しくは「売主側から契約解除するときの手付金の扱い」「買主が手付金を放棄しなければならないケースは?」をご覧ください。

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