築30年 マンション
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築30年のマンションには何年住める?購入するときに見ておきたいポイントとは

執筆者プロフィール

悠木まちゃ
宅地建物取引士

ライター・編集者。ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの営業・設計を経験。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集まで行う。ブックライターとしても活動するほか、ライター向けオンラインサロンの講師も担当している。

ざっくり要約!

  • 法定耐用年数と実際の寿命は異なり、築30年のマンションは十分に住める
  • 築30年のマンションを選ぶときには、大規模修繕の実施状況や修繕積立金額を確認しよう

中古マンションの購入を検討する際、築30年のマンションにあと何年住めるか悩む方は多いかもしれません。しかし実際には、適切なメンテナンスが施されていれば、まだ十分に住めます。

この記事ではマンションの寿命のほか、築30年のマンションを購入するメリットやチェックポイントを解説します。

築30年のマンションはまだ十分住める

鉄筋コンクリート造の建物の寿命は100年以上ともいわれており、築30年のマンションは十分に住めます。

中古マンションの平均築年数は上がっている

国土交通省によると、マンションの平均築年数は上がっており、2026年末時点では築30年超が161.9万戸、築40年超が109.3万戸、築50年超が60.4万戸となる見込みです。

築30年超は2031年末に176.3万戸、2041年末には163.0万戸にまで達するほど急増すると推測されています。

高経年マンションストックの増加

高経年マンションストックの増加

※ 現在の築50年以上の分譲マンション戸数は、国土交通省が把握している築50年以上の公団・公社住宅の戸数を基に推計。
※ 5、10、20年後に築30、40、50年以上となる分譲マンション戸数は、建築着工統計及び国土交通省が把握している除却戸数等を基に推計した2021年末時点の分譲マンションストック戸数を基に推計。
(出典:国土交通省 今後のマンション政策のあり方に関する検討会 第1回 資料-3 マンションを取り巻く現状について

マンションの耐用年数

国税庁から定められている建物の耐用年数を法定耐用年数といい、鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションの場合は47年となっています。

法定耐用年数とは、固定資産の減価償却を計算する際に用いる年数で、建物の用途や構造別に定められています。ただし、あくまで税制上の数値であり、実際の建物の寿命ではありません。

マンションの寿命はどれくらい?

マンションの法定耐用年数は47年ですが、先述した通り、実際に建物を使える期間と耐用年数は異なります。

国土交通省の「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書によると、建物を使用した年数や摩耗度調査の結果から、鉄筋コンクリート造の建物の寿命は117年と推定されています。

そのため、耐用年数を超えていても、マンションに住み続けることは十分に可能です。ただし、建物の管理やメンテナンス状態によって、実際の寿命は変わります。

築30年のマンションを購入するメリット

築30年のマンションは、築浅と比べると見劣りしてしまうものですが、その一方で多くのメリットもあります。

築浅と比べて安い

マンションは新築時から築10年程まで価格が下がりやすく、その後もゆるやかに下落していきます。

築30年のマンションは築浅と比べて大幅に安くなるため、住居の費用を抑えたい人にとっては大きなメリットです。

リノベーションにお金をかけやすい

マンションの購入費用が安く済むので、リノベーションに予算を回しやすくなります。金銭的にメリットがあるだけではなく、自身の好きな内装を施せるというのも魅力のひとつとなります。

構造躯体に関わる部分は変えられませんが、壁紙やフローリングの素材などを新しくするだけでも、築30年とは思えないような雰囲気になるでしょう。

購入後の価値下落率が低い

マンションの価格は最初の10年が下がりやすく、その後は下落幅が小さくなる傾向があります。

そのため築30年のマンションは、購入後に価格が下がる可能性が低い点がメリットです。将来的にマンションを売る場合に、購入時の価格と売却価格の差を小さく抑えられます。

新耐震基準で建てられている

耐震基準とは、建物が地震に耐えられるよう、建築基準法で定められている基準です。1981年に大きな改正があり、改正前を旧耐震基準、改正後を新耐震基準と呼んでいます。

2023年時点で築30年のマンションは、1993年に建築されているため、新耐震基準を満たしています。新耐震基準では震度6強~7程度を想定しているため、耐震性を気にする方も安心できるでしょう。

立地が良い物件が多い

築30年のマンションには、好立地の物件が豊富にあります。マンション建設地の候補となるのは好立地の土地であり、通常は条件の良い場所から順に建設されていくためです。

必然的に、新しく建設されるマンションよりも、中古マンションの方が好立地の物件が多くなります。築年数よりも立地を重視する方には、築30年の物件のメリットは大きいといえます。

築30年のマンションを選ぶときに見ておきたいポイント

築30年 マンション ポイント

さまざまなメリットがある築30年のマンションですが、その中でも良い物件を選ぶためには、見ておきたいポイントがあります。

管理状況

マンションの共用部分は、戸建てと異なり住民がメンテナンスを行わないので、管理状況は重要なポイントです。

実際に現地を見て、共用部分の清掃状況や、私物が放置されていないかなどの管理状況を確認しましょう。エントランスや廊下だけでなく、ゴミ捨て場や駐輪場も見ておきます。

管理が行き届いている物件は、管理組合の運営が適切にされていると考えられます。

大規模修繕実施状況

適切な修繕がされているか否かは、マンションの寿命に大きく影響します。その中でも外壁塗装やひび割れの補修といった大規模修繕は特に重要です。

国土交通省のガイドラインでは、こうした大規模修繕について12~15年の周期で行うのが望ましいとされています。しかし、この修繕周期には法的義務がないため、実施状況はマンションにより異なります。

修繕履歴を確認できる場合もあるので、不動産会社に依頼してみましょう。

建て替え予定

建て替えには多額の費用がかかるため、今後の建て替え予定の有無を事前に確認しておきましょう。実際にはまだ住める状態であっても、住民の要望によって建て替えが検討される場合もあります。

建て替えについて議論されている場合は、管理組合に議事録が保存されています。内容を開示してもらえるよう、不動産会社に相談してみてください。

修繕積立金額

修繕積立金額は、修繕が計画通りに実施されるか否かを確認するためのひとつの目安となります。資金が不足していると、十分な修繕がされない場合もあるためです。

国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果によると、修繕積立金の平均額は約1万2,300円、単棟型では約1万1,900円、団地型で約1万4,100円となっています。

支払う立場としては修繕積立金が安いほうが良いですが、相場より低すぎる金額は問題がある可能性も否定できません。

リノベーションの制限

築30年のマンションは、リノベーションを前提として購入することが多いため、工事のしやすさは重要なポイントです。

たとえば間仕切り壁の中には、構造の一部となる壁もあれば、単純に部屋を仕切る役割だけの壁もあります。構造躯体である壁は取り除けないため、間取り変更を伴うリノベーションは制限されることとなります。

マンションの構造や間取り変更の可否について、購入前に不動産会社へ確認しておきましょう。

資産価値が維持できるか

将来的にマンションを売却する際、資産価値があれば、価格をあまり下げずに売ることも可能です。

建物は古くなると価値が下がってしまいますが、土地の価値は年数が経っても下がりません。そのため資産価値を維持できるかどうかは、立地が重要なポイントとなります。

駅から徒歩数分の場所や、再開発が行われているエリアなどは、年数が経っても価値を維持しやすいと考えられます。

まとめ

鉄筋コンクリート造の建物の寿命は100年以上ともいわれており、築30年のマンションは十分に住めます。価格が安いためリノベーションにお金をかけやすいだけではなく、購入後の価値の下落が少ない点も魅力です。

さらに好立地の物件が多いので、資産価値も維持しやすいと考えられます。

物件選びの際には、大規模修繕の実施状況や修繕積立金額について、不動産会社に確認しましょう。

この記事のポイント

築30年のマンションにはまだ住める?

鉄筋コンクリート造の建物の寿命は100年以上ともいわれており、築30年のマンションは十分に住めます。実際の寿命は建物のメンテナンスや修繕状況により異なります。

詳しくは「築30年のマンションはまだ十分住める」をご覧ください。

築30年のマンションを購入するメリットは?

購入価格が安いので、リノベーションにお金をかけやすくなります。さらに好立地の物件が多いことや、価値の下落率が低いこともメリットです。

詳しくは「築30年のマンションを購入するメリット」をご覧ください。

築30年のマンションを選ぶときには、何を見ればいい?

建物の管理や大規模修繕の実施状況は、マンションの寿命を左右するため、確認しましょう。そのほか、リノベーションの制限や、資産価値の維持のしやすさなども見ておきます。

詳しくは「築30年のマンションを選ぶときに見ておきたいポイント」をご覧ください。

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