年収400万 住宅ローン
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年収400万円の適切な住宅ローン借入額はいくら?無理なく返済できる借入額を紹介

執筆者プロフィール

東本隼之
ファイナンシャルプランナー、マネーライター

独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

ざっくり要約!

  • 年収400万円の人の適切な住宅ローン借入額は2500〜3200万円程度が目安だと考えられます。
  • 住宅ローン借入額の決定にはライフプランシミュレーションが欠かせません。

住宅ローンの借入額には、金融機関から借りられる上限額の「借入限度額」と、無理なく返済できる「返済可能額」があります。返済可能額を大幅に超える金額で住宅ローン契約をすると返済が苦しくなってしまう可能性があるので注意が必要です。

年収400万円の人が無理なく返済できる借入額の目安は、2500〜3000万円程度と考えられます。本記事では、その根拠と年収400万円の人が無理なく返済できる借入額の決め方を詳しく紹介します。住宅ローンを借りるときの注意点も紹介しているので、住宅購入を検討している人も、ぜひ参考にしてください。

年収400万円の借入限度額は?

住宅ローンの借入限度額は、以下の要素から判断されることになります。

  • 商品ごとの上限額
  • 個人の上限額

住宅ローンの商品なかには、個人の年収や状況にかかわらず借入限度額が設定されている場合があります。住宅金融支援機構が提供しているフラット35では、借入額を100万円以上8000万円以下に設定しており、年収が高くても限度額以上の借り入れはできません。

また、住宅ローンの借入限度額の範囲内で自由に借り入れができるわけではなく、個人の年収に応じた上限額を設けている金融機関もあります。フラット35では、年収400万円を基準に以下のように設定されています。

年収400万円未満400万円以上
返済負担率30%以下35%以下
引用:住宅金融支援機構 【フラット35】ご利用条件

返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合を表したもので「年間返済額 ÷ 年収 × 100」で算出します。返済負担率は、年収比率や返済比率とも呼ばれています。

ここでは、年収400万円の人が年収比率35%・30%で借り入れした際の限度額を、以下の条件でシミュレーションしていきましょう。

条件
適用金利:1.5%
返済期間:35年
返済方法:元利均等返済

年収比率35%の場合

年収400万円の人が年収比率35%で借り入れしたときの限度額は「約3810万円」となります。

なお、年収比率で計算される借入限度額は、金融機関から借りられる上限金額であり、必ずしも融資が受けられるわけではありません。住宅ローン審査では年収だけでなく、雇用形態や年齢、健康状態といった要素から総合的に判断されることになります。

年収比率30%の場合

年収400万円の人が年収比率30%で借り入れをした場合は「約3266万円」が限度額となります。

年収比率は、住宅ローンを提供している金融機関によって異なるので、申し込み前に確認しておくことが大切です。年収比率が高い住宅ローンを選べば、より多くの資金を準備できますが、返済の負担も大きくなることを認識しておきましょう。

年収400万円の人が無理なく返せる借入額は?

年収400万 返せる借入額

住宅ローンを契約している人のなかには、返済ができなくなってしまう人が一定数います。

住宅金融支援支援機構が公表したデータによると、債権合計額に占める破綻先債権と延滞債権、3ヶ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権の割合が「3.17%」に上っており、住宅ローンを契約している100のうち3〜4人が返済に困っていることがわかります。

住宅ローン返済が滞ることがないように、無理なく返せる借入額を知ることが大切です。ここでは、年収400万円の人が無理なく返済できる借入金額の目安を紹介します。

「借入限度額」と「返済可能額」は異なる

金融機関から借りられる上限額である「借入限度額」は、無理なく返済できる「返済可能額」とは異なります。

返済可能額を無視して借入限度額で融資を受けた場合は、月々の返済額が大きくなることで住宅ローン返済が滞ってしまう可能性があります。返済が滞ると、ローン残高の一括返済を求められたり、住宅が競売にかけられたりすることになるので、返済できない金額を借りないようにしましょう。

年収倍率はどれくらいが適正?

2022年度にフラット35で住宅ローン契約をした人の年収倍率は、以下の通りです。

種別年収倍率   
土地付注文住宅7.7倍
建売住宅6.9倍
注文住宅6.9倍
マンション7.2倍
中古戸建て5.7倍
中古マンション5.9倍
出典:住宅金融支援機構 2022年度 フラット35利用者調査

このデータを年収400万円にあてはめると、新築住宅(土地を除く)は「400万円×7倍=2800万円」、中古住宅が「400万円×6倍=2400万円」を目安に借入額を設定していることがわかります。なかには、年収倍率の8〜10倍を借入限度額に設定している金融機関があるので、借り入れをする前にどれほどの年収倍率になるのかを確認しておきましょう。

無理なく返済できる借入額の目安

無理なく返済できる借入額は、家族構成や収入額によって異なるので、年収比率を用いて計算するのが一般的です。理想的な年収比率は「25%」といわれており、この比率を下回る借入限度額を設定するのがおすすめです。

たとえば、年収400万円の人が年収比率25%で借り入れをする場合の限度額は「約2722万円」となります(適用金利1.5%、借入期間35年)。この金額を年収倍率にすると「約6.8倍」となり、フラット35で新築住宅を購入した人の倍率とほぼ同水準となります。

一方、借入金利が0.5%の場合の借入額は3200万円程度、2%となると2500万円程度になるため、金利次第ではありますが2500〜3200万円程度が年収400万円の人が無理なく返済できる金額だと考えられます。

【年収400万円の住宅ローンシミュレーション】返済期間・金利で異なる返済額

住宅ローンの返済額は、返済期間や金利によって大きく異なります。住宅ローンを無理なく返済するためにも、自分にあった返済期間や金利を選択することが大切です。

ここでは、年収400万円の人が年収比率25%で借り入れをした場合の総返済額を、返済期間・金利ごとに紹介します。

20年25年30年35年
0.5%約2000万円
(約97万円)
約2500万円
(約150万円)
約3000万円
(約215万円)
約3500万円
(約290万円)
1.0%約2000万円
(約188万円)
約2500万円
(約289万円)
約3000万円
(約409万円)
約3500万円
(約548万円)
1.5%約2000万円
(約273万円)
約2500万円
(約416万円)
約2999万円
(約585万円)
約3500万円
(約778万円)
※1万円未満は四捨五入
※()は利息額

月々の返済額は、年収比率で決まっているため、いずれの返済期間と金利を選択しても「約8.3万円」となります。借入限度額と総返済額は、返済期間を伸ばすほど大きくなるので、購入物件にあわせた計画を立てることが大切です。

【固定金利】返済期間20年の場合

まずは、返済期間20年の固定金利で住宅ローンを以下の条件で契約した場合の返済額をシミュレーションします。

条件
適用金利:1.5%
返済方法:元利均等返済

年収400万円の人が金利1.5%・年収比率25%で住宅ローンを組む際は「約1727万円」が限度額になります。この金額を借り入れた場合の月々の返済額は約8.3万円、総返済額が約2000万円となります。

【固定金利】返済期間35年の場合

次に、返済期間35年の固定金利で住宅ローンを以下の条件で契約した場合の返済額をシミュレーションします。

条件
適用金利:1.5%
返済方法:元利均等返済

年収400万円の人が金利1.5%・年収比率25%で住宅ローンを組む際の限度額は「約2722万円」です。この金額を借り入れた場合の月々の返済額は約8.3万円、総返済額が約3500万円となります。

月々の返済額は、年収比率で決まっているため変動することはありませんが、返済期間を伸ばすほど借入限度額と総返済額が大きくなります。

【変動金利】返済期間20年の場合

ここでは、返済期間20年の変動金利で住宅ローンを以下の条件で契約した場合の返済額をシミュレーションします。

条件
適用金利:0.5%
返済方法:元利均等返済

年収400万円の人が金利0.5%・年収比率25%で住宅ローンを組む際の限度額は「約1903万円」です。この金額を借り入れた場合の月々の返済額は約8.3万円、総返済額が約2000万円となります。

【変動金利】返済期間35年の場合

最後は、返済期間35年の固定金利で住宅ローンを以下の条件で契約した場合の返済額をシミュレーションします。

条件
適用金利:0.5%
返済方法:元利均等返済

年収400万円の人が金利0.5%・年収比率25%で住宅ローンを組む際の限度額は「約3210万円」です。この金額を借り入れた場合の月々の返済額は約8.3万円、総返済額が約3500万円となります。

適用金利が低くなる傾向がある変動金利では、月々の返済額を変えずに借入限度額を大きくできます。ただし、借入期間中に適用金利が上がってしまうと、返済の負担が増えてしまうので注意しましょう。

住宅ローン借りるときの注意点

住宅ローンを契約する際は、金利タイプのメリット・デメリットを押さえたうえでライフプランシミュレーションをすることが大切です。

ここでは、金利タイプの特徴や対策、借入額の決め方を紹介します。

金利タイプのメリット・デメリットを知る

住宅ローンの金利タイプには、以下の3種類があります。

金利タイプ特徴
全期間固定金利     借入期間中の金利が固定されている
固定金利選択型借り入れから一定期間の金利が固定されている
一定期間経過後に金利タイプを再び選択する
変動金利型借入期間中に金利が変動する

全期間固定金利は、借入期間中の金利が固定されるため、月々の返済額や総返済額が変動することがなく、返済計画が立てやすいメリットがあります。ただし、ほかの金利タイプより適用金利が高く設定されている傾向があるので、総返済額を確認したうえで選択することが大切です。

固定金利選択型は、子育てや転職などで家計が不安定になるタイミングに月々の返済額を一定にすることができます。一定期間が経過すると、金利タイプを再び選択しなければなりませんが、適用金利が下がれば総返済額を抑えることができます。ただし、適用金利が上がってしまうと返済計画が崩れてしまうので注意が必要です。

変動金利型は、適用金利が定期的に見直されるリスクがある一方で、ほかの金利タイプより適用金利が低く設定されている傾向があります。借入額が大きい住宅ローンでは、適用金利を下げることで総返済額を大幅に抑えることができます。

どの金利タイプが適しているのかは、ライフイベントや金利によって異なるので、それぞれのメリット・デメリットを押さえたうえで選択していきましょう。

変動金利で借り入れる場合はリスクに備える

前述したように変動金利型は、借入期間中に適用金利が見直されることで、月々の返済額が変動してしまうリスクがあります。当初の金利では問題なく返済できていたとしても、適用金利の見直しによって返済が滞ってしまうことも考えられるでしょう。

住宅ローン返済が滞ると、一括返済が求められたり、住宅からの立ち退きを要求されたりすることになります。

そのような状況にならないためにも、変動金利型を選択する際は余裕をもった返済計画を立てることが大切です。適用金利が低くなるからといって過剰な借り入れをしないようにしましょう。

ライフプランシミュレーションをしたうえで借入額を決める

住宅ローンの借入額を決める際は、ライフプランシミュレーションをすることが大切です。

返済期間が20〜35年と長くなる傾向にある住宅ローンは、借り入れ期間中に出産や転職、子どもの進学などのライフイベントが発生します。これらのライフイベントを想定していない状態で返済シミュレーションをすると、お金が必要なタイミングに手元現金が足りなくなったり、返済が滞ったりする可能性があります。

返済に困ることにならないためにも、住宅ローン返済中のライフプランを反映させた返済シミュレーションをしたうえで借入額を決めていきましょう。

まとめ

年収400万円の人が無理なく返済できる借入額は、金利にもよりますが2500〜3000万円程度が目安で、年収倍率でいえば約6〜7倍を借り入れている方が多いようです。なかには年収倍率の約8〜10倍となる「3200〜4000万円」を借入限度額に設定している金融機関もありますが「借り入れ可能な金額」ではなく、自身が「返済できる金額」で借り入れをしましょう。

また、住宅ローンの借入額を決める際は、これからのライフプランと照らし合わせながら返済シミュレーションすることが大切です。返済計画に不安がある場合は、金融機関や不動産会社に相談しながら借入額を決めていきましょう。

この記事のポイント

年収400万円の人は住宅ローンいくら借りられる?

金融機関や住宅ローン商品によって異なります。借入限度額が「年間返済額÷ 年収 × 100」で計算される返済負担率によって決められている場合もあります。

適用金利1.5%、借入期間35年の条件で、年収400万円の人が年収比率30%で借り入れをした場合は「約3266万円」が限度額となります。

詳しくは「年収400万円の借入限度額は?」をご覧ください。

年収400万円の人が無理なく返済できる借入額の目安は?

住宅ローンの年収比率は「25%」が理想的とされ、この比率を下回る借入額に設定するのがおすすめです。

金利次第ではありますが、2500〜3200万円程度が年収400万円の人が無理なく返済できる金額だと考えられます。

詳しくは「年収400万円の人が無理なく返せる借入額は?」をご覧ください。

住宅ローン借りるときの注意点は?

住宅ローンを契約する際は、金利タイプのメリット・デメリットを押さえたうえでライフプランシミュレーションをすることが大切です。

詳しくは、「住宅ローン借りるときの注意点」をご覧ください。

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