年収800万 住宅ローン
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年収800万円の適正な住宅ローン借入額はいくら?頭金の目安と返済シミュレーションも紹介

執筆者プロフィール

東本隼之
ファイナンシャルプランナー、マネーライター

独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。

ざっくり要約!

  • 年収800万円の人の適正な住宅ローン借入額は5000〜6400万円程度が目安です。
  • 住宅ローン返済額の決定には、返済期間中のライフプランを想定した返済シミュレーションが大切です。

住宅ローン借入額は、金融機関が定めている「借入限度額」ではなく、無理なく返済できる「返済可能額」をもとに設定することが大切です。年収に対する理想的な住宅ローンの返済額は「25%」前後といわれていることから、年収800万円の人が無理なく返済できる借入額は5000〜6400万円程度と考えられます。

本記事では、年収800万円の人が住宅ローンを組む際の適正額を紹介します。無理なく返済できる住宅ローンの組み方も紹介しているので、住宅購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

年収800万円の人はいくらまで住宅ローンを借りられる?

住宅ローンの借入金額は、商品ごとの借入限度額と、金融機関が定めている年収比率によって算出される金額の低い方が上限額となるのが一般的です。年収比率とは、年収に占める年間返済額の割合を示した数値をいい「年間返済額 ÷ 年収 × 100」で算出され、返済負担率や年収比率と呼ばれることもあります。

住宅金融支援機構が提供しているフラット35では、年収比率を以下の数値に設定しています。

年収400万円未満400万円以上
返済負担率30%以下35%以下
引用:住宅金融支援機構 【フラット35】ご利用条件

住宅ローン商品の限度額と年収比率がどのように決められているのかを詳しく見ていきましょう。

商品ごとの借入限度額以下

住宅ローン商品には「借入限度額」を設けている商品があります。借入限度額を設定している商品では、年収が高く、年収比率が低くなったとしても、借入限度額を超えた融資が受けられないので、限度額以上の融資を希望する際は金融機関を変更する必要があります。

フラット35の借入限度額は、100万円以上8000万円以下に設定されており、8000万円以上の借り入れを受けることはできません。なかには、限度額を2億円以下としている金融機関もありますが、返済できる金額であるかを確認したうえで借りることが大切です。

年収比率35%の場合

年収800万円の人が年収比率35%で借り入れをする際の限度額は「7621万円」です(適用金利1.5%、借入期間35年)。

なお、年収比率と借入限度額は、あくまでも金融機関が融資できる上限額であるため、住宅ローン審査によって借入額が小さくなってしまう場合があります。住宅ローン審査では年収だけでなく、雇用形態や勤続年数、年齢などの要素から総合的に判断されることになります。

住宅ローンの審査内容は、金融機関によって異なるケースがあるので、複数の金融機関に審査申し込みをしておくとよいでしょう。

年収比率30%の場合

年収800万円の人が年収比率30%で借り入れをする際の限度額は「約6532万円」です(適用金利1.5%、借入期間35年)。

年収比率による借入額は、適用金利によって大きく変動することになります。たとえば、先ほどと同条件で、適用金利が1%になった場合の借入限度額は「約7085万円」となります。適用金利も住宅ローン審査によって決定されることになるので、自身の借入限度額を確認したい場合は、住宅ローンの審査を受けてみましょう。

年収800万円の人の借入額と頭金の適正金額は?

住宅購入では、金融機関からの借入金と、自己資金や贈与資金などの頭金で購入します。年収800万円の人が無理なく返済するためには、自分にあった借入額と頭金に設定することが大切です。

ここでは、それぞれの適正額を詳しく紹介します。

借入額の平均

2022年度にフラット35で住宅ローン契約をした人の借入金額は、以下の通りです。

種別借入金額   
土地付注文住宅4018万円
建売住宅3185万円
注文住宅2967万円
マンション3692万円
中古マンション2509万円
中古戸建て2292万円
出典:住宅金融支援機構 2022年度 フラット35利用者調査

これらの数値を平均すると「約3111万円」となります。フラット35利用者調査(2022年度)では、年収800万円以外の世帯も含まれていますが、住宅ローン利用者の多くが3000万円程度の借り入れをしていることがわかります。

頭金

頭金とは、住宅購入価格から住宅ローン借入額を差し引いた金額のことをいい、預貯金や親族からの贈与資金を充てるのが一般的です。フラット35を2022年度に利用した人の頭金の割合は、以下の通りです。

種別頭金の割合  
土地付注文住宅9.6%
建売住宅8.5%
注文住宅17.37%
マンション20.4%
中古マンション16.8%
中古戸建10.1%
出典:住宅金融支援機構 2022年度フラット35利用者調査

このデータから、住宅購入における頭金の割合が10〜20%を目安となることがわかります。フラット35利用者調査(2022年度)の住宅購入における所要資金に当てはめると、マンションが約989万円(所要資金4848万円)、注文住宅が約643万円(所要資金3717万円)となります。

なかには、頭金なしで住宅ローン契約ができる金融機関もありますが、月々の返済額が大きくなってしまう可能性があるため注意しましょう。

自分が無理なく返済できる金額を借り入れることが大切

住宅ローン契約をする際は、無理なく返済できる「借入可能額」で借り入れることが大切です。

返済可能額は、収入額や世帯状況によって異なるので、年収比率を用いて判断されるのが一般的です。理想的な年収比率は「25%」といわれており、これを下回る借入額が無理なく返済できる金額とされています。

年収800万円の人が年収比率25%、金利1.5%、返済期間35年で借り入れしたときの借入限度額は「約5443万円」となります。一方、借入金利が0.5%の場合の借入額は6400万円程度、2%となると5000万円程度になるため、金利次第ではありますが5000〜6400万円程度が年収800万円の人が無理なく返済できる金額だと考えられます。

年収800万円の人が4000万円・5000万円・6000万円借り入れた場合の返済シミュレーション

住宅ローンの返済額は、借入額や金利によって異なるため、契約前に返済シミュレーションをすることが大切です。

ここでは、借入期間35年の元利均等方式で、借入額を4000万円・5000万円・6000万円に設定した場合の返済シミュレーションを紹介します。

4000万円

次は、4000万円の借り入れをした際の返済シミュレーションを紹介します。

金利   月々の返済額総返済額
0.5%103,834円43,610,126円
1%112,914円47,423,753円
1.5%122,473円51,438,816円

年収800万円の人が表内の金利で4000万円を借り入れた場合の年収比率は「15〜18.5%」となります。理想的な年収比率の25%を下回っていることから、無理なく返済できる金額といえるでしょう。

5000万円

次は、5000万円の借り入れをした際の返済シミュレーションを見ていきましょう。

金利   月々の返済額総返済額
0.5%129,792円54,512,740円
1%141,142円59,279,814円
1.5%153,092円64,298,491円

年収800万円の人が表内の金利で5000万円を借り入れた場合の年収比率は「19.5〜23%」です。借入金額を4000万円に設定したときと同様に年収比率が25%を下回っていますが、適用金利が見直されたタイミングに返済が苦しくなってしまう場合があります。

6000万円

最後は、6000万円の借り入れをした際の返済シミュレーションを見ていきましょう。

金利   月々の返済額総返済額
0.5%155,751円65,415,305円
1%169,371円71,135,774円
1.5%183,710円77,158,299円

年収800万円が表内の金利で6000万円を借り入れた場合の年収比率は「23.5〜27.5%」となります。適用金利が0.5%未満であれば、返済が滞ってしまうリスクが低くなりますが、適用金利の見直しがあった場合には注意が必要です。

住宅ローンの返済を滞らせないためにも、頭金を準備したり借入額を減らしたりするなどの対策をしておきましょう。

年収800万円の人が無理なく住宅ローンを組むには?

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年収800万円の人が無理なく住宅ローンを組むには、頭金を多く入れたりライフプランシミュレーションをしたりすることが大切です。

ここでは、年収800万円の人が住宅ローンを組む前に押さえておきたいポイントを紹介します。

頭金を多く入れる

借入額が大きくなりやすい住宅ローンは、多くの利息を支払うこととなります。

利息額は、借入額と適用金利によって決まるため、頭金を準備することで利息の負担を軽減できます。たとえば、住宅購入の所要資金が5000万円、金利1.5%、返済期間35年で借り入れた際に、頭金として200万円入れた場合と、600万円入れた際の返済額の違いは以下の通りです。

頭金の金額  月々の返済額 総返済額
200万円146,968円61,726,586円
600万円134,721円56,582,643円

頭金を200万円した場合の総返済額と、頭金を600万円入れた際の金額差は「5,143,943円」となり、総返済額を約500万円も減らすことができることがわかります。

頭金を貯蓄でまかなえない場合は、親族からの贈与資金を住宅購入に充てるのも有効的な手段です。令和5年12月31日までに父母や祖父母などの直系尊属から一定要件を満たした贈与を受けた場合は、贈与税が非課税になるので可能な限り活用しましょう。

住宅ローン控除を活用する

住宅ローン返済の負担を軽減するには、住宅ローン控除の活用が欠かせません。住宅ローン減税とは、一定要件を満たした住宅購入で住宅ローンを活用した際に、所得税と住民税から年末残高の一定割合を乗じた金額を差し引く制度です。

住宅ローン控除は、返済の負担を大きく軽減する効果がありますが、所得税と住民税より控除額が多かった場合は、還付を受けたり翌年に繰り越したりすることができないので注意が必要です。

なお、住宅ローンを連帯債務やペアローンで利用した場合は、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けることができます。ただし、住宅ローン控除額は、住宅の持分割合によって計算されるので、夫婦の年収と納税額に応じた適切な持分割合に設定することが大切です。

ライフプランを想定して借入額を決める

住宅ローンの借入額を決める際は、今後のライフプランを想定したシミュレーションをすることが大切です。

長期間にわたって返済する住宅ローンは、出産や転職、定年退職といったライフイベントを迎えることになります。これらのライフイベントで家計の収支が変わると、住宅ローン返済が苦しくなってしまう場合があります。

住宅ローン返済が滞らせないためにも、今後どのようなライフイベントがあるのかを想定した返済シミュレーションをしておきましょう。

まとめ

住宅ローンの契約する際は、無理なく返済できる借入額に設定することが大切です。なかには、返済可能額を超えた金額の融資をする金融機関もありますが、返済の負担が大きくなりすぎないように年収比率などを用いて、適正な借入額に設定しましょう。

この記事のポイント

年収800万円の人はいくらまで借りられる?

金融機関や住宅ローン商品によって異なります。「年間返済額÷ 年収 × 100」で計算される返済負担率で限度額を設定している金融機関もあります。

適用金利1.5%、借入期間35年の条件で、年収800万円の人が年収比率35%で借り入れをする際の限度額は「約7621万円」です。

詳しくは「年収800万円の人はいくらまで住宅ローンを借りられる?」をご覧ください。

年収800万円の人は頭金なしでも問題ない?

返済可能額での借り入れであれば問題ありません。ただし、頭金を入れないことで月々の返済額や総返済額が大きくなってしまうことがあるので注意が必要です。

詳しくは「年収800万円の人の借入額と頭金の適正金額は?」をご覧ください。

年収800万円の人が無理なく住宅ローンを組むにはどうすればいい?

頭金を入れて借入額を減らしたり、住宅ローン控除を活用したりするのがおすすめです。返済が滞らないためには、借り入れ期間中のライフイベントを想定したシミュレーションをすることも大切です。

詳しくは「年収800万円の人が無理なく住宅ローンを組むには?」をご覧ください。

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