ざっくり要約!
- 多くの場合、物件情報や販売図面、建築確認申請に記載されている面積は壁芯面積です。
- 不動産登記法上の床面積は、分譲マンションであれば内法面積、戸建住宅などでは壁芯面積です。
- 住宅ローン控除の適用条件である床面積は、登記面積を指しています。
マンション購入を検討している際、物件情報で「壁芯(へきしん・かべしん)」という言葉を見たことがある人は多いでしょう。マンションの面積には、主に壁芯と内法(うちのり)の2種類があり、販売資料には壁芯が記載されるケースが多いです。
この記事では壁芯と内法の違いやそれぞれの面積の計算方法のほか、注意する点も紹介します。ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
壁芯とは
壁芯(へきしん・かべしん)とは、マンションや戸建住宅などの建物において、壁や柱の中心線を基準とする寸法や考え方のことです。
たとえば、壁の厚みが200mmの場合は、壁の表面から100mmの位置に壁の中心線があります。壁の中心線を基準として算出する床面積を壁芯面積といいます。
内法とは
内法(うちのり)とは、壁の内側を基準とする寸法や考え方のことです。壁の内側とは、住居でいうと室内側に面している壁の表面を指します。
壁の内側の寸法で算出する面積が内法面積です。実際に目で見える部屋の広さであり、生活する上で利用可能なスペースとなります。
壁芯と内法の計算方法
次に、壁芯面積と内法面積の計算方法を解説します。
壁芯の計算方法
先ほど説明した通り、壁芯面積は壁の中心線を基準とした面積です。
面積の計算方法はシンプルで、図形の面積を計算する方法と同じです。部屋が四角形であれば、2つの辺の寸法をかけ合わせることで面積が分かります。
なお、壁芯寸法を算出する際は、現地で寸法を測るのではなく、図面上の寸法を使って計算するケースがほとんどです。
内法の計算方法
内法面積は、壁の内側の寸法で計算します。そのため、まずは壁の内側から内側までの寸法を割り出します。図面上の寸法が壁芯で書かれている場合は、壁の厚みを差し引くことで壁の内側の寸法が分かります。
内法面積を算出する目的によっては、実寸をもとに計算することも可能です。その場合は実際の建物で室内の寸法を測り、面積を計算します。
マンションの物件情報や販売図面は壁芯で表示される
壁芯面積と内法面積のどちらを用いるかは、面積を記載する場所やシーンによって異なります。
たとえば、マンションの物件情報や販売図面に記載された面積は、壁芯面積であることがほとんどです。壁の厚みの分、実際に使える面積よりも広く表示されているため、内見すると狭く感じる人もいるでしょう。
不動産登記法上の床面積
不動産登記とは、所有権や抵当権などを公的に登録する制度です。不動産登記法上の床面積は、分譲マンションの場合は内法面積で登記し、その他の戸建住宅などでは壁芯面積で登記することが一般的です。
登記する面積については、不動産登記法に基づく不動産登記規則に、以下のように定められています。
(建物の床面積)
第百十五条 建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。
上記の通り、基本的には壁の中心線で求めた面積を登記するものとし、区分所有マンション等に限り、壁の内側の面積で登記することとなっています。
建築基準法上の床面積
建築確認申請をはじめとした建築基準法上の床面積は、壁芯面積で記載されます。建築基準法施行令の第2条1項3号により、以下のように定められているためです。
床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
出典:建築基準法施行令
上記により、マンションの場合は建築確認申請上と登記上の床面積が異なることを認識しておきましょう。戸建住宅においては、どちらも壁芯面積で記載されます。
壁芯と内法の面積の差はどれくらい?
壁芯面積は、実際に使える面積よりも広く表示されていることをお伝えしました。ここでは、壁芯と内法の面積の差はどの程度あるかを解説します。
ワンルームマンションの場合
ワンルームマンションでは、平均すると11%程度の差が生じると言われています。
たとえば、内法寸法が3.6m×4.5mの約10帖の部屋で、壁の厚みが200mmの場合、以下のように壁芯面積との差は1.66m2になります。
- 壁厚:200mm
- 内法面積:3.6m×4.5m=16.2m2
- 壁芯面積:3.8m×4.7m=17.86m2
- 面積差:17.86m2ー16.2m2=1.66m2
内法面積に対して約10.2%の差が生じることが分かりました。
ファミリータイプのマンションの場合
ファミリータイプのマンションでは、壁芯面積と内法面積で平均6%程度の差が生じると言われています。
部屋の面積が広くなると、床面積に対して壁の厚みが占める割合が少なくなります。そのため、住戸の面積が大きくなるほど、壁芯面積と内法面積の差は縮まる傾向があります。
住宅ローン控除を受けるときは床面積要件に注意!
住宅ローンを利用してマンションを購入した場合、住宅ローン控除を受ける人が多いでしょう。しかし、どのような場合でも控除が受けられるわけではなく、適用条件があります。
ここでは、住宅ローン控除における床面積要件について解説します。
住宅ローン控除の床面積要件
住宅ローン控除の適用条件のひとつに、床面積があります。
所得金額1,000万円以下の方が新築物件を購入する場合は、以下のように床面積40㎡以上が適用条件となります。
【住宅ローン控除の床面積要件】
合計所得金額 | 床面積 |
---|---|
1,000万円以下 | 40㎡以上 |
1,000万円超 | 50㎡以上 |
従来は50㎡以上が条件でしたが、2021年の税制改正で40㎡以上に緩和されました。この緩和措置は2024年12月31日まで続くことが決定しています。
・「住宅ローン控除」に関する記事はこちら 【2024年度版】住宅ローンの控除の条件は?申請方法や注意点まとめ |
床面積要件は登記面積
住宅ローン控除の適用条件における床面積とは、登記上の面積を指します。マンションであれば内法面積、戸建住宅なら壁芯面積が基準となります。
マンションの場合、販売図面やパンフレットに記載されている壁芯面積とは異なるため、物件の購入を決める前に面積を確認しておきましょう。
まとめ
壁芯は壁の中心線を基準にした面積であり、一般的に物件情報や販売図面に記載されています。一方、内法は壁の内側を基準とした面積で、実際に生活する上で利用可能なスペースを示します。
マンションの場合、住宅ローン控除には内法面積が適用されるため、購入前には壁芯だけでなく内法面積を正確に把握することが重要です。物件を検討する際は、不動産会社に内法面積を確認してみるとよいでしょう。
この記事のポイント
- 壁芯面積と内法面積の違いは?
壁芯面積は壁の中心線を基準に算出する床面積で、内法面積は壁の内側の面積を指します。
- マンションの物件情報や登記面積には、壁芯と内法のどちらが記載されている?
マンションの物件情報や建築基準法上の床面積は、壁芯面積です。不動産登記法上の床面積は内法面積です。ただし、戸建住宅においては、すべて壁芯面積が記載されています。
詳しくは「マンションの物件情報や販売図面は壁芯で表示される」をご覧ください。
- 住宅ローン控除の床面積要件は、壁芯と内法のどちらですか?
住宅ローン控除の適用条件の床面積は、登記面積を指しています。マンションの場合は内法面積、戸建住宅は壁芯面積です。
詳しくは「住宅ローン控除を受けるときは床面積要件に注意!」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
「壁芯」「内法」という2つの面積が存在する理由は、建築基準法と不動産登記法とで面積の計測方法が異なるためです。一戸建てのほとんどは「広告上の面積=壁芯面積=登記面積」となっていますが、マンションの多くは「広告上の面積=壁芯面積≠登記面積」です。とくに、広告上の面積が50㎡台前半、あるいは合計所得金額が1,000万円以下の場合は40㎡台前半のマンションは、内法で面積が判断される住宅ローン減税の広さ要件を満たさないこともあるため注意しましょう。
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