家 外観
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家の外観は建築時期によって傾向が異なる!おしゃれだけで選ぶべきではない理由

執筆者プロフィール

村田愛美
宅地建物取引士

上智大学外を卒業後、不動産調査会社在籍中に宅地建物取引士試験に合格。宅建士として事業用不動産の仲介営業職に従事し、退職後はレンタルオフィスの運営会社で入居者・契約管理をするかたわら、売買・賃貸・住宅ローンを中心とした不動産関連の専門性が高い記事を多数執筆。不動産初心者でもわかりやすい文章に定評がある。

ざっくり要約!

  • 日本住宅は建てられた時期によってデザインが大きく異なる。現在はシンプルでナチュラルなデザインに、住宅性能を高める素材の使用が人気。
  • 購入後でもリノベーションによって家の外観は変えられる。手ごろなのは外壁・屋根の塗りだが、状態によっては張り替えや葺き替えも検討したほうがいい場合も。
  • 外観に損傷はないか、隣の敷地にはみ出していないかなどを確認するために、日頃から家の外観や周辺はチェックしておくことが大切。

家づくりにおいて、多くの方が間取り以上に悩むのが外観のデザインです。

おしゃれさを重視して、インターネットであれこれ調べる方も多いと思いますが、実は家の外観をおしゃれさだけで決めるのはあまりおすすめできません。

その理由は、家の外観は建築時期によって傾向が異なるため。この約30年の間でも外観のトレンドは大きく変化しています。
今回は、日本住宅の外観デザインの変遷と、2024年現在のトレンド・傾向をお伝えします。また、マイホームの外観を一新したいという方に向けて、外観のリノベーションや費用についても解説しますので、ぜひご一読ください。

家の外観は時代とともに変化してきた

冒頭でお伝えしたように、日本住宅の外観は、時代の経過と共に変遷を遂げてきました。まずは1990年代から現在にかけて、日本でどのような外観デザインが流行したのかを見ていきましょう。

1990年代は豪華な外観も多い

1990年代の日本では、海外から流入してきた外観デザインが主流でした。
特に人気だったのは、アメリカのカントリーな雰囲気が特徴の「アーリーアメリカンスタイル」や、イギリスの伝統色の強い「ブリティッシュスタイル」です。

アーリーアメリカンスタイルは、ポップで明るい配色の外観が特徴。それまで日本にはなかった、白を基調にしたグリーン系・イエロー系の明るい外観が目立つようになりました。

ブリティッシュスタイルは、レンガを使用した格調高い雰囲気が魅力。出窓やドーマー(屋根窓)などが取り入れられることも多く、それまでの日本建築とはまた少し違う華やかな印象を持ちます。

2000年以降は外観デザインが多様化

家 外観 北欧スタイル

2000年代に入ると、南欧スタイル・北欧スタイルといった、シンプルな欧風スタイルが日本に流入してきます。それにより日本住宅の外観デザインも多様化していきます。

まず日本で注目され始めたのが、地中海やプロヴァンスをイメージする「南欧スタイル」。

壁には白やアイボリー、ベージュやライトブラウンといった、明るく清潔感のある色味のレンガ柄・石積み柄を使用し、屋根にはオレンジやブラウンのスパニッシュ瓦を使用するのが特徴です。

2000年代後半から特に人気が出始めた「北欧スタイル」は、自然と調和するシンプルなデザインの外観。1階と2階の色を分けたツートンカラーのデザインや、白い窓枠など、それまでの日本邸宅では見られなかったデザインが注目を集めました。

近年は性能の高さを重視した外観も

これまで日本にはさまざまな海外のトレンドが流入してきましたが、近年ではデザイン性の高さだけでなく、住宅性能を重視して外観を決める方も増えてきました。

リモートワークの普及により自宅で過ごす時間が増えたことにより、光熱費の負担が増えたという家庭も多くなりました。

そんな中で着目されているのが“ZEH(ゼッチ)”と呼ばれる住宅です。太陽光発電などでエネルギーを作りながら、自宅でのエネルギー消費を削減する仕組みです。

注文住宅を建てるタイミングでは、太陽光パネルを設置したり、断熱性能の高い建材・遮熱塗料を使用したりといった工夫が見られます。

こうした省エネ性能の高い住宅が多く建てられている背景には、国が省エネ住宅の新築やリフォームに対しての補助金制度を設けているという点も挙げられます。

環境への配慮や家計負担の軽減という側面からも、これからの家づくりでは、おしゃれさに加えて住宅性能の高さにも目を向けたいところです。

もっとおしゃれにしたい!家の外観は購入後に変えられる?

家の外観のトレンドは時代によって違うため、本記事をご覧の方の中には「今住んでいる家の外観を変えたい」と思っている方もいることでしょう。家の外観は建てた後でも、リノベーションをすることで新しくできます。

どのようなリノベーションをするとどれくらいの費用がかかるのか、まとめて見ていきましょう。

屋根・外壁の塗装

外観のリノベーションのなかでも取り掛かりやすいのが、屋根や外壁の塗装です。

家の外側を塗り直すことで、見た目を美しく・新しくよみがえらせることが可能です。最近では防水性や断熱性・遮熱性の高い塗料もあるため、塗り直しだけでも住宅性能の向上が期待できます。

費用相場としては、外壁塗装の場合で60万~100万円程度、屋根塗装(スレート)の場合で30万~60万円程度です。

屋根・外壁の張り替え

屋根や外壁が老朽化している場合は、張り替えを検討することをおすすめします。古くなってひび割れなどが生じた屋根や外壁を放置すると、雨漏りが起きたり害獣・害虫が侵入する可能性もあり、建物の耐久性に問題が出てくるためです。

30坪程度の住宅の場合、外壁の張り替えは150万~230万円程度、屋根の葺き替えは95万~240万円程度がリノベーション費用の相場です。

外構なら一新することも可能

家の外観をガラッと変えたい場合には、外構のリノベーションを検討してはいかがでしょうか?外構というのは、塀・門・庭・アプローチ・ガレージなど、建物の周りを取り囲む部分のこと。最初に視界に入る部分をリノベーションすることで、見た目の印象を一気に変えられます。

工事箇所ごとのリノベーション費用の相場は下記のとおりです。

  • 塀:100万円前後
  • 門扉:15万~30万円
  • 庭:50万~100万円
  • アプローチ:30万~60万円
  • ガレージ:90万~120万円

デザインだけじゃない!家の外観・外回りからわかること

すでにマイホームを所有している方や、これからリノベーションを検討している方は、家の外観デザイン以外にもチェックしておきたいポイントがあります。

境界

特に外構のリノベーションを検討している方は、土地の境界線を必ず確認しましょう。

隣家とのトラブルで多いものの1つに、境界線の問題があります。外構のリノベーションをした際に、塀やフェンスなどが境界を越えて隣の敷地に侵入してしまうと、あとあと大きなトラブルに発展する可能性があります。

敷地の境界部分にある境界標・杭を必ず確認して、そこにまたがることの内容にリノベーションの計画を建てましょう。

外壁の状態

リノベーション予定がない場合でも定期的にチェックしたいのが、外壁の状態です。

外壁のひび割れや欠けている部分を放置すると、建物の耐久性低下につながるため、早めの補修工事を検討しましょう。日光や雨風で変色が見られる場合は、塗装し直した方が家全体の清潔感アップにつながります。

基礎の状態

建物の基礎部分は、建物の耐久性・耐震性に直接的に影響するため、日頃から状態を確認しておく必要があります。

基礎部分を目で見て、太さ0.5mm以上のひび割れが発生している場合は、早めの補修工事が必要な状態と認識しておきましょう。

また、シロアリが発生していると、蟻道(ギドウ)と呼ばれる通り道ができます。茶色い土のような線状の凹凸が、地面から建物の基礎表面に伸びている場合、シロアリが発生している可能性があるため早めの対処が必要です。

漏水・水道の口径

自宅の家周りでは、漏水の有無や水道口径も確認できます。

漏水していないかを確認するには、家庭内の蛇口を締めた状態で、メーターボックスの中にある水道メーターを確認します。水道メーターには、水の使用状況を数字で表すメモリとは別に、”水道が使われているか”を示すパイロットという、小さな円盤型の部品がついています。

パイロットは水道が使われているときだけ時計回りに回転するため、水を使っていないのに回転している場合は、漏水を疑う必要があるということになります。

また、水道管の口径は、水道メーターに記載されています。水回りをリノベーションする際に必要な情報ですので、覚えておくといいでしょう。

バルコニー・ベランダ周辺のシミ

バルコニーやベランダは、下から見上げてみてシミができていないかを確認しましょう。

バルコニーやベランダの下側、軒天(のきてん)と言いますが、この部分にシミができる原因は大きく分けて2つあります。

1つは塗料が劣化したことにより、汚れが定着しやすくなっていること。この場合は塗料を塗り直せば、汚れのつきにくい軒天を取り戻せます。

もう1つ考えられる原因は、バルコニーやベランダの床部分の防水性能の低下です。床部分の防水性がなくなってくると、水分が滞留し、下地材が腐食する可能性があります。そうなるとバルコニーやベランダの安全性にもかかわってくるため、早めに下地材交換などの工事を検討しましょう。

越境していないか

本章の最初に境界線について触れましたが、リノベーションの予定がない場合でも、日頃から越境(境界線を越えること)には注意を払う必要があります。

というのも、戸建住宅では敷地の境界線を巡ったトラブルが頻発します。植栽の枝がフェンスを越えてしまっていたり、ガーデニング用のプランターが隣の庭に入ってしまったりといったことであっても、良好なご近所づきあいにひびを入れる原因になりかねないのです。

「そんな些細なことで」と思われるようなことであっても、トラブルの原因になりうる要素はできるだけ排除したほうが、長期的に見て良好な住環境に繋がるのではないでしょうか。

まとめ

注文住宅の外観は、デザインで個性を出しながら、住宅性能をアップさせる工夫を盛り込むことで、今の時代に合った快適な住まいを実現できます。

これからマイホームを建てる方はもちろん、すでにマイホームをお持ちの方も、家の外観をさまざまな視点から考えてみるといいのではないでしょうか。

この記事のポイント

今の家の外観のトレンドは?

近年はシンプルでナチュラルな外観デザインに加え、住宅性能を高める素材の使用がトレンドです。

詳しくは「家の外観は時代とともに変化してきた」をご覧ください。

家の外観は購入後でも変えられますか?

購入後の家の外観は、外壁や屋根、外構をリノベーションすることで変えることが可能です。

詳しくは「もっとおしゃれにしたい!家の外観は購入後に変えられる?」をご覧ください。

家の外観でほかに見るべきポイントはある?

外壁や基礎、隣地との境界など、日頃からチェックしておきたいポイントがいくつかあります。

詳しくは「デザインだけじゃない!家の外観・外回りからわかること」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

中古戸建の購入時には、家の外観から建物の劣化やメンテナンスの状況、購入後のメンテナンス・修繕費用が一定程度、把握できます。とはいえ、自分でこれらの点を把握することは容易ではありません。気になる方は、第三者の建築士・インスペクターに検査してもらえる「建物状況調査」や「ホームインスペクション」の実施を検討することをおすすめします。

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