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マンション査定はどこを見る?注意点と売却に向けた手順を解説

執筆者プロフィール

亀梨奈美

株式会社realwave代表取締役。大手不動産会社退社後、不動産ジャーナリストとして独立。
2020年には「わかりにくい不動産を初心者にもわかりやすく」をモットーに、不動産を“伝える”ことに特化した株式会社realwaveを設立。
住宅専門全国紙の記者として活動しながら、不動産会社や銀行、出版社メディアへ多数寄稿。不動産ジャンル書籍の執筆協力なども行う。

ざっくり要約!

  • マンションの査定では立地や築年数などマンションの条件や状態が見られる
  • 査定額は条件が類似している物件の取引事例も大きく影響する

マンションを売るときに最も気になるのが「いくらで売れるか」なのではないでしょうか?マンションが売れる金額次第で、ローン完済の可否や住み替え先の選択肢も変わってきます。購入価格などから「これくらいで売れるだろう」と推測したとしても、市況は常に動いているため、予想した金額と実際に売れる金額が大きく乖離してしまう可能性もあります。

マンションの適正な時価や評価を把握するためには、不動産会社に「査定」を依頼しましょう。この記事では、マンションの査定で見られるポイントや査定時の注意点などを解説します。

マンションの査定はどこを見るの?

不動産会社がマンションの査定で見るポイントは、次のように多岐に渡ります。

立地

マンションの建つ立地は、査定額に大きく影響します。査定では、駅やバス停からの距離、地方であれば人が多く集まる幹線道路などからの距離に加え、生活利便施設や教育施設、病院や公園など、暮らしを豊かにする環境が整っているかが見られます。

階数

階数は必ずしも査定額に影響するということはありませんが、マンションでは1階よりも2階以上のほうが防犯性が高く、眺望が良いため査定額が変わってくる可能性があります。また、高層マンションであれば、基本的に階数が上がるほど査定額が高くなる傾向にあります。

間取り

間取りについては「多くの方にとって生活のしやすい間取りであるかどうか」「現在の生活様式にあっているかどうか」といったことが査定の対象となります。たとえば、ファミリータイプが好む60㎡以上の広さがありながらも居室が1つしかなかったり、洗濯機置き場がベランダにあったりする間取りは評価が下がる可能性があります。

築年数

築年数は、基本的に浅いほうが査定額は上がります。評価の大きな分かれ目となるのは、築年数によって異なる耐震性です。1981年5月以前に建築確認申請が出されたマンションは旧耐震基準で建築されているため、評価が下がります。

劣化状況

同じ築年数であっても、住まい方によって劣化状況は異なります。小さなお子さんがいたり、ペットを飼っていたりすると、壁紙が汚れたり、床や建具に傷がつくこともあるでしょう。こうした劣化・傷・汚れは評価を落とします。

リフォーム履歴

築古のマンションでも、リフォームによって設備を一新していたり、現在の生活様式に合わせた間取り改修などをしていれば、評価は上がります。リフォーム履歴がある場合は、査定時に、工事請負書などリフォームの時期と内容がわかる書類を用意しておくと良いでしょう。

方角

方角は、北・西・東・南の順に評価が高くなるのが基本です。ただし、高層マンションなど採光や眺望が良いマンションなど、この原則があてはまらない物件もあります。また、角部屋は二面採光になることから、他の部屋と比べると評価が高くなります。

他のマンションの成約事例や売出事例

自己居住用のマンションは、基本的に「取引事例比較法」で査定されます。この方法は、その名のとおり条件に近い物件の取引事例を比較しながら査定するため、他のマンションの成約事例も査定額に影響します。また、競合となる物件の有無や条件が販売価格や販売のスピードに影響することもあります。

マンション査定の流れ

マンションの査定は、基本的に依頼・調査・結果の提示と進んでいきますが、査定依頼の前には相場観を養っておくため情報収集をしておきましょう。

1.情報収集

不動産会社にマンションの査定を依頼する前に、まずは自分で相場情報などを収集しましょう。相場は、次のような方法で把握することができます。

  • 不動産ポータルサイトで条件が近いマンションの価格を確認する
  • 「レインズ・マーケット・インフォメーション」で条件が近いマンションの成約価格を調べる
  • 「不動産情報ライブラリ」で条件が近いマンションの成約価格を調べる

どれくらいの金額で売れそうかある程度わかっていれば、住宅ローン完済の可否や住み替え先の候補などの判断や検討がしやすくなります。また、不動産会社が提示する査定結果も頭に入ってきやすくなるため、事前に相場観を養っておくことをおすすめします。

「マンションの売却相場」に関する記事はこちら
マンションの売却相場ってどのくらい?地域別の相場と調べ方を解説

2.査定依頼

続いて、不動産会社にマンションの査定を依頼します。不動産会社選びのポイントは、自分が売ろうとしている地域・物種別・用途の物件の売買実績が豊富かどうか。たとえば、東京都渋谷区で自己居住用のマンションを売却しようとしている場合は、渋谷区の自己居住用マンションの売却実績が豊富な不動産会社に依頼するようにしましょう。どのような物件を取り扱っているかは、不動産会社のホームページなどを見れば確認できます。

「不動産会社の選び方」に関する記事はこちら
不動産売却や査定はどこがいい?迷ったときの選び方

3.調査

不動産会社は、まず権利や法令上に問題がないか確認したうえで、マンションの概要や周辺環境、管理状況など、売却されるマンションをあらゆる面から調査します。

これらの調査結果に加え、市場動向や周辺のマンションの取引事例、部屋の状態なども考慮して査定します。

4.査定結果の提示

査定結果は、査定額とともに、参考にした取引事例や評価したポイントなどと合わせて提示されます。査定額は「3,000万円〜3,300万円」など、ある程度、幅を持たせて提案されるのが一般的です。適切な売出価格は、売却にかけられる期間や売主の希望によっても異なるため、査定結果を基に不動産会社と売主で話し合いながら売り方や売出価格を決めていきます。

マンション査定を依頼するときの注意点

マンションの査定は、基本的にどの不動産会社も無料のため気軽に依頼することができますが、査定の種類や目的、意味について事前に理解しておくようにしましょう。

「仲介」と「買取」では査定額が異なる

マンションの査定というと「売却査定」を指すのが一般的です。売却査定とは、不動産会社が仲介して売却することを想定した査定ですが、不動産の売り方には「買取」という方法もあります。買取とは、不動産会社の仲介ではなく、不動産会社に直接買い取ってもらうという売り方です。両者の査定額は異なるため、買取を希望する場合は「売却査定」ではなく「買取査定」を依頼するようにしましょう。

「仲介と買取の違い」に関する記事はこちら
不動産売却の仲介と買取の違いは?物件ごとの向き・不向きも解説

売却査定額は「売れる金額」とは限らない

「買取査定」は、その金額で買い取ってくれることが保証された金額です。一方「売却査定」は、不動産会社が一定期間内に売れると考える金額にすぎません。査定額以上で売れることもあれば、査定額を下回る金額になってしまう可能性もあることは認識しておきましょう。

査定額は高額であるほど良いというわけではない

マンションの査定を依頼すると「高い査定額を出してほしい」と考える方が多いものです。しかし、「売却査定額=売れる金額」ではない以上、査定額に求められるのは高額なことではなく、適正であることです。適正な金額を読み違えてしまうと、売却に時間がかかってしまったり、逆に早く売れても高額で売却できるチャンスを損なってしまったりするおそれがあります。

まとめ

マンションの査定では、立地や階数、劣化状況、リフォーム履歴など、マンションの条件や状態が見られます。加えて、査定額には、類似物件の過去の成約事例や現在の売出事例などが影響することも覚えておきましょう。「査定額=売れる金額」とは限らないことから、査定結果を見るときは、査定額だけでなく、査定の根拠に目を向けることも大切です。

この記事のポイント

不動産会社は、マンション査定でどこを見るの?

立地や階数、間取り、築年数などに加え、類似した条件の取引事例や売出事例などを基に査定額を算出します。

詳しくは「マンションの査定はどこを見るの?」をご覧ください。

マンションの査定の流れは?

基本的に依頼・調査・結果の提示と進んでいきますが、査定依頼の前に相場観を養っておくため情報収集をすることをおすすめします。

詳しくは「マンション査定の流れ」をご覧ください。

マンション査定の注意点は?

マンション査定の種類や目的、意味についてあらかじめ理解しておくことが大切です。

詳しくは「マンション査定を依頼するときの注意点」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

マンションの査定結果を見るときには、どうしても「査定額」に目が向いてしまいがちです。査定額ももちろん大切ですが、査定額はその金額で売れることが保証されたものではありません。不動産会社を選ぶうえでは、査定額の高さではなく、査定額の根拠とともに、査定結果を基にした販売戦略の提案内容、担当者の対応力、不動産会社のサービスなどを重視するようにしましょう。

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