ざっくり要約!
- マンション価格が高騰しており、購入時より高く売れるケースが増えている
- 資産価値の維持・向上に期待できるのは立地の良いマンション
マンションの価格は、2013年頃から継続して高騰しており「売却で儲かった」という方も少なからず見られます。しかし、高騰傾向にあるとはいえ、すべてのマンションが高騰しているわけではありません。買った時より高く売れるマンションには、特徴があります。
この記事では、儲かりやすいマンションの特徴とともに、高く売れたときの税額を抑える方法について解説します。
記事サマリー
マンション売却で儲かった⁈ なぜここまで高騰しているの?
不動産価格指数(住宅)(令和6年2月分・季節調整値)>※2010年平均=100
マンションの価格は、2013年頃から高騰を続けています。価格指数を見ても、2013年からの10年間の高騰率は2倍近くとなっています。なぜ、ここまでマンションの価格は高騰しているのでしょうか?
低金利
マンションの価格高騰に大きく影響しているのは、金利です。2013年には「アベノミクス」と呼ばれる経済政策の一つとして、大胆な金融緩和政策がスタートしました。以降、住宅ローン金利はどんどん低下し、それに伴ってマンション価格は高騰していきました。
2024年3月には日本銀行がマイナス金利政策を解除したものの、すぐには金利は上がらず、世界的に見ても圧倒的な低金利である状態は変わりません。
・「マイナス金利政策解除」に関する記事はこちら
マイナス金利解除!住宅ローン金利や不動産価格に与える影響は?
インフレ
日本が長くマイナス金利政策を継続していた理由は「持続的・安定的な物価2%目標」を達成できなかったためです。マイナス金利政策が解除された理由は、物価上昇率や賃金上昇率がこの目標を達成したと判断されたことにあります。
他国と比べて日本のインフレ率は高くありませんが、確実にものやサービスの値段は上がり始めており、マンション価格も資材価格や人件費、物流コストなどの影響を少なからず受けています。
円安
コロナ禍以降の歴史的な円安は、マンション価格の高騰に拍車をかけています。円安になればなるほど、日本の不動産は他国の人にとって「お得」になります。そもそも、日本の不動産は他の先進国と比べて安価です。大都市圏の不動産はとくに海外投資家からの人気が高く、2024年4月までの半年間のマンション価格高騰率は東京・大阪が世界一となりました。
(日本不動産研究所調べ)
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円安で加速する不動産市場の三極化!不動産の売り時・買い時はいつ?
資産価値が落ちないマンションの条件
近年はマンション価格が高騰しているとはいえ、すべてのマンションが一律に価格を上げているわけではありません。日本ではすでに人口減少が始まっており、価値が上がるどころか、バブル崩壊以降、30年以上にわたって地価が下がり続けているエリアもあります。
資産価値が落ちない、あるいは向上するマンションには特徴があります。
立地次第
資産価値を維持できるかどうかは、十中八九、立地次第といっても過言ではありません。人口が減っていくと起こるのは、人口の「分散」ではなく「集中」です。今後は、さらに利便性の高い場所に人が集まっていくと推測されます。これに伴い、利便性の悪い場所は価値が落ち、利便性の高い場所の価値は上がっていくでしょう。
「好立地」に代表されるのは、駅前や駅近ですが、他にも再開発エリアや大きな企業の誘致があるエリアのマンションも資産価値の維持や上昇が見込まれます。たとえば、近年、地価上昇率上位にランクインする熊本県の菊陽町周辺や北海道の千歳市は、半導体メーカーの進出が見られる地域です。
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2024年公示地価、3年連続上昇!「アフターコロナ」顕著に
管理状態
「マンションは管理を買え」という言葉もありますが、現時点では管理状態の良し悪しが価格に大きく影響するということはありません。しかし、2021年の長期修繕計画ガイドラインの改定、2022年の管理計画認定制度の開始など、近年はマンション管理に関する法改正などが相次いでいます。
修繕積立金不足やマンションの高経年化などが社会問題にもなっていることから「マンション管理」に対する注目度は高く、今後、管理の良し悪しが金融機関の担保評価や需要に大きく影響するようになれば、管理状態が資産価値の維持に大きく影響するようになっていく可能性は十分考えられます。
タワーマンション・ブランドマンション
総じて好立地で、管理状態も良いタワーマンションやブランドマンションは、資産価値が落ちにくいマンションの代表格です。こうしたマンションは、国内だけでなく、国外の投資家や富裕層からの人気も高いことから、日本の不動産に注目が集まっている今、さらなる値上がりが見込まれます。
築年数
マンションの築年数については、浅ければいいというものではありません。というのも、マンションは新築から築20〜30年程度までの資産価値の下落率が大きく、それ以降は大きく下落しない傾向にあるからです。
ただ、近年はマンション価格が著しく高騰していることから、新築より高く売れる築浅物件も少なからず見られます。ヴィンテージマンションのように、築30年、40年のマンションが新築時より高く売れる例もあるため、必ずしもこの傾向が当てはまるわけではありません。
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ヴィンテージマンションとは?人気の理由や魅力、入居時の注意点を解説
マンション売却で儲けるポイント
マンションの売却で儲けるには、売却の時期や売り方も考慮する必要があります。
常に相場価格を把握しておく
マンションの相場価格は、常に変動しています。金融政策など国内外の大きな動きにも影響を受けますが、駅前の再開発や企業誘致など身近な変化によって相場価格が大きく変わることもあります。
マンションをできる限り高く売却して儲けたいと考えている方は、常に相場価格を把握しておき、売り時を見極めましょう。
・「マンションの売却相場」に関する記事はこちら
マンションの売却相場ってどのくらい?地域別の相場と調べ方を解説
スケジュールに余裕を持って売却する
マンションは時間をかければかけるほど高く売れるわけではありませんが、時間がない中で売却すると、売り急いだり、買い叩かれたりする可能性が高くなります。
首都圏のマンションの売却にかかった期間の2023年の平均は「82.6」日でした。これはあくまで平均であり、これ以上の時間がかかる可能性もあります。マンションをできる限り好条件で売るには、時間的余裕を持つことも大切です。
内覧時に好印象を与えられるようにする
マンションの購入を検討している人は、必ず「内覧」をします。内覧とは、実際に物件を見に来ることです。内覧を希望するということは、マンションの立地や価格、その他の条件にはおおむね満足しているということ。内覧で購入を後押しできれば、契約に大きく近づきます。
内覧で良い印象を与えるには、やはり見た目の良さは大切です。できる限り整理・整頓・清掃して内覧に臨むことはもちろん、次のような手段も検討してみましょう。
ホームステージング
ホームステージングとは、売却するマンションをモデルルームのように装うことを指します。部屋に素敵な家具や小物を置くことでおしゃれに見え、購入後の暮らしをイメージしてもらいやすくなる効果にも期待できます。
・「ホームステージング」に関する記事はこちら
ホームステージングとは?メリットや売却への効果、自分で行うポイントも解説
・東急リバブル「ルームデコレーション」
ハウスクリーニング
自分で水まわりを掃除したり、壁紙や床の汚れをきれいにしたりするのには限界があります。プロにハウスクリーニングを頼むと費用はかかるものの、内覧時の印象はグッと高まります。
・「ハウスクリーニング」に関する記事はこちら
ハウスクリーニングの相場はいくら?水回りから一戸建てにかかる費用まで紹介
・東急リバブル「水まわりブライトニング」
リフォームプランの提案
リフォーム歴がなく、一定の築年数を超えるマンションは、リフォームプランを提案するのもおすすめです。設備や建具の使用感が目立っていたり、間取りが今の暮らしにあっていなかったりしても「リフォームすればこんなに綺麗になる」「リフォームでここまで生活動線を良くすることができる」ということがわかれば、目の前の状態が気にならなくなることもあるはずです。
・東急リバブル「CGリフォームイメージ」
競合物件の動向も見ておく
マンションが売れる金額は、競合物件の有無や条件にも影響を受けます。たとえば、同じマンションの同程度の広さの部屋が安く売り出されていれば、その価格以上で売ることは難しいかもしれません。
同じマンションではなかったとしても、築年数や広さ、間取りが近いマンションは競合となります。できる限り好条件で売るには、競合物件が少ない時期を狙うか、競合物件と差別化するため先で紹介したステージングやクリーニング、リフォームプランの提案なども検討してみましょう。
マンション売却で儲かったけど税金が高額……控除できる特例は?
マンションの売却で「譲渡所得」が出たら、住民税・所得税・復興特別所得税が課されます。これらの税金は、総称して「譲渡所得税」と呼ばれています。
マンションの売却で儲かっても、譲渡所得税として数十万円、数百万円が課されることもあります。しかし、自宅マンションの売却では、控除特例を適用することで税額を抑えることができます。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、単純な「儲け」を指すわけではなく、以下の計算式で算出します。
譲渡所得=総収入金額−(取得費+譲渡費用)
「総収入金額」は、マンションの売却によって得た金額です。対価だけでなく、固定資産税や都市計画税、管理費や修繕積立金の精算金も総収入金額に含めます。
「取得費」は、マンションの取得にかかった費用から建物「減価償却費」を引いた金額です。「譲渡費用」は売却にかかった諸費用などの合計額です。
税率は所有期間によって異なる
譲渡所得に対する税率は、マンションを所有していた期間によって異なります。
所有期間 | 住民税 | 所得税 | 復興特別所得税 |
5年以下(短期譲渡所得) | 9% | 30% | 0.63% |
5年超(長期譲渡所得) | 5% | 15% | 0.315% |
ここでいう「所有期間」は、マンションを売却した年の1月1日時点のものです。
譲渡所得を控除できる特例
マイホームのマンションの売却では、次の3つの控除特例によって譲渡所得税を下げられる可能性があります。
3,000万円特別控除(マイホーム特例)
マイホーム特例と呼ばれる「3,000万円特別控除」は、譲渡所得を最大3,000万円控除できる特例です。儲かったとはいえ、3,000万円以上の譲渡所得が出るのは稀です。多くの場合、譲渡所得税をゼロにできます。
国税庁「マイホームを売ったときの特例」
・「3,000万円控除」に関する記事はこちら
3,000万円控除とは?制度の概要、適用条件や具体的な計算方法も解説
取得費加算の特例
3,000万円以上の譲渡所得が出た場合は「軽減税率の特例」の適用で税率を下げることができます。軽減税率は、以下のとおりです。
課税譲渡所得金額(=A) | 税額 |
6000万円以下 | A×10% |
6000万円超 | (A−6000万円)×15%+600万円 |
買い換え特例
「買い換え特例」とは、譲渡所得を控除するのではなく、課税を繰り延べる特例です。繰り延べられるのは、買い換え先の不動産を売るときまでです。
国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
・「居住用財産の譲渡の特例」に関する記事はこちら
自宅売却の特例と特例対象となる自宅売却の形態について
・「買い換え特例」に関する記事はこちら
居住用財産の買換え特例とは?併用できない特例と適用要件をわかりやすく解説
まとめ
マンションの売却で儲けるには、物件選びや売却時期、売り方などさまざまなことを考慮しなければなりません。売却益が出れば税金が課されますが、マイホームであれば控除特例が適用できる可能性があります。控除特例は自動的に適用されるわけではないため、マンション売却で儲けることを目指す方は税金の知識もつけておくようにしましょう。
この記事のポイント
- なぜ、マンション価格はここまで高騰しているの?
低金利やインフレ、円安による影響が大きいものと考えられます。
詳しくは「マンション売却で儲かった⁈なぜここまで高騰しているの?」をご覧ください。
- 儲かるマンションの特徴は?
好立地かつ管理状態が良好なマンションは、資産価値の維持・向上に期待しやすいといえます。
詳しくは「資産価値が落ちないマンションの条件」をご覧ください。
- マンションを高く売るためのポイントは?
常に相場価格を把握しておき、売り時を見極めることが大切です。また、時間的余裕を持ったうえで売却し、必要に応じてハウスクリーニングやホームステージングなど魅力を高める施策も検討すると良いでしょう。
詳しくは「マンション売却で儲けるポイント」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションの売却で儲かったという話は近年よく聞かれますが、購入時より高く売れるマンションは一部です。今後インフレが進んだとしても、人口が減り、空き家は増え続けていることから、日本の不動産市場は縮小していくはずです。その中で、資産価値の維持・向上に期待できるマンションを見極めることは容易ではありません。マンション周辺の人口動態や都市計画、管理状態などに目を向け、物件選びや売り時を検討することが大切です。
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