ざっくり要約!
- マンションを賃貸に出すと、継続的な家賃収入と経費計上できる一方、空室リスクや住宅ローンが使えなくなるデメリットもある。
- 賃貸に出す際は、住宅ローンについて金融機関に相談し、自身に合った管理委託方法や賃貸借契約の種類を選ぶことが重要。
- 賃貸に出すまでのおおまかな流れは、不動産会社選定、賃貸条件設定、入居者募集、契約締結の4ステップ。信頼できる不動産会社選びが、賃貸経営の鍵を握る。
所有しているマンションを賃貸に出すことを検討しているものの、メリットとデメリットが明確でなく、なかなか一歩が踏み出せないという方も少なくありません。
賃貸経営を始める前には、空室リスクや管理の手間、住宅ローンの扱いなど、把握しておくべき重要なポイントがあります。また、ケースによっては売却を視野に入れることも必要で、じっくりと検討することが大切です。
今回の記事では、マンションを賃貸に出す際のメリット・デメリットや注意点、賃貸までの一連の流れについて詳しく解説します。マンションを有効に活用し、安定収入を得るための知識が満載ですので、ぜひ最後までご覧ください。
記事サマリー
マンションを賃貸に出すメリット・デメリット
所有しているマンションを賃貸に出すかを決める際に、賃貸に出した場合のメリットとデメリットを理解しておく必要があります。
メリット
マンションを賃貸に出す最大のメリットは、継続的に家賃収入を得られることです。売却した場合は一度きりの収入ですが、賃貸なら物件を手放さずに、入居者がいる限り不労所得を得られます。
また、賃貸に出すことで、修繕費や固定資産税、都市計画税、ローンの利息、管理組合への管理費・修繕積立金、不動産会社への管理手数料、損害保険などを経費として計上できます。ただし、修繕費には一定の判断基準があるため、経費として計上できる支出を把握してくことが重要です。
もう1つの大きなメリットは、資産を残せることです。売却すると資産を手放すことになりますが、賃貸なら資産を保有しながら、家賃収入により収益を生み出せて一石二鳥と言えるでしょう。また、誰かに住んでもらうことで、空き家にするよりも資産価値を維持できるだけでなく、将来的にまた住みたくなった際に、活用できる点も利点です。
デメリット
マンションを賃貸に出す際の大きなデメリットの1つが空室リスクです。入居者がいない期間は、家賃や管理費等をオーナーが全て負担しなければなりません。空室期間が長引けば、賃料を下げたり修繕を行ったりと、入居者を誘致するために追加の対策をとる必要があります。
また、賃貸に出す場合は住宅ローンが使えなくなるという点は押さえておきましょう。住宅ローンは物件の所有者が住むことを前提としているため、賃貸開始時点で住宅ローンの残債がある場合、原則として一括返済しなければなりません。自己資金で補うか、金利の高い不動産投資用のローンに借り換えることになりますが、返済総額が増加し、事務手数料がかかる点もネックです。
さらに、マンションを手放さずにいることで、管理費や修繕積立金、固定資産税、建物保険料等の維持費が継続的に発生します。入居者がいる間は家賃収入で賄えますが、空室時はオーナーの自己負担となります。特に築年数が古い物件や立地の悪い物件は、賃貸需要が弱く空室が長引く傾向があるため、無理に貸し出すことは避けた方がいいケースも少なくありません。
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マンションを売却するメリット・デメリット
空室リスクや住宅ローンの返済状況、維持費などを考慮した結果、いっそのことマンションを売却してしまおうと考える方も多いでしょう。マンションを売却する場合も、メリットとデメリットの両方があります。
メリット
マンションを売却するメリットの1つとして、一度に多くの現金を手に入れられる点が挙げられます。この売却代金は、次の住まいの購入費用に充てられるだけでなく、子どもの教育資金や老後資金にできます。また、分割できない不動産を現金化しておくことで、相続の際に遺産分割がしやすくなります。
また、マンションを売却すれば維持費の支払いから解放される点もメリットです。マンションは管理費や修繕積立金などの費用がかかり、固定資産税などの税金の支払いもあるため、所有しているだけでも家計への負担は大きなものになります。賃貸に出す場合、空き室の期間はこれらの費用を所有者が負担しなければなりません。売却か賃貸かを考える際、売却金額と賃貸収入だけでなく、将来的な費用負担の面でも売却はメリットがあるのです。
加えて、マンションを売却して利益が出た場合、税制優遇の特例により税金が0円になるケースも多くあります。例えば、3,000万円特別控除の特例を利用すれば、売却益3,000万円までは税金の支払いが発生しないことになります。ただし、この特例を利用すると次の住まいで住宅ローン控除が利用できなくなる点には注意が必要です。
デメリット
マンションを売却するデメリットの1つ目は、資産として活用できなくなる点です。不動産は価値のある資産であり、売却せずに貸し出して家賃収入を得ることもできます。特に、相続税が発生するほどの資産家の場合、不動産を売却して現金化するよりも、貸して収益物件とした方が相続税を節税できる可能性があります。
また、中古マンションは売却時に購入時よりも値段が下がっていることが一般的で、損をすることが多いのもデメリットです。ただし、売却損が出れば売却時の税金が発生しないというメリットもあります。売却損が出ることで、税金の還付を受けられる特例もあるため、税金の観点からすると、売却損が出ることは必ずしも損ではありません。
さらに、マンションを売却する際には仲介手数料や印紙代、抵当権抹消費用、住宅ローン一括返済手数料、引っ越し代等の費用が発生します。中でも仲介手数料は最も金額が大きい傾向にあります。これらの費用は売却価格から差し引かれるため、手元に残る金額が減ってしまうというデメリットがあるのです。
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マンションを賃貸に出すときの注意点
マンションを賃貸に出す場合、あらかじめ知っておくべき注意点が大きく分けて3つあります。
- 住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談する
- 3つの管理委託方法の違いを知る
- 賃貸借契約の種類に注意
これらを知らずに進めてしまうと、ご自身の大切なマンションを上手に活用できない可能性があるため、必ず押さえましょう。
住宅ローンが残っている場合は金融機関に相談する
住宅ローンが残っている状態で賃貸に出すことを考えている場合は、まず金融機関に相談する必要があります。
先述の通り、住宅ローンは本人が居住することを条件に融資を行う金融商品で、金融機関との合意なく賃貸に出すことは契約違反に該当します。場合によってはローンの一括返済を求められる可能性もあるため、注意しなければなりません。
しかし、やむを得ない理由があり、金融機関の同意が得られれば、例外的に賃貸に出せる場合もあります。金融機関が認めない場合は、住宅ローンから不動産投資ローンへの借り換えを検討することもできる点も押さえておきましょう。
3つの管理委託方法の違いを知る
賃貸マンションの管理方法は「自主管理」「委託管理」「サブリース」の3つに大別されます。
自主管理は、オーナー自身が直接物件の管理を行う方法です。管理会社に委託しないことからコストが抑えられ、物件や入居者の状況を直接把握できるという利点があります。しかし、毎月の家賃の回収やトラブル対応は、自ら行わなければいけないため、時間と労力がかかる点はデメリットといえるでしょう。主なトラブルには水漏れや設備の不具合、住民同士のトラブルなどが挙げられます。初めてマンションを賃貸に出す方やお仕事が忙しい方にはおすすめしません。
管理委託は、賃貸管理会社に管理業務を委託する方法です。専門知識を持つプロが管理を担うため、オーナーの負担が軽減されることに加え、法律や税務面でのアドバイスも受けられるという利点があります。ただし、管理手数料がかかるため、コスト面では考慮が必要です。
サブリースは、賃貸管理会社(サブリース会社)がオーナーから物件を借り上げて、借主と賃貸借契約を結ぶ方法です。借主と契約を結んでいるのは賃貸管理会社になるため、借主にトラブルが起こっても賃貸管理会社が対応を行ってくれます。また空室時の賃料保証がある場合は、借主の有無に左右されず、安定した収入を得ることが可能です。ただし、管理委託に比べると収益が少ないケースが多い点に注意が必要です。
・「賃貸管理会社」に関する記事はこちら 賃貸管理会社とは? 頼れる委託先の選び方を紹介 |
賃貸借契約の種類に注意
賃貸借契約には、「普通借家」「定期借家」の2つの種類があることを知っておきましょう。
普通借家契約は一般的な賃貸物件で用いられ、通常2年ごとに更新を行います。借主が更新を望む場合、正当な事由がない限り貸し手側から拒絶できません。将来自身が居住する予定がある場合は注意が必要です。
定期借家契約は更新をしないことを定めた契約で、期間満了により必ず終了します。再契約は可能ですが、1年未満でも契約できるなど、貸し手に有利な契約ができます。ただし借り手の立場からは、どんなにいい物件でも期間満了時に追い出されてしまう心配があるため、借り手を見つけにくくなる傾向にあります。
・「賃貸借」に関する記事はこちら 賃貸借とは?契約書の電子化のメリットやインボイス制度との関連も |
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マンションを賃貸に出すまでの流れ
マンションを賃貸に出すまでには、依頼する不動産会社探しから契約締結まで、大きく4つのステップを踏む必要があります。実際にマンションを賃貸に出すまでの流れを簡単にご紹介します。
1.不動産会社を選定する
マンションを賃貸に出す際、入居者募集や契約手続きを円滑に進めるためには、信頼できる不動産仲介会社を選ぶことが重要です。自分で入居者を探す場合は仲介会社への依頼は不要ですが、契約時には専門的な知識が必要となります。
仲介会社に依頼することで、入居者募集から契約締結まで、スムーズかつ安心して進められます。家賃設定や入居者の審査、必要書類の準備など、経験豊富な仲介会社のサポートを受けられるのは大きなメリットです。
不動産会社選びでは、実績や評判、担当者の対応などを比較し、自分に合った会社を見つけることが大切です。また、物件の特徴や賃貸条件などを詳しく伝え、適切なアドバイスをもらえる会社を選ぶことも重要なポイントです。
2.賃貸条件を設定する
依頼する不動産会社が決まったら、担当者と相談しながら賃貸条件を決めます。
家賃設定の際は、賃貸需要や競合物件の状況も把握することが重要です。家賃を高く設定しすぎると入居者が見つからず、逆に低すぎると収益が下がってしまうためです。
経験豊富な不動産会社であれば、周辺の相場や物件のスペックを考慮して、借り手が付きやすい家賃を提案してくれます。その際、貸主自身も相場を把握していると、より希望に合った条件で貸し出せる可能性があるため、不動産のポータルサイトなどを活用して、事前に調査しておくことも大切です。
3.入居者募集
賃貸条件が決まったら、いよいよ入居者募集の段階です。不動産仲介会社が、インターネット広告などを通じて募集活動を行ってくれるため、貸主側がこの期間に特別な作業を行う必要はありません。
入居希望者が現れたら、その方の条件を審査し、マンションを貸し出すかどうかを決定します。入居審査では、申込者の勤務先や年収などの経済的な面、人柄などの個人的な面をチェックしましょう。
また、多くの場合、保証会社による審査もこの段階で行われます。保証会社は、入居者が家賃を滞納した場合などに、貸主に代わって家賃を立て替える役割を担っています。
保証会社を利用せずに連帯保証人のみで契約を締結するケースもありますが、保証会社を利用したほうが、家賃回収や滞納時の入居者対応の手間を省けるためおすすめです。
4.賃貸借契約を締結する
申込者の入居審査を経て、問題がなければいよいよ賃貸借契約の締結となります。契約書には、賃貸期間、家賃、敷金・礼金、更新料などの条件を明記します。貸主と借主双方が契約内容を確認し、署名・捺印することで正式に契約完了です。
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まとめ
マンションを賃貸に出す際には、メリット・デメリットを理解し、空室リスクや管理の手間、住宅ローンの扱いなどの注意点を把握することが重要です。
管理プランや契約形態を選択し、信頼できる不動産会社と連携しながら、納得のいく形で賃貸経営を始められるように慎重に進めるようにしましょう。
この記事のポイント
- マンションを賃貸に出す際のメリットとデメリットはどんなものがありますか?
賃貸に出す最大のメリットは、継続的に家賃収入を得られることです。
ただしデメリットもありますので詳しくは「マンションを賃貸に出すメリット・デメリット」をご覧ください。
- マンションを売却する際のメリットとデメリットはどんなものがありますか?
空室リスクや住宅ローンの返済状況、維持費などを考慮した結果、いっそのことマンションを売却してしまおうと考える方もいらっしゃるでしょう。その場合も、メリットとデメリットの両方があります。
詳しくは「マンションを賃貸に出すメリット・デメリット」をご覧ください。
- マンションを賃貸に出す場合、どのような流れで行えば良いですか?
マンションを賃貸に出すまでには、依頼する不動産会社探しから契約締結まで、大きく4つのステップを踏む必要があります。
詳しくは「マンションを賃貸に出すまでの流れ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
マンションを賃貸に出すか売却するかは、周辺地域の賃貸需要やマンションの状態によっても判断基準が異なります。迷った場合は、賃貸と売買の両方を取り使っている不動産会社に相談してみるといいでしょう。
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