不動産 無料査定 トラブル
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不動産の無料査定で起こりがちなトラブル事例

執筆者プロフィール

村田愛美
宅地建物取引士

上智大学外を卒業後、不動産調査会社在籍中に宅地建物取引士試験に合格。宅建士として事業用不動産の仲介営業職に従事し、退職後はレンタルオフィスの運営会社で入居者・契約管理をするかたわら、売買・賃貸・住宅ローンを中心とした不動産関連の専門性が高い記事を多数執筆。不動産初心者でもわかりやすい文章に定評がある。

ざっくり要約!

  • 不動産会社が査定を無料で行っているのは、不動産オーナーに媒介契約を締結してもらうために、自社の営業力をアピールするための営業ツールとしての役割があるため。
  • 不動産の無料査定でよくあるトラブルとしては、しつこい営業電話や相場からかけ離れた査定額の提示、近隣住民に噂されることが挙げられる。
  • 不動産の無料査定でのトラブルを避けるためには、査定の根拠や売却戦略だけでなく、営業担当者が信頼できる人物かを見極めることが大切。

不動産の売却活動は、ほとんどの方が不動産会社の無料査定を利用するところからスタートします。

費用の心配なく、複数の不動産会社に査定してもらえる点が魅力の無料査定ですが、利用した方の中には「思うように売却活動を進められなかった」「想定外の問題が発生した」など、トラブルに発展した経験がある方も少なくありません。

本記事では不動産の無料査定を上手に活用するポイントと、満足のいく不動産売却を実現するためのトラブル回避法をご紹介します。

不動産の査定は基本的に無料

不動産仲介会社が行う査定は、不動産の売却を前提としているのであれば、基本的に誰でも無料で依頼できます。不動産査定が無料である理由は、不動産会社が報酬を得られるのは、売買契約が成立したときのみというルールがあるためです。

不動産会社が受け取る仲介手数料は、売買契約が成立したときのみ、自社で請け負った顧客から受け取れる成功報酬です。そして、売却活動を依頼してもらうためには、不動産オーナーに自社の営業力をアピールし、媒介契約を締結してもらう必要があります。

つまり、不動産査定は「自社であればこれくらいの価格で売却できます」とアピールする営業活動の一環として行われるということです。

不動産会社の売り上げは、顧客から受け取る仲介手数料によって成り立っているため、どこの不動産会社も、顧客獲得の入り口である無料査定に力を入れて取り組んでいます。

不動産の無料査定で起こりがちなトラブル事例

不動産売却の第一歩として活用される無料査定は、思いがけないトラブルが発生するケースも少なくありません。どのようなトラブルが起こり得るのかを知っておくと、安心して不動産査定に臨むためのヒントが見えてきます。

しつこく営業される

不動産の無料査定を利用した方の多くから聞かれるのが、問い合わせた不動産会社からしつこく営業電話がかかってくるトラブルです。

無料査定を依頼する際は、物件情報だけでなく、名前や電話番号などの個人情報も入力します。査定依頼を受けた不動産会社は、それらの情報を基に、不動産オーナーに査定結果を連絡するわけですが、中には営業熱心になりすぎて、何度も繰り返し電話する不動産会社もいます。

無料査定は顧客獲得の営業活動の一環として行うため、不動産会社としては何としても自社と媒介契約を締結して欲しいと考えるものです。とはいえ、同時に複数社に査定依頼をする不動産オーナーとしては、しつこい営業を受けることでストレスに感じるケースは少なくありません。

高額すぎる査定額を提示される

不動産会社の中には、相場よりはるかに高い査定額を提示してくる会社も存在します。不動産を売却する際、ほとんどの方が複数の不動産会社を比較して、媒介契約を結ぶ会社を選びます。そのため、他社よりも優位に立つために、あえて相場よりも高い査定額を提示する不動産会社も珍しくありません。

しかし、不動産査定額は売出価格を設定する際の基準になるため、できる限り市場相場と近い価格を算出する必要があります。

いくら高く売りたいからといって、相場よりも高い査定価格につられて媒介契約を結ぶと、なかなか売れず、結果として希望する価格で売却できないことも考えられます。また、販売期間が伸びると、購入希望者に対して「人気がない物件」という印象を与かねません。そうなるといざ購入希望者が見つかったとしても、交渉の上で不利になる可能性も否めないのです。

安すぎる査定額を提示される

相場よりはるかに高い査定額を提示する不動産会社がある一方で、その反対に安過ぎる査定額を提示されるトラブルも存在します。

不動産会社が安い査定額を提示するのは、売却活動に時間や手間をかけたくないという理由からです。価格が低ければ早く売却できるため、不動産会社は早く仲介手数料を手に入れられます。

特に、売却活動にかけられる時間が限られている場合や、不動産売買の実績が少ない不動産会社に依頼した場合などに多く見られるのがこのトラブルです。提示金額を鵜呑みにしてしまうと、本当はもっと高く売却できるはずの物件を、安く売り叩かれてしまう可能性もあるので、注意しなければなりません。

近隣住人の間で噂になる

他人に知られたくない事情で物件を売却する場合に、近隣住民の目に触れて噂になるというトラブルも考えられます。

不動産査定の種類には、訪問を伴わない机上査定と、実際に現地を訪れて査定する訪問査定の2つがあります。訪問査定の際、担当者はスーツを着用して訪問してくるため、訪問査定の様子が近隣住民の目に触れることで、良からぬ噂を立てられる可能性がないとも言い切れません。

その結果、売却完了までの間に肩身の狭い思いをしたり、近隣住民とのコミュニケーションに支障が出たりすることも考えられます。

一括査定サイトのメリット・デメリット

ここまでお話しした通り、不動産売却を依頼する不動産会社によって対応にはバラつきがあるため、最初のうちは複数の不動産会社に査定依頼をすることが大切です。

そんな時に便利なのが、不動産の一括査定サイトです。ここでは、不動産一括査定サイトのメリットとデメリットについてご紹介します。

メリット

不動産一括査定サイトを活用するメリットは、大きく分けて2つあります。

1つ目のメリットは、一度に複数の不動産会社に査定依頼を送れることです。

一括査定サイトを使用しない場合、1社ごとに物件の情報や個人情報を入力していかなければならず、多くの手間と時間がかかります。一括査定サイトを利用した場合は、一度必要な情報を入力するだけで、複数の不動産会社にまとめて査定依頼を出すことが可能です。各不動産会社への申し込み手続きにかかる手間を大幅に削減でき、仕事や家事で忙しいという方でも、売却活動を手軽にスタートできます。

2つ目のメリットは、複数の不動産会社が出した査定額を、同じ条件で比較できるという点です。

一括査定サイトを使用せず、1社ごとに問い合わせをした場合、査定申し込みの際に入力を求められる項目や査定額の提示方法に違いが出ます。異なる条件下では、不動産会社ごとの強みを見極めることが難しく、結局どこに依頼すればいいのかわからなくなってしまうことも少なくありません。その点一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社を同じ条件で比較でき、本当に自分に合った不動産会社はどこなのか判断しやすくなります。

デメリット

不動産査定に係る手間を大幅にカットできる一括査定サイトですが、利用にあたってはデメリットも理解しておくことが大切です。

一括査定サイトは、一度に複数の不動産会社に査定依頼できる一方で、依頼した不動産会社の数だけやりとりが増える可能性があります。複数者から電話連絡が来たり、査定結果を受け取った後も営業メールが何通も来たりすることもあり、できるだけ少ないやりとりで売却活動を進めたいと思う人にとっては、億劫に感じることもあるでしょう。

また、複数の査定結果の間で金額にバラつきが出た場合に、その査定額が適正価格なのか判断しにくいという点もデメリットの1つです。

一口に不動産会社といっても、得意とするエリアや営業担当者の経験の違いなどによって、査定結果に差が出るケースは珍しくありません。場合によっては数百万円以上の差が出ることもあり、「結局どの不動産会社に依頼したらいいかわからない」という声も多く聞かれます。

複数の査定結果の中から、適正価格や自分に合った不動産会社を見極めるコツこそあるものの、初めて不動産売却を経験する人には難しく感じられる可能性は考えられます。

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不動産の無料査定のトラブルを回避する方法

気軽に依頼できる不動産の無料査定ですが、トラブルが起こる可能性を懸念して、はじめの一歩が踏み出せないという方もいるかもしれません。

しかし、ここまでご紹介したトラブルの例を知っておくことで、トラブル回避のためにできる対策が見えてきます。ここからは、不動産の無料査定でトラブルを回避するために知っておきたい、4つの方法をご紹介します。

査定依頼する前に相場を調べておく

提示された査定額が適正価格かどうかを判断するには、不動産の無料査定を依頼する前に、売主自身も相場を把握しておくことが重要です。

自分で相場を調べる方法としては、不動産のポータルサイトを参照するほか、次の2つのサイトが参考になります。

上記の2つは、過去に取引が行われた物件の成約価格や売買成立時期を、手軽に検索できるウェブサイトです。物件の所在地や最寄り駅だけでなく、広さや築年数、間取り等の個別の情報も含めて検索できるので、売却したい物件に似た条件で、過去の取引情報を確認してみると良いでしょう。

売却の意思・目的を不動産会社に伝える

無料査定後のしつこい営業電話を防ぐためには、査定の目的をはっきり伝えておくことが重要です。

すぐにでも不動産を売却してしまいたい場合は、不動産会社から複数回連絡があっても迷惑に感じないかもしれません。一方で、まだ具体的に売却の予定がない時に営業の電話が多くかかってくると、売却活動自体にネガティブなイメージを抱いてしまうことも考えられます。

もし無料査定を依頼した時点で、具体的な売却予定が未定であれば、その旨をはっきり伝えておきましょう。

マイナス面も伝える

不動産を売却するにあたっては、物件にある不具合や欠陥は隠さずに、必ず担当者に伝えましょう。

不動産取引には、「契約不適合責任」という法律上売主側に課せられる義務があります。これは、物件の引き渡し後に事前に知らされていなかった不具合や欠陥が見つかった際に、売主が買主に対して負うべきとされている責任です。具体的には、売買契約の解除や修理費用請求、損害賠償請求など、大きなトラブルに発展する可能性も考えられます。

特に査定時に伝えておくべき内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 雨漏り
  • 白アリ被害
  • 給排水管からの水漏れ
  • 近隣からの騒音や振動
  • 自殺や事件があったこと

無料査定の時点で欠陥や不具合を伝えなかった場合、後に再度査定を行わなければならず、売却までに余分な時間がかかります。

高く売りたいからといって、これらのマイナス面を隠して無料査定を受けてしまうと、後でより大きなトラブルや損害につながる可能性もあるため、心当たりのある部分は必ず伝えるようにしましょう。

事情がある場合は事前に伝えておく

不動産を売却する理由は人により様々です。中には誰にも知られずに、自宅を手放したいと考えている人も少なくありません。

無料査定前に不動産会社に対して事情を話しておけば、訪問査定の日時を調整してもらえたり、社名の入っていない車で訪問してもらえたりします。

近隣住民に知られたくないなど、特別な事情がある場合は、不動産の無料査定を受ける際に担当者に伝えておくことをおすすめします。

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不動産の売却査定で見るべきポイント

不動産 売却査定 ポイント

できるだけ高く売りたいと考えるのは自然なことですので、複数の査定結果を見比べる際、どうしても査定金額に目が行きがちです。しかし、満足のいく不動産売却を実現するためには、その他の部分にも注意を払う必要があります。ここでご紹介するのは、不動産会社から無料査定の結果を受け取った際に見るべきポイントです。

査定の根拠

上記でご紹介した通り、不動産の無料査定でトラブル要因として特に多いのが、査定金額と実際の売却金額に差が出るということです。

こうしたトラブルを避けるためには、不動産査定を行った不動産会社に対して、どうしてその査定額になったのかという根拠を確認することをおすすめします。

不動産会社は、周辺の類似物件の取引事例や、自社が過去に取り扱った売買実績をもとに査定額を算出します。客観的かつ相対的な根拠に基づいて算出された査定額であれば、相場より高い査定金額であっても、その金額で売れる可能性も考えられます。

高く売りたいからといって高い査定金額に固執してしまうと、思ったように売却活動が進まない原因にもなりかねません。そのため、表面的な金額に惑わされず、冷静に判断することを求められます。

売却戦略

物件をスムーズに売却できるかどうかは、営業担当者が提案する売却戦略に、大きく左右されると言っても過言ではありません。

例えば、マンションを売却する場合、そのまま売り出した方が良いのか、多少コストをかけてでも、ハウスクリーニングやホームステージングなどを利用してイメージアップすべきなのかは、物件の状態や売主が希望する売却条件によっても異なります。

営業担当者が具体的な売却戦略を提案してくれる場合、売却活動に熱心に取り組んでくれる可能性が高いです。

提案された売却戦略が、自分が想像していたものと異なる場合もあるかもしれません。ですが、営業担当者が売主の話をきちんと聞いて、寄り添った提案をしてくれるようであれば、売却を依頼する価値はあると言えるでしょう。

不動産会社のサービス

査定額や売却戦略の他にも、不動産会社が独自に提供しているサービスも比較すべきポイントです。

不動産会社の中には、媒介契約時にホームステージングやハウスクリーニングのサービスを行っている会社もあります。家の売却には様々な費用がかかるため、物件を魅力的に見せる上記のようなサービスを、上手に活用するのはおすすめです。

担当者の専門知識や人間性

不動産の無料査定で起こり得るトラブルを回避するためには、営業担当者を慎重に選ぶことも重要です。

比較するポイントとしては、無料査定の後に執拗に営業電話をかけてこないか、査定の根拠を明確に説明してくれるかどうか、売主の話を熱心に聞いてくれるかどうか、問い合わせに対して迅速に対応してくれるかどうかなどが挙げられます。

不動産の売却完了までには、3ヶ月から6ヶ月かかるのが一般的で、場合によっては1年以上かかることも珍しくありません。長い期間にわたり営業担当者と連携して売却活動を行うことになるため、担当者が信頼できる人物であるかどうかは、不動産の無料査定時に必ずチェックしましょう。

まとめ

不動産の無料査定は、誰でもコストをかけずに物件の価値を知ることができる便利なサービスです。

無料で利用できる分、依頼する不動産会社によっては、多くの営業電話がかかってきたり、周辺相場とかけ離れた査定額を提示してきたりといった、トラブルが起きる可能性は否定できません。

しかし、あらかじめどのようなトラブルが起こり得るのか把握しておき、対策を立てておけば、自分に合った不動産会社をスピーディーに見つけられる点は大きな魅力です。

不動産の無料査定を上手に活用しながら、自分に合った不動産会社を見つけて、納得のいく不動産売却を実現してください。

この記事のポイント

不動産の査定はなぜ無料なのですか?

不動産査定が無料である理由は、不動産会社が報酬を得られるのは、売買契約が成立したときのみというルールがあるためです。

詳しくは「不動産の査定は基本的に無料」をご覧ください。

無料査定で起こりがちなトラブルはどんなものがあるのでしょうか?

しつこく営業されたり、安すぎる、または高すぎる査定額を提示されたりするトラブルがあるようです。どのようなトラブルが起こり得るのかを知っておくと、安心して不動産査定に臨むためのヒントが見えてきます。

詳しくは「不動産の無料査定で起こりがちなトラブル事例」をご覧ください。

トラブルを回避するにはどうしたら良いのでしょうか?

ご紹介したトラブルの例を知っておくことで、トラブル回避のためにできる対策が見えてきます。

詳しくは「不動産の無料査定のトラブルを回避する方法」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

一括査定を利用する際、電話連絡を受けたくない。あるいは仕事などで日中の電話の対応が難しい場合は、備考欄にメールでの連絡を希望する旨をしておくと良いでしょう。それでも電話で連絡してくる不動産会社も中には存在しますが、顧客の要望を汲み取れない不動産会社は、媒介契約を結んでも納得のいく活動ができない可能性が高いです。長期間付き合っていく不動産会社を選ぶ際には、やりとりにストレスを感じない担当者かどうかが重要ということを覚えておきましょう。

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