ざっくり要約!
- 自宅部分の床面積が50%以上であれば、賃貸併用住宅でも住宅ローンを使える場合があります。
- 賃貸併用住宅のデメリットには、空室リスクや管理の手間が挙げられます。
- 賃貸併用住宅は、固定資産税や相続税の負担を抑えられる場合があります。
賃貸併用住宅は、家賃収入で自宅のローンをまかなえる点が大きなメリットです。しかし「自宅のみ」や「賃貸のみ」の建物とは異なる特性から、「賃貸併用住宅はやめとけ」と聞いたことがある人もいるかもしれません。
この記事では、賃貸併用住宅のメリット・デメリットや、後悔しないためのポイントを解説します。賃貸併用住宅を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
記事サマリー
賃貸併用住宅とは?
賃貸併用住宅とは、一つの建物内に自宅部分と賃貸部分が共存する住宅のことです。戸建て住宅の一部を賃貸として提供するものや、アパートやマンションの一部を所有者が住む形など、さまざまな形態があります。
自宅に住みながら家賃収入を得られるため、住宅ローンの返済や将来の安定収入を目指す人に人気があります。
賃貸併用住宅のメリット
賃貸併用住宅を建築・購入するメリットには、主に以下の4つが挙げられます。
- 賃貸収入が得られる
- 広い土地も有効活用できる
- 住宅ローンの利用が可能
- 節税効果がある
それぞれ見ていきましょう。
賃貸収入が得られる
賃貸併用住宅の最大のメリットは、家賃収入を得られることです。例えば、自宅部分に住みながら、賃貸部分の家賃収入を住宅ローンの返済に充てることができます。住宅ローンの負担が大きい場合や将来的な資金計画を考える際に有効です。
また、老後の収入源としても期待でき、年金だけでは不安な場合にも、あると心強いでしょう。
広い土地も有効活用できる
広い土地を所有している場合、賃貸併用住宅を建てることで土地を最大限に活用できます。
土地を自宅のためだけに使うのではなく、余剰スペースを賃貸部分とすることで、収益性のある資産に変えられます。特に市街地や駅近くに位置する場合には、有効な活用方法です。
住宅ローンの利用が可能
賃貸併用住宅を建てる際、条件を満たすことで住宅ローンを利用可能です。通常、賃貸用の不動産を建てる場合は、事業用ローンを組む必要がありますが、賃貸併用住宅には自宅部分があるため、住宅ローンの対象となるのです。
住宅ローンを利用できる条件としては「自宅部分の床面積が建物全体の50%以上」と指定している金融機関が多いです。
住宅ローンは事業用ローンと比べて金利が低く、返済期間も長いため、利用できれば月々の返済負担を軽減できます。
節税効果がある
賃貸併用住宅を建てることで、固定資産税や相続税の負担を抑えられる場合があります。賃貸部分の相続税評価額は、借家権・借地権によって減額されるため、自宅部分よりも安くなります。
また、敷地面積が200m2を超える場合は、戸建住宅よりも賃貸併用住宅を建てたほうが、土地の固定資産税を抑えやすくなります。
200m2までの部分は、小規模住宅用地の特例により課税標準額を6分の1まで抑えられますが、その特例が適用される面積は「住宅1戸につき200m2まで」です。複数戸ある賃貸併用住宅の場合、特例が適用される面積が増え、結果的に固定資産税の節税に繋がる場合があります。
具体的な節税効果は個々の状況によって異なるため、税理士などに相談することをおすすめします。
賃貸併用住宅のデメリット
賃貸併用住宅にはさまざまなメリットがあるものの、以下のデメリットがあるため「やめとけ」と言われることもあります。
- 建築費・取得費が高額になる
- 入居者が入るとは限らない
- 管理の手間がかかる
- 住宅ローン控除が適用されるのは自宅部分のみ
- 売却・相続がしにくい
それぞれ説明していきます。
建築費・取得費が高額になる
賃貸併用住宅は、一般的な戸建て住宅よりも建築費や購入費用が高額になります。賃貸部分に必要な設備や構造の強化、防音対策などの追加コストが発生するためです。
高額な初期投資は、ローン返済の負担増加につながり、家計を圧迫する可能性があります。投資した資金の回収に時間がかかる場合があるため、短期的な収益を期待している人にとってはデメリットとなります。
入居者が入るとは限らない
賃貸併用住宅のリスクの一つは、賃貸部分に空室が生じることです。空室期間が長引くと、家賃収入を見込んでいたローンの返済計画に影響を及ぼすため、キャッシュフローが悪化し、家計に負担が増える恐れがあります。
空室リスクを回避するためには、事前の市場調査や定期的な物件のメンテナンスが不可欠です。
管理の手間がかかる
賃貸併用住宅は、賃貸部分の管理を行う必要があるため、手間がかかります。
たとえば、入居者からのクレーム対応のほか、建物の維持管理、設備の保守点検などの業務が日常的に発生します。オーナーが同じ建物内に住んでいると、入居者からの苦情や注文が直接来ることもあります。
深夜に水漏れが発生した場合は、すぐに対応しなければならず、プライベートな時間を犠牲にすることもあるかもしれません。
住宅ローン控除が適用されるのは自宅部分のみ
賃貸併用住宅を建設する際、住宅ローン控除は自宅部分にのみ適用され、賃貸部分では優遇が受けられません。
また、住宅ローン控除が適用される条件として、自宅部分の床面積が建物全体の2分の1以上であることが挙げられます。そのため、4戸あるうちの1戸を自宅にしているケースでは、自宅部分が4分の1となり、住宅ローン控除は適用されなくなります。
また、控除が適用される場合も、一定の条件を満たす必要があります。
・「住宅ローン控除」に関する記事はこちら 【2024年度版】住宅ローンの控除の条件は?申請方法や注意点まとめ |
売却がしにくい
賃貸併用住宅は、売却の際に問題が発生しやすいです。
賃貸併用住宅としての運用が前提となるため、戸建住宅を購入したい層には敬遠される可能性が高いでしょう。一方、不動産投資を行う人は、自宅併用ではなく賃貸のみの収益物件を探しているケースが多く、買い手が見つかりにくいかもしれません。
後悔せずに賃貸併用住宅に住むにはどうすればいい?
賃貸併用住宅に住む際は、以下のコツを押さえておきましょう。
- しっかりと市場調査・収支シミュレーションする
- 管理方法を検討する
- 「出口」を考えたうえで取得する
それぞれ説明していきます。
しっかりと市場調査・収支シミュレーションする
賃貸併用住宅を取得する際は、市場調査と収支シミュレーションが不可欠です。
市場調査は、周辺エリアの家賃相場や賃貸需要を把握し、適切な家賃設定をするために行います。近隣の施設や交通アクセスなどを調査したうえで物件を選定すれば、空室リスクを軽減できます。
収支シミュレーションでは、ローン返済や修繕費、管理費などを含めた収支バランスを確認し、予期せぬ出費に備えることが重要です。
管理方法を検討する
賃貸併用住宅の管理方法には、自主管理、管理委託、サブリースの3つがあります。
自主管理は、オーナー自身で管理を行う方法です。コスト削減ができますが、時間と労力がかかり、専門知識も必要です。
管理委託は、専門業者に管理を依頼する方法です。管理費用はかかるものの、手間が省けるメリットがあります。
サブリースは、管理会社が物件を借り上げ、入居者に転貸する方法です。空室であってもサブリース会社から家賃が入るため、収入が安定する一方、市場相場より賃料が低くなる可能性があります。
各方法にはメリット・デメリットがあるため、自身の状況や物件の特性に合わせて選択してください。たとえば、多忙な方や遠隔地に物件がある場合は、管理委託やサブリースが適しています。一方、コスト削減を重視する場合は、自主管理が適しているでしょう。
・「賃貸管理」に関する記事はこちら 賃貸管理とは?賃貸管理費・共益費・管理費の違いも説明 |
「出口」を考えたうえで取得する
賃貸併用住宅の運用で後悔しないためには、出口戦略を事前に考えておくことが重要です。出口戦略とは、投資物件を売却する際の計画を指します。
最適なタイミングで売れば収益を最大化できる一方、時期を誤ると売却による損失が生じるリスクもあります。そのため、投資物件を購入するときから、出口を計画しておく必要があります。
まとめ
賃貸併用住宅は、家賃収入が得られる点が大きなメリットです。土地の有効活用や節税に繋がるケースもあるでしょう。
しかし、空室リスクや管理の手間が心配な方もいるかもしれません。その場合には、自らすべてを管理する自主管理方式ではなく、専門業者に管理を任せられる管理委託やサブリースをおすすめします。
東急リバブルでは、不動産のプロがお客様のご相談にお応えしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
この記事のポイント
- 賃貸併用住宅のメリットはなんですか?
賃貸併用住宅を建築・購入するメリットには、「賃貸収入が得られる」「広い土地も有効活用できる」等が挙げられます。
詳しくは「賃貸併用住宅のメリット」をご覧ください。
- 賃貸併用住宅のデメリットはなんですか?
賃貸併用住宅には「建築費・取得費が高額になる」「入居者が入るとは限らない」「管理の手間がかかる」等のデメリットがあります。
詳しくは「賃貸併用住宅のデメリット」をご覧ください。
- 賃貸併用住宅を建てる前に考えておいた方が良いことはありますか?
賃貸併用住宅を建てる前には「しっかりと市場調査・収支シミュレーションする」「管理方法を検討する」等しっかりと考えておくことが重要です。
詳しくは「後悔せずに賃貸併用住宅に住むにはどうすればいい?」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
収益を大きくしたい場合には自主管理が向いていますが、賃貸物件を初めて運営する場合には管理委託がおすすめです。管理にかかる時間や手間を削減しながら、プロのノウハウを学べます。
入居者募集に力を入れる不動産会社なら、空室リスクも抑えられるでしょう。また、日々の清掃をおまかせすることで快適な環境を維持できれば、退去者を減らすことにもつながります。
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