ざっくり要約!
- 転勤が決まった際、持ち家を売却するか維持するか悩む人が多い
- 転勤期間が不確定だったり、将来的に再び住む可能性がある場合は、慎重に検討する必要がある
- 転勤が決まったら、持ち家を売る場合と、売らずに残す場合のメリットとデメリットについて把握して最適な選択をすべき
持ち家があるにもかかわらず、突然転勤が決まったらどうするべきか悩む方も多いでしょう。住み慣れた家を手放すべきか、それとも賃貸に出して残すべきか、判断に迷うところです。
特に、転勤期間が決まっていない場合や、将来また住む可能性がある場合は、より慎重な検討が必要となるでしょう。
この記事では、持ち家を転勤になっても売らずに残すメリットやデメリット、転勤中の管理方法や注意点について、状況別に詳しく解説していきます。転勤というライフイベントに直面した際に、持ち家をどう扱うかについての選択肢を知り、最適な決断をするための参考にしてください。
記事サマリー
転勤が決まったら何をするべき?
家族の意思や状況をヒアリングする
転勤が長期にわたる場合、家族全体の生活に大きな影響を与えるため、家族の意思を確認することは非常に重要です。特にお子さんがいる場合は、転校や進学、生活環境の変化についても慎重に考える必要があります。子どもの学校の選択肢や、進学に影響がないかも確認しましょう。
また、配偶者の仕事や家族全員の住みたい場所に対する希望も重要なポイントです。家族一人ひとりの意見や考えを尊重し、転勤に伴う生活の変化をどのように受け止めているかを把握しておくと、持ち家の扱いや住まいの選択をよりスムーズに進めることができます。
転勤する場所や期間などを把握する
転勤先の詳細を確認することは、生活の計画を立てる上で欠かせません。具体的にどこに転勤するのか、転勤の期間はどれくらいなのかを会社に確認しましょう。転勤期間が短期の場合と長期にわたる場合では、持ち家をどうするかの判断が異なることがあります。
たとえば、1年未満の短期転勤であれば、持ち家をそのままにしておくことも考えられますが、数年単位の長期転勤であれば賃貸や売却などの選択肢も視野に入れる必要があります。まずは転勤の期間や勤務地の詳細をしっかりと確認し、家族全体でどう対応するか考えましょう。
住宅補助制度や社宅が利用できるかチェック
転勤が決まった際、まず確認しておくべきことの1つは会社の住宅補助制度や社宅制度の有無です。多くの企業では、転勤者向けにさまざまな補助制度を用意している場合があります。たとえば、転勤先に社宅がある場合は家族ごと引っ越すか、単身赴任を選ぶかの選択肢が広がります。
また、社宅がない場合でも家賃補助を利用できることがあります。家賃の一部や、単身赴任の場合は全額を会社が負担する制度がある会社も少なくありません。さらに、持ち家がある場合は、住宅ローンの残債を会社が借り上げてくれる制度を提供している企業もあります。転勤に関わる経済的なサポートは、生活設計に大きく影響するため、必ず会社に確認しておくべきポイントです。
住宅ローンの残債がいくらか確認する
持ち家をどうするか決める際に、最初に確認しておきたいのは住宅ローンの残債です。賃貸に出すか、売却するかを考える際にも、残債の額が大きな影響を与えます。また、会社の借り上げ制度を利用する場合でも、残債の確認は必要です。
転勤が決まったら、すぐにローンの詳細を把握し、将来の住まいの選択肢を明確にしましょう。ローンの返済額や残りの期間を確認し、今後の家計にどのような影響を与えるかも考慮した上で、持ち家の扱いを検討してください。
持ち家をどうするかを決める
転勤時に最も大きな課題となるのが、現在の持ち家をどうするかという問題です。持ち家を残すか売却するか、または賃貸に出すかなど、複数の選択肢があります。ここでは、その主な選択肢についてご紹介します。
売却する
転勤が長期にわたる場合、持ち家を売却するという選択肢もあります。特に住宅ローンの残債が多い場合や、今後その家に住む予定がない場合は売却が適しているでしょう。ただし、売却には時間がかかることもあるため、早めの計画が重要です。
賃貸にする
持ち家を賃貸に出すことで、転勤中も収益を得ることができます。家賃収入が住宅ローンの返済に充てられる場合もあるため、財政的に有利な場合があります。ただし、入居者の募集や契約手続き、メンテナンスなどの手間も発生するため、不動産会社に管理を依頼することも検討しましょう。
親族に管理を頼む
もし親族が近くに住んでいる場合は、家の管理を頼むことも一つの選択肢です。賃貸や売却の手続きを取らずに家を維持できるため、将来また住む可能性がある場合には便利です。ただし、親族に頼む際は、管理の負担がかかりすぎないように注意が必要です。
空き家管理を委託する
一時的に転勤で家を離れる場合、空き家管理サービスを利用するのも一つの方法です。空き家を放置すると、家が劣化したり、近隣に迷惑をかけることもあります。空き家管理サービスを利用すれば、定期的な点検や清掃などをプロに任せることができ、家の状態を良好に保つことができます。
単身赴任をする
転勤が短期であり、家族が引っ越しを望まない場合は、単身赴任を選択することも考えられます。この場合、家族は現在の家に住み続け、転勤期間が終われば戻ることができます。ただし、単身赴任には生活費が増加するデメリットもあるため、慎重に判断しましょう。
どの選択肢にもメリットとデメリットがあるため、家族とよく話し合いながら、持ち家の扱いを決めてください。次の章では、各選択肢のメリット・デメリットや注意点などをさらに詳しく解説していきます。
転勤が決まった際に持ち家をどうする?5つの方法のメリット・デメリットや注意点まとめ
①持ち家を転勤で「売却」する場合
メリット
維持管理から解放される
持ち家を売却する最大のメリットは、維持管理の負担から解放されることです。転勤で家を離れる場合、物件を管理するために費用や手間がかかることがあります。売却すれば、これらの負担をなくし、空き家管理や固定資産税の心配も不要になります。
売却収入が得られる
売却すれば、その資金を転勤先での新しい住居購入や、その他の資産運用に充てることができます。特に、転勤が長期にわたる場合は、持ち家を維持し続けるよりも、早期に現金化することで資金を有効に活用できるでしょう。
転勤期間の変更に柔軟に対応できる
転勤期間が予想外に長引いた場合、持ち家を保持していると、その間の管理や家賃収入に頼るしかなくなります。しかし、売却してしまえば、転勤期間に左右されることなく、新しい住まいを自由に選ぶことができ、ライフプランを柔軟に対応させることが可能です。
デメリット
売却や購入の諸費用が発生する
持ち家を売却する際には、不動産仲介手数料や引渡しにかかる諸費用が発生します。また、売却後に新しい家を購入する場合も、購入に伴う諸費用が必要になります。これらの費用は売却金額の一部を消費してしまうため、売却前にしっかりと資金計画を立てる必要があります。
再び家を探さなければならない
持ち家を売却すると、転勤先から戻ってきたときに再び住む家を探さなければなりません。もし転勤が終わり再び元のエリアに住むことになった場合、理想の物件が見つかるかどうかは不確定です。再度不動産購入の手続きをする手間も考慮しなければなりません。
オーバーローンだと売却しにくい
住宅ローンの残債が売却価格を上回っている状態(オーバーローン)では、持ち家を売却することが難しくなります。この場合、ローンの残債を完済するために自己資金を用意する必要があり、売却がスムーズに進まないことがあります。売却前にローンの状況を確認し、対応策を検討することが重要です。
注意点
引越し後に内覧募集を設定するのがおすすめ
転勤で家を売却する際は、引越し後に内覧募集を設定するのが理想的です。引越し後の空室状態であれば、部屋をきれいに保つことができ、内覧希望者に対して物件の魅力を最大限に伝えることができます。売却活動中に物件が空いていることで、不動産会社が内覧対応をスムーズに行うことも可能です。
転勤前に売却を急ぐと、生活しながら内覧対応をしなければならず、生活感が出てしまい購入希望者に物件の良さが伝わりにくくなることがあります。また、内覧希望者が来るたびに家を片付ける必要があるため、ストレスがかかることも考慮しましょう。
鍵は不動産会社に預けて管理してもらう
引越後に物件を売却する場合、鍵を不動産会社に預け、内覧や管理を全て一任することが一般的です。これにより、遠方にいる間でも安心して売却活動を進めることができます。売買契約や物件の引渡しが決まった際には現地に戻る必要がありますが、それまでの内覧対応や掃除などの手間が省けるため、引越後に売却する方がスムーズです。
余裕を持った売却計画を立てる
売却は急いで行うものではなく、余裕を持って計画を立てることが大切です。特に転勤が決まったら、引越の準備と並行して売却手続きを進めるため、早めに不動産会社と相談し、スケジュールを組んでおきましょう。焦らず、時間に余裕を持った売却計画を立てることで、希望の条件でスムーズに売却を進めることができます。
②持ち家を転勤で「賃貸」する場合
メリット
賃料収入が入る
転勤中に持ち家を賃貸に出すことで、安定した賃料収入を得ることができます。特に住宅ローンを返済中の方にとっては、賃料収入をそのままローン返済に充てることができるため、経済的な負担を軽減することができます。また、転勤が長期間になる場合、家を手放さずに収益を得られる点は大きなメリットです。ただし、住宅ローンは本来「自己居住用物件の購入」に使途を限定しているため、転勤期間中の賃貸を検討する際は必ず借入先の金融機関へ相談しましょう。
建物維持も兼ねることができる
家を空き家として放置してしまうと、風通しが悪くなり建物や設備の劣化が早まることがあります。しかし、賃貸に出して入居者が住んでいれば、建物が使われるため、設備の故障や劣化を防ぐことができます。
コストを最小限に抑えられる
賃貸に出すことで、固定資産税や維持管理費などの負担を賃料で補填することができます。特に、長期的に転勤する場合、家を放置するよりも賃貸として運用することで、費用面での負担を軽減しながら持ち家を維持することが可能です。
デメリット
他人に家を使われる
賃貸に出すということは、他人が自分の家に住むことを意味します。入居者がどのように家を使うかが気になる方も多いでしょう。特に、設備や内装にダメージを受けるリスクがあるため、入居者の選定には注意が必要です。また、転勤後に戻ってきた際に家が期待通りの状態ではない可能性もあります。
途中で売却しにくい
一度賃貸に出してしまうと、その期間中も売却可能ですが、対象は一般的に投資目的の買主に限定され、価格に対してシビアになる可能性が高くなります。そのため、相場よりも安い価格になるケースも多い点がデメリットです。
また、賃貸中のため内覧が困難になることも多く、通常よりも売却しづらくなることを想定しなければなりません。
転勤期間の変更に柔軟に対応しにくい
転勤期間が想定以上に短くなったり、急に転勤先から戻ることになった場合でも、賃貸契約があるとすぐに自分の家に戻れない可能性があります。特に普通借家契約を結んでいる場合、入居者が退去しない限り、自分で家を再び利用することができません。
注意点
転勤で期限が決まっている場合、入居者との賃貸借契約は「定期借家契約」を選択することが重要です。定期借家契約は、契約期間終了時に入居者が必ず退去しなければならない契約ですので、転勤が終わったタイミングで確実に家が手元に戻ります。一方、「普通借家契約」は契約が自動的に更新されることが多いため、退去を強制することが難しく、戻ってきた際に家を利用できない可能性があるため、注意が必要です。
ただし、定期借家契約は入居者にとって入居できる期間が限られるため、賃料が市場相場よりも安くなることが一般的です。そのため、定期借家契約で賃貸に出す際には、高い賃料で貸すことが難しいことを理解しておく必要があります。賃貸条件を慎重に設定し、最適な契約方法を選ぶことが、転勤中の持ち家管理における成功の鍵です。
③転勤のため持ち家の「空き家管理を親族に委託」する場合
メリット
他人に使われなくて済む
持ち家をに出すことなく、親族に管理を任せることで、他人が自宅を使用することを避けられます。自分の家に誰が住むかが気になる場合や、家具賃貸や内装をそのまま維持したい場合には、この方法が安心です。賃貸に出すことで生じる内装や設備のダメージのリスクも防ぐことができます。
転勤期限の変更に柔軟に対応できる
転勤が短期で済んだり、急に帰任することになった場合でも、親族に管理を任せているなら、すぐに家に戻ることが可能です。賃貸契約を結んでいないため、契約期間の縛りがなく、転勤期間の変動にも柔軟に対応しやすいというメリットがあります。
コストや依頼内容に融通が利く
親族に管理を依頼する場合、プロの空き家管理業者に比べて、コストが抑えられることが多いです。また、管理内容についても親しい間柄であるため、希望する管理内容や頻度に応じて柔軟に対応してもらえることが期待できます。親族との信頼関係を基に、柔軟なやりとりが可能です。
デメリット
頼める人がいない場合がある
空き家管理を任せられる親族が必ずしも近くに住んでいるとは限りません。遠方に住んでいる親族に頻繁な管理を依頼するのは現実的ではないため、頼める人がいないというケースも考えられます。家族の状況に応じて、代替案を検討する必要がある場合もあるでしょう。
管理が素人任せになる
親族に管理を依頼する場合、空き家管理のプロではないため、適切な管理が行われない可能性があります。建物や設備の細かなメンテナンスやトラブル対応については、専門知識が必要になることもあり、素人の親族では気付かないまま建物が劣化してしまうリスクもあります。
賃料収入がないためローン返済等の負担が重くなる
持ち家を賃貸に出さないため、当然ながら賃料収入は発生しません。ローンが残っている場合、その返済負担が転勤中も継続します。さらに、光熱費や固定資産税などの維持費もかかるため、経済的な負担が大きくなる点には注意が必要です。十分な資金計画を立てておくことが重要です。
注意点
親族に空き家管理を依頼する場合、明確な管理指示を出すことが大切です。親族は空き家管理の専門家ではないため、定期的にどのような点に注意してほしいかを具体的に伝える必要があります。
特に、親が戸建てしか住んだことがない場合にマンションの管理を頼んだり、逆にマンションしか住んだことがない場合に戸建ての管理を依頼するケースでは注意が必要です。住んだ経験がない物件の管理は、重要なポイントを見落としてしまう可能性があるため、事前にどの箇所を確認すべきか具体的に説明しましょう。
④転勤のため持ち家の「空き家管理を業者に委託」する場合
メリット
他人に使われなくて済む
自宅を賃貸に出す場合、他人が住むことになりますが、空き家管理を業者に任せれば、家を他人に貸す必要がありません。自分の家を他人に使わせたくない場合、家をそのまま維持できる点は大きな利点です。
転勤期間の変更に柔軟に対応できる
転勤期間が延長や短縮された場合、すぐに家に戻る必要があっても、空き家管理をしている状態なら対応が簡単です。賃貸に出していると契約の問題で急に戻ることは難しいですが、業者への管理委託なら家はいつでも自分のものとして使えます。
身近に頼める人がいなくてもプロに任せることができる
実家の近くに頼れる家族や友人がいない場合でも、空き家管理業者に依頼すればプロが定期的に家のチェックや管理を行ってくれるので安心です。業者に頼むことで、転勤先でも安心して暮らすことができます。
デメリット
管理委託のコストが発生する
空き家管理を業者に依頼すると、そのサービスには当然費用がかかります。定期的な清掃や点検などの管理メニューに応じてコストがかさむことがあり、毎月の出費として負担になります。
管理メニューに融通が利きにくい
業者によって提供される管理メニューはあらかじめ決められていることが多く、個別のニーズに対応できない場合があります。例えば、庭の手入れや特定の時期に集中した管理など、細かい要望には応じられないこともあります。
賃料収入がないためローン返済等の負担が重くなる
家を賃貸に出せば賃料収入が得られますが、空き家管理では収入が発生しません。そのため、ローンの返済や維持費の負担に加えて、管理委託のコストがかかるため、経済的な負担が大きくなる点には注意が必要です。
注意点
空き家にしておいて後から「やっぱり売却したい」と考えるケースもあるでしょう。しかし、転居してから3年後の12月31日を過ぎて売却すると、税金面での特例が使えなくなることがあるため、注意が必要です。
持ち家を売却するときには「譲渡所得」を計算します。これは以下の計算式に基づきます。
譲渡所得 = 譲渡価額(売却額) − 取得費(購入時の価格) − 譲渡費用(売却時の手数料等)
譲渡所得がプラスになると「譲渡益」、マイナスになると「譲渡損」と呼ばれ、それぞれに税制上の特例があります。
譲渡益が発生した場合の特例
譲渡益が生じた場合、代表的な特例の一つに「3,000万円の特別控除」があります。これにより、譲渡所得が大幅に減少し、多くの場合は課税対象がなくなります。所有期間が10年を超える場合にはさらに軽減税率が適用され、売却による利益が少ない場合でも節税効果が高まります。
譲渡損が発生した場合の特例
譲渡損が発生した場合は「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算および繰越控除」という特例が利用できます。これにより、損失を3年間にわたり他の所得と通算し、所得税の還付を受けることができます。つまり、持ち家を売却して損をした場合でも、税金を減らすことが可能です。
空き家管理と売却のタイミング
特例を適用するためには、持ち家が「居住用財産」として扱われる必要があります。これは「転居してから3年後の12月31日までに売却すること」が条件です。もし、転勤のために持ち家を空き家にして管理委託している場合、売却するタイミングに注意が必要です。この期間を過ぎると、税金の特例が使えなくなるため、売却を考えているのであれば早めの行動が求められます。
⑤転勤のため持ち家はそのままで「単身赴任」する場合
メリット
残された家族の生活環境を変えなくて済む
単身赴任を選ぶと、家族は住み慣れた環境で生活を続けられます。子どもが学校や友達との生活を維持でき、妻も地域のコミュニティから離れずに済むため、家族にかかる心理的な負担を減らせます。
管理面を気にする必要がない
持ち家に家族が住み続けるため、空き家になる心配がありません。誰かが住んでいることで、家の管理も通常通り行われ、空き家による劣化や防犯の心配をする必要がなくなります。
住宅ローン控除が継続できる
単身赴任をしても、家族が持ち家に住んでいれば、住宅ローン控除の適用を継続することができます。ローン返済を行っている方にとっては、この控除があることで毎年の税金負担が軽減され、経済的なメリットを享受し続けることができます。
デメリット
家族が離れ離れとなる
単身赴任では、家族と一緒に暮らせなくなります。特に子どもとの時間が減り、家族全体の絆に影響を与える可能性があります。夫婦間でも距離ができることで、コミュニケーションの不足や孤独感を感じることがあるかもしれません。
家具や移動費、食費等の経済的負担が増える
単身赴任先での生活は新たな家具の購入や食費、そして家族のもとに帰省するための交通費など、生活費が二重にかかることがあります。特に頻繁に家族と会うための移動費は大きな負担となることがあります。
精神的に合わない人もいる
単身赴任に慣れない場合、精神的なストレスが増すことがあります。家族と離れて一人で暮らすことに孤独を感じる人や、家族との距離を心理的に辛く感じる人にとっては、単身赴任は精神的に厳しい選択肢かもしれません。
注意点
住宅ローン控除の継続に関する注意事項
単身赴任中も住宅ローン控除が適用されるためには、家族が持ち家に住み続けることが条件となります。単身赴任者本人の住民票は赴任先に移しても問題ありませんが、家族の住民票は持ち家の住所に残しておく必要があります。家族全員が引越してしまうと、その時点で住宅ローン控除が適用されなくなるため、注意が必要です。
もし、家族全員が引越しした後に家に戻ってきたとしても、再度住宅ローン控除を受けるには、控除期間内であることが条件です。控除期間は基本的に10年間(場合によっては13年間)となっており、その期間内に再び居住することが必要です。また、控除期間は引越しや賃貸利用によって延長されることはないため、家族が家を離れている期間は無駄にならないように注意が必要です。
さらに、家族全員が転居している間に家を他人に貸す場合、その年の翌年からでないと住宅ローン控除が再開できません。これは、家を賃貸に出している間は控除が適用されないためで、その間に適用されるはずだった控除は失われてしまいます。したがって、持ち家を他人に貸さない方が、税制上は有利となります。
単身赴任が最適な場合
住宅ローン控除をフルに活用したい場合、単身赴任を選んで家族が持ち家に住み続けるのが最も得策です。家族が引越しして控除が中断されることを避け、最大限の控除を受けるためには、ご主人だけが単身で赴任するのがポイントとなります。
このように、単身赴任は家族との生活環境を守りながら、住宅ローン控除を最大限に活用することができる方法です。ただし、家族と離れて暮らすことでの精神的な負担や、二重の生活費が増えることも考慮し、家族全体で慎重に検討することが重要です。
・「家を貸すメリットとデメリット」に関する記事はこちら
家を貸すメリットとデメリットは?手順や注意点とともに解説
転勤で持ち家の売却を成功させるコツ
売却が得意な不動産会社を選ぶ
不動産会社によって得意分野が異なります。転勤による売却では、売却実績が豊富で信頼できる会社を選ぶことが重要です。
近隣の空き家の相場を把握する
周辺地域の空き家の売却相場を知っておくと、適正な売却価格を設定しやすくなります。価格設定は売却のスピードにも影響します。
複数の不動産会社に査定してもらう
一社だけではなく、複数の不動産会社に査定を依頼し、比較することで、最適な価格や条件を見極めやすくなります。
転勤で持ち家の賃貸を成功させるコツ
「定期借家契約」で賃貸する
転勤後に自宅に戻る予定がある場合は、「定期借家契約」を利用すると、契約期間が終了後、確実に自宅に戻ることができます。
賃貸でかかる経費を知っておく
賃貸には、管理費や修繕費などの経費がかかります。これらを事前に把握し、家賃収入と費用をしっかり計算することが大切です。
空き家管理の実績ある管理会社に委託する
信頼できる管理会社に委託することで、空き家管理や入居者対応がスムーズになり、賃貸運営が安心して行えます。
転勤で空き家になる持ち家の管理を成功させるコツ
空き家を所有する際の注意点を熟知する
「特定空き家」に指定されないように管理を行う
定期的に手入れを行い、放置しないようにすることで、特定空き家に指定されるリスクを防ぎましょう。
「住宅火災保険」の対象外になるので注意する
空き家は通常の住宅火災保険の対象外になるため、別途保険の見直しや加入が必要です。
空き家を所有する場合にかかるコストを知っておく
固定資産税
空き家でも所有している限り、固定資産税がかかります。
電気代や水道代など
空き家の維持には、最低限の電気代や水道代が発生します。
各種保険費用
空き家に適用される火災保険や地震保険など、保険費用も考慮が必要です。
都市計画税
所有する土地に対して、都市計画税も引き続き発生します。
管理委託費用
空き家の管理を業者に委託する場合、定期的な清掃や点検にかかる費用が発生します。これらの費用を事前に確認し、予算に組み込むことが大切です。
まとめ
転勤が決まった際、持ち家をどうするかは多くの人にとって悩ましい問題です。持ち家を売却するか、それとも賃貸に出して維持するか、またはそのまま管理しておくか、状況に応じた判断が求められます。
この記事では、持ち家を売らずに残す場合のメリットとデメリット、また、転勤中の管理方法や注意点を状況別にわかりやすく解説してきました。
将来の再利用を考える場合や、転勤期間が未定の場合にも役立つ情報を提供し、転勤に際して最適な選択をするための参考にしていただける内容となっていますので、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- 転勤が決まったら何から始めれば良いか?
家族の意思や状況をヒアリング、転勤する場所や期間を把握、住宅補助制度や社宅が利用できるかチェック、住宅ローンの残債がいくらか確認などを行なった上で、持ち家をどうするかを決めましょう。
詳しくは「転勤が決まったら何をするべき?」をご覧ください。
- 転勤が決まった場合、持ち家をどうするのがベスト?
転勤が決まった場合、持ち家については、売却、賃貸、親族に管理依頼、空き家管理業者に委託、単身赴任のいずれかの方法を選んで、家を売るか、維持するかを決定します。
詳しいメリット・デメリットや注意点は「転勤が決まった際に持ち家をどうする?5つの方法のメリット・デメリットや注意点まとめ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
転勤で持ち家をどうするか悩んでいる方は、将来の住み替えや転勤期間の不確定性を考慮して、家を売却せずに賃貸に出したり、管理を委託する選択肢を検討しましょう。特に、再び住む可能性がある場合や短期転勤の場合は、手放すよりも家を保有する方が長期的にメリットが大きくなることがあります。状況に応じて最適な選択をすることが、後々の後悔を減らす鍵です。
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