ざっくり要約!
- 賃貸住宅は、不動産仲介会社を通さず大家さんと直接契約できる
- 直接契約は仲介手数料が不要というメリットがある一方で、手続きやトラブル対応の負担、物件選びの制限といったデメリットがある
- 初期費用を抑える方法として、敷金礼金なしの物件やフリーレント付き物件を選ぶ、閑散期に物件を探すなどの工夫が有効
賃貸住宅を借りる際、大家さんと直接契約できれば、仲介手数料を節約できると考える方も多いでしょう。しかし、実際には大家さんと直接契約ができるケースは限られており、さらに契約にはさまざまなリスクも伴います。
本記事では、直接契約のメリットとデメリットを解説しつつ、不動産仲介会社を利用しなくても初期費用を抑えるための具体的な方法もご紹介します。
記事サマリー
大家さんから直接賃貸住宅を借りることは可能!
結論からいえば、賃貸物件を不動産仲介会社を通さずに大家さんと直接契約することは可能です。賃貸物件の契約は、一般的に仲介会社を通じて行われるのが一般的です。しかし、不動産仲介会社を通して物件を契約すると、家賃の1ヶ月分程度の仲介手数料がかかります。そのため、仲介会社を介さずに契約することで、費用を抑えたいと考える方も少なくありません。
「不動産会社を使わずに契約してもいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、法律上、不動産会社を必ず利用しなければならないという規定はありません。つまり、貸主と借主の双方が合意すれば、直接契約することも可能ということです。
直接契約の大きなメリットは、仲介手数料が不要という点にあります。新生活を始める際には敷金・礼金、前家賃、引越し費用、さらに家具や家電の購入費など、多くの出費が発生します。そのため、仲介手数料を節約できることは大きな魅力と感じられるかもしれません。
賃貸借契約における不動産仲介会社の役割

大家さんから直接賃貸することができるとはいえ、不動産仲介会社は賃貸物件の契約において欠かせない存在です。主な業務としては、物件の紹介・案内、条件の調整、契約手続きなどがあり、借主と大家の間をつなぐ役割を担っています。
物件の紹介・案内
不動産仲介会社の1つ目の役割は、賃貸物件の紹介と内見の案内です。
まず、借主が希望する条件をヒアリングします。間取りや家賃、周辺環境、管理費用など、借主が重視するポイントを細かく確認し、豊富な物件情報から条件に合う候補を提案します。
借主が関心を持った物件があれば、大家や管理会社と日程を調整し、内見の案内を行うのも不動産会社の役割です。内見の際には、設備の状況や注意点について詳しく説明することで、借主が安心して物件を契約できるようサポートします。
契約条件の調整
借主から物件に対して申し込みが入った際、大家さんと借主の間に入って、契約条件の調整を行うのも不動産仲介会社の大きな役割の1つです。
例えば、借主から家賃を値下げしてほしいと希望があった場合、大家さん側に借主の希望を伝えつつ、双方が納得いくように金額を交渉します。また、入居時期の調整が必要な場面では、前の入居者の退去や清掃・修繕のスケジュールを考慮し、借主と大家双方が無理のない日程で入居できるようサポートします。
支払い方法や契約期間といった細かい条件も、借主の状況に応じて不動産仲介会社が柔軟に対応してくれるため、自分で交渉を進める場合に比べて負担が大幅に軽減されます
契約手続き
大家と借主の間で契約条件がまとまると、不動産仲介会社の主導で契約手続きを進めます。
契約手続きでも、不動産仲介会社が幅広い業務を担当します。具体的には、重要事項説明書や賃貸借契約書の作成、借主への物件情報や契約内容の説明、契約金のとりまとめ、契約開始時の鍵の受け渡しなどがあります。
特に重要事項説明書や賃貸借契約書には、契約にあたって理解しておくべき重要な事項や法律的な注意点、物件の詳細が記載されています。不動産仲介会社が専門的な知識を活かしてサポートすることで、借主と大家の双方が安心して契約を進めることができます。
さらに、物件の契約時には、電気・ガス・水道などライフラインの開始手続きについて案内も行うため、借主は新生活の準備をスムーズに進められます。
・「賃貸借」に関する記事はこちら
賃貸借とは?契約書の電子化のメリットやインボイス制度との関連も
大家さんと直接契約する場合のデメリットと注意点
法律上は認められている大家さんとの直接契約ですが、不動産仲介会社を通さずに物件を借りる場合には、いくつかのデメリットと注意点があります。
手続きに手間と時間がかかる
仲介会社を利用しない場合、物件探しから契約手続きまで、すべてを自分で対応しなければなりません。
物件探しで「礼金無料」「ペット可」「フリーレント」など希望の条件がある場合は、希望に合った物件を見つけるには手間も時間もかかることを念頭に置いておく必要があります。さらに、直接契約では契約書をはじめとした書類も自分たちで作成・確認する必要があり、専門的な用語に戸惑うことも少なくないはずです。
不動産仲介会社を利用すれば、これらの手続きを任せることができるだけでなく、希望条件に合った物件を効率よく提案してもらえるため、大幅に負担を減らすことが可能です。
物件・契約のリスクを見落とす可能性がある
直接契約では、物件や契約内容に潜むリスクを見落とす可能性がある点に注意が必要です。
大家さんは物件の印象を良く見せるため、欠陥やマイナス面を自ら伝えない場合があります。
その結果、物件に隠れた問題があったり、家賃が市場相場より割高だったりしても、気づかないまま契約を結んでしまうリスクがあります。多くの借主にとって、物件の隠れた欠陥を見極めたり、契約上のリスクを想定したりするのは難しいのが現実です。
その点、不動産仲介会社を利用すれば、専門知識を持つ担当者が公平な立場で物件の良し悪しを説明してくれます。また、家賃が相場に合っているかどうかについてもアドバイスを受けられるため、安心して契約を進められるでしょう。
条件交渉も自分で行う
直接契約の場合、家賃や入居時期、敷金・礼金の有無など、すべての条件交渉を自分で進める必要があります。特に家賃交渉では、相場を正確に把握していないと、大家さんに適切な提案ができず、話がまとまらないことがあります。入居時期の調整でも、退去後の清掃や修繕のスケジュールを考慮する必要があり、自分だけで対応するのは難しいでしょう。
こうした交渉は、不動産仲介会社に任せるのが安心です。仲介会社は市場の動向に詳しく、借主と大家の両方が納得できる条件を引き出してくれます。また、細かなスケジュール調整なども代行してくれるため、借主の負担が軽くなり、契約もスムーズに進みます。
・「家賃交渉」に関する記事はこちら
家賃交渉の相場やタイミングは?入居中・更新時のコツを紹介
トラブル対応が困難
契約後にトラブルが発生した場合、直接契約では大家さんや他の住人とのやり取りをすべて自分で対応しなければなりません。
例えば、物件の設備が壊れたときや、隣人とのトラブルが起きたときに、うまく交渉できないと関係が悪化し、住みづらくなることがあります。特に感情的な対立が起きると、話し合いが難航し、解決まで時間がかかる場合もあります。
一方で、不動産仲介会社を利用していれば、第三者として冷静に仲裁してくれるため、トラブルをスムーズに解決できることが多いです。さらに、契約や法律の専門知識を活かして、借主の不安や疑問に丁寧に答えてくれる点も大きな安心材料です。
物件の選択肢が狭まる
直接契約を希望する大家さんは少ないため、選べる物件の数が限られてしまいます。特に「礼金無料」「ペット可」「駅近」などの具体的な希望条件がある場合、それに合う物件を見つけるのは難しいことが多いです。
また、直接契約では大家さん自身が物件の管理や募集を行っていることが多く、広告や物件情報サイトに掲載されている物件も少ないのが現状です。
一方、不動産仲介会社を利用すれば、広いネットワークを活用して希望条件に合う物件を効率よく探せます。自分では見つけにくい物件も含め、多くの選択肢を提案してもらえるのが大きなメリットです。
大家さんと直接契約せずに初期費用を抑えるには?
大家さんと直接契約する以外にも、物件を借りる際の初期費用を抑える方法はあります。以下では、仲介手数料以外の部分で初期費用を抑える方法を3つご紹介します。
敷金や礼金がゼロの物件を選ぶ
敷金は「原状回復や家賃滞納時の保証として預けるお金」、礼金は「部屋を貸してくれたお礼として大家さんに支払うお金」を指します。これらが不要な物件を選ぶことで、初期費用を大幅に抑えられます。
「敷金なし」「礼金なし」の物件は、賃貸情報サイトで条件を絞り込んで検索するか、不動産会社に相談して探すことが可能です。ただし、このような物件の中には、人気が低い物件や家賃が相場より高く設定されているものも含まれている場合があるため、契約前にしっかり確認することが大切です。
・「敷金礼金」に関する記事はこちら
敷金礼金とは?賃貸物件の入居時にかかる初期費用や退去時の費用もあわせて解説!
フリーレントの期間がある物件を選ぶ
フリーレント物件とは、入居後の一定期間、家賃が無料になる物件のことです。無料期間は1~2ヶ月が一般的です。
フリーレント物件を探す際は、賃貸情報サイトで「フリーレント」を条件に加えて検索するといいでしょう。ただし、無料期間終了後に一定期間の入居が義務付けられるなど、契約に特定の条件が付いていることもあるため注意が必要です。
閑散期に物件探しする
不動産業界には「繁忙期」と「閑散期」があります。1~3月の繁忙期に比べ、7~8月の閑散期は引っ越し需要が少なく、空室が増える傾向があります。
閑散期は大家さんも空室を早く埋めたいと考えているため、契約条件の交渉がしやすくなるのが特徴です。家賃を減額してもらえたり、敷金や礼金をなくしてもらえたりする可能性もあります。
引っ越し時期にこだわりがないようであれば、閑散期を狙うのは有効な選択肢の1つと言えます。
まとめ
大家さんと直接契約することは可能ですが、必ずしもリスクのない選択とは限りません。手続きや条件交渉の負担、トラブル時の対応、物件選択肢の制限といったデメリットを考慮する必要があります。一方、不動産仲介会社を利用すれば、豊富な物件情報や専門的なサポートを受けられるため、安心して契約を進められるのがメリットです。また、初期費用を抑えたい場合には、敷金礼金なしやフリーレント付き物件を検討する、閑散期に物件探しを行うといった方法も有効です。自分に合った選択を見極めましょう。
この記事のポイント
- 大家と直接賃貸住宅の契約をすることは可能でしょうか?
賃貸物件を不動産仲介会社を通さずに大家さんと直接契約することは可能です。
詳しくは「大家さんから直接賃貸住宅を借りることは可能!」をご覧ください。
- 不動産仲介業者はどんなことをしているのですか?
不動産仲介会社は、賃貸物件の契約において欠かせない存在です。主な業務としては、物件の紹介・案内、条件の調整、契約手続きなどがあり、借主と大家の間をつなぐ役割を担っています。
詳しくは「賃貸借契約における不動産仲介会社の役割」をご覧ください。
- 大家さんと直接契約する場合、何に気をつけなければいけませんか?
法律上は認められている大家さんとの直接契約ですが、不動産仲介会社を通さずに物件を借りる場合には、いくつかのデメリットと注意点があります。
詳しくは「大家さんと直接契約する場合のデメリットと注意点」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
大家さんと直接契約することは可能ですが、必ずしもリスクがないわけではありません。手続きや条件交渉の負担、トラブル対応の難しさ、物件選びの選択肢が限られるといったデメリットをよく考える必要があります。
一方、不動産仲介会社を利用すれば、豊富な物件情報や専門的なサポートを受けられるため、安心して契約を進められます。その際、初期費用を抑える方法としては、敷金礼金なしやフリーレント付きの物件を検討する、閑散期を狙って物件を探すといった選択肢もあります。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分に合った方法で物件探しを進めましょう。

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