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マンションの1階がやめとけと言われる理由は? メリット・デメリットとは

執筆者プロフィール

村田愛美
宅地建物取引士

上智大学外を卒業後、不動産調査会社在籍中に宅地建物取引士試験に合格。宅建士として事業用不動産の仲介営業職に従事し、退職後はレンタルオフィスの運営会社で入居者・契約管理をするかたわら、売買・賃貸・住宅ローンを中心とした不動産関連の専門性が高い記事を多数執筆。不動産初心者でもわかりやすい文章に定評がある。

ざっくり要約!

  • マンションの1階には、防犯性や災害リスク、眺望・通風・採光の制限、騒音、虫やカビの問題がある。
  • 一方で、専用庭が利用できることや隣人トラブルの少なさ、災害時の安全性、価格の安さというメリットもある。
  • 1階に住む場合は、災害リスクを確認し、時間帯を変えて周辺環境も含めて内見することが重要。

「マンションの1階はやめておいた方がいい」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?防犯性や災害リスクなど、1階ならではの不安がある一方で、専用庭が使えるなど魅力的なポイントもあります。

「本当に1階は避けるべきなのか?」「自分に合った住環境とは何か?」と迷っている方に向けて、この記事では1階のデメリットとメリット、後悔しないためのチェックポイントを詳しくご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

マンションの1階がやめとけと言われる理由は?

マンションの1階には、他の階にはない特有のデメリットがあります。以下では、防犯性、災害リスク、眺望・通風・採光、騒音、虫やカビといった1階ならではの問題点を詳しく解説します。

防犯性

1階が「やめとけ」と言われる理由の一つが、防犯リスクの高さです。道路や敷地内から窓やドアが直接見える場合、不審者の侵入やプライバシー侵害が懸念されます。

警察庁「令和5年の刑法犯に関する統計資料」によれば、共同住宅では3階以下の住戸の空き巣認知件数は、4階以上の住戸の約2倍です。低層階であるほど侵入されやすく、覗かれやすいため、1階は女性の一人暮らしなどで避けられることも少なくありません。

災害リスク

災害リスクも1階が避けられる理由の1つです。特に水害では、1階部分が最も被害を受けやすくなります。

床上浸水が発生すると、家具や内装に深刻なダメージを与える可能性があります。また、1階の住戸は、水害や停電時に汚水が逆流するリスクも他の階層と比べて高い傾向にあります。

眺望・通風・採光

1階は高層階のように眺望を楽しむことが難しく、採光・通風の面でも不利になりやすいといえるでしょう。特に南側に建物や高いフェンスなどがある場合は、視界が遮られるだけでなく、部屋が暗くなったり、空気の流れが滞りやすくなることもあります。

とはいえ、周囲に公園や駐車場があるなど遮るものが少ない立地であれば、採光や通風も十分に確保できます。

騒音

道路や線路に面していれば2階以上でも騒音を感じることもありますが、地面に近い1階では、通行人の話し声や車の走行音が直接聞こえやすく、交通量が多い場所では騒音が気になることがあります。特に商業施設の近くでは、夜間も人の声や車の往来が続くことが多く、日常生活に影響を与える場合もあります。

虫・カビ

1階は地面に近い分、高層階と比べて湿気が多く、結露やカビが発生しやすくなります。特に古いマンションほど断熱性能が低い傾向にあり、湿気の影響を受けやすいといえるでしょう。

また、地面が近いほどアリやゴキブリ、ハエ、蚊などの虫が住戸に侵入する可能性が高くなります。周囲に公園や河川などがある場合は、虫の発生率がさらに高くなるため注意が必要です。

マンションの1階に住むメリットも多い!

マンション 1階 メリット

マンションの1階の住戸は、防犯性や災害リスクなどの懸念点がある一方で、他の階にはない魅力も多くあります。

専用庭が使えるマンションも多い

マンション1階の住戸には、専用庭やテラスが付いていることも少なくありません。2階以上の住戸のベランダやバルコニーと比べて総じてスペースも大きいため、ガーデニングや家庭菜園を楽しむこともできるでしょう。

管理規約や使用細則には十分注意する必要がありますが、庭があれば小さなお子さんやペットの遊び場としても重宝します。すべてのマンションではありませんが、1階の住戸に専用駐車場が設けられている物件もあります。

隣人トラブルになるリスクが低い

生活音をめぐる隣人トラブルを軽減できることも、マンションの1階に住む大きなメリットでしょう。子どもが室内を走り回る音や振動で階下に迷惑をかける心配がないため、のびのびと暮らせます。窓やバルコニーからの転落事故のリスクも低いため、特に子育て世帯は安心できるのではないでしょうか。
ただし、隣り合う部屋は階下だけではありません。1階住戸でも、上階や隣戸への配慮は必要です。

災害時も安心という見方も

1階の住戸は水害の影響を受けやすい一方で、地震時は上階に比べて揺れが小さく、家具の転倒や室内の損傷を抑えられる可能性が高いと考えられます。

また、大規模な停電が起きてもエレベーターを使わずに済むため、階段を利用する必要がなく避難がスムーズです。火災時にも迅速に屋外へ出られることから、上階よりも安全面で有利と言えるでしょう。

高層階より安価な物件が多い

1階の部屋は、高層階に比べて販売価格や家賃が安く設定されている点も特徴として挙げられます。基本的にマンションは階数が上がるほど眺望や日当たりの良さが評価され、需要が高まるため、価格も高い傾向にあります。

一方、1階の物件はその分価格が抑えられており、同じマンション内でも比較的手頃な予算で選べる場合が多いです。専用庭が付いている物件でも、庭の使用料は月々数百円から1,000円程度が相場で、物件価格や家賃の負担を抑えられる点が魅力です。

後悔せずにマンションの1階で暮らすには?

マンションの1階に住む場合、特有のリスクを把握したうえで適切な対策を講じることで、安心して快適な生活を送れます。ここでは、事前に確認しておきたいポイントをわかりやすくご紹介します。

災害リスクを確認する

自然災害が多い日本では、安心して暮らすために、物件がどのような災害リスクを抱えているかを事前に調べておくことが重要です。

洪水や土砂災害、高潮、津波といった自然災害のリスクを確認する際には、国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」の活用がおすすめです。このマップでは、過去に災害が発生した地域や洪水リスクが高いエリアを簡単に把握できます。

さらに、ハザードマップには近隣の避難所の位置も掲載されており、災害時の避難先を事前に確認する際にも非常に役立ちます。

時間帯・曜日を変えて内見する

物件を内見する際は、平日の昼間だけでなく、週末や夜間にも訪れてみることをおすすめします。周辺環境は時間帯や曜日によって大きく変化することがあり、昼間は静かな場所でも、夜間に交通量が増えたり、近隣店舗の営業音が気になる場合があります。

例えば、週末に賑わう飲食店の近くや、夜間に車の通行が多い道路沿いの物件では、昼と夜で印象が大きく異なることも珍しくありません。複数の時間帯で周囲の雰囲気や騒音レベルを確認することで、入居後とのギャップを軽減できるでしょう。

内見時にはマンション周辺も歩いてみる

物件の内部だけでなく、周辺環境を確認することも、快適で安全な生活のために欠かせません。マンションの周囲を実際に歩いてみて、道路との接し方や線路との距離、近隣の店舗や施設の有無を確認しましょう。

特に、道路に面した部屋では、どのような車両や人が通るのか、騒音や視線が気にならないかをチェックすることが重要です。また、線路や繁華街が近い場所では、騒音や害虫被害が発生しやすい場合があるため、そのリスクも事前に把握しておくと安心です。

まとめ

マンションの1階は、防犯性や災害リスク、採光・通風などの面から「やめとけ」と言われることもあります。しかし、階下の部屋がなく、騒音トラブルが起きにくい点や非常時に避難しやすい点など、1階ならではのメリットも見逃せません。自分が求める生活環境や理想の暮らしに照らし合わせながら物件を見極めることで、快適で豊かな暮らしが実現できます。

この記事のポイント

マンションの1階は住むにはあまり良くないのでしょうか?

マンションの1階には、他の階にはない特有のデメリットがあります。以下では、防犯性、災害リスク、眺望・通風・採光、騒音、虫やカビといった1階ならではの問題点を「マンションの1階がやめとけと言われる理由は?」にて解説します。

マンションの1階に住むメリットは?

1階には、防犯や災害リスクといった課題がある一方で、他の階にはない魅力も多くあります。1階に住むことで得られるメリットを「マンションの1階に住むメリットも多い!」にて詳しく見ていきましょう。

マンションの1階で快適に暮らすにはどうしたら良いでしょうか?

マンションの1階に住む場合、特有のリスクを把握したうえで適切な対策を講じることで、安心して快適な生活を送れます

詳しくは「後悔せずにマンションの1階で暮らすには?」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

1階住戸の防犯性に不安がある場合は、マンションの管理体制やセキュリティ、コミュニティなども確認してみましょう。管理人が常駐している物件や警備員がいる物件は、人の目がある分、不審者が侵入しにくくなります。また、住民同士が挨拶を交わすなど適度な交流があるマンションでは、不審な動きにも気づきやすく、防犯意識も高い傾向にあります。エントランスや共用部分に防犯カメラが設置されているか、夜間の照明が十分かどうかも重要なポイントです。

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