土地,売却,必要書類
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土地売却に必要な書類は? 取得方法・必要なタイミング・紛失時の対処法を紹介

執筆者プロフィール

村田愛美
宅地建物取引士

上智大学外を卒業後、不動産調査会社在籍中に宅地建物取引士試験に合格。宅建士として事業用不動産の仲介営業職に従事し、退職後はレンタルオフィスの運営会社で入居者・契約管理をするかたわら、売買・賃貸・住宅ローンを中心とした不動産関連の専門性が高い記事を多数執筆。不動産初心者でもわかりやすい文章に定評がある。

ざっくり要約!

  • 土地の売却には、査定時・売買契約時・引き渡し時・確定申告時に必要な書類がある
  • 必要書類は早めに準備することが望ましいが、有効期限があるものは直前に取得するのが適切
  • 書類を紛失していても、役所で再発行可能な場合や不動産会社や司法書士が取得を代行できる場合がある

土地の売却には、さまざまな書類が必要です。必要な書類が揃っていないと、手続きがスムーズに進まなかったり、機会損失につながってしまうおそれがあります。一方、書類によっては準備するタイミングに注意が必要なものもあり、必ずしも早くから準備すればいいというわけでもありません。

そこでこの記事では、タイミングごとに土地売却で必要になる書類を解説します。

土地売却の必要書類一覧

まずは、土地の査定依頼時・売買契約時・引き渡し時・確定申告時のそれぞれのタイミングで、必要になる書類を一覧で見てみましょう。

査定依頼時  物件取得時の売買契約書/重要事項説明書
土地測量図/境界確定図/公図
登記事項証明書/登記簿謄本
登記済証(権利証)または登記識別情報
固定資産税納税通知書/課税明細書
本人確認書類
売買契約時土地測量図/境界確定図/公図
登記済証(権利証)または登記識別情報
固定資産税納税通知書/課税明細書
本人確認書類
銀行口座情報
印鑑証明書・実印
引き渡し時登記済証(権利証)または登記識別情報
土地測量図/境界確定図/公図
固定資産税納税通知書/課税明細書
本人確認書類
印鑑証明書/実印
住民票・戸籍の附票(登記簿内容と異なる場合)
確定申告時確定申告書
譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)
売買契約書等の写し等

以下から、各書類について記載されている内容と取得方法、紛失時の対処法を詳しく解説します。

土地の査定依頼時に必要な書類

土地 査定 必要書類

不動産会社に査定依頼をする際には、以下の書類を準備しましょう。

  • 物件取得時の売買契約書/重要事項説明書
  • 土地測量図/境界確定図/公図
  • 登記事項証明書/登記簿謄本
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報
  • 固定資産税納税通知書/課税明細書
  • 本人確認書類

物件取得時の売買契約書/重要事項説明書

土地売却を進める際、物件取得時の売買契約書や重要事項説明書が必要です。

売買契約書には、契約条件や特約事項、取引の詳細が記載されています。一方、重要事項説明書は、土地の権利関係や法令に基づく規制、設備の状況などを記載した書類です。これらは、物件の状況や契約内容を確認するために使用され、買主への説明資料としても活用されます。

いずれの書類も、不動産購入時に不動産会社から保管用の原本が渡されているはずです。ただし、紛失している場合でも、購入時に仲介を担当した不動産会社に問い合わせれば、コピーを提供してもらえる可能性があります。これは不動産会社には一定期間、取引記録を保管する義務があるためです。

土地測量図/境界確定図

土地の境界線を正確に把握するためには、土地測量図や境界確定図が必要です。土地測量図は法務局に保管されている公的な図面で、土地の面積や形状を示しています。一方、境界確定図は隣地所有者と境界を合意した際に作成される書類で、境界が不明確な場合や隣地との境界トラブルを防ぐために重要です。

通常、土地測量図があれば査定や売却が可能な場合が多いですが、境界が曖昧な場合には境界確定図も必要になることがあります。境界確定図を作成する際は、土地家屋調査士に依頼して土地の確定測量を実施し、図面を作成してもらう必要があります。この費用は土地の広さや形状、隣接地の状況によって異なりますが、一般的な相場は40万~100万円程度です。

境界確定図の作成には時間がかかることもあるため、早めに準備を進めることが望ましいでしょう。

登記事項証明書/登記簿謄本

登記事項証明書(登記簿謄本)は、土地の所有者や権利関係を証明するもので、不動産会社はこの情報をもとに査定を行います。

登記事項証明書は、法務局で申請することで取得可能です。法務局の窓口やオンラインサービスを利用して申請でき、発行手数料は1通につき数百円程度です。

登記済証(権利証)または登記識別情報

登記済証(権利証)や登記識別情報は、土地の所有者であることを証明するための重要な書類です。不動産の所有権移転や担保設定時に発行され、通常であれば所有者が保管しているものです。権利証は紙媒体で発行されていた形式ですが、現在は登記識別情報という12桁の英数字からなるパスワード形式に変更されています。

もし紛失してしまった場合は、司法書士に依頼して本人確認情報を作成する方法があります。この手続きにかかる司法書士報酬の相場は事務所によって異なりますが、25,000円から70,000円程度が一般的です。

固定資産税納税通知書/課税明細書

固定資産税納税通知書や課税明細書は、土地の権利移転や登記時に必要な登録免許税を算出するための書類で、毎年5月頃に市町村(23区は東京都)から所有者宛に送付されます。登録免許税の税額は固定資産税評価額をもとに計算されるため、これらの書類が参考資料として使用されますが、再発行ができないため紛失には注意が必要です。

もし紛失してしまった場合は、「名寄帳(なよせちょう)の写し」を取得することで代用できます。名寄帳には土地や家屋の所在地、地番、地積など、課税明細書と同様の内容が記載されており、自治体の税務窓口で申請するか、郵送で取得することが可能です。郵送申請の際は、各自治体の申請方法に従い手続きを進めましょう。

本人確認書類

土地の売却は、所有者本人にしかできません。土地査定の際には、運転免許証やマイナンバーカードなど、身分を証明できる書類を準備しましょう。土地の名義人が複数いる場合は、名義人全員分の本人確認書類が必要です。

土地の売買契約時に必要な書類

土地 売買契約 必要書類

買主が決まって土地の売買契約を締結する際には、査定依頼の際の必要書類に加えて、以下の書類を準備しましょう。

  • 銀行口座情報
  • 印鑑証明書・実印

銀行口座情報

土地売買契約の際には、銀行口座情報と実印が必要になります。銀行口座情報は、売却代金や手付金を振り込むために用意するもので、通帳のコピーや口座番号が記載された書類で足ります。

印鑑証明書・実印

実印は、売買契約書に押印する際に必要です。実印が本物であることを証明する印鑑登録証明書もセットで用意しましょう。印鑑登録証明書は、市区町村役場のほか、マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。発行手数料は自治体によって異なりますが、数百円程度です。不動産の名義が共有の場合は、共有者それぞれが実印と印鑑登録証明書を用意する必要があります。

万が一、実印を紛失してしまった場合は、新しい実印を役場で登録し直す必要があるため注意しましょう。

土地の引き渡し時に必要な書類

売買契約締結後、買主に土地を引き渡す際に追加で必要になる書類は以下の通りです。

  • 住民票・戸籍の附票(登記簿内容と異なる場合)

住民票・戸籍の附票

住民票や戸籍の附票は、登記簿上の住所と売主の現住所が異なる場合に必要な書類です。これらは、登記簿に記載された住所から現在の住所に至るまでの住所履歴を証明するために使用されます。

通常、住民票では住所の変更履歴を確認できますが、住所の移転が複数回にわたっている場合や、住民票に過去の履歴が記載されていない場合には、戸籍の附票が必要です。戸籍の附票は、戸籍単位で管理された住所履歴を示すもので、住民票を補完する役割を果たします。

これらの書類は、市区町村役場で取得でき、発行手数料は数百円程度です。

土地売却後の確定申告時に必要な書類

土地を売却で譲渡所得がでた場合、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行う必要があります。確定申告の際に準備する書類は以下の通りです。
※確定申告の期間は土日によって前後します。

  • 確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)
  • 売買契約書等の写し等

確定申告書

土地売却後に譲渡所得を申告する際には、確定申告書の「B様式(第一表)」と「第三表(分離課税用)」を準備します。

B様式(第一表)は、土地売却に限らずすべての所得を申告する際に使用する基本的な書類です。一方、第三表(分離課税用)は、譲渡所得のように分離課税として扱われる所得に関する詳細を記載する書類です。

いずれの書類も、税務署や市役所、町村役場などで無料で配布されているほか、国税庁の公式サイトからダウンロードすることも可能です。また、電子申告(e-Tax)を利用する場合は、専用ソフトウェアで直接入力して提出できます。

譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)

譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算書)は、確定申告書とともに税務署に提出する書類で、不動産売却で発生した譲渡所得を計算するために使用します。

譲渡所得とは、売却価格から購入時の取得費や売却時の諸費用を差し引いた金額を指し、譲渡所得の内訳書上で具体的な計算を行います。

書式は国税庁のホームページからダウンロードでき、手書きで記載することも可能ですが、「確定申告書等作成コーナー」を利用すればWeb上で必要事項を入力するだけで譲渡所得が自動計算されます。自動計算機能は計算ミスを防げるだけでなく、入力内容をそのままe-Taxで電子申告できるため非常に便利です。

売買契約書等の写し等

譲渡所得を計算する際には、売却時や購入時に関する以下の書類が必要です。これらは税務署への提出義務はありませんが、譲渡所得の証拠資料として手元に保管しておくことをおすすめします。

  • 「売却時」の売買契約書
  • 売却時の固定資産税精算金
  • 「購入時」の売買契約書
  • 売却時の費用の領収書等

上記のうち「購入時の売買契約書」と「売却時の費用の領収書等」は、取得費の計算に使用します。取得費は、譲渡所得税を計算する際に必要で、購入時の取得額に加え、売却までにかかった仲介手数料やリフォーム費用、解体費用などが含まれます。

取得費が不明な場合は「概算取得費」を用いることになり、売却額の5%が取得費として計算します。

土地売却に必要な書類を準備するときの注意点

ここまで解説してきた通り、土地の売却には多くの書類が必要になるため、早い段階から必要書類を把握して準備しておくことが大切です。ただし、書類を準備する際には注意すべきこともあるため、併せて押さえておきましょう。

早く取得すぎるのもNGな書類もある

土地売却に必要な書類は基本的に早めに準備しておくのが理想ですが、有効期限が設定されているものには注意が必要です。

例えば、売買契約締結時に必要な印鑑証明書は、発行後3か月以内のものが有効とされるケースが一般的です。そのため、取得が早すぎると再度発行する必要が生じることがあります。

特に売買契約や所有権移転登記の直前に必要となる書類は、発行時期を見極めて準備しましょう。

譲渡所得が出た場合は取得時の書類を探しておく

土地売却で譲渡所得が発生する場合、購入時の売買契約書や領収書など、取得費を証明する書類を事前に探しておく必要があります。

取得費を証明する書類が揃っていない場合、譲渡所得を計算する際に「みなし取得費(売却額の5%)」が適用され、実際の取得費がわかっている場合よりも税額が大きくなる可能性が高くなります。

そのため、土地の売却を検討し始めたら、取得時の書類をできるだけ早く集めるよう心がけましょう。

書類が見当たらない場合は不動産会社に相談を

必要書類が手元に見当たらなくても、土地売却の手続きが進められないわけではありません。まずは不動産会社に相談し、再取得が可能な書類や司法書士への依頼が必要な書類についてアドバイスを受けましょう。不動産会社は、書類の取得方法や適切な準備時期についても詳しく案内してくれます。

また、書類によっては発行のタイミングが重要な場合もあるため、不安がある場合は早めに専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

土地の売却には、多くの書類が必要となるため、早めに必要書類を把握し、計画的に準備を進めることが大切です。しかし、書類によっては取得時期に注意が必要なものもあり、発行が早すぎると無効になる場合や、逆に紛失していて直前に対応できないケースもあります。

スムーズに手続きを進めるためには、不動産会社や司法書士など、専門家のサポートを活用することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、安心して土地売却を進められるでしょう。

この記事のポイント

土地の査定依頼時に必要な書類はなんですか?

土地売却の第一歩として、不動産会社に査定依頼をする際にはさまざまな書類を準備しなければなりません。

詳しくは「土地の査定依頼時に必要な書類」をご覧ください。

土地の売買契約時に必要な書類はなんですか?

買主が決まって土地の売買契約を締結する際には、「土地測量図」「境界確定図」などの書類を準備する必要があります。

詳しくは「土地の売買契約時に必要な書類」をご覧ください。

土地売却のための書類を準備する時の注意点はありますか?

土地の売却には多くの書類が必要になるため、早い段階から必要書類を把握して準備しておくことが大切です。ただし、注意すべき点もあります。

詳しくは「土地売却に必要な書類を準備するときの注意点」をご覧ください。

ライターからのワンポイントアドバイス

土地の売却をストレスなく進めるためには、余裕を持ったスケジュールで行動することが重要です。書類の再発行や境界確定作業が必要になる場合、手続きに数週間から数か月かかることもあります。特に「いつまでに売却したい」といった具体的な希望がある場合は、逆算して計画を立てるのがおすすめです。余裕を持った行動が、トラブルを防ぎ、安心して売却活動を進めるためのカギとなります。

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