ざっくり要約!
- 土地を売却するときは仲介手数料と印紙税がかかる
- 場合によっては譲渡所得税や登録免許税、司法書士報酬、測量費用などもかかる
土地を売却する際には、手数料や税金などの諸費用がかかります。中でも、ほとんどのケースでかかるのが仲介手数料と印紙税です。また、譲渡所得税や登録免許税、司法書士報酬、測量費用、解体費用などがかかることもあります。
この記事では、土地売却の際にかかる手数料や費用の詳細、費用を抑えるコツなどを解説します。
記事サマリー
土地売却の費用・手数料一覧
土地を売却する際にかかる手数料や税金には、必ずかかるものと状況に応じてかかるものがあります。それぞれに該当する費用は、以下の通りです。
諸費用の内訳 | |
必ずかかる費用 | ・仲介手数料 ・印紙税 |
かかることのある費用 | ・譲渡所得税(住民税・所得税・復興特別所得税) ・登録免許税 ・司法書士報酬 ・測量費用 ・解体費用 など |
土地を売却したあとに手元に残るのは、売却代金から諸費用を差し引いた金額です。売却価格が同じでも、諸費用の金額が高いと手残りは少なくなります。
土地を売却する際は、税金や手数料などの諸費用がいくらかかるのかを把握したうえで資金計画を立てることが大切です。
土地を売却する際に必ずかかる費用
土地の売却で必ずかかる費用は仲介手数料と印紙税です。それぞれについて解説します。
仲介手数料
仲介手数料は、土地の売却を依頼する不動産会社に対して成功報酬として支払う手数料です。買主探しや条件の交渉、契約書の作成などを行ったことへの対価として不動産会社に支払います。
仲介手数料の金額は、法律で定められる上限の範囲内で不動産会社が自由に決めることができます。法律で定められる上限額は以下の通りです。
土地の売却価格 | 仲介手数料の上限 |
~200万円 | 売買価格の5% |
200万円超~400万円 | 売買価格の4% |
400万円超 | 売買価格の3% |
売却価格が400万円以上の場合「売買価格の3%+6万円(税別)」の速算式を用いて求めるのが一般的です。たとえば、土地の売却価格が3,000万円の場合は、3,000万円×3%+6万円=96万円(税別)が仲介手数料の上限です。
「仲介手数料」に関する記事はこちら
不動産売買の仲介手数料の計算方法は? 支払い時期や費用を抑える方法も解説
印紙税
印紙税とは、契約書や領収書など特定の文書を作成する際に課される税金のことです。土地の売買契約書は印紙税の課税対象です。
印紙税の税額は、契約書に記載される金額に応じて決まります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
2027年3月31日までに作成された不動産売買契約書は軽減税率の対象です。
たとえば、土地の売却価格が3,000万円である場合、本来の印紙税額は2万円ですが軽減税率が適用されることで1万円に減額されます。
印紙税を納めるときは、契約書に税額分の収入印紙を貼り消印をします。なお、売土地の売買契約を電子契約で結ぶ場合、印紙税はかかりません。
「印紙税」に関する記事はこちら
不動産売買の印紙代(印紙税)の金額は?軽減税率も解説
土地売却でかかる可能性のある費用

続いて、土地を売却する際、状況に応じてかかる費用を解説します。
譲渡所得税(住民税・所得税・復興特別所得税)
土地を売却して生じた利益(譲渡所得)は、住民税・所得税の課税対象です。2037年までは復興特別所得税も課税されます。これらの税金は「譲渡所得税」と呼ばれます。
課税の対象となる譲渡所得(課税譲渡所得金額)と税額の計算方法は以下の通りです。
- 課税譲渡所得金額=総収入金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除譲渡所得税=課税譲渡所得金額×税率
課税譲渡所得金額を計算する際の総収入金額や取得費、譲渡費用、特別控除に該当するものは以下の通りです。
内訳 | |
総収入金額 | ・土地の売却金額 ・固定資産税 ・都市計画税の精算金 |
取得費 | ・土地の購入金額 ・購入時の諸費用(仲介手数料・印紙税・登録免許税・不動産取得税など) |
譲渡費用 | ・売却時の諸費用(仲介手数料・印紙税・登録免許税など) |
特別控除 | ・マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例(3,000万円特別控除) ・公共事業などのために土地や建物を売った場合の5,000万円の特別控除の特例など |
譲渡所得税の税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間に応じて決まります。所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得として下記の税率で譲渡所得税が計算されます。
所有期間 | 税率 |
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%(住民税9%・所得税30%・復興特別所得税0.63%) |
5年超(長期譲渡所得) | 20.315%(住民税5%・所得税15%・復興特別所得税0.315%) |
売却時に譲渡所得が生じるときは、売却した翌年の2月16日〜3月15日の間に確定申告が必要です。※確定申告の期間は土日によって前後します。
「短期譲渡所得・長期譲渡所得」に関する記事はこちら
短期譲渡所得・長期譲渡所得の基礎知識!不動産売却で気をつけるべき点も
登録免許税
登録免許税は、登記手続きをするときに課せられる税金です。ローン残債がある土地を売却したときは、法務局で「抵当権抹消登記」をする際に登録免許税がかかります。
抵当権とは、ローンを借りるときに金融機関が土地や建物に設定する権利のことです。抵当権が設定された不動産は借入金の担保となります。
ローンが返済されない場合、金融機関は抵当権を使って担保になっている不動産を差し押さえ、競売によって強制的に売却し、融資金の回収を試みます。
土地に抵当権が設定されたままであると、基本的に売買契約は成立しません。そのため、残債がある土地を売却するときは、ローンを完済して抵当権を外す必要があります。
抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。一筆の土地のみを売却する場合、登録免許税は1,000円、建物もあわせて売却するときは2,000円となります。
「登録免許税」に関する記事はこちら
登録免許税の計算方法と支払時期を解説!軽減措置や事例もあわせて紹介
司法書士報酬
司法書士報酬は、登記手続きを代行してもらう司法書士に支払う費用です。
登記の書類作成や法務局での手続きなどには、不動産や法律に関する専門的な知識と経験が求められます。そのため、不動産登記をする際は司法書士に報酬を支払って依頼するのが一般的です。
報酬額は事務所や地域、依頼内容によって異なりますが、抵当権抹消登記の場合は1〜2万円が相場です。
手続きの内容や難易度、対象の土地の数などでも報酬が変わることがあるため、司法書士に依頼をする際は複数の事務所から見積りを取り寄せて比較をすると良いでしょう。
測量費用
測量費用とは、土地の測量をする際に支払う費用です。土地の登記簿上の面積が実際とは異なる可能性があるときや、隣接する土地との境界が不明確なときは売却前に測量が行われるのが一般的です。
登記されている土地の面積が実際とは異なる状態で売買をすると、買主と売主のどちらかが損をしてしまうかもしれません。登記簿に記載された面積よりも実測値のほうが狭い場合は買主が、実測値のほうが広いときは売主に損失が生じるでしょう。
また、土地の境界があいまいであると、売却後に近隣の住民とトラブルが生じる可能性があります。
そのため、土地を売却するときは必要に応じて事前に「確定測量」を実施します。
確定測量では、隣地の所有者が立ち会いのもと土地の面積を正確に測って境界を確定させ、実測図を作成するため、売買時のトラブルが生じにくくなります。
確定測量にかかる費用は、土地の形状や面積などで異なりますが、一般的には40万〜100万円ほどです。
「確定測量」に関する記事はこちら
確定測量が不動産売買で必要な理由を解説!かかる費用や測量の流れも紹介
解体費用
解体費用は、土地を売却する際に建物や不要な構造物を取り壊すときにかかる費用です。
「更地にしたほうが売却しやすい」「建物の老朽化が進んでおり使用が難しい」などの場合、売主が費用を負担して解体工事が実施されることがあります。
解体費用は建物の構造や立地、土地の面積などで大きく異なりますが、木造住宅であれば100万〜400万円ほどです。
アスベストの撤去や外構・浄化槽などの撤去もともなうときは、追加で費用がかかることがあります
「解体費用」に関する記事はこちら
家(家屋)の解体費用はいくら?相場と補助金まとめ
土地の売却でかかる費用をシミュレーション

では、土地を売却するといくらの諸費用がかかるのでしょうか。シミュレーションで確認をしてみましょう。条件は下記の通りです。
〇シミュレーションの条件
- 土地の売却価格:4,000万円
- 土地の所有期間:8年
- 取得費:3,000万円
- 譲渡費用:200万円
所有期間は8年であるため、売却時に生じる譲渡所得は「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%となります。また、売却するのは1筆の土地のみであり、測量費用や解体費用などはかからないものとします。
シミュレーションの結果は、下記の通りです。
費用項目 | 計算式と金額 |
譲渡所得税 | 譲渡所得:4,000万円−(3,000万円+200万円)=800万円 税額:800万円×20.315%=約162.5万円 |
印紙税代 | 1万円(軽減税率適用時) |
登録免許税 | 土地1筆×1,000円=1,000円 |
司法書士報酬 | 2万円 |
仲介手数料 | 4,000万円×3%+6万円=126万円(税抜) |
合計金額 | 約162.5万円+1万円+1,000円+2万円+126万円=約291.6万円(税抜) |
計算の結果、土地を売却したときの諸費用は約291.6万円(税抜)となりました。
土地の売却価格4,000万円に対する割合は約7.3%です。
土地売却の税金を抑えられる控除特例
土地を売却するときは、一定の要件を満たすと特例により譲渡所得税の負担を軽減できることがあります。
ここでは、土地を売却するときに適用できる特例のうち「3,000万円の特別控除(マイホーム特例)」と「相続空き家の3,000万円特別控除」について解説します。
3,000万円の特別控除
3,000万円の特別控除は、マイホーム(居住用不動産)を売却したときに一定の要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。
土地とともに売主自身が住んでいた家を売却すると、適用できる可能性があります。
建物を取り壊して売却する場合でも、以下に該当しており、他の要件を満たしているのであれば控除を受けることが可能です。
- 家屋を取り壊した日から1年以内に譲渡契約が結ばれており、かつ住まなくなった日から3年が経過した年の12月31日までに売る
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を結んだ日まで、土地を貸駐車場などに使用していない
「土地の売却で活用できる控除特例」に関する記事はこちら
土地売却時に受けられる9つの税金控除特例
相続空き家の3,000万円特別控除
相続空き家の3,000万円特別控除は、相続によって取得した家屋やその敷地などを売却するときに、一定の条件を満たすと最高3,000万円の控除を受けられる制度です。
特別控除の対象となる家屋(被相続人居住用家屋)は、原則として以下のすべてに該当するものです。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
相続した空き家を取り壊して更地にしたうえで売却する場合でも、要件を満たせば控除の対象となります。
「相続した土地の売却で活用できる控除特例」に関する記事はこちら
相続した土地は3年以内に売却すべき? 節税できる3,000万円特別控除・取得費加算の特例とは?
土地売却後の手残りを増やすコツ
土地を売却したときの手残りを増やしたいときは、税金や手数料などを安くすることよりも、高く売ることを重視するのがおすすめです。
売却に強い不動産会社を探し、売り出し価格を適切に設定して、売却活動に励んでもらうのがポイントです。
仲介手数料の値引き交渉は避けるべき
仲介手数料は不動産会社にとっての売上であり、営業担当者に目標が設けられているケースも少なくありません。
土地を売るときに仲介手数料の値下げ交渉をすると、営業担当者のモチベーションやサービスの質が低下する恐れがあります。その結果、土地が売れ残ったり本来の価値よりも安く売却してしまったりするかもしれません。
一方、仲介手数料を惜しまずにきちんと支払い、営業担当者に売却活動を一生懸命に取り組んでもらったほうが、より高値で土地を売却できる可能性があります。
本来の価値よりも1〜2割増しの価格で土地を売ることができれば、同じ割合だけ仲介手数料を値引きしてもらうよりも、手残りは増えるでしょう。
より高く土地を売却したいときは、安易な値引き交渉は避けたほうが賢明といえます。
土地の売却に強い不動産会社に売却してもらう
不動産会社によって得意とする分野は異なります。土地売却に精通した会社には、土地を高くスムーズに売却するための知識やノウハウが蓄積されています。土地を売却するときは、土地売却の実績が豊富である不動産会社に依頼することが大切です。
土地の売却に強い不動産会社を探すときは、複数の会社に土地の査定を依頼すると良いでしょう。土地の査定金額だけでなく、算出した根拠や売却活動の戦略などを聞き比べることで、信頼できる不動産会社を判断しやすくなります。
また、不動産会社のホームページに記載されている実績や利用者の声なども参考にするのも有効です。
値引き交渉を見越した価格に設定する
土地の売却では、購入希望者から値引きを求められるケースが少なくありません。相場通りの価格に設定すると、購入希望者から値引きを求められたことで、安値で売却してしまう可能性があります。
不動産の取引で値上げを交渉されることは基本的にありません。土地の売り出し価格を決めるときは、値下げ交渉を想定して相場よりも少し高めにしておくと良いでしょう。
一般的には相場の1割程度を上乗せすることが多いですが、実際に決める際は地域の需要や不動産市況などをもとに判断することが大切です。
ただし、相場と比較してあまりにも高い価格を設定してしまうと、誰にも見向きもされなくなり、売れ残ってしまうかもしれません。
土地の売却に詳しい不動産会社ともよく相談し、値下げ交渉を見越した適正な売り出し価格を設定することが重要です。
まとめ
土地を売却する際は、不動産会社に支払う成功報酬の「仲介手数料」と売買契約書に課税される「印紙税」がかかるケースがほとんどです。
他にも、譲渡所得に課税される「譲渡所得税」や、抵当権を抹消するときの「登録免許税」「司法書士報酬」などがかかることがあります。
売却時の手数料や税金が高くなると手残りは少なくなるでしょう。かといって、仲介手数料の値引き交渉をすると土地の売却に失敗するリスクを高めてしまいます。
売却後の手残りを多くするためには、土地売却の実績が豊富な不動産会社を探し、土地がより高く売れるように努めることが大切です。
この記事のポイント
- 土地の売却にはどのような費用がかかりますか?
土地の売却で必ずかかる費用は仲介手数料と印紙税です。
それぞれについて「土地を売却する際に必ずかかる費用」で詳しく解説します。- 土地の売却で仲介手数料や印紙税の他に費用がかかる場合がありますか?
土地を売却する際、状況に応じて抵当権抹消費用や譲渡所得税などがかかる可能性があります。
詳しくは「土地売却でかかる可能性のある費用」をご覧ください。
- 土地を売却する際、手残りを多くするコツはありますか?
土地を売却したときの手残りを増やしたいときは、税金や手数料などを安くすることよりも、高く売ることを重視するのがおすすめです。
詳しくは「土地売却後の手残りを増やすコツ」をご覧ください。
ライターからのワンポイントアドバイス
土地を売却するときは、売却活動を二人三脚で進める不動産会社の担当者選びが重要となります。「売却の手順や準備すべきことなどをわかりやすく説明してくれる」「メールや電話での対応が丁寧」「見た目に清潔感がある」などさまざまな視点で、信頼できる担当者を選びましょう。

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