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マンションの立体駐車場の使い方は?注意点やトラブル例も紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • マンションの立体駐車場には、主に「パズル式」「ピット式」「タワー式」の3種類がある
  • 立体駐車場では操作ミスに気を付ける必要があり、よくある操作ミスとしてパズル式で出庫時にゲートを閉め忘れるケースなどがある

都市部のマンションでは敷地が狭い等の理由で、駐車場が機械式の立体駐車場となっていることがよくあります。

立体駐車場のマンションを購入する際は、例えば「雨の日に1人で大きな荷物を持って乗るとき」にどういう状況になるかイメージしながら検討することが望ましいです。
また、ベビーカーに乗るお子さんがいる人は、子どもを乗り降りさせる手順も想像しながら確認すべきといえます。

マンション購入を検討している人の中には、立体駐車場の使い勝手について気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、「マンションの立体駐車場」について解説します。

マンションの立体駐車場の種類

マンションの立体駐車場には、主に「パズル式」「ピット式」「タワー式」の3種類があります。

最初にそれぞれの立体駐車場の概要について解説します。

パズル式駐車場

パズル式駐車場とは、上下左右に動くタイプの駐車場のことです。縦にも横にも動くため、昇降横行式とも呼ばれています。

ピット式駐車場

ピット式駐車場とは、パレット(駐車スペースのこと)が上下に動くタイプの駐車場のことです。上下にしか動かないことから、昇降式とも呼ばれています。

ピットには「穴」という意味があり、地下部分にもパレットが設けられています。例えば地下に2段、地上の1段のパレットが昇降するタイプのものが一般的です。

ピット式駐車場の場合、最上段のパレットが平面駐車場のように利用できる点が特徴となっています。

タワー式駐車場

タワー式駐車場とは、エレベーター等で車を観覧車のように巡回させるタイプの立体駐車場です。
多くの車を止めることができるため、大型マンションや都市部の商業施設等に用いられています。

マンションの立体駐車場のメリット・デメリット

マンションの立体駐車場のメリットとデメリットについて解説します。

メリット

一般的にマンションの駐車場は自走式(駐車スペースまで自分で走行して停める駐車場のこと)の方が機械式よりも利便性が高いという意見が多いです。
しかしながら、機械式の立体駐車場においても一定のメリットは存在します。
ここでは、立体駐車場のメリットについて紹介します。

比較的立地の良いマンションに多い

立体駐車場は、狭い敷地でも駐車場台数を確保することができることから、比較的立地の良いマンションに多いという点がメリットとして挙げられます。

都市部では、広いマンション用地が供給されるケースは少なく、狭めの土地にマンションが建つことがよくあります。狭い土地は敷地に余裕がないため、機械式の立体駐車場が選択されていることが珍しくありません。

よって、立地の良い場所で新築物件を探すと、必然的に立体駐車場となっているケースが多いです。

車を風雨から守ることができる

立体駐車場は、ピットが屋根に覆われていることから車を風雨から守ることができる点がメリットです(ただし、ピット式の最上段の平置き駐車場部分は除きます)。

屋根のない自走式駐車場の場合、雨や鳥のフンによって車が汚れてしまいます。洗車をした日に限って雨が降ることもありますし、なぜかピンポイントでフロントガラスに鳥の糞がかかることもあります。

また、大雪が降った日は、フロントガラスやルーフ(屋根)、リアウィンドウ(後ろの窓)の雪下ろしも必要です。

屋根に覆われた立体駐車場は、雨や雪、鳥のフン等からの被害を防いでくれます。

車上荒らしを防ぎやすい

機械式駐車場は、車上荒らしを防ぎやすいという点がメリットです(ただし、ピット式の最上段の平置き駐車場部分は除きます)。

野ざらしの平置き駐車場と比べると、防犯面では優れているといえます。

契約者以外の不法駐車がない

機械式駐車場は契約者以外の不法駐車がほぼない点もメリットです。

自走式駐車場の場合、契約者以外の人が勝手に占拠してしまうこともあります。占拠されてしまうと、管理組合等に連絡して違法駐車をどかさなければいけない手続きが発生します。

自走式駐車場のような場所による不公平感は少ない

立体駐車場の場合、自走式駐車場のような駐車場所による不公平感が少ない点もメリットです。

自走式駐車場は、場所によって停めにくい駐車場やエントランスから遠い駐車場等が存在します。同じ駐車場料金を払っているのに利便性に不公平感があり、住民同士の間で問題となることもあります。

不公平感をなくすために、自走式マンションでは数年に一度全員の場所を入れ替える抽選を行っているマンションもあるほどです。

立体駐車場であれば「場所の差」は出にくいことから、住民間における不公平の問題は発生しにくいといえます。

夏場と冬場の車内の温度変化が少ない

立体駐車場では、夏場と冬場の車内の温度変化が少ない点もメリットです(ただし、ピット式の最上段の平置き駐車場部分は除きます)。

外部の自走式駐車場の場合、乗車時にハンドルが夏は熱過ぎて握れない、冬は冷た過ぎて握れないといったことがあります。
立体駐車場は車が暗室に保管されるため、車内の温度が極端に変化しないという点は利点です。

デメリット

立体駐車場のデメリットについて紹介します。

入出庫に時間がかかる

立体駐車場は、入出庫に時間がかかる点が大きなデメリットです。スムーズに出せても5分ほど、先に待っている人がいると10分以上かかることもあります。

特に、パズル式やピット式の駐車場は屋外で待たなければならず、雨の日や暑い日、寒い日等は待つのが辛いでしょう。

また、ピット式の中には、ピットを稼働させる間、ボタンを押し続けなければならない、またはダイヤルをひねり続けなければならないタイプのものがあります。
雨の日や大きな荷物を持っているときは、ボタンを押し続けなければいけない操作にストレスを感じる人も多いようです。

入出庫できる車のサイズに制限がある

立体駐車場は車のサイズに制限がある点がデメリットです。前後左右の幅だけでなく、高さにも制限があります。

近年は大きな車が増えていますので、サイズ制限のデメリットは以前にも増しているといえます。駐車場に車が入らないために、マンションを買うと同時に車も買換えざるを得ない人もいるようです。

故障やメンテナンスなどで利用できないこともある

立体駐車場は故障やメンテナンスなどで利用できないこともあります。
車が必要なときに、たまたま駐車場が故障で使えないようなことがあると、外出予定が大きく狂ってしまいます。

狭くて停めにくい

立体駐車場の中でも、特にパズル式やピット式は左右の幅が狭くて停めにくいです。
単に幅が狭いだけでなく、駐車場の前方の切り返しスペースも往々にして狭いため、駐車の難易度が高くなっています。

多くの機械式駐車場では、左右が狭いことから入庫時のドアミラーを閉じてバックで駐車を行います。ゆえにバックモニターが付いていない車の場合、かなり停めにくいでしょう。

荷物やベビーカーを別の場所で待機させる必要がある

機械式の立体駐車場では、パレットに入庫した後、トランクを開けられないため、入庫前にトランク内の荷物やベビーカーは別の場所で待機させることが必要です。

パズル式やピット式では、雨が降っているとき買い物した商品や荷物を一瞬雨ざらしにしなければいけない物件も存在します。

さらに、チャイルドシートに乗っている子どもを入庫前におろし、ベビーカーに乗せ換えた状態で待機させ、入庫作業をしなければいけない物件もあります。逆のことは出庫時にも同様に生じるため、手間に感じることもあるでしょう。

管理費が割高となる

機械式の立体駐車場はメンテナンス費用がかかるため、管理費が割高となります。

マンションの管理費は車を持っていない人にも同額で生じるため、車を持っていない人にとってもデメリットです。

マンションの立体駐車場のトラブル例

マンションの立体駐車場のトラブル例を紹介します。

長期の停電で動かなくなった

マンションでは、長期の停電によって立体駐車場が動かなくなるというトラブルがあります。

近年のマンションは3日分程度の電気を賄える非常用発電機を備えている物件もありますが、想定している停電日数を超えるような長期停電が起きると対応しきれなくなります。

ピット式で地下部分が水没した

ピット式駐車場では、ゲリラ豪雨のような雨が降ることで地下部分の車が水没してしまうこともあります。

地下部分はポンプアップして水を排出していますが、想定量を超えてしまうと雨水の排出が間に合わず、水没する可能性があります。

機械の作動中に子どもが巻き込まれた

パズル式やピット式では、機械の作動中に子どもが巻き込まれてしまうトラブルがあります。

上昇する部分をのぞき込んだり、手を入れたりすることで、大けがをする事故が発生することがあるので、保護者の方は十分に注意しましょう。

マンションの立体駐車場の注意点

マンションの立体駐車場の注意点を解説します。

時間に余裕を持って入出庫する

機械式の立体駐車場を利用する場合は、時間に余裕を持って入出庫するようにしましょう。

特に「雨の日の朝」は、駅まで家族を送るなどの理由で車を利用する人が増えます。
短時間に利用者が集中すると待ちの行列ができてしまい、出庫できるまでの時間がいつも以上に長くなります。

例えば、家族を駅まで送るために、天気の悪い日は30分以上も前に車を出しに行かなければならないといったケースもあるようです。

操作ミスに気をつける

立体駐車場では、操作ミスに気を付ける必要があります。よくある操作ミスとしては、パズル式で出庫時にゲートを閉め忘れるケースです。

パズル式では操作盤でゲートを開け閉めするため、出庫した後も一旦車から出て操作盤で操作をし、ゲートを閉めなければなりません。

例えば、大きな荷物をトランクに入れる必要があるときは、出庫してから別の場所に待機させてあった荷物を取ってトランクを入れる作業をします。
また、ベビーカーに乗っている子どもがいるときは、出庫してからチャイルドシートに乗せ換えてベビーカーをトランクに詰め込みます。

このように出庫してからさまざまな作業に気を取られてしまうと、操作盤に戻ってゲートを閉め忘れてしまうことも多いです。
操作盤に鍵を指すタイプだと、鍵を抜き忘れてしまうこともあります。

また、入庫時は「アンテナをしまう」「ドアミラーを閉じる」「ライトを消し忘れない」といったことを心がけ、車側の操作ミスをしないことも大切です。

この記事のポイント

マンションの立体駐車場の種類は?

マンションの立体駐車場には、主に「パズル式」「ピット式」「タワー式」の3種類があります。

それぞれ特徴や使い方に違いがあります。

詳しくは「マンションの立体駐車場の種類」をご覧ください。

マンションの立体駐車場のトラブル例は?

長期の停電で動かなくなった、ピット式駐車場でゲリラ豪雨のような雨が降って地下部分の車が水没した、機械の作動中に子どもが巻き込まれたなどのトラブルがあります。

利用する際にはトラブルに巻き込まれないよう、十分に注意しましょう。

詳しくは「マンションの立体駐車場のトラブル例」をご覧ください。

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