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マンションのリフォーム費用はどのくらい?注意点や補助金も紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • マンションの専有部全体をフルリフォームする場合の相場は3LDKで400~800万円程度
  • マンションのリフォームを行う際には、自由にリフォームすることができる専有部分がどこなのかを把握しておく

住み心地を改善する方法にリフォームがあります。マンションは専有部と共用部に分かれており、所有者が自由にリフォームできるのは原則として専有部のみとなります。
また、マンションは管理規約等によってリフォームで使用できる建材に一定の制限が定められていることも一般的です。
マンションでリフォームを行うには、専有部と共用部を把握し、管理規約の制限を確認することがポイントとなります。
この記事では「マンションのリフォーム」について解説します。

マンションのリフォーム費用はどのくらい?

マンションのリフォーム費用を紹介します。

マンション全体のリフォーム

専有部全体のフルリフォームは、3LDKで400~800万円程度です。
デザイン性の高いキッチンや高級な内装材を用いると1,000万円前後となることもあります。

水回りのリフォーム

水回りのリフォーム費用は下表の通りです。

箇所相場
ユニットバス100~150万円
キッチン60~130万円
トイレ30~50万円
洗面所30~50万円

内装のリフォーム

8畳の部屋を例に内装のリフォーム相場を示すと下表の通りです。

箇所相場
壁紙7~9万円
床(フローリング)20~25万円
床(クッションフロア)6~8万円

間取りのリフォーム

間仕切りの撤去と設置の費用相場は下表の通りです。

工事内容相場
間仕切りの撤去10~20万円/箇所
間仕切りの設置15~25万円/箇所

マンションのリフォーム時の注意点

マンションのリフォーム時の注意点について解説します。

専有部と共用部を把握する

区分所有者が自由にリフォームをできるのは専有部が対象です。専有部とは、構造上・利用上の独立性がある部分を指します。それに対して、共用部とは区分所有者の共用に供される部分のことです。

マンションの「玄関扉」「窓ガラス」「バルコニー」は共用部分に該当します。そのため、玄関とバルコニーに関しては、区分所有者が勝手にリフォームをすることができません。
例えば「玄関の扉をダブルロックにしたい」といったリフォームはできないということになります。

窓ガラスや玄関扉は、防犯性や断熱性を高めるにあたり、リフォームで重要な部分となります。しかしながら、窓ガラス等は共用部分であるため、管理規約によって管理組合でないと改修できないと定められていることが一般的です。

マンションのリフォームを行う場合には、まずは自由に行うことができる専有部分はどこかを知る必要があります。

マンションによってリフォームに制限が出る

マンションは、管理規約(または細則)によってリフォームで使用できる建材に制限がかかっていることが一般的です。

例えば、下階に音を伝えやすくなるような床材は使用できないことがよくあります。その他として、虫が住み着く可能性がある珪藻土のような自然素材が利用できないことも多いです。

このようにマンションでは使用できる建材等に制限があることが多いため、リフォームを行う場合には事前に管理組合(理事長)の承認を得なければならないことが一般的となっています。

管理組合の承認を得るには、通常、設計図や仕様書、工程表の提出が必要となります。承認手続きや承認に必要な書類については、あらかじめ管理組合に確認することが適切です。

水回りの位置は変更できないことが多い

マンションでは、パイプスペースと呼ばれる排水の縦管(竪管)を通している場所があります。キッチンやバス、トイレといった水回りの下部には排水管が通っており、パイプスペースへとつながっています。

水回りの排水をパイプスペースまで流すには、勾配が確保されていることが必要です。一般的にマンションは、排水をスムーズに行うために水回りの位置が新築時に最適な場所に設計されています。

リフォームによって水回りの位置を変更すると、排水管の勾配を確保できなかったり、排水管を曲げざるを得なかったりすることで、詰まりを発生させる原因にもなります。

マンションはパイプスペースの位置が固定されていることから、水回りの位置も変更できないことが多いです。

工事中は近所への配慮を忘れずに

リフォーム工事中は騒音や振動が発生することから、上下階や左右の住戸には配慮することが必要です。工事が始まる前には挨拶に行き、工程表を渡すことが適切といえます。

特に下階への配慮は重要です。古いマンションの場合、老朽化に伴って上下階の間に水が自然と溜まっているケースがあり、工事の振動によってこの溜まっている水が下階へ漏れ出す事故が発生することがあります。

万が一こうした事態が起こったときのためにも、近接住戸に工事責任者の連絡先等を教えておくことも望ましい対応です。

マンションのリフォームで使える補助金や助成金は?

近年、日本では国を挙げてCO2の削減や建物の耐震化、少子化対策等に取り組んでいます。
国の施策に合致するようなリフォームを行う場合には、補助金をもらうことができます。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、以下の2つの要件を満たすリフォームを行う場合に補助金が得られる事業のことです。

  1. インスペクション※を実施し、維持保全計画・履歴を作成すること
  2. 工事後に耐震性と劣化対策、省エネルギー性が確保されていること

※インスペクション:専門家による建物の状況調査のこと。

マンションのリフォームについても、上記の要件を満たせば対象となります。
補助金の対象となる工事内容は、以下の通りです。

【補助対象の工事】

  • 性能向上リフォーム工事に要する費用
  • 子育て世帯向け改修工事に要する費用
  • インスペクション、維持保全計画・履歴作成に要する費用等

補助金は、補助対象の工事費用の3分の1(補助限度額は原則100万円/戸)までが補助されます。

長期優良住宅化リフォームで補助金を得るには、長期優良住宅化リフォーム事業に登録している施工会社に工事を依頼することが必要です。

補助金の申請は登録事業者が行い、国から補助金を直接受けるのも登録事業者になります。発注者は、登録事業者へ工事を依頼することを通じて、間接的に補助の還元を受けるという仕組みです。

出典:長期優良住宅化リフォーム推進事業|国土交通省

断熱リフォーム支援事業による助成金

断熱リフォーム支援事業とは、一定の要件を満たす断熱工事を行った場合に補助が受けられる制度です。
公益財団法人北海道環境財団が実施している事業ですが、全国のマンションが対象となります。

補助対象となるリフォームは「トータル断熱」と「居間だけ断熱」の2種類があります。

トータル断熱とは、15%以上の省エネ効果が見込まれる回収率を満たす高性能建材を用いた断熱リフォームのことです。
居間だけ断熱とは、日常生活の中心で家族全員の在室時間が最も長い居室(居間)に高性能建材を用いて行う断熱リフォームになります。

補助金の対象となるのは、北海道環境財団が公表している補助対象製品の購入費です。指定以外の製品を購入して断熱リフォームをしても補助金を受けられません。

補助金は、補助対象の工事費用の3分の1(補助限度額は原則15万円/戸)までとなります。

申請対象者は、物件の所有者(または所有予定者)の個人です。申請者は公簿期間中に交付申請を行い、審査の結果、交付決定がなされた後にリフォーム工事の契約を交わし、着工します。

工事が完了したら再び書類の申請を行い、審査の結果、交付額が確定したら補助金が支払われます。北海道環境財団のホームページで定期的に公募情報が公開されているので、申請を考えている場合は事前にチェックしておきましょう。

出典:公募情報|公益財団法人北海道環境財団

次世代省エネ建材支援事業

次世代省エネ建材の実証支援事業とは、省エネ改修の促進が期待される工期短縮可能な高性能断熱材等の効果の実証を目的とした補助制度です。

断熱の主な改修方法には、室内側から断熱パネルや潜熱蓄熱建材等を用いて改修する「内張り断熱」と、住宅の外壁等を改修する「外張り断熱」、すべての窓で外窓を用いて改修する「窓断熱」の3つがあります。
このうち、マンションで対象となるのが「内張り断熱」のリフォームです。

補助対象となるのは、次世代省エネ建材の実証支援事業に登録されている必須製品(断熱パネル、潜熱蓄熱建材)の他、事業に登録されていない断熱材等も対象となります。

補助対象の経費の2分の1(マンションの補助限度額は原則125万円/戸)までが補助されます。

申請対象者は、「改修する住宅に常時居住している人」または「所有者」です。
申請者は公簿期間中に一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)に交付申請を行い、審査の結果、交付決定がなされた後にリフォーム工事の契約を交わし、着工します。
工事が完了したら再び書類の申請を行い、審査の結果、交付額が確定したら補助金が支払われます。
なお、2023年2月時点において令和4年度の公募期間は終了しており、また令和5年度の公募期間は未公表の状況です。

出典:公募情報|一般社団法人環境共創イニシアチブ

こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業とは、一定の要件を満たすリフォーム工事を行った場合に事業者を通じて補助の還元が得られる制度です。
マンションも対象となります。

対象となるリフォーム工事には、「必須」と「任意」のリフォーム工事があります。必須の工事は、「開口部の断熱改修」や「外壁、屋根・天井又は床の断熱改修」、「エコ住宅設備の設置(太陽熱利用システム、節水型トイレの導入など)」のいずれかです。任意の工事は「子育て対応改修」や「バリアフリー改修」、「空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置」等になります。

任意の工事で補助を受ける場合は、必須の工事と同時に行うことが要件です。補助金は、原則として30万円/戸となります。

こどもエコすまい支援事業で補助金を得るには、こどもエコすまい支援事業に登録している施工会社に工事を依頼することが必要です。
補助金の申請自体は登録事業者が行い、国から補助金を直接受けるのも登録事業者になります。
発注者は、補助事業者に工事を依頼することを通じて、間接的に補助の還元を受ける仕組みです。

リフォーム工事の着工日の期間は、2022年11月8日~交付申請(遅くとも2023年12月31日)までとなっています。
ただし、予算上限に達した時点で本事業は終了となります。

出典:こどもエコすまい支援事業|国土交通省

介護・バリアフリーリフォーム補助金

介護保険による住宅改修の補助金制度もあります。対象は、要介護者等(自治体から要支援等の認定を受けている人)が自宅に手すりを取付ける等の住宅改修を行う場合です。

補助対象の工事費用の支給限度基準額である20万円の9割、つまり18万円まで補助されます。

申請方法としては、まずケアマネジャー等に相談し、工事前に保険者(自治体)に必要書類を提出します。
工事の完了後、保険者の確認を受けたら補助金が利用者に支給されます。

出典:介護保険における住宅改修|厚生労働省

この記事のポイント

マンションのリフォーム時の注意点は?

マンションの専有部と共用部を把握しておく、マンションによってリフォームに制限が出る場合がある、水回りの位置は変更できないことが多いことなどに注意する必要があります。

また、リフォーム工事中は騒音や振動が発生することから、上下階や左右の住戸には配慮することが必要です。

詳しくは「マンションのリフォーム時の注意点」をご覧ください。

マンションのリフォームで使える補助金や助成金はありますか?

長期優良住宅化リフォーム推進事業、介護・バリアフリーリフォーム補助金などがあります。

いずれも要件が設けられているため、事前に確認しておきましょう。

詳しくは「マンションのリフォームで使える補助金や助成金は?」をご覧ください。

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