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戸建て売却の流れを簡単に解説!相場や必要書類も紹介

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 戸建て売却の流れには、売却相場の調査・不動産会社への査定依頼や、不動産会社との媒介契約などいくつかの行程がある
  • 戸建て売却では、原則として残代金決済日(引渡し日)の前日まで住むことができ、残代金決済日の前日までに引越しをしなければならない

複雑に感じる不動産の売却ですが、事前に流れを把握することによってスムーズに進めることができます。まずは不動産会社に査定を依頼するまでに、ある程度相場を調べておきましょう。売出し価格は高すぎてもいけませんが、安すぎても損をしてしまいます。

この記事では、戸建てを売却する場合の流れを5つのステップで解説します。併せて売買契約時に必要になる書類や、よくある質問をQ&A形式で紹介しますので、戸建ての売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

戸建て売却の流れ【5ステップ】

戸建て売却までの流れを5つのステップで紹介します。事前に一般的な流れを把握しておくことによって、実際の取引時に迷うことなくスムーズに進めることができるでしょう。

①売却相場の調査・不動産会社への査定依頼

まず近隣の売却相場を事前に調査し、査定額を想定した上で不動産会社に査定依頼します。不動産会社によって査定価格が異なる可能性があるため、複数の不動産会社に相談し、平均額を参考にしましょう。

「レインズ」で相場を調べる

はじめに国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理しているウェブサイト「レインズマーケットインフォメーション」を使って、近隣の成約価格を調べましょう。

検索画面では、種別がマンションと戸建てに分かれており、まずは都道府県と地域を入力します。さらに追加検索条件として市区町村や最寄り駅、価格帯、成約時期などを入力することにより、近隣の物件を絞って調査することができます。

物件の条件が細かく記載されていますので、条件が似ている物件の価格を参考に査定価格を想定しましょう。

出典:レインズマーケットインフォメーション|取引情報検索

複数の不動産会社に査定依頼

ある程度査定価格が想定できたら、不動産会社に査定依頼をします。不動産会社によって査定額が異なる可能性があります。平均値を見るためにも複数社に相談することをおすすめします。

不動産会社に訪問や電話することによって査定依頼することも可能ですが、ホームページから査定依頼すると時間帯や曜日を気にせず、空いた時間で依頼できるので便利です。

②不動産会社との媒介契約

査定額が高いからと言って、その会社が高く売却できるということではありません。査定額はあくまでも想定価格であり、売却できる金額とは異なります。

査定書の内容や担当者との相性、不動産会社の特徴などを加味して依頼先を検討しましょう。売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を締結します。

特に戸建て売却の場合はマンションとは異なり、土地の権利関係や道路種別や条例等、調査が複雑になります。売主自身も気づかないポイントも多々あるので、戸建て売却に慣れていて、取引件数や実績の多い不動産会社を選ぶと安心でしょう。

媒介には以下の通り3種類あります。ご希望に応じてお選びください。

なお成約時に支払う仲介手数料は、どの媒介契約でも同じです。800万円以上の取引の場合「成約価格×3%+6万円(税別)」と計算します。複数社に依頼していた時でも、最終的に成約に至った不動産会社1社のみに支払うことになります。

専属専任媒介契約

依頼する不動産会社は1社に限定されます。異なる点は自己発見取引が認められていないことです。隣地所有者や友人との取引も不動産会社を介する必要があります。

不動産会社は、媒介契約締結の翌日から5日以内に指定流通機構(レインズ)へ登録する義務があり、業務報告は1週間に1度以上業務報告をする必要があります。

専任媒介契約

専属専任媒介契約同様、依頼する不動産会社は1社に限定されます。不動産会社は、媒介契約締結の翌日から7日以内に指定流通機構(レインズ)へ登録する義務があり、2週間に1度以上業務報告をする必要があります。売主が自身で買主を見つけて売買取引をする自己発見取引が認められており、バランスがよい媒介契約です。

一般媒介契約

複数の不動産会社に依頼することができる媒介契約です。不動産会社は指定流通機構(レインズ)への登録や業務報告の義務がありませんが、こちらから依頼することは可能です。複数社に依頼すると窓口も複数になるため、内覧のスケジュール管理などは自分でする必要があります。バッティングしないように注意しましょう。

出典:レインズ(REINS)|媒介契約制度

③販売活動・内覧対応

媒介契約を締結したら、販売活動が始まります。広告活動は不動産会社が行いますが、内覧希望があった場合は売主が立ち会いなどに対応する必要があります。

週末など休日に内覧の予定が入る傾向があります。早期成約するためにも、なるべく内覧のチャンスを逃さないようにしましょう。不動産会社の担当者に、事前に外出や在宅の予定を伝えておくと、急な内覧に対応しやすくなります。

広告活動のためのアピールポイントをまとめる

住んでいるからこそわかるアピールポイントを事前にまとめておき、不動産会社の担当者へ共有しましょう。購入希望者に対し、事前情報として提供することができます。

例えば以下のような内容です。

  • 通勤通学時間帯のバスの本数が多く、駅までのアクセスがよい
  • 小学校までの通学路が広く、安心して通学できる
  • 近くに大手スーパーや商店街があるので、買い物が便利な環境

そのほか、リフォーム履歴がある場合や追加でこだわった設備などがあれば、共有しておくとプラスになるでしょう。

内覧対応時の注意点

販売期間中は、一度の内覧で購入の有無を判断されることが多いため、チャンスを逃さないようにしたいものです。急な内覧にも対応できるように、日頃から室内や庭の清掃をして清潔感を保ちます。

家財道具が多すぎると部屋が狭く感じます。不用品はなるべく処分し、整理整頓を心がけます。また換気も大切です。内覧前には窓を開けて、換気しておくとよいでしょう。

内覧者へ過度なアピールは不要ですが、コミュニケーションも重要です。質問には答えるようにしましょう。

④買主との売買契約・引き渡し

売買契約から引き渡しまでの一般的な流れを紹介します。

売買契約の手順

まず売買契約締結前に重要事項説明書により、戸建ての重要事項を説明します。その後、付帯設備表と物件状況報告書にしたがって、付帯している設備や物件の状況を補足して説明します。

次に売買契約書の読み合わせを行い、契約条件や契約内容を確認します。売主・買主が売買契約に応じられると判断したら、署名・押印し売買契約を締結します。このときに印紙を貼付し、実印などで消印し印紙税を納めます。

手付金を買主から受領し、手付金の領収書を発行して渡します。仲介手数料の支払い条件によっては、売買契約締結時にその半額を支払います。

売買契約に必要な書類

売買契約時に売主側が準備すべき必要書類等は以下の通りです。

  • 実印(所有者全員分、例えば不動産が夫婦の共有名義の場合はそれぞれの実印が必要)
  • 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポート、マイナンバーカードなど)
  • 登記済証または登記識別情報
  • 固定資産税・都市計画税納税通知書
  • 建築確認通知書・検査済証
  • 印紙(売買契約書に貼付)
  • 仲介手数料の半額(支払い条件に応じて準備)

⑤必要に応じて確定申告を行う

戸建て売却により利益が発生した場合は、翌年に確定申告を行う必要があります。

利益(譲渡所得)が出たら確定申告が必要

譲渡所得金額は次のように計算します。収入金額(売買代金)から取得と譲渡時にかかった費用を差し引いて課税譲渡所得金額を算出します。
また居住用財産を売却した場合は、その所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除することができます(特別控除)。
収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
この計算により課税譲渡所得が発生したときと、特別控除の特例を利用する場合は確定申告が必要になります。通常翌年の2月16日から3月15日が申告期限です。忘れずに申告するようにしましょう。
出典:国税庁|No.3252 取得費となるもの
国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの
国税庁|No.3302 マイホームを売ったときの特例

戸建て売却の流れに関するQ&A

最後に戸建て売却の流れに関するよくある質問をQ&A形式で紹介します。戸建ての売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

戸建ての任意売却とは?

任意売却とは、競売になる前に金融機関の合意を得て、売却価格を設定し売却する方法です。抵当権を抹消できる金額で売却できない場合でも、協議の上で売却できるのが特徴です。しかし任意売却できたとしても、返済は残る可能性があるため注意が必要です。

売却価格やその後の条件などについては、金融機関と相談する必要があります。詳しくは金融機関にご相談ください。

出典:一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会|任意売却とは

戸建てが相続物件だった場合の売却はどうする?

戸建ての登記上の所有者が、被相続人のままだと所有権移転登記ができません。売却を考えている場合、まずは相続登記をします。ちなみに2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されますのでご注意ください。

相続登記は個人がすることも可能ですが、自分で法務局へ申請するのが難しい場合は司法書士へ依頼します。

相続登記の流れは以下の通りです。

  • 戸籍関係書類の取得
  • 遺産分割協議書の作成
  • 登記申請書の作成
  • 登記申請書の提出
  • 登記識別情報通知書の交付

出典:法務局|不動産の所有者が亡くなった
法務局|不動産登記の申請書様式について
法務省民事局|登記申請手続のご案内 (相続登記①/遺産分割協議編)

戸建てを売却する場合、いつまで住める?

戸建てを売却する場合、原則として残代金決済日(引渡し日)の前日まで住むことができます。したがって残代金決済日の前日までに引越しをしなければなりません。

買換えの場合は「売り」と「買い」のタイミングが重要です。

住宅ローンを完済している場合は、基本的に「買い先行」になります。まず住宅ローン借入可能額と自己資金で新居を購入して引越します。その後、自宅を売却して手に入れた代金で、住宅ローンを繰り上げすることができます。

住宅ローンの残債がある場合でも売却は可能ですが、基本的には二重に住宅ローンを組むことができないため、買い先行は難しいでしょう。また、買換えローンを利用する方法もありますが、借入がダブルになるため、収入にゆとりがある方でないと難しいのが実状です。住宅ローンの残債がある場合は、通常「売り先行」をして、一度賃貸物件などに仮住まいするのが一般的です。

他に「売りと買い同時進行」という方法もあります。しかし決済日を同日に設定することはかなり難しいため、スケジュールに融通が利く、買取による売却を選択しているケースが一般的です。

合わせて「引渡し猶予」の特約を条件にすることができれば、決済日後に引渡し日を別に設けることができ、引渡し作業する時間が作れます。引渡し猶予はあくまでも買主が了承した場合に有効です。詳しくは不動産会社にご相談ください。

パターン解決例
住宅ローンを完済している場合【買い先行】
あらたな住宅ローンの借入ができるため、購入を先行する。自宅の売却後、受け取った代金で住宅ローンを繰り上げ返済することが可能。住宅ローンを組む場合でも、ある程度自己資金が必要になる。
住宅ローンの残債がある場合【買い先行】
金融機関で買換えローンを利用できる場合は、買い先行も可能。
【売り先行】
通常自宅の売却代金で住宅ローンを返済しなければならないため、先に売却し賃貸物件に借り住まいするのが一般的。仮住まい費用がかかることや引越しが2回になるデメリットはあるが、資金計画が立てやすいのがメリットとなる。
【同時進行】
売りと買いを同時に進める方法。買いたい物件があっても、自宅が売却できなければ購入できないため、「買取」による売却も視野に入れる必要がある。

戸建ての売却がスムーズに進まない場合は?

戸建ての売却がスムーズに進まない場合は「買取」による売却を検討しましょう。

買取とは不動産会社がリノベーションなどして付加価値を付け、利益を見込んで再販するものです。

仲介による売却よりも売却価格は安くなりますが、例えば買換えなどで現金化したい期日が決まっている場合はおすすめです。ますは不動産会社や、買取専門業者にご相談ください。

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この記事のポイント

戸建て売却の流れは?

戸建て売却は、売却相場の調査・不動産会社への査定依頼→不動産会社との媒介契約→販売活動・内覧対応→買主との売買契約・引き渡し→必要に応じて確定申告を行うという流れで行われます。

詳しくは「戸建て売却の流れ【5ステップ】」をご覧ください。

戸建てが相続物件だった場合の売却はどうする?

戸建ての登記上の所有者が、被相続人のままだと所有権移転登記ができません。売却を考えている場合、まずは相続登記をする必要があります。

詳しくは「戸建て売却の流れに関するQ&A」をご覧ください。

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