更新日:  

不動産売却時とその後の確定申告の必要書類一覧!取得方法も紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 不動産売却の必要書類には主に「買主に渡す書類」と「登記に必要な書類」がある
  • 必要書類の中でも売主本人しか持っていない「登記識別情報通知書」や「登記済証」が重要

マンションや戸建て、土地等の不動産を売却する際にはさまざまな必要書類が存在します。
主な必要書類は「買主に渡す書類」と「登記に必要な書類」です。

不動産の売却は売買契約日と引渡日の間が1ヶ月程度空くことが特徴ですが、所有権は売買契約日には移転せず、引渡日に移転します。
買主に渡す書類や登記に必要な書類は、所有権が移転する引渡日に必要です。

また、法務局で取得できる登記簿謄本や公図、建物図面等の資料は、不動産会社や買主でも取得できるため、必ずしも必要ではありません。
ゆえに売却で必要となる書類は、基本的には売主しか持っていない書類が中心です。
この記事では、「不動産売却の必要書類」について解説します。

不動産売却時の必要書類

引渡時に必要な書類を示すと、下表のようになります。

必要とする場面書類名
買主への引き渡し(マンション)
・分譲時のパンフレット
・管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等
・管理費・修繕積立金の額の確認書等
・固定資産税・都市計画税納税通知書の写し
・設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書

(戸建て)
・確定測量図、筆界確認書、越境の覚書等の土地関係の書類
・建築確認申請書および添付図書、建築確認済証、検査済証、設計図書等の建物関係の書類
・近隣との覚書・建築協定等の地域関係の書類
・固定資産税・都市計画税納税通知書の写し
・設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書

(土地)
・確定測量図、筆界確認書、越境の覚書等の土地関係の書類
・固定資産税・都市計画税納税通知書の写し
登記・登記識別情報通知書または登記済証(権利証)
・印鑑証明書(引渡時の3ヶ月以内に発行のもの)
・固定資産税評価証明書
・住民票(住所の変遷が確認できない場合は戸籍の付票も必要)
・本人確認書類(免許証等)
・抵当権の抹消に必要な書類(銀行が保管している書類)

登記識別情報通知書または登記済証(権利証)

登記識別情報通知書または登記済証(権利証)は、所有権移転に必要となる最も大切な書類で、引渡時に必要となります。
登記識別情報通知書や登記済証は、所有者が登記権利者として権利を取得した際に法務局から受領した書類です。
登記識別情報通知書は2005年以降から発行されている権利証に代わる書類であり、2005年以前に発行されたものが登記済証となります。

売主本人しか持っていない書類であることから、査定時に本人確認のために不動産会社から提示を求められることもあります。
不動産の場合、マンションの居住者が所有者ではなく借主であるという可能性もあるため、不動産会社は最初に依頼者が所有者であるかどうかをチェックする意味で、登記識別情報通知書や登記済証の確認をすることが多いです。

身分証明書

運転免許証等の公的機関が発行する身分証明書は、売買契約時と引渡時に必要です。
売買契約時は、売主と買主の双方の本人確認のために必要となります。
引渡時は、登記手続きを依頼する司法書士に対して本人確認のために必要です。

間取り図

間取り図がわかる資料に関しては、査定依頼時に必要です。
不動産会社が、売主から受領する間取り図を元に、チラシやインターネット広告用の間取り図面を作成するためです。

また、マンションの売却では、引渡時に分譲時のパンフレットを買主へ引き渡します。

建築確認済証・検査済証

戸建ての売却では、買主に渡す書類として「建築確認申請書および添付図書」、「建築確認済証」、「検査済証」が必要です。
これらの書類は、買主に発行される重要事項説明書に書類の有無が記載されます。

管理規約・使用細則

マンションの売却では、管理規約や使用細則を引渡時に買主へ渡すことが一般的です。
管理規約や使用細則は、通常は売主が所有している書類となります。

重要事項に関する調査報告書

重要事項調査報告書とは、マンションの管理組合が発行している書類です。
マンションの売却時に必要となりますが、通常は不動産会社が取得しますので売主は準備しなくても大丈夫です。

なお、マンションの売主は、理事会の会計報告書や議事録を保有していると思います。
売却の際は、直近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写しを引渡時に買主へ渡してあげると親切です。

固定資産税納税・都市計画税納税通知書の写し

不動産の売却では、固定資産税納税と都市計画税を精算することが一般的です。
固定資産税納税等の精算とは、引渡日以降の固定資産税の実質的な負担を買主へ移転することを指します。

固定資産税納税と都市計画税の納税義務者はあくまでもその年の1月1日時点の所有者であるため、売却してもその年における引渡日以降の固定資産税等の納税義務者は売主のままです。

しかしながら、引渡日以降の固定資産税等を売主がそのまま負担するのは合理的ではないことから、引渡日以降の固定資産税等を日割り計算した額を買主から売主に支払うことで調整します。

固定資産税納税および都市計画税の納税通知書の写しは、固定資産税精算金の算出根拠となる書類です。この金額を明らかにするために、写しを引渡時に買主へ渡すことがよくあります。

実印と印鑑証明

実印は売買契約日と引渡日に必要となります。
印鑑証明書は、登記手続きに必要な書類であるため、引渡日に必要です。

不動産売却に必要な書類の中で、印鑑証明書は「引渡時の3ヶ月以内に発行のもの」という期限があります。
あまり早く取得し過ぎると期限を超過してしまいますので、売買契約を締結した後くらいのタイミングで取得すれば問題ありません。

なお、引渡し前に引っ越しを行い、住所変更を先に行う場合は注意が必要です。住所変更を行うと、売却物件のある住所では印鑑証明書が取得できなくなるため、住所変更前の旧住所で印鑑証明書を先に取得するようにしましょう。

印鑑証明書は市町村役場で取得でき、費用は300円程度となっています。

その他の必要書類

土地と戸建ての売却では、確定測量図が必要となります。
確定測量図とは、隣地や道路との全ての境界が確定しているときに発行される書類のことです。

土地と戸建ての売却では、通常、売買契約書において確定測量図の引渡が条件となっています。
確定測量図の費用は隣接する地権者の数によっても異なりますが、40~80万円程度が目安です。

確定測量図は状況によっては作成に半年以上かかることもあるため、手元にない場合にはすぐに測量会社に依頼して作成してもらう必要があります。

不動産売却後の確定申告の必要書類

不動産の売却では、「税金を納める必要がある場合」もしくは「税金の特例を利用する場合」に確定申告が必要です。
確定申告は、売却の翌年の2/16~3/15の間に行います。
「税金は発生せず、かつ、特例も利用しない場合」には、確定申告は不要です。

譲渡所得計算証明書

譲渡所得計算証明書とは、確定申告で税務署に提出する書類のことです。
個人が不動産を売却したときに得られる所得は「譲渡所得」と呼びます。

譲渡所得計算証明書は、国税庁のホームページでダウンロードができます。
書面に手書きで記載しても申告できますが、ホームページでも直接入力して申告書を作成することが可能です。
国税庁のホームページ内の「確定申告書等作成コーナー」を利用して、Web上で必要事項を入力することで譲渡所得が自動で計算されます。

出典:国税庁|確定申告書等作成コーナー

売買契約書の写し等

譲渡所得計算証明書を作成する上で、以下の書類が必要となります。これらは税務署への提出が必要となる書類ではありません。

書類名目的
「売却時」の売買契約書譲渡価額を計算するために用います。
売却時の固定資産税精算金譲渡価額を計算するために用います。固定資産税や都市計画税を精算している場合には、売却代金に加算します。
「購入時」の売買契約書※取得費を計算するために用います。土地価格と建物価格の内訳が必要となります。
売却時の費用の領収書等譲渡費用を計算するために用います。仲介手数料や印紙税等の売却に要した費用の内容がわかるものであれば大丈夫です。

※購入時の売買契約書がない場合等、購入額が判明しないケースでは、概算取得費(譲渡価額×5%)を用いて取得費を計算します。概算取得費を用いる場合には、購入時の売買契約書は不要です。

上記の資料は、証拠資料として手元に保管しておくことが適切です。
確定申告は自ら修正できる期限が5年、税務署から修正が求められる期限が7年であるため、7年間保管しておけば間違いありません。

なお、証拠資料は確定申告時に提出義務はありませんが、提出しても税務署は拒まずに受領してくれます。
実際に、半分くらいの人は証拠書類のコピーも一緒に提出するようです。確定申告に慣れておらず不安という方は、証拠書類のコピーも提出することをおすすめします。

売却特例で追加で必要となる資料

確定申告において特例を利用する場合には、特例ごとに提出が必要な書類があります。
前節で紹介した証拠書類の提出は任意でしたが、特例で必要な書類の提出は必須です。

ここでは、マイホームを売却したときに使える可能性がある以下の5つの特例の必要書類を紹介します。

いずれの特例を利用する場合でも、売買契約日の前日において、住民票に記載されていた住所とマイホームの所在地が異なる場合には、戸籍の附票の写し等の居住していた事実を明らかにする書類が必要となります。

  • 3,000万円特別控除
  • 軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換え特例
  • 居住用財産の買換えに係る譲渡損失の繰越控除の特例
  • 居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例

3,000万円特別控除

3,000万円特別控除では、特に必要な書類はありません。

軽減税率の特例

軽減税率の特例は、10年超の居住期間を明らかにする必要があることから「売却物件の登記簿謄本」が必要です。

特定の居住用財産の買換え特例

以下の書類が必要となります。

  • 売却物件の登記簿謄本
  • 購入物件の登記簿謄本
  • 購入物件が築年数要件を満たさない場合は、耐震基準適合証明書等

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の繰越控除の特例

以下の書類が必要となります。

  • 売却物件の登記簿謄本
  • 購入物件の登記簿謄本
  • 購入物件の住宅ローンの残高証明書

居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例

以下の書類が必要となります。

  • 売却物件の登記簿謄本
  • 売却物件の住宅ローンの残高証明書
お家の売却をご検討中の方 家の売却なら東急リバブルへ 売却にかかる費用・税金についてはこちら 詳しくはこちら

この記事のポイント

不動産売却時の必要書類は何ですか?

マンションの場合は、分譲時のパンフレット、管理規約・使用細則・最近のマンション理事会の会計報告書や議事録の写し等、管理費・修繕積立金の額の確認書等、固定資産税・都市計画税納税通知書の写し、設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書などが必要です。

戸建てや土地を売却する場合は必要書類が変わります。

詳しくは「不動産売却時の必要書類」をご覧ください。

不動産売却後の確定申告の必要書類は何ですか?

不動産の売却では「税金を納める必要がある場合」もしくは「税金の特例を利用する場合」に確定申告が必要となり、譲渡所得計算証明書などが必要となります。

特例を利用する場合は、特例ごとに必要書類が変わるため注意しましょう。

詳しくは「不動産売却後の確定申告の必要書類」をご覧ください。

売りたい物件・時期がお決まりの方はこちら

60秒で入力完了!売却査定を承ります。

不動産の売却可能額を査定する

東急リバブルが買主となり、
ご所有不動産を直接購入いたします

リフォームいらず、最短7日間で現金化!

リバブル不動産買取はこちら