ざっくり要約!
- 一戸建ての査定では、建物と土地のそれぞれ査定ポイントが重要になる
- 一戸建てを高く売るには、事前にインスペクション(建物状況調査)を行うなどの準備が必要
近年、国は中古住宅の流通を促進するために、家の価値を客観的に判断できる制度を整えつつあります。
例えば「住宅性能評価」という制度では、住宅性能評価書を取得している一戸建てであれば客観的に建物価値を証明できます。
また、一戸建ての売却前に専門家によるインスペクション(建物状況調査)を行えば、希望価格で売却しやすくなります。インスペクションに関しては無料で対応してくれる不動産会社もあるため、このような知識を備えておくことも高く売却するコツです。
では、一戸建ての査定価格をアップするには、どのような方法があるのでしょうか。
この記事では、「一戸建ての査定」について解説します。
記事サマリー
一戸建ての査定で重要となるポイント
一戸建ての価格は、建物価格と土地価格の合計額となります。
建物と土地のそれぞれ査定ポイントについて紹介します。
建物に関するチェックポイント
建物に関するチェックポイントは、下表の通りです。
ポイント | 内容 |
---|---|
築年数 | 建物の価値は、築年数が経過するほど下落していくことが一般的です。 |
面積 | 基本的には面積が大きいほど総額が上がります。ただし、大き過ぎる建物の場合、総額が高く売却しにくくなることから、単価は下がることが多いです。 |
間取りの状態 | 一戸建ての場合、ファミリー層がターゲットのため、3LDKや4LDKが売却しやすいです。一方で、キッチンやバスが全て2階にあり、生活動線に難がある物件は価値が下がる傾向があります。 |
構造 | 構造は地震時の揺れの大きさや耐火性能を変えることから建物の価値に影響します。高い順から並べると、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の順番となります。 |
仕上げの良否 | 内装材や外装材の仕上げの良否も影響します。内装材は、例えば天然木の高級フローリング材を使用しているケースでは高く評価されます。 |
設備の良否 | キッチンやバス、トイレ等の水回りの設備や、断熱や防音の性能の高い窓サッシ、カラーモニター付きインターフォン、浴室乾燥機等の住宅設備のスペックが高いと評価額も上がります。また、省エネ設備や遠隔操作が可能なIoT設備も価値が高いです。 |
デザイン性 | デザイン性も建物価値に影響します。街並みに溶け込んでおり、おしゃれで雰囲気の良い家は、高く売却しやすいです。 |
リフォームの状況 | 比較的最近に行っているリフォームであれば、建物価値を上げる要因となります。例えば、ユニットバスやキッチン等の水回りを刷新していると、価値は高いです。 |
保守メンテナンスの状況 | 白アリ防除や外壁塗装等を定期的に実施してきた家は、評価が上がります。 |
耐震性 | 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けている旧耐震基準の建物は、評価が下がります。ただし、耐震改修を行っていれば耐震性はあるものとして評価されます。 |
瑕疵(かし)の有無 | 雨漏りや床の傾き等、通常有すべき品質を欠く欠陥(瑕疵という)がある場合、建物価値は著しく下がります。 |
取り壊しの必要性 | 取り壊しが必要と判断される物件は価値が下がります。取り壊しが必要な物件は、一般的に更地価格から取り壊し費用を控除したものが査定額となります。 |
・「売却相場 築年数」に関する記事はこちら
家の売却相場はいくら?築年数ごとの相場まとめ
土地に関するチェックポイント
土地に関するチェックポイントは、下表の通りです。
ポイント | 内容 |
---|---|
駅からの距離 | 基本的に最寄駅から近いほど、価値は高くなります。また、最寄り駅がターミナル駅や快速停車駅等の方がより価値が高いです。 |
生活利便施設の有無 | 徒歩圏内にスーパーやコンビニがあると価値は高くなります。加えて郵便局や病院等もあると便利な場所と認識されます。 |
用途規制と容積率 | 基本的にさまざまな用途の建物が建築可能な用途規制の緩い方が価値は高いです。また、容積率が高く指定されており、高層建築物が建てられる土地の方が価値は高くなります。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。 |
接面道路との関係 | 住宅地は南向きの道路に面している土地の方が日照に優れ価値は高いです。角地は通風に優れることから価値は高くなります。敷地は道路より少し高い方が排水勾配を取りやすいため、価値は高いです。 |
道路の種別 | 幅員が4m未満の道路に接しており、セットバック(敷地後退)を要する場合は価値が低くなります。接面道路は、歩道が整備されている方が価値は高いです。 |
間口と奥行の関係 | 間口は広く、奥行きが浅い長方形の土地は価値が高くなります。正方形は意外と使いにくく、必ずしも価値は高くありません。逆に間口が狭く、奥行きが長い土地は価値が低いです。 |
形状 | 旗竿地や三角形の土地等、不整形な土地や敷地内に段差のある土地は価値が低くなります。 |
インフラの整備状態 | 上水道、下水道、ガス等のインフラが引き込めない土地は価値が下がります。 |
周辺の嫌悪施設の有無 | 墓地や高圧線、葬儀場、下水処理場、反社会的勢力の事務所等の嫌悪施設に近接していると価値が下がります。 |
瑕疵の有無 | 土壌汚染や地中埋設物等の瑕疵がある場合は、価値が下がります。 |
一戸建ての査定価格を上げるための事前準備
一戸建ての査定価格を少しでも上げたいときに必要な準備について解説します。
掃除をしておく
気になるようであれば、査定の前に掃除をしておいても構いません。
ただし、掃除をしたからといって査定価格が上がるわけではないため、必要以上に掃除をしなくても大丈夫です。
インターネット上などで「査定前に掃除をしておくと価格が上がる」という誤情報が溢れていますが、不動産会社は掃除をしてあるから「プラス100万円」または「プラス5%」といった査定をすることはありません。
アピールポイントをまとめておく
リフォームを実施していれば、実施時期や実施個所をまとめておくとわかりやすくアピールできます。また、今では入手困難となっている高価な木材で床を仕上げている場合等も、アピールポイントになります。リフォーム時にリフォーム会社と交わした契約書や、仕様書などがあればなおプラスになるでしょう。
さらに、以下のような建物価値を客観的に証明できる書類があれば準備しておきます。
- 建設住宅性能評価書
- 瑕疵保険の付保証明書
- インスペクション(建物状況調査)の合格書(過去1年以内のもの)
- 耐震診断結果報告書(旧耐震の物件の場合)
- 耐震基準適合証明書(旧耐震の物件の場合)
- 建物の請負契約書
- 施工会社とやり取りした設計図や契約書(注文住宅の場合)
・「住宅性能評価書」に関する記事はこちら
住宅性能評価書とは?評価を受けるメリット・デメリットを解説
・「瑕疵保険」に関する記事はこちら
住宅の瑕疵保険とは?新築・中古・リフォームの保険内容の違いを解説
・「インスペクション」に関する記事はこちら
インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説
・「耐震基準適合証明書」に関する記事はこちら
耐震基準適合証明書とは?取得するメリットや費用とあわせて注意点も解説
その他、以下の書類は売却時に買主に対して行われる重要事項説明において書類の有無が説明されます。
- 建築確認申請書および添付図書
- 建築確認済証
- 検査済証
上記の書類はなくても売却は可能ですが、基本的にはあった方が望ましい書類です。なお、紛失している場合には、自治体が確認した一定の建築年次以降の物件であれば代替資料として「建築確認概要書」や「建築台帳記載事項証明書」の発行を受けられるケースもあります。
不動産会社によっては査定時に書類の有無を確認してくる会社もありますので、念のため、査定時に準備しておいた方がよいでしょう。
・「売重要事項説明」に関する記事はこちら
重要事項説明書の記載事項とチェックポイントまとめ
相場価格を調べた上で複数の不動産会社に査定を依頼する
戸建ての相場は「REINS Market Information(レインズマーケットインフォメーション)」で調べることができます。
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣が指定する不動産流通機構が運営する、誰でも無料で不動産の相場を調べられるサイトです。
取引情報検索画面から、所在や沿線、最寄り駅、駅からの距離、価格、土地面積、建物面積、間取り、築年数等をしぼり込んでいくことで類似の物件の価格一覧を調べることができます。
相場を確認したら、不動産会社に査定を依頼します。
査定を依頼する不動産会社は、提供しているサービス内容をホームページで調べてから依頼することが望ましいです。
査定価格は不動産会社によって異なりますので、2~3社程度比較しても良いかもしれません。
複数社依頼する場合にも、きちんとそれぞれの不動産会社のサービス内容を調べた上で依頼することが適切です。
売却前の査定は、基本的にどの不動産会社も無料で対応してくれます。
出典:REINS Market Information|取引情報検索
・「家を売る 相場」に関する記事はこちら
家を売る際の相場は?高く売りたいときのコツも紹介
・「不動産売却 どこがいい」に関する記事はこちら
不動産売却や査定はどこがいい?迷ったときの選び方
・東急リバブルの「一戸建て売却・査定」はこちらから
インスペクションを検討する
一戸建てを高く売るにはインスペクション(建物状況調査)を検討するのも一つです。
インスペクションとは、専門家による建物の簡易な調査になります。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が行った「2017年 土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果」によると、インスペクションを実施した人の64.3%が「自宅の売却が希望価格で売れた」と回答しています。
インスペクションでは第三者の建物専門家が一度家の状態を確認するため、買主が安心して物件を購入できるようになります。
インスペクションの費用は、通常であれば5~6万円程度ですが、大手の不動産会社の中には仲介を依頼することでインスペクションを無料で対応してくれる会社も存在します。
このような会社に依頼すればコストをかけずに高く売却できるようになりますので、不動産会社選びの参考にしてみてください。
出典:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会|2017年 土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果
・「インスペクション」に関する記事はこちら
インスペクションとは?メリットや費用、注意点、自治体の補助金を解説
・東急リバブルの「リバブルあんしん仲介保証」はこちらから
一戸建ての査定前にすべきこと3つ
一戸建ての査定前にすべきことについて解説します。
住宅ローンの残債額の確認
住宅ローンが残っている物件を売る場合には、残債額を確認します。
最新の返済予定表を用いて、正確な数値を把握しておくことが適切です。
・「ローン中の家を売る」に関する記事はこちら
ローン中の家を売る場合の注意点とは?オーバーローンの場合の対処法など解説
必要書類の有無の確認
一戸建ての売却では、引渡時に以下のような書類が必要となります。
すぐには必要にはなりませんが、書類の有無は早めに確認しておくことが望ましいです。
(買主に引き渡す書類)
- 測量図、筆界確認書、越境の覚書等の土地関係の書類
- 建築確認済証、検査済証、設計図書等の建物関係の書類
- 近隣との覚書・建築協定等の地域関係の書類
- 設備取扱説明書、保証書、アフターサービス基準書
(所有権移転に必要な書類)
- 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
- 印鑑証明書(引渡時の3ヶ月以内に発行の物)
- 固定資産税評価証明書
- 住民票
- 本人確認書類(免許証等)
・「不動産売却 必要書類」に関する記事はこちら
不動産売却時とその後の確定申告の必要書類一覧!取得方法も紹介
土地境界の確定
一戸建ての売却では、買主へ確定測量図を引渡すことが売買契約書で条件となっていることが一般的です。
確定測量図とは、すべての土地の境界が確定しているときに発行される実測図のことです。
確定測量図がない場合には、測量会社に依頼して境界確定をしてもらう必要があります。境界確定にかかる費用の目安は、40~80万円程度です。
・「確定測量」に関する記事はこちら
確定測量が不動産売買で必要な理由を解説!かかる費用や測量の流れも紹介
・「土地売却 測量」に関する記事はこちら
土地売却時の測量は義務?測量の流れや期間、費用を解説
・東急リバブルの「一戸建て売却・査定」はこちらから
この記事のポイント
- 一戸建ての査定で重要となるポイントは?
一戸建ての価格は、建物価格と土地価格の合計額となり、建物と土地でそれぞれ重要となる査定ポイントがあります。
例えば、建物の場合は築年数、面積、間取りなどです。
詳しくは「一戸建ての査定で重要となるポイント」をご覧ください。
- 一戸建ての査定価格を上げるための事前準備は?
事前準備としては、アピールポイントをまとめておく、相場価格を調べた上で複数の不動産会社に査定を依頼する、インスペクションを検討するなどの方法があります。
詳しくは「一戸建ての査定価格を上げるための事前準備」をご覧ください。
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