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不動産売却の仲介と買取の違いは?物件ごとの向き・不向きも解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 不動産売却の仲介のメリットは買取よりも高値で売却できる可能性が高いこと
  • 不動産売却の買取のメリットは短期間で売却が可能ですぐに現金化しやすいこと

不動産を売却する方法には「仲介」と「買取」の2通りあります。どちらも不動産会社が窓口になりますが、買主が異なるのが特徴です。

それぞれメリット・デメリットがあり売却価格にも影響するため、どちらを選択するか慎重に検討する必要があります。

この記事では仲介と買取の違いと、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。また仲介が向いている物件の特徴と、買取が向いている物件の特徴を詳しく解説しますので、不動産の売却を検討している方はぜひ参考にしてください。

不動産売却の仲介と買取の違い

不動産売却を相談する前に、仲介と買取の違いを把握しましょう。仲介も買取も不動産を売却することに違いはありませんが、「買主」が違うため、それぞれのメリット・デメリットも異なります。

まずは仲介と買取の違いを解説します。

仲介と買取は買主が違う

仲介で不動産を売却する場合、買主はおもに一般の個人のお客様になります。不動産会社が販売活動を行い、購入希望者を探します。

買主は自ら住むことを目的としているケースが多いですが、なかには不動産投資を目的としているケースもあります。

一方で、不動産を買取で売却する場合、買主は不動産会社になります。通常リフォームやリノベーションをし、付加価値を付けたうえで再販するのが目的です。

・「マンション売却 買取 仲介」に関する記事はこちら
マンション売却時は仲介と買取どちらを選ぶ?物件の向き・不向きも紹介

不動産売却の仲介のメリット・デメリット

まず不動産を仲介によって売却する際のメリットとデメリットを詳しく解説します。

メリット

仲介のメリットは以下の通りです。

買取よりも高値で売却できる可能性が高い

仲介の最大ともいえるメリットは、買主が個人であるため相場価格で売却できる可能性が高く、買取に比べて高額で取引できることです。少しでも高く売却したい場合は、仲介がおすすめです。

売却価格に納得しやすい

査定額を参考にしながらも、自分の希望する価格で売りに出すことが可能です。また市場に売却物件として出すため、結果として売却できた価格に納得しやすいこともメリットといえるでしょう。

デメリット

仲介のデメリットは以下の通りです。

売却までに時間がかかる

仲介のデメリットは、売却までに時間がかかる可能性が高いことです。売却できるまで、内覧希望があれば基本的には対応する必要があります。週末に急な内覧希望が入ることもあるため、休日なのに落ち着かないと感じるかもしれません。

希少性がある物件はすぐに買い手がつくこともあります。しかし一般的には売り出しから売買契約締結までに1~3カ月程度、さらに不動産の引き渡しまでにはプラス2~4カ月程度かかります。

物件の条件や市場の状況によっては1年以上かかることもあり、長期戦になることも想定する必要があります。

不動産会社との媒介契約は3ヶ月が最長です。もし3カ月で成約に至っていない場合は価格を見直す必要があります。

契約不適合責任を負う

買主が個人であるため、基本的には売主が契約不適合責任を負うことになります。

以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月の民法改正により名称が「契約不適合責任」に変わり、ルールも一部変更になりました。

契約不適合責任とは、売主は売買契約書で定めた状態で買主に不動産を引き渡さなければならず、万が一瑕疵(不具合)があった場合に売主が負う責任をさします。

ここでいう瑕疵(不具合)とは、マンションでいうと雨漏りや給排水管の詰まりなど、戸建てでは雨漏りやシロアリによる腐食などが主な内容になります。

現行の民法では買主が発見してから1年間、売主は責任を負うものとしています。しかし個人である売主には重すぎるため、通常は瑕疵担保期間を引渡し後3ヶ月としているケースがほとんどです(当事者の合意があれば変更可能)。

瑕疵の程度にもよりますが、買主は追完請求(補修などを請求すること)や損害賠償、代金減額請求、契約解除ができるというものです。

仲介手数料がかかる

仲介の場合は不動産会社に販売活動や契約業務などを行ってもらうため、仲介手数料を払う必要があります。成約価格が800万円以上の場合、「成約価格×3%+ 6万円(税別)」です。

もし成約価格が3,000万円であれば、3,000万円×3%+ 6万円=96万円(税別)です。

仲介手数料は成功報酬のため、広告活動や内覧の立会いを行っていたとしても成約になるまではその費用はかかりません。

また複数社に依頼していた場合でも、支払うのは成約に導いた1社のみです。

周囲に売却していることを知られる

通常、仲介の場合は広告活動を行い、買主を探します。不動産会社のホームページや新聞折り込み広告、住宅情報誌などに掲載するため、不動産の購入を検討していないような方にも売り出していることを知られてしまう可能性があります。

売主の要望により、来店顧客のみに限定的に紹介する方法もありますが、万全ではありません。また限定的な販売活動にしてしまうと、せっかくの売却の機会を逃してしまいます。

ただ不動産会社によって、抱える既存客が多い場合もあるので、そういった顧客にまずアプローチしてもらう進め方もあります。売却開始前に営業担当者に相談してみても良いでしょう。

周囲に知られたくない場合は、買取による売却が安心です。

参考:不動産売主の契約不適合責任 ~瑕疵担保責任から契約不適合責任へ | 一般財団法人 住宅金融普及協会

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不動産売却の買取のメリット・デメリット

次に不動産を買取によって売却する際の、メリットとデメリットを詳しく解説します。

メリット

買取のメリットは以下の通りです。

短期間で売却が可能・すぐに現金化できる

買取査定後、金額に折り合いがつけばすぐに売買契約を締結することが可能です。希望する期日に合わせて現金化してもらえるため資金計画が立てやすく、とくに買換えなどで決まった期日に現金が必要になる場合も安心です。

個人が購入する場合は住宅ローンを利用するケースが多く、万が一ローンの借り入れができない場合はローン解除(白紙解除)になります。しかし買取の場合は買主が不動産会社のため確実性が高く、基本契約が解除になることはないでしょう。

契約不適合責任を免責にすることができる

買主が不動産会社のため、原則契約不適合責任を免責にしてもらうことができます。またクリーニングやリフォームも不要です。基本的に現状のまま引き渡すことができるので、築年数が古い物件でも心配ありません。

周囲に知られずに売却できる

広告活動を一切しないため、周囲に売却していることを知られるリスクを軽減できます。もし周囲に知られたくない場合は、念のため「内密にして欲しい」と依頼しておくとより安心できるでしょう。

内覧対応が不要で手間がかからない

内覧をするのは査定の担当者だけで、基本1回限りです。仲介のように内覧希望者が現れるたびに対応したり、室内の清掃や整理整頓をして備えたりする必要もありません。

週末などに内覧に応じる必要がないため、その煩わしさを感じたくない人や忙しい人には買取をおすすめします。

仲介手数料がかからない

不動産会社と直接売買契約を締結するため、仲介手数料はかかりません。

ただし不動産会社の仲介によって、買取が進む場合は通常の「仲介」と同様に仲介手数料がかかりますので、混同しないようにしましょう。

デメリット

買取のデメリットは以下の通りです。

相場よりも売却価格が安くなる

不動産会社は買取して、再販することを目的としています。リフォームやリノベーションをすることによって付加価値を付けて販売しますが、事業として行うため利益が見込める価格で買取する必要があります。

結果として買取価格は相場より安くなります。物件や立地などにもよりますが、相場の7~8割程度になることもあります。まずは買取査定を依頼し、総合的に判断することをおすすめします。

また買取査定を複数社に依頼することによって、より高値で買取してもらえる不動産会社が見つかることもあります。少なくとも2~3社にはご相談ください。

買取してもらえない可能性もある

不動産の条件や立地などによっては、買取してもらえない可能性もあります。しかし不動産会社によって強みや販売能力が異なるため、買取に応じてもらえる可能性があります。あきらめず複数社にご相談ください。

不動産売却の仲介に向いている物件の特徴

不動産売却を検討する場合、仲介に向いているのはどのような物件なのでしょうか。ここでは仲介に向いている物件の特徴を紹介します。

立地などの条件が良い

立地が良い物件は比較的早く売却できる可能性が高いため、なるべく高く売却するためにも仲介で売却することをおすすめします。

リフォーム済みである

リフォーム済みで見栄えが良い物件も、比較的早期に売却できる可能性が高いです。相場より高く売れる可能性もあるため、仲介での売却をおすすめします。

築浅物件

築年数が浅い物件は仲介が向いています。リフォームやリノベーションなどによる付加価値をつける必要がないため、そのまま仲介で売却しましょう。

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不動産売却の買取に向いている物件の特徴

不動産売却を検討する際に、買取に向いているのはどのような物件なのでしょうか。ここでは買取に向いている物件の特徴を紹介します。

大規模なリフォームが必要な物件

新築当時からリフォームや改修工事をしていない場合、築年数によっては大規模なリフォームが必要になります。たとえば戸建ての屋根やバルコニーなどに劣化が見られる場合、雨漏りを防ぐためにも塗装や改修工事が必要です。

万が一買主へ引渡し後に雨漏りが発覚した場合は、売主は契約不適合責任を問われ、改修工事費を負担しなければなりません。

築年数が古く大規模なリフォームが必要になる物件は、契約不適合責任を免責にできる買取による売却をおすすめします。

不具合がある物件

買取は不動産会社が直接購入するため、通常契約不適合責任を免責にすることができます。すでに不具合がある場合や、築年数が古く引渡し後に瑕疵が見つかる可能性が高い場合は、買取による売却が安心です。

事故物件

一般的に建物内などで自殺や他殺、事件性がある人の死があった物件は、事故物件と表現されます。

事故物件には告知義務があり、不動産会社は買主や借主に事故物件であることを説明しなければなりません。説明を故意にしなかった場合、売主は買主から損害賠償や契約解除を請求される可能性があります(契約不適合責任)。

もし事故物件である場合は隠さず、きちんと説明するようにしましょう。仲介で売りに出すことも可能ですが、売却が難しい可能性が高いため、事故物件を専門に扱う不動産会社への買取をおすすめします。

再建築不可物件

再建築不可物件とは、建築基準法上の接道義務を果たしていないため、再建築ができない物件です。通常、建物を建築する場合は、幅員4ⅿ以上の道路に2ⅿ以上接していなければなりません。

再建築不可物件を仲介で売却することも可能ですが、そもそも資産価値が低いため、仲介であっても相場よりも安くなる可能性が高いです。

売却までに時間がかかることも予想されるため、買取による売却が向いているでしょう。

個人が購入するには広すぎる土地

一般的に住宅地として人気がある大きさの土地は仲介に向いていますが、個人が購入しにくいような大きな土地は、建売用地やマンション用地に向いている可能性があります。

まずは事業用の土地の買取を専門に行っている不動産会社に相談してみましょう。

解体費用が高額になる土地

古家の解体費用が高額になる可能性がある土地は、個人への売却が難しい可能性が高いため、買取による売却がおすすめです。たとえば古家にアスベストが使われている物件は余分に解体費用がかかります。

この記事のポイント

不動産売却の仲介と買取の違いは?

仲介で不動産を売却する場合、買主はおもに一般の個人のお客様になります。一方で、不動産を買取で売却する場合、買主は不動産会社になります。

詳しくは「不動産売却の仲介と買取の違い」をご覧ください。

不動産売却の仲介に向いている物件の特徴は?

立地などの条件が良い、リフォーム済みである、築浅物件であるという特徴がある場合、仲介が向いています。

詳しくは「不動産売却の仲介に向いている物件の特徴」をご覧ください。

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