ざっくり要約!
- 一戸建てを売るとまとまった資金を手にできる、維持費用などがかからないといったメリットがある
- 一戸建てを貸すと家賃収入を得られる、貸し出し後も不動産資産として所有できるといったメリットがある
転勤や相続、住み替えなどに際して、所有している一戸建てを売るべきか、それとも貸すべきかと悩む方は実際多くいらっしゃいます。
不動産会社には、売買仲介を専門とする会社と、賃貸仲介専門の会社があり、「売るべきか、貸すべきか」を一度に相談できないこと もあるのが原因かもしれません。
ここでは一戸建てを「売却する場合」と「賃貸する場合」のメリット・デメリットをそれぞれ詳しく解説します。
また売却と賃貸で迷ったときの判断ポイントも紹介しますので、一戸建ての売却や賃貸を検討する際はぜひご参考にしてください。
記事サマリー
一戸建てを売るメリット・デメリット
一戸建てを売るメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
一戸建てを売るメリット
一戸建てを売るメリットは以下の通りです。
まとまった資金を手にできる
一戸建てを売却することによって、不動産資産を現金化できます。住宅ローンを借り入れている場合はその残債額にもよりますが、ある程度まとまった資金を手にできるのがメリットです。
住み替えするための新居購入資金や老後の資金、子どもの教育資金などに充てることができます。
住宅ローンの残債額は、金融機関から郵送される残高証明書や返済予定表などで確認できます。インターネットバンキングを利用している場合などは、ウェブサイト上で確認することも可能です。
ちなみに一戸建ての売却を検討する場合は、住宅ローンの残債額を確認しておくことをおすすめします。
一戸建てを維持する費用や管理する手間がかからない
一戸建てを所有していると、維持費用がかかります。年数に応じて屋根や外壁の改修費や、給湯器などの設備が故障すれば交換費用や修理費用が発生します。
他にも庭木の手入れや除草など、庭の手入れも必要です。ご自身で手入れができる程度であれば費用はかかりませんが、造園会社などに依頼する場合は費用がかかります。
しかし一戸建てを 売却してマンション等に住み変えた場合には、こうした維持費用や管理する手間はかかりません。居住している場合はさほどではないかもしれませんが、転勤などで住んでいない場合は大変だと感じるかもしれません。
一戸建てを貸す場合は対価を得ているため、より費用をかけて維持管理する必要が出てきます。また急に設備が故障することもあり、その都度対応する必要があります。
固定資産税・都市計画税がかからない
一戸建てを所有している場合、固定資産税・都市計画税(市街化区域内に所在する場合)がかかります。地域によっても異なりますが、4~6月に郵送される納税通知書で税額を確認できます。
しかし一戸建てを売却すれば、翌年から固定資産税等はかかりません。固定資産税・都市計画税とは1月1日現在の所有者に対して課される税金です。年度途中で税金が免除されることはありませんが、通常不動産取引においては、固定資産税等は決済日において売主・買主間で清算するのが慣例です。
固定資産税・都市計画税は、不動産の評価額によって税額は異なります。
例えば東京23区内では固定資産税は評価額×1.4%(標準税率)、都市計画税は評価額×0.3%で計算されます(税率は自治体が独自に定めることが可能)。
住宅用地に対しては税負担を軽減する特例措置が設けられており、住宅用地の広さに応じて固定資産税・都市計画税が軽減されます。それぞれ以下の通りです。
固定資産税 | 都市計画税 | ||
---|---|---|---|
小規模住宅用地 | 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 | 評価額×1/6 | 評価額×1/3 |
一般住宅用地 | 小規模住宅用地以外の住宅用地 | 評価額×1/3 | 評価額2/3 |
・「固定資産税 いくら」に関する記事はこちら
固定資産税はいくら?マンションと一戸建ての違いは?
・「固定資産税 軽減措置」に関する記事はこちら
固定資産税の軽減措置の適用条件は?手続き方法も解説
近年問題視されている空き家問題ですが、2015年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって定義付けられた「特定空家」に該当する場合は、固定資産税等の住宅用地の特例措置が適用にならなくなる可能性があり、その場合は減免が受けられない分増税になります。
また自治体の指導に応じず改善をしない場合は、50万円以下の過料が課されることもあります。売却せず空き家としておく場合は注意が必要です。
出典:国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
特定空家等
特定空家等
(1)倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
(2)アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
(3)適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
(4)その他、立木の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態
引用:政府広報オンライン|年々増え続ける空き家!空き家にしないためのポイントは?
・「空き家問題」に関する記事はこちら
空き家問題とは?政府の対策や税金、空き家バンクや購入方法も解説
・「空き家対策特別措置法(空き家法)」に関する記事はこちら
「空き家対策特別措置法(空き家法)」改正が決定!「管理不全空き家」も固定資産税減額解除の対象に
・東急リバブルの「一戸建て売却・査定」はこちらから
一戸建てを売るデメリット
一戸建てを売るデメリットは以下の通りです。
住宅ローンを完済しなければならない
一戸建てを売却する際、住宅ローンの残債がある場合は引渡し時に完済しなければなりません。
一戸建ての売買代金で完済できれば問題ありませんが、もし売買代金を残債額が上回る場合は、自己資金を充当しなければなりません。
よって一戸建ての売却を検討する際は、まず住宅ローンの残債額を確認する必要があります。売却価格については不動産会社に査定依頼し、資金計画を立てましょう。
・「ローン中に家を売る」に関する記事はこちら
ローン中の家を売る場合の注意点とは?オーバーローンの場合の対処法など解説
不動産資産を手放すことになる
一戸建てを売却するということは、資産を手放すことになります。売却価格について後悔しないためにも、売却するタイミングについては、慎重に検討してください。
・「家を売る タイミング」に関する記事はこちら
家を売るタイミングはいつがいい?築年数や税金・社会情勢などの観点から解説
譲渡益が発生する可能性がある
一戸建てを売却することによって、利益が発生する場合は譲渡所得税が発生します。一戸建ての売却を検討する際は、査定とともに譲渡所得額 を試算しておく必要があるでしょう。
計算式は以下の通りです。一戸建ての所有期間に応じて譲渡所得税率をかけて算出します。譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下は短期譲渡所得となります。
収入金額 – ( 取得費 + 譲渡費用) – 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
課税譲渡所得金額×所有期間に応じた税率=譲渡所得税
所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
長期譲渡所得 | 15% | 所得税に対して2.1% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得 | 30% | 所得税に対して2.1% | 9% | 39.63% |
※2013年から2037年までは、復興特別所得税として基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて納付することになります。
とくに相続の場合は、購入時の価格がわからないことがあるので、注意が必要です。取得費(購入代金・購入経費)がわからない場合は、売却価格の5%相当額 とすることができますが、譲渡益が大きくなる可能性があります。
出典:国税庁|No.3252 取得費となるもの
国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの
国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
国税庁|No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
国税庁|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
国税庁|No.3258 取得費が分からないとき
・「譲渡所得税」に関する記事はこちら
譲渡所得税とは?不動産売却でかかる税金の計算方法や特例を解説
一戸建てを貸すメリット・デメリット
一戸建てを貸すメリット・デメリットをそれぞれ解説します。
一戸建てを貸すメリット
一戸建てを貸すメリットは以下の通りです。
家賃収入を得られる
一戸建てを貸家として貸すことにより、家賃収入を得ることができます。不動産会社に管理を依頼する場合は管理委託料などがかかりますが、それでも月々決まった金額を収益として手にすることができるのはメリットでしょう。
・「家賃収入」に関する記事はこちら
家賃収入とは?不動産投資による収益化までの流れと注意事項を解説
不動産資産として所有できる
一戸建てを貸家として貸し出したとしても、不動産資産として所有できます。先々まとまった資金が必要になったときには売却し、現金化することができます。
入居者が退去した後は自分が住むこともできますし、家族を住まわせることも可能です。また定期借家契約によって賃貸期間を定めておく方法もあります。
・「リロケーション」に関する記事はこちら
リロケーションとは?転勤時の空き家活用で検討したい賃貸方法をご紹介
・東急リバブルの「家を貸す・賃貸経営」はこちらから
・東急リバブルの「リロケーションプラン」はこちらから
一戸建てを貸すデメリット
一戸建てを貸すデメリットは以下の通りです。
借り手がつかない可能性がある
一戸建てを貸家にして、入居者を募集したとしても借り手が見つからないケースがあります。その場合、家賃収入はゼロです。状況に応じて家賃の値下げを検討する必要があるでしょう。
一戸建ての貸し出しを検討する場合は、事前に不動産会社に賃料査定を依頼し、需要の有無についても相談しておくことをおすすめします。
維持費用や手間がかかる
一戸建てを維持するためには費用と手間がかかります。設備が故障すれば修理費や交換代、入居者が入れ替わる場合はリフォーム代がある程度必要になります。
管理を不動産会社へ依頼することもできますが、その場合は管理委託料がかかります。不動産会社へ入居者の募集を依頼し、成約になったときは仲介手数料がかかります。また一戸建てを所有していることによって、固定資産税や都市計画税もかかるのです。
・「一戸建て 維持費」に関する記事はこちら
一戸建てとマンションどちらの維持費が高い?具体的な項目と維持費の比較
さらに、家賃収入について確定申告する必要がありますので、忘れずに申告するようにしましょう。
・「家賃収入 税金」に関する記事はこちら
家賃収入でかかる税金はどのくらい?計算方法や節税対策のポイントも紹介
一戸建てを売るか貸すか迷ったときの判断ポイント
一戸建てを売る場合と貸す場合のメリット・デメリットがわかったとしても、それでも迷うかもしれません。
ここでは、どちらにするか迷ったときの判断ポイントを5つ紹介します。
- 住宅ローンの返済状況
- 立地や条件
- 築年数
- リフォームの有無
- 転勤などの有無
住宅ローンの返済状況
住宅ローンは自宅購入資金とすることが条件のため、本来住宅ローンが残っている場合は、貸し出すことはできません。
住宅ローンが残っている自宅を、貸家として貸し出したい場合は、必ず金融機関にご相談ください。住宅ローンから不動産投資ローンなどに切り替える必要があり、その場合は通常金利が上がります。月々の返済額が増えるもしくは返済期間が延びるなどします。
切り替え後の返済額が負担になる場合や、新居の購入を予定していて新たな住宅ローンを組みたい場合は、売却することをおすすめします。
立地や条件
一戸建ての立地や条件によっては買い手が見つからない可能性があります。また貸家として入居者を募集しても需要がなく、借り手がつかないエリアもあります。
一戸建てを売却するか賃貸するか迷ったら、不動産会社に相談するのがおすすめです。売る場合と貸す場合の査定を依頼し、需要の有無を確認したうえで検討しましょう。
・東急リバブルの「W査定」はこちらから
築年数
築年数が浅い物件は人気があるため、好条件かつ短期間で売却できる可能性が高いです。貸す場合も、借り手はすぐに見つかるでしょう。
建物の価値は年数とともに目減りするうえ、賃貸に出すとどうしても建物の劣化が早くなります。築浅物件は、資産価値が高いうちに売却することをおすすめします。
・「売却相場 築年数」に関する記事はこちら
家の売却相場はいくら?築年数ごとの相場まとめ
リフォームの有無
一戸建てを貸し出す場合、ある程度リフォームをして綺麗な状態にする必要があります。クロス(壁紙)の張り替えや畳の表替え、室内全体のクリーニングは最低でも必要になります。
リフォーム費用をかけたくない、もしくは捻出できない場合は、そのままの状態で売却することをおすすめします。売却物件は、買主がリフォームすることを前提に考えていることもあり、価格次第で売却することができます。
転勤などの有無
勤務先の転勤が理由で一戸建ての売却もしくは賃貸を検討している場合は、まずは貸し出すことを検討しましょう。
例えば5年で戻ってくることが確実であれば、5年以下の期間を定めて定期借家契約をする方法があります。
住宅ローンを組んでいる場合、賃貸物件に転用することは契約違反になります、しかし転勤が理由の場合は金融機関によって対応が異なるケースがあります。まずは借入先に相談してみましょう。
・「リロケーション」に関する記事はこちら
リロケーションとは?転勤時の空き家活用で検討したい賃貸方法をご紹介
・東急リバブルの「リロケーションプラン」はこちらから
・東急リバブルの「一戸建て売却・査定」はこちらから
・東急リバブルの「家を貸す・賃貸経営」はこちらから
この記事のポイント
- 一戸建てを売るメリットは何ですか?
一戸建てを売ると、不動産資産を現金化できる、維持費用や管理する手間がかからない、翌年から固定資産税等はかからないといったメリットがあります。
詳しくは「一戸建てを売るメリット・デメリット」をご覧ください。
- 一戸建てを貸すメリットは何ですか?
一戸建てを貸すと、家賃収入を得ることができる、貸した後も不動産資産として所有できるといったメリットがあります。
詳しくは「一戸建てを貸すメリット・デメリット」をご覧ください。
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