ざっくり要約!
- 固定資産税とは、毎年1月1日現在に各市区町村に備え付けられた固定資産課税台帳に土地などの所有者として登録されている人に課税される税金
- 固定資産税を安く抑えるための特例として、小規模住宅用地の特例や新築住宅の特例などがある
不動産を保有すると、毎年、固定資産税がかかります。
アパートや賃貸マンションといった収益物件であれば、固定資産税は家賃収入の中から支払うことができるため、大きな負担を感じることは少ないかもしれません。
一方で、マイホームや更地といった収益を生み出していない不動産をお持ちの場合は、固定資産税を高いと感じている人も多いと思われます。
固定資産税を安く抑える方法はあるのでしょうか。この記事では「固定資産税が高い」ことをテーマに解説します。
記事サマリー
そもそも固定資産税とは?
最初に固定資産税の概要を解説します。
土地と家屋、償却資産にかかる税金
固定資産税とは、毎年1月1日現在に各市区町村に備え付けられた固定資産課税台帳に土地などの所有者として登録されている人に対して課税される税金です。
区分としては市区町村税ですが、東京23区の場合は都税となります。
固定資産税の対象となるのは、土地および家屋(以下、建物と表記)、償却資産です。
償却資産税とは、土地および建物以外の事業の用に供することができる資産を指します。
固定資産税の納期は、市区町村によって異なるものの、一般的には4月と7月、12月、翌年の2月の4期になっていることが多いです。
納税方法には、口座振替や金融機関のATM、インターネットバンキング、コンビニエンスストア、クレジットカード、スマートフォン決済等があります。
また、固定資産税には免税点という制度が設けられています。免税点とは、課税標準額が一定の金額未満の場合に課税しないとされている金額のことです。
免税点は、土地が30万円、建物が20万円となっています。
中には、山林を保有しているものの、固定資産税が生じていないケースがあります。山林に固定資産税がかからないというわけではなく、山林は固定資産税評価額が低く、課税標準額が免税点未満となっていることが多いためです。
課税標準額が免税点未満であれば、不動産を持っていても固定資産税は発生しないことになります。
固定資産税が高いときに考えられる理由
固定資産税が高いときに考えられる理由を解説します。
地価の高いエリアにある
地価の高いエリアは土地の固定資産税評価額が高くなるため、固定資産税も高くなります。
例えば、東京都は他の道府県よりも地価が高いことから、傾向として土地の固定資産税も高いです。
宅地や整形地である
宅地は農地や林地と比べると、固定資産税評価額は高いです。
宅地とは、「現に建物の敷地に供せられている土地」または「建物を建てるために取引される土地」を指します。
また、整形地だから高いというよりは、不整形地は整形地よりも固定資産税が安くなる傾向があります。
理由としては、不整形地は利用しにくく、固定資産税評価額が安く評価されることがあるからです。
逆に、整形地は評価において減額要素が少ないことから、不整形地よりも固定資産税は高くなる傾向があります。
鉄筋コンクリート造または平家一戸建て
鉄筋コンクリート造は木造よりも建築費単価が高いため、建物の固定資産税が高くなりやすいです。
平家は2階建てと同じように屋根や基礎がありますが、延床面積(各階の合計床面積のこと)が2階建てと比べると小さいため、建築費の単価が高くなります。
ゆえに単価が割高という意味で、固定資産税は高いといえます。ただし、平家は一般的に延床面積が小さいため、総額としては低くなることも多いです。
タワーマンションの高層階
タワーマンションでは、建物の固定資産税評価額が各階ごとの取得価格の動向を勘案して補正されます。
つまり、高層階に行くほど固定資産税評価額が高くなる仕組みです。
同じ面積の中低層のマンションと比べると、タワーマンションの高層階は固定資産税が高くなる傾向があります。
固定資産税の計算方法
固定資産税の計算方法について解説します。
1.固定資産税評価額を確認する
固定資産税評価額は、納税通知書に記載されています。
「価格」または「評価額」と記載されているものが、固定資産税評価額です。
マンションの場合、土地の固定資産税評価額の欄に敷地全体の評価額が記載されていることがあります。
敷地全体の評価額が記載されている場合、全体の評価額の敷地権の割合を乗じたものが対象の部屋の土地の固定資産税評価額です。
敷地権の割合は、建物の登記簿謄本に記載されている数値になります。
2.課税標準額を計算する
課税標準額とは、税率を乗じて直接固定資産税を計算するために用いる額のことです。
建物は固定資産税評価額がそのまま課税標準額になり、土地は固定資産税評価額に一定割合を乗じたものが課税標準額です。
課税標準額は、1,000円未満を切り捨て処理します。
3.税率をかける
固定資産税は課税標準額に1.4%を乗じて求めます。
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
計算結果は、100円未満を切り捨て処理します。
固定資産税を安く抑えるための特例
固定資産税を安く抑えるための特例について解説します。
小規模住宅用地の特例
土地の上に住宅が建っていると、土地の固定資産税が安くなる特例があります。
住宅用地の軽減措置と呼ばれるもので、一定の要件を満たす住宅地の土地は課税標準額が低くなります。
対象となる住宅用地には専用住宅と併用住宅の2種類があり、以下の要件を満たした土地になります。
・専用住宅
専ら人の居住の用に供する家屋の敷地の用に供されている土地で、その上に存在する家屋の総床面積の10倍までの土地のこと
・併用住宅
一部を人の居住の用に供する家屋で、その家屋の床面積に対する居住部分の割合が4分の1以上ある家屋の敷地の用に供されている土地のうち、その面積に下表の率を乗じて得た面積に相当する土地のこと
ただし、住宅用地の面積がその上に存在する家屋の床面積の10倍を超えているときは、床面積の10倍の面積に下表の率を乗じた面積となります。
家屋の種類 | 居住部分の割合※ | 率 |
---|---|---|
下に掲げる家屋以外の家屋 | 1/4以上1/2未満 | 0.5 |
1/2以上 | 1.0 | |
地上階数5以上を有する耐火建築物である家屋 | 1/4以上1/2未満 | 0.5 |
1/2以上3/4未満 | 0.75 | |
3/4以上 | 1.0 |
上記の要件を満たす住宅用地のうち、住宅1戸につき200平米までの部分を「小規模住宅用地」と呼びます。
小規模住宅用地では、課税標準額が固定資産税評価額の6分の1として計算されます。
課税標準額 = 固定資産税評価額 × 1/6
ここで、以下の条件を元に固定資産税を計算してみます。
【条件】
- 固定資産税評価額:3,000万円
- 土地の面積:150平米
- 土地の上の建物:一戸建て
上記の土地は、150平米(200平米以下)に住宅1戸が建っているため、敷地全体が小規模住宅用地に該当します。
固定資産税は以下の通りです。
課税標準額 = 固定資産税評価額 × 1/6
= 3,000万円 × 1/6
= 500万円
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
= 500万円 × 1.4%
= 7万円
新築住宅の特例
2024年3月31日までに新築された住宅のうち、以下の要件を満たす建物には固定資産税の減額措置があります。
【対象となる新築住宅の要件】
- 住宅として使用する部分の床面積が全体の床面積の2分の1以上であること
- 居住用部分の床面積(区分所有の住宅にあっては専有居住部分の床面積)が50平米以上280平米以下であること(戸建て以外の貸家住宅にあっては40平米以上280平米以下)
上記の要件を満たす新築住宅は、3年間(地上3階以上の中高層耐火建築物においては5年間)にわたり、固定資産税が2分の1に減額されます。
ただし、減額の対象となるのは、住宅として使用する部分の床面積のうち120平米までの部分です。
ここで、以下の条件を元に固定資産税を計算してみます。
【条件】
固定資産税評価額:1,000万円
建物の面積:100平米
建物概要:新築木造2階建て
住宅の種類:一般住宅
木造2階建てであるため、3年間、固定資産税が2分の1になります。
建物の固定資産税は以下の通りです(簡略化のため、固定資産税評価額が変化しないと仮定します)。
(1~3年目)
固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 1.4% × 1/2
= 1,000万円 × 1.4% × 1/2
= 7万円
(4年目以降)
固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 1.4%
= 1,000万円 × 1.4%
= 14万円
一般住宅用地の特例
住宅用地のうち、小規模住宅用地以外の住宅用地を「一般住宅用地」と呼びます。
一般住宅用地では、課税標準額が固定資産税評価額の3分の1として計算されます。
課税標準額 = 固定資産税評価額 × 1/3
ここで、以下の条件を元に固定資産税を計算してみます。
【条件】
固定資産税評価額:3,600万円
土地の面積:300平米
土地の上の建物:一戸建て
住宅用地のうち、住宅1戸につき200平米までの部分は小規模住宅用地でした。
上記の土地は300平米であるため、200平米までの部分が小規模住宅用地、200平米超の部分が一般住宅用地となります。
固定資産税は以下の通りです。
小規模住宅用地の課税標準額
= 固定資産税評価額 × (200平米÷全体面積) × 1/6
= 3,600万円 × (200平米÷300平米) × 1/6
= 2,400万円 × 1/6
= 400万円
一般住宅用地の課税標準額
= 固定資産税評価額 × (200平米超の部分÷全体面積) × 1/3
= 3,600万円 × (100平米÷300平米) × 1/3
= 1,200万円 × 1/3
= 400万円
課税標準額 = 小規模住宅用地の課税標準額 + 一般住宅用地の課税標準額
= 400万円 + 400万円
= 800万円
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
= 800万円 × 1.4%
= 11.2万円
認定長期優良住宅
2024年3月31日までに新築された認定長期優良住宅は、固定資産税が2分の1に減額される制度があります。
認定長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置がその構造および設備に設けられ、行政の認定を受けた住宅のことです。
認定を受けたことを証する書類を添付して市区町村に申告すると、5年間(地上3階以上の中高層耐火建築物においては7年間)にわたり、固定資産税が2分の1に減額されます(減額の対象となるのは、住宅として使用する部分の床面積のうち120平米までの部分)。
ここで、以下の条件を元に固定資産税を計算してみます。
【条件】
固定資産税評価額:1,200万円
建物の面積:100平米
建物概要:新築木造2階建て
住宅の種類:認定長期優良住宅
木造2階建ての認定長期優良住宅であるため、5年間、固定資産税が2分の1になります。
建物の固定資産税は以下の通りです(簡略化のため、固定資産税評価額が変化しないと仮定します)。
(1~5年目)
固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 1.4% × 1/2
= 1,200万円 × 1.4% × 1/2
= 8.4万円
(6年目以降)
固定資産税 = 固定資産税評価額(課税標準額) × 1.4%
= 1,200万円 × 1.4%
= 16.8万円
この記事のポイント
- 固定資産税が高いのはなぜ?
土地が地価の高いエリアにある、宅地や整形地であるなど、さまざまな理由が考えられます。
また、建物のつくりや階層によっても固定資産税が高くなることがあります。
詳しくは「固定資産税が高いときに考えられる理由」をご覧ください。
- 固定資産税を安く抑えるための特例には何がありますか?
小規模住宅用地の特例、新築住宅の特例、一般住宅用地の特例などがあります。まずは適用条件を満たしているか確認しましょう。
詳しくは「固定資産税を安く抑えるための特例」をご覧ください。
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