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不動産売買の仲介手数料の相場や上限は?計算シミュレーション付き

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 不動産売買の仲介手数料とは、売買・賃貸問わず不動産会社へ仲介を依頼した際に発生する手数料
  • 不動産売買の仲介手数料は宅建業法により上限額が決められており、相場=上限額となっている

不動産取引において必要になる経費に、仲介手数料があります。一般的に数百万円になるケースが多く、不動産取引時の経費のなかでも高額といえます。

仲介手数料の計算式が「3%+6万円」であることを、ご存知の方も多いかもしれません。しかし実際には売買価格帯によって計算式が異なります。

また、中には仲介手数料を無料や半額にしている不動会社も存在しますが、実際のところ本当にお得なのでしょうか。

この記事では仲介手数料について詳しく紹介します。仲介手数料を支払うタイミングや計算方法など事前に把握しておきたい内容を解説するので、不動産の売却や購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

不動産売買の仲介手数料とは?

不動産売買における仲介手数料とは、売買・賃貸問わず不動産会社へ仲介を依頼した際に発生する手数料です。つまり売るとき、買うとき、貸すとき、借りるときにかかります。

たとえば不動産会社へ売却を依頼する場合は、媒介契約を締結し仲介手数料を支払うことを約束します。そして不動産売買が成立した際に、成功報酬として支払います。

媒介契約には専任媒介契約や専属専任媒介契約、一般媒介契約がありますが、どの媒介を選んでも、支払う仲介手数料は変わりません。

また複数社に依頼できる一般媒介契約でも、仲介手数料を支払うのは売却に導いた不動産会社1社のみです。もし依頼したほかの不動産会社が、広告宣伝活動のために費用をかけていたとしても、売却が決まらないかぎり売主が仲介手数料や広告費を請求されることはありません。

購入するときの仲介手数料も考え方は同じです。複数社から不動産の紹介を受けていたとしても、最終的に仲介手数料を支払うのは1社のみです。

売買契約が成立した際に不動産会社に支払う

前述の通り仲介手数料は成功報酬であるため、不動産売買が成立したときに不動産会社へ支払います。

たとえば不動産の売却を依頼した場合、不動産会社は広告宣伝活動など行うために費用がかかりますが、仲介手数料以外を請求されることはありません。もし何らかの名目で別途報酬を請求された場合は、どのような費用なのか確認しましょう。

ただし売主の希望により、不動産会社に特別な広告活動を依頼したときは、取り決めによっては広告料が発生することがあります。

不動産会社が売主、もしくは買主の依頼によって行うおもな仲介業務は以下のとおりです。これらはすべて仲介手数料に含まれる業務です。

  • 不動産調査(査定書作成や売買契約時)
  • 不動産査定(査定書の作成に関連する業務)
  • 広告販売活動(不動産情報サイトへの掲載やポスティングなど)
  • 案内業務(内覧のセッティングや立ち合いなど)
  • 契約業務(契約条件の調整や重要事項説明書・売買契約書の作成など)

仲介手数料を支払うタイミング

仲介手数料を支払うタイミングは不動産売買が成立したときです。売買価格が決定して、初めてその金額を計算できます。詳しい計算式はこの後の章で説明します。

支払うタイミングは厳密には定められていませんが、不動産売買契約時に半金、残代金決済・不動産引渡し時に半金を支払うのが一般的です。

ちなみに不動産会社によっては、売買契約時に一括で支払うケースなどもあります。実際に支払うタイミングは、不動産会社へ直接ご確認ください。

不動産売買の仲介手数料 の相場や上限はある?

不動産会社へ売買仲介を依頼した場合、仲介手数料が発生しますが、その上限は宅建業法で定められています。

売買価格帯によって計算式は異なりますが、おおよその金額は試算することができます。不動産会社へ売買仲介を依頼する前に、仲介手数料がいくらかかるのか把握しておきましょう。

売却を検討している場合は、まず不動産無料査定の利用をおすすめします。また購入を検討している場合は、希望エリアの相場価格を参考にします。

宅建業法により手数料の上限額が決まっている

不動産売買における仲介手数料は、宅建業法によりその上限額が決められています。

不動産会社はその定められた上限以上の仲介手数料を請求できないため、その上限額を仲介手数料として設定しています。つまり仲介手数料の相場=仲介手数料の上限額です。

不動産売買の仲介手数料の計算シミュレーション

不動産売買における仲介手数料は、その売買価格によって計算式が異なります。ここでは4つ の価格帯ごとに仲介手数料の計算をシミュレーションします。

  • 売却価格200万円以下の場合
  • 売却価格200万円以上で400万円以下の場合
  • 売却価格400万円超の場合
  • 売却価格が400万円以下で特例の対象となる場合

売却価格200万円以下の場合

売却価格が200万円以下の場合、仲介手数料の上限は以下の計算式で求めます。

売却価格×5%+消費税

たとえば売却価格が200万円の場合、計算式と仲介手数料の上限は以下の通りです。

200万円×5%+消費税=11万円(税込)

売却価格200万円超 で400万円以下の場合

売却価格が200万円超で400万円以下の場合、仲介手数料の上限は以下の計算式で求めます。

売却価格×4%+2万円+消費税

たとえば売却価格が400万円の場合、計算式と仲介手数料の上限は以下の通りです。

400万円×4%+2万円+消費税=19.8万円(税込)

売却価格400万円超の場合

売却価格が400万円超の場合、仲介手数料の上限は以下の計算式で求めます。

売却価格×3%+6万円+消費税

一般的にはこの価格帯が多いため、「3%+6万円」という計算式をご存知の方も多いでしょう。

たとえば売却価格が4,000万円の場合、計算式と仲介手数料の上限は以下の通りです。

4,000万円×3%+6万円+消費税=138.6万円(税込)

売却価格が400万円以下で特例の対象となる場合

2018年1月1日に「空き家等の流通円滑化に向けた宅建業者が受領できる報酬額の特例が施行されました。

400万円以下の空き家等で現地調査などに一定の費用がかかる場合は、不動産会社は18万円(税別)を上限に仲介手数料を受領できるようになりました。

この特例は、近年社会問題になっている空き家の利用や流通を促すことを目的としています。とくに地方の空き家は安価であるため、調査などの経費によっては不動産会社が赤字になる可能性があり、この現状を改善するために施行されました。

しかし自動的に18万円が上限になるのではなく、不動産会社は媒介契約締結時にあらかじめ報酬額について提示し、依頼者との合意が必要であるとされています。

400万円以下の場合は、18万円(税別)を上限に仲介手数料を請求される可能性がありますが、もちろん違法ではありません。

売却価格が200万円で特例の対象となる場合、仲介手数料の上限は以下のとおりです。

上限18万円+消費税=19.8万円

なお買主が400万円以下の不動産を購入するケースでは、従来通りの仲介手数料が上限です。

出典:国土交通省における空き家対策支援メニュー等(令和2年度末時点)|国土交通省

不動産売買の仲介手数料が無料や半額の場合がある?

仲介手数料が無料や半額になると広告している不動産会社を目にすることがありますが、実際にはどのような仕組みなのでしょうか。

不動産会社はボランティアではなく事業として行っているため、無料では成り立たないはずです。無料や半額にしている場合は、何らかの方法で報酬を受け取っています。

一見すると仲介手数料が無料、もしくは割引になることはメリットにも思えますが、安くなる理由は理解しておきましょう。

ここでは仲介手数料が無料や割引になる可能性がある、6つのケースを紹介します。

売主ではなく買主が仲介手数料を負担している

売却物件を多く集めることに特化している不動産会社が、売主から受け取る仲介手数料を割引するケースです。一方で買主からは上限額の仲介手数料を受け取っています。

売主にとってはコストが安くなるので助かります。しかし物件を集めることに注力するのみで、販売する営業力がなければ早期に売却することは難しいでしょう。

仲介手数料の割引額だけでなく、その不動産会社の実績なども確認してから依頼することをおすすめします。

買主ではなく売主が仲介手数料を負担している

たとえば物件を売りやすくするために、買主に対して仲介手数料を割引しているケースです。一方で売主からは上限額の仲介手数料を受け取っています。

買主にとって不動産購入の際、仲介手数料が無料や割引になることは魅力です。しかしそのことばかり重視すると、購入物件を見誤ることもあります。最終的には自分の希望に合致するのかという視点で選びましょう。

売主である不動産会社へ直接売却する

不動産を買取によって直接売却する場合は、そもそも仲介ではないため仲介手数料は発生しません。しかし不動産会社が仲介して、買取業者へ売却した場合は仲介手数料がかかります。

ちなみに売主である不動産会社から直接物件を購入する場合も、仲介ではないため仲介手数料はかかりません。

仲介手数料の代わりに「広告費」などを請求する

仲介手数料が無料、もしくは半額だとしても、その他の名目で報酬を請求される場合があります。

たとえば別途広告費を請求するなどして、結果的には仲介手数料の上限と同額、もしくはそれ以上を請求するケースです。

仲介手数料が無料、もしくは半額や割引になると説明を受けたときは、そのほかにかかる手数料を事前に確認することが重要です。

多くの案件を得るために割引している

不動産会社のなかには多くの案件を得るために、仲介手数料を半額など割引にしているケースがあります。

依頼する側にとっては魅力的ですが、たとえばその分、他社に比べて広告宣伝費をかけていないとしたらどうでしょうか。不動産の売却はタイミングが重要です。宣伝が不十分であることによって、売却するまでに時間がかかってしまうと売りづらくなる可能性があり、結果として値下げをせざるを得なくなることもあります。

仲介手数料が安いことは一見メリットにも思えますが、不動産会社の実績や担当者との相性など、総合的に判断して依頼することをおすすめします。

購入時と同じ不動産会社なら割引してもらえることも

不動産会社によっては2回目以降の不動産取引に対して、割引制度を用意しているケースがあります。

たとえば住み替えをする場合は、売却と購入で短期間に仲介手数料を2回支払うことになるので、割引してくれる不動産会社もあります。

購入時と同じ不動産会社へ売却を依頼する場合や、住み替えをする場合は、割引制度の有無を不動産会社へ確認してみましょう。

この記事のポイント

売却価格400万円超の場合、仲介手数料の上限はいくらですか?

売却価格が400万円超の場合、仲介手数料の上限は以下の計算式で求めます。

売却価格×3%+6万円+消費税

たとえば売却価格が4,000万円の場合、計算式と仲介手数料の上限は以下の通りです。

4,000万円×3%+6万円+消費税=138.6万円(税込)

詳しくは「不動産売買の仲介手数料の計算シミュレーション」をご覧ください。

不動産売買の仲介手数料が無料や半額の場合があるって本当ですか?

売却物件を多く集めることに特化している不動産会社が、売主から受け取る仲介手数料を割引するケースなどでは、仲介手数料が割引になることがあります。

一見すると仲介手数料が無料もしくは割引になることはメリットにも思えますが、中には別途広告費などを請求される例もあるので、安くなる理由やその他に発生する手数料がないかどうか事前に確認しておきましょう。

詳しくは「不動産売買の仲介手数料が無料や半額の場合がある?」をご覧ください。

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