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媒介とは?意味や仲介との違いをわかりやすく解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類が存在する
  • 家を売却する際は定期報告が受けられて、かつ自己発見取引もできる専任媒介契約がおすすめ

不動産の売却では、媒介という言葉が登場します。
不動産会社に依頼する仲介の契約の名称は、媒介契約です。
仲介契約とは呼ばず、媒介契約という聞きなれない言葉が出てくるため、戸惑いを感じる人も多いのではないでしょうか。

また、媒介契約には専属専任媒介や専任媒介、一般媒介といった種類も存在します。
媒介契約を締結する前は、媒介契約の種類とその内容も知っておくことが望ましいです。
この記事では、「媒介」について解説します。

媒介とは

最初に媒介とは何なのかを解説します。

売主と買主(貸主と借主)の間を取り持つこと

媒介とは、当事者の一方または双方の依頼により、当事者双方の間に立って契約を成立させるために尽力する行為のことです。
「仲介」または「あっせん」と表現されることもあります。

日本語としての媒介には、「2つかそれ以上の人や物の間に立ち、双方が関係を持つために必要な中継地点として機能すること、もしくはそのような役割を果たすモノのこと」という意味があります。

媒介の使用例には、例えば「結婚を媒介する」とか「蚊がマラリアを媒介する」といった使われ方が挙げられます。

不動産の媒介は、売主(貸主)や買主(借主)との間に立って契約を成立させるために尽力する行為です。

「結婚を媒介する」で使う「媒介」の意味に近いといえます。

不動産会社の業務を規定する宅地建物取引業法では「媒介」と「代理」という2つの用語を使い分けています。

媒介とは契約の当事者を引き合わせることで、代理とは依頼人に代わって契約を結ぶことです。

不動産会社に対しては、媒介も代理もどちらも依頼が可能です。
通常、個人が不動産の売却を依頼する場合には、媒介を選択して媒介契約を締結します。

個人が行う不動産の売却では、代理契約が選択されることはほとんどありません。
代理は、例えばマンションの売主(デベロッパー)が販売会社(デベロッパーの子会社等)に販売活動を依頼するときに選択されます。

媒介は代理ではないことから、不動産会社は本人に成り代わって相手側と条件交渉をして契約を決める立場ではないのです。
交渉をするのではなく、調整をする立場にあります。

結婚を媒介するときに、勝手に結婚相手を決めてこないのと同じ立場です。
両者の間を取り持ち、便宜を図りながら仲立ちすることが媒介になります。

媒介と仲介の違い

媒介と仲介は、基本的に意味は同じです。
媒介は法律用語、仲介は一般用語になります。
例えば共同住宅が法律用語、アパートが一般用語という関係と同じです。

宅地建物取引業法では、基本的に媒介という表現だけが使われています。
例えば、仲介手数料に関しても、宅地建物取引業法では仲介手数料という言葉は一切出てこず、「媒介に関して受けることのできる報酬」という表現になっています。

媒介の用語説明では「仲介」または「あっせん」と説明されることが多いです。

つまり、仲介も媒介も同じ意味であり、宅地建物取引業法の中では仲介を媒介という用語で表現しています。

媒介契約の種類3つ

媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類が存在します。
依頼者にはどの契約にするか、自由に選ぶ権利がありますので、それぞれの特徴をしっかりと知っておく必要があります。

専属専任媒介契約

専属専任媒介契約とは、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約のことです。
1社にしか依頼できないことを「重ねて依頼できない」と表現することもあります。

専属専任媒介契約は「自己発見取引」が禁止されている点が特徴になります。
自己発見取引とは、売主が自ら買主を見つけてくることです。

例えば、売却期間中に売主がたまたま親戚に不動産を売却している話をしたら、「自分に買わせて欲しい」という話があったとします。
このように不動産会社を介さずに買主を見つけることが自己発見取引です。
専属専任媒介契約では、この自己発見取引はできないことになります。

専属専任媒介契約の有効期間は、最長で3ヶ月以内です。
契約期間内に売却できず、継続して依頼したい場合には、再契約することになります。

また、専属専任媒介契約では、不動産会社が「レインズ」に情報を登録することが義務付けられています。
レインズとは、全国の不動産会社が物件情報を共有できるサイトのことです。

レインズに登録されると、他の不動産会社が売り物件の存在を知ることができ、買主のあっせんをしてくれることがあります。

不動産会社は専属専任媒介契約を締結すると、締結日の翌日から5日以内にレインズへ物件情報登録を行う義務を負っています。

さらに、専属専任媒介契約では業務処理状況に関し、売主に対して不動産会社が1週間に1回以上の報告をする義務があります。

専属専任媒介契約のメリットは、不動産会社から状況の報告をこまめに受けられるという点です。

一方で、デメリットは1社にしか依頼できず、かつ自己発見取引もできないことから、売主の制約が大きいという点が挙げられます。

専任媒介契約

専任媒介契約とは、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約のことです。

専任媒介契約では、自己発見取引が認められています。
専属専任媒介契約との大きな違いは、専任媒介契約は自己発見取引が可能であるという点です。

専属専任媒介契約も、専属専任媒介契約と同様に契約の有効期間が最長で3ヶ月以内となります。
契約期間内に売却できず、継続して依頼したい場合には、再契約することが必要です。

また、専任媒介契約にも、不動産会社に「レインズ」への登録義務があります。
不動産会社は専任媒介契約を締結すると、締結日の翌日から7日以内にレインズへ物件情報登録を行う義務を負っています。

さらに、専属専任媒介契約では業務処理状況に関し、売主に対して不動産会社が2週間に1回以上の報告をする義務があります。

専任媒介契約は自己発見取引が認められていることから、専属専任媒介契約と比較するとレインズに登録するまでの期間が遅く、かつ、報告頻度も低い点が特徴です。
売主の制約が緩い分、不動産会社に課されている義務も緩くなっています。

専任媒介契約のメリットは、自己発見取引が可能で、なおかつ不動産会社からある程度の頻度で状況の報告を受けられるという点です。

一方で、デメリットとして、報告頻度が低い点で専属専任媒介契約よりも劣る、1社にしか依頼できない点で一般媒介契約よりも劣るということが挙げられます。

一般媒介契約

一般媒介契約とは、同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約のことです。
複数社に依頼できることを「重ねて依頼できる」と表現されることもあります。
一般媒介契約では、自己発見取引も認められています。

専属専任媒介契約および専任媒介契約との大きな違いは、一般媒介契約は複数社に同時に依頼することが可能であるという点です。

一般媒介契約には、不動産会社に「レインズ」への物件登録義務はありません。
また、売主に対して業務処理状況の報告義務もない点が特徴です。

複数社に重ねて依頼できるという点で、売主にほとんど制約がないことから、不動産会社に課されている義務もほとんどありません。

一般媒介契約のメリットは、同時に複数社に仲介を依頼できるという点です。

一方で、デメリットは不動産会社の報告義務がないため、販売状況が把握しにくいという点が挙げられます。

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媒介契約で迷ったときの対処法

媒介契約で迷ったときの対処法について解説します。

まずは専任媒介契約がおすすめ

家を売却する人は、買換えを行う人も多いと思います。
買換えは、売却と購入のタイミング調整が必要であることから、不動産会社は1社にした方が手続きを進めやすいです。

1社に依頼する場合、専属専任媒介契約と専任媒介契約であれば定期的に状況処理の報告を受けることができます。

ただし、専属専任媒介契約を選択すると自己発見取引も制限されてしまいます。
自己発見取引をできる可能性はゼロではないため、自己発見取引ができる余地は残しておいた方が良いです。

よって、総合的に考えると、媒介契約で迷った場合は定期報告が受けられて、かつ自己発見取引もできる専任媒介契約がおすすめとなります。

・「不動産売却 どこがいい」に関する記事はこちら
不動産売却や査定はどこがいい?迷ったときの選び方
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媒介契約成立後に必要な仲介手数料とは?

この章では、媒介契約成立後に必要となる仲介手数料について解説します。

契約期間中に成約したら仲介手数料が必要

仲介手数料とは、不動産会社が行った仲介サービスに対して支払う手数料のことです。
媒介報酬とも呼ばれています。

不動産会社が顧客に仲介手数料を請求するには、以下の3つの要件をすべて満たしていることが必要です。

  • 不動産会社と依頼者との間で媒介契約が成立していること
  • その契約に基づき不動産会社が行う媒介行為が存在すること
  • その媒介行為により売買契約等が有効に成立すること

媒介行為とは、契約成立に向けて現地案内をしたり、物件・権利関係等の調査または説明をしたり、代金額その他契約条件の調整をしたりすることです。

これらの媒介行為により、売買契約等が有効に成立することでようやく不動産会社には報酬請求権が発生します。

報酬請求権は売買契約が成立したら発生することから、仲介手数料は成功報酬型の手数料とされています。

不動産の売買では、売買契約と引渡を約1ヶ月程度離して別日に行うことが通常です。
本来、不動産会社は売買契約時に仲介手数料を100%請求できる権利がありますが、実質的には引渡日をもって業務が完了します。

不動産会社には引渡日まで業務に尽力してもらう必要があることから、仲介手数料の支払いは間を取って売買契約時に50%、引渡時に50%支払うことが商習慣となっているのです。

仲介手数料の計算方法

不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料は、上限額が決まっています。
報酬上限額の計算方法は取引額に応じて決まっており、下表のようになります。

取引額仲介手数料(別途消費税)
800万円以下一律30万円
800万円超取引額の3%+6万円

・「不動産売買 仲介手数料」に関する記事はこちら
不動産売買の仲介手数料の相場や上限は?計算シミュレーション付き

この記事のポイント

媒介契約にはどんな種類がありますか?

媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類が存在します。

それぞれメリット・デメリットがあるので、契約前にどんなものなのか把握しておきましょう。

詳しくは「媒介契約の種類3つ」をご覧ください。

媒介契約成立後に必要な仲介手数料とは何ですか?

不動産会社が行った仲介サービスに対して支払う手数料のことです。

仲介手数料は売買契約時に50%、引渡時に50%支払うことが商習慣となっています。

詳しくは「媒介契約成立後に必要な仲介手数料とは?」をご覧ください。

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