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【2024年度版】住宅ローンの控除の条件は?申請方法や注意点まとめ

執筆者プロフィール

中村諭
ファイナンシャルプランナー/貸金業務取扱主任者

働くお母さんからの相談が多く、離婚時における住宅ローン相談等、住宅ローンの見直しから借り換え、融資まで実務支援をしているFP事務所(融資媒介業として金融庁登録のFP事務所)経営。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、貸金業務取扱主任者、情報サイトAll About住宅ローンガイド。住宅ローンソムリエ(2007年商標登録)。

ざっくり要約!

  • 2024年から住宅ローン控除の借入限度額が引き下げ。ただし、2024年度税制改正により子育て世帯・若者世帯に限り限度額は据え置きに
  • 住宅ローン控除は省エネ性能や新築/中古によって借入限度額や控除期間が異なる

住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」といい、新たに住宅ローンを借りた人に、一定の条件の下で支払った所得税が還付される制度です。住宅ローン減税と表現することもありますが、いずれも「住宅借入金等特別控除」のことをいいます。

住宅ローン控除は税金が戻ってくる制度ですが、還付される金額は住宅の省エネ性能や世帯の属性、新築/中古などによって異なります。この記事では、住宅ローン控除の条件とともに、申請方法や申請時の注意点について詳しく解説します。

2024年/2025年の住宅ローン控除の借入限度額・控除期間・控除率

はじめに2024年 / 2025年の住宅ローン控除の借入限度額・控除期間・控除率ついて解説します。

住宅性能 控除率  控除期間 借入限度額
子育て世帯・若者夫婦世帯 左記を除く世帯
新築住宅・買取再販 長期優良住宅・低炭素住宅 0.7% 13年 5,000万円 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 0円
(2023年までに新築の建築確認:2,000万円)
中古住宅 長期優良住宅・低炭素住宅・
ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅
10年 3,000万円
その他の住宅 2,000万円

借入限度額

借入限度額は、新築と中古、住宅の性能によって異なります。新築住宅・買取再販住宅の借入限度額については、子育て世帯・若者夫婦世帯を除き、2023年の限度額から引き下げられているためご注意ください。


子育て世帯とは、19歳未満の子を有する世帯です。一方、若者夫婦世帯とは、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯を指します。これらの世帯の優遇は2024年度税制改正によって決まった事項ですが、2025年についても同様の方向性で検討されています。

【住宅性能】

  • 長期優良住宅:長期にわたり良好な状態で使用するための措置講じられた優良な住宅
  • 低炭素住宅:二酸化炭素を抑制するための 低炭素化に資する措置が講じられている住宅
  • ZEH水準省エネ住宅:断熱等性能等級5・一次エネルギー消費量等級6を満たす住宅
  • 省エネ基準適合住宅:省エネ基準に適合している住宅
  • その他の住宅:省エネ基準に適合していない住宅

控除率

住宅ローンの控除率は、新築住宅・中古住宅ともに「0.7%」です。

たとえば、年末の住宅ローン残高が2,000万円の場合は、2,000万円の0.7%にあたる14万円を上限に所得税と一部住民税から控除されます。ただし、年末の住宅ローン残高が借入限度額を超えている場合は、限度額の0.7%が控除額の上限となります。

控除期間

住宅ローン控除の控除期間は、新築住宅・買取再販住宅が「13年」、中古住宅が「10年」です。買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が取得した中古住宅を改修し、再販する住宅を指します。

住宅ローン控除を受けるための要件

住宅ローン控除の提供を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。

住宅ローンの借入期間が10年以上

10年以上にわたり分割して返済する一定の借入金があることが要件です。

購入物件に住んでいる

住宅の新築等の日から6か月以内に実際に住んでいることが要件です。

旧耐震基準物件ではない

中古住宅の場合、昭和57年1月1日以降に建築されたものであることが要件です。基本的に、これより前に建築された物件(旧耐震基準物件)については対象外となります。

ただし、「耐震基準適合証明書」等を取得することができれば、住宅ローン控除を利用することが可能となります。

物件の床面積が50㎡以上

住宅の床面積が50㎡以上あることが要件です。
ただし、所得が一定水準以下である場合には、40㎡以上50㎡未満でも可能です(下記所得金額参照)。

物件の居住割合が1/2以上

床面積の半分以上を自宅として使っていることが要件です。

所得金額が2,000万円以下

住宅ローン控除を受ける年分の合計所得金額が、2,000万円以下であることが要件です。
ただし、床面積が40㎡以上50㎡未満の住宅の場合は、住宅ローン控除を受ける年分の合計所得金額が、1,000万円以下であることが要件となります。

住宅ローン控除の必要書類と申請方法

住宅ローン控除は税務署に申請が必要なため自分で確定申告を行う必要があります。

住宅ローン控除申請は1年目と2年目以降で異なる

住宅ローン控除を受けるための手続きは、控除を受ける最初の年分と2年目以降の年分とで異なります。

控除を受ける最初の年分は、税務署にて必要書類を添付して、確定申告をする必要があります。2年目以降の年分は、働き方に応じて異なります。

2年目以降、給与以外に収入のない会社員の場合は、年末調整で住宅ローン控除を受けることができます。一方、自営業者や年収2,000万円以上の会社員など、確定申告が必要な人は2年目以降の住宅ローン控除も確定申告が必要になります。

住宅ローン控除の申請は確定申告で行う

住宅ローン控除のための確定申告は、住宅を購入して入居した年の翌年2月16日から3月15日までの間にすることとなっています。

ただし、住宅ローン控除等の税金還付のための「還付申告」であれば2月15日以前でも行えます。新居で年越ししたら、早々に準備に入ると良いでしょう。

住宅ローン控除申請の必要書類

住宅ローン控除は税務署にて手続きをすることになりますが、その際に必要な書類等は次の通りです。

共通の提出書類

  1. 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(税務署のHPからダウンロードできます)
  2. 金融機関等から交付された「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
  3. 家屋の「登記事項証明書」(法務局で取得できます)
  4. 家屋の「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写し

土地の購入に係る住宅借入金等について控除を受ける場合

  1. 土地の「登記事項証明書」などで敷地の取得年月日を明らかにする書類
  2. 土地の売買契約書の写しなど土地の取得対価の額を明らかにする書類

※上記の「共通の提出書類」に加えて、認定住宅等の区分に応じた書類の提出が必要となります。

住宅ローン控除にまつわる注意点

住宅ローン控除を受けるには、税務署に確定申告が必要になりますが、確定申告は個人個人、抱えている状況に応じて注意が必要です。

申請期限を過ぎていても申請可能な場合がある

これまで住宅ローン控除の確定申告をしていなかった場合でも、5年前までさかのぼって、還付申告ができる可能性があります。

住み替えで売却益があるなら特例の方がお得な場合も

今まで住んでいた家を売って、住み替える場合には注意が必要です。

不動産を売却することにより、売却益が生じる場合には税金を納める必要がありますが、その税金を納めなくても良い制度があります。これを「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。
 
売却益が3000万円までであれば、税金を納めなくて済む特例なのですが、この特例を使う場合には、住宅ローン控除が使えないこととなっています。そこで、不動産の売却益がある場合、住宅ローン控除とどちらを使うのがお得なのか、事前に確認してください。使える制度はどちらか一方になります。

出典:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁

床面積の判断基準を正しく把握しておく

住宅ローン控除を使うには、床面積が40㎡以上もしくは50㎡以上が必要となりますが、その判断基準は、次のとおりです。

  1. 床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
  2. マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
  3. 店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
  4. 夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。

土地購入のみのローンの場合は不可

銀行等の金融機関から借りたローンの名称が「住宅ローン」となっていても、土地購入のためだけの借入では住宅ローン控除は使えません。

入居時に要件を満たしていなくても確定申告をしておく

所得が2000万円を超えるなど、住宅ローン控除の要件を満たしていない場合でも、この先10年や13年間のうちには、要件を満たすことがあるかもしれません。その時のためにも確定申告をしておくと良いでしょう。

所得と年収は違うことを理解しておく

住宅ローン控除の対象外となる2000万円は「年収」ではなく「所得」です。会社員で税込みの額面年収が2000万円を超えていたとしても、各種控除を差し引いた後の所得額が2000万円以下であれば、住宅ローン控除は受けられます。

「年収」や「年商」と「所得」は違うことを理解しておきましょう。

この記事のポイント

2024年度税制改正における住宅ローン控除の改正点は?

子育て世帯・若者夫婦世帯に限り、2023年の借入限度額が据え置かれることとなりました。

詳しくは「2024年/2025年の住宅ローン控除の借入限度額・控除期間・控除率」をご覧ください。

住宅ローン控除を受けるための要件は?

住宅ローンの借入期間が10年以上、購入物件に住んでいる、物件の床面積が50㎡以上など、さまざまな要件があります。

詳しくは「住宅ローン控除を受けるための要件」をご覧ください。

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