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坪単価の計算方法は?費用を抑えるためのポイントも紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 坪単価とは1坪あたりの価格のことで、1坪=畳2枚分の広さとなる
  • 坪単価は施工会社や建築の材料によっても異なる

土地や建物の不動産に関わると、「坪(つぼ)」という聞きなれない単位が出てきます。
土地の価格や建物の建築費は坪単価で表現されることも多く、ピンと来ない人もいらっしゃると思います。

坪は尺貫法と呼ばれる日本で昔から使われていた測量単位の一つです。
学校ではメートル法を習うため、尺貫法の坪単価は分からなくて当然といえます。
坪単価とは、一体どのようなものなのでしょうか。
この記事では、「坪単価」について解説します。

坪単価の意味と計算方法

最初に坪単価の意味と計算方法について解説します。

坪単価とは一坪(約3.3平米)あたりの建築費

坪単価とは、1坪あたりの価格のことです。
建物なら新築工事費の単価、土地なら土地価格の単価を指します。

1坪とは、メートル法の平米に換算すると約3.30578・・・平米になります。
平米ではスッキリした数値では出てこないため、約3.3平米と表現されることも多いです。

この約3.30578平米とは、わかりやすくいうと「畳2枚分」の広さになります。
つまり、畳2枚分が1坪の面積であるということです。

ただし、畳の広さは地方によって異なります。
畳の種類と面積の関係は、下表の通りです。

畳の種類面積
中京間約1.65平米
京間約1.82平米
江戸間約1.54平米
団地間約1.44平米

2畳で1坪を表す畳とは、「中京間」が該当します。
中京間とは、主に東海地方で使用されている畳になります。

中京間は別名、「三六間(さんろくま)」とも呼ばれており、幅が3尺、長さが6尺の長方形の畳です。

中京間の畳1枚は、「3尺×6尺」の長方形となります。
そのため、2枚並べると「6尺×6尺」の正方形になるということです。

尺とは尺貫法の長さの単位ですが、メートル法に換算すると0.303030・・・メートルとなります。
1尺は約0.303030メートルであるため、6尺は約1.818181メートルです。

坪は中京間2枚分ですので、6尺×6尺でした。
「約1.818181m×約1.818181m」を計算すると、約3.30578平米ということになります。

建築費で坪単価がよく用いられる理由は、元々日本家屋には畳のサイズを基本として建物を設計するという考え方があったからです。

畳2枚分は正方形となり、面積を把握するのに都合が良かったことから、建築費を坪単価で把握する慣習が残り、未だに業界で広く用いられていると推測されます。

坪単価の計算方法

坪単価を計算するには、まず平米表示されている延床面積を坪に換算することが必要です。

平米から坪に換算するには、以下の計算式を用います。

坪 = 平米 × 0.3025
= 平米 ×(121÷400)

1坪は3.30578・・・平米という小数点以下が無限に続く無限小数となりますが、1平米は0.3025坪という有限小数で表現することができます。

0.3025という数値は覚えにくいため、「121÷400」で表現することもあります。
「121÷400」は0.3025と一致し、平米を坪に換算するために用いられることも多いです。

平米を坪に換算する際は、「0.3025」または「121÷400」を用いますが、いずれも結果は同じとなります。

例えば、延床面積が100平米であれば、坪数は以下のように計算されます。

坪 = 平米 × (121÷400)
  = 100平米 × 0.3025
  = 30.25坪

次に、坪単価を出すには建築費を坪数でわります。

坪単価 = 建築費 ÷ 坪数

例えば、延床面積が30坪で建築費が2,400万円の建物の坪単価は、以下のようになります。

坪単価 = 建築費 ÷ 坪数
    = 2,400万円 ÷ 30坪
    = 80万円/坪

坪単価は条件によって相場が変わる?

条件の違いによる坪単価について解説します。

ハウスメーカーと工務店の相場の違い

坪単価に関しては、建築費を割る床面積で何を選択するかによって値が異なってきます。
坪単価を求める床面積は会社によって変わり、延床面積を使うケースと、施工床面積を使うケースがあります。

延床面積とは、いわゆる壁に囲まれた部分の面積の合計のことです。
バルコニーや外廊下といった壁に囲まれていない部分の床面積は含みません。

一方で、施工床面積とは、実際に施工する部分の面積の合計のことです。
施工床面積では、バルコニーや外廊下といった壁に囲まれていない部分の面積も含みます。

施工床面積はバルコニー等も含むことから、延床面積よりも大きくなることが一般的です。
同じ建築費でも、施工床面積を使った方が分母は大きくなるため、坪単価が安く計算されます。

坪単価を表示するにあたっては、延床面積と施工床面積のいずれかを使うかは特にルールはありません。

一部のハウスメーカーでは、建築費を施工床面積で割ったものを坪単価で表示する会社もあります。

また、一部の工務店では、建築費を延床面積で割ったものを坪単価で表示する会社もあるようです。

施工会社から坪単価の説明がなされたときは、どの床面積を使っているのか確認することもポイントとなります。

住宅の構造による相場の違い

坪単価は建築の材料によっても異なります。
材料別の建築費の建築面積に対する坪単価の相場は、下表の通りです。

材料坪単価の相場
木造坪80万円~100万円
軽量鉄骨造坪90万円~110万円
重量鉄骨造坪100万円~120万円
鉄筋コンクリート造坪110万円~130万円

坪単価を抑えるためのポイント

坪単価を抑えるためのポイントを解説します。

整形な建物とする

坪単価を下げるには、設計者に対し整形な建物を設計してもらうように指示することが望ましいです。

建物を上から見た場合、L字型の建物や凸型の建物は、長方形の建物に比べると建築費が高くなっている可能性があります。

理由としては、L字型や凸型の建物は、長方形の建物に比べると余計な壁面が発生しているからです。

形状の悪い建物は屋根に関しても、余計な部分が発生します。
屋根自体が複雑な形になれば、瓦等の屋根の仕上げ材も余計に増えます。
また、屋根にも余計な出っ張りが発生すれば、屋根から雨を受ける雨樋の長さも余計に長くなってしまいます。

このように不整形な建物は、長方形の建物に比べると余計な部分が発生しやすくなるため、坪単価を抑えるには建物は整形にした方が良いのです。

平屋ではなく2階を選択する

坪単価を下げるという意味では、平屋ではなく2階建てを選択した方がいいでしょう。

意外に思うかもしれませんが、建築費の坪単価は2階建てよりも平屋の方が高くなることが一般的です。

坪単価とは、建築費を延床面積で割ったものと説明しましたが、平屋であろうが2階建てであろうが、建物には基礎や屋根が存在し、建築費の中には基礎や屋根の費用も含まれます。

平屋は坪単価を計算する上での分母が1階部分の床面積しかないため、2階建てよりも分母の床面積が小さくなります。
基礎や屋根を含む建築費を少ない面積で割って求める平屋の坪単価は、広い面積で割れる2階建ての坪単価よりも高くなってしまうのです。

よって、坪単価だけを見ると、平屋は建築費が割高となる建て方であり、実は贅沢な建物であるといえます。

ただし、平屋は床面積が小さくなることから、2階建てよりも単価は高くても総額は安くなる可能性はあります。

敷地が広く、平屋でも十分な家が建てられる場合には、総額を抑えるという目的で平屋を検討してみるのも一つです。

部屋の空間を見直す

建築費の単価を抑えるには、部屋の空間を見直すことも一つです。
同じ面積の建物でも、例えばリビングが大空間となっているような家の場合、建築費が高くなっている可能性があります。

大空間の部屋は、柱や壁の数が少ないです。
柱や壁が少ない中でどのように建物を支えているかというと、梁を太くすることで建物を支えていることが一般的となっています。
梁とは、柱と柱の間をつなぐ横架材のことです。

太い梁の使用は、建築費の増加の要因となります。
太い梁を使用しないようにするには、大空間は作らず、柱や壁を増やして建物を支えていくことが一般的です。

仕様を落とす

坪単価を抑えるには、仕様を落としていくことも現実的な対処法です。
住宅の建築費は、ざっくりいうと躯体が4割、仕上材が4割、設備が2割で構成されています。

そのため、仕上材の仕様を落としていくことによる建築費の削減効果は高いです。
仕上材とは、内装材であれば壁のクロスや床のフローリング、外装材であれば壁のサイディングやモルタル、屋根のスレート瓦やガルバリウム等のことです。
キッチンや洗面所の面材等も仕上材となります。

内装材であれば子ども部屋や寝室の仕様を落とす、外装材であれば目立ちにくい部分の仕様を落とすといった方法が考えられます。

仕上材は見栄えが良いものを選ぶとすぐに値段が上がってしまいますので、予算を考慮しながら慎重に選定していくことが望ましいです。

見積もりは2~3社に出してもらう

建築費を抑えるには2~3社に見積もりを依頼し、建築費が安い施工会社を選ぶことも効果的です。

建築費は、材料や人件費等の実費の積上げであることから、交渉してもなかなか下がらないことがよくあります。

相見積もりによって安い工事費を提示してくれる会社を探す手段を取れば、交渉をせずに建築費を抑えることができます。

設計変更の提案を受ける

建築費は、施工会社から設計変更の提案を受けることで下げることもできます。
建築費を下げるには、専門的な知識が必要となります。
しかしながら、多くの方は建築費を下げるための専門的な知識は持ち合わせていないのが普通です。

そこで、専門知識のある施工会社に建築費を下げる知恵を絞ってもらうのが設計変更になります。
設計変更の提案は交渉ではないため、発注者が提案を受け入れさえすれば金額は下げられます。

まずは施工会社に建築費を下げるために設計変更できないか相談してみましょう。

メンテナンスやランニングコストも考慮する

坪単価が高い建物は、往々にして仕様が高いため、竣工後のメンテナンスやランニングコストが抑えられることも多いです。
例えば、家を断熱仕様にするとコストはかかりますが、竣工後の空調費を安く抑えることができます。

家を建てる際には建築費だけでなく、その後長きに渡ってかかる諸費用についても考えることが大切です。そのため、坪単価だけに着目せず、メンテナンスやランニングコストが抑えられる仕様であれば、多少高くても採用することで、その後の諸費用をできる限り少なくしていくという考え方もあります。

坪単価をもとにして家を建てる場合の注意点

坪単価をもとにして家を建てる場合の注意点について解説します。

坪単価の低さだけにこだわらない

坪単価が低い建築費には、何らかの理由があるはずです。
例えば、建築費がいたずらに安い施工会社に依頼すると、施工の質が悪い場合もあります。

竣工後にすぐに壊れたり、アフターメンテナンスのサービスが悪かったりする可能性もあるため、安い会社が必ずしも良いとは限りません。

建築費の安さばかりを重視するのではなく、適切な金額の会社を選ぶことが注意点です。

本体工事費以外にかかる費用を把握しておく

建築費は、本体工事費以外にかかる費用も把握しておく必要があります。
建物を建てるにあたっては、設計料や確認申請手数料、登録免許税、不動産取得税、水道分担金等の諸費用が発生します。

特に、設計料や確認申請手数料は金額も大きく、施工会社によっても金額が異なる部分です。
施工会社は、諸費用まで含めた合計額で比較して選ぶことが適切です。

この記事のポイント

ハウスメーカーと工務店で坪単価の相場が変わる?

坪単価に関しては、建築費を割る床面積で何を選択するかによって値が異なってきます。

一部のハウスメーカーでは、建築費を施工床面積で割ったものを坪単価で表示する会社もあります。また、一部の工務店では、建築費を延床面積で割ったものを坪単価で表示する会社もあるようです。

施工会社から坪単価の説明がなされたときは、どの床面積を使っているのか確認することもポイントとなります。

詳しくは「坪単価は条件によって相場が変わる?」をご覧ください。

坪単価を抑えるためのポイントは?

坪単価を抑えるためのポイントとしては、整形な建物とする、平屋ではなく2階を選択する、部屋の空間を見直す、仕様を落とすなどが挙げられます。

そのほかにも、見積もりは2~3社に出してもらう、施工会社に設計変更の提案を受ける、メンテナンスやランニングコストも考慮するなどがあります。

詳しくは「坪単価を抑えるためのポイント」をご覧ください。

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