家を買うタイミング
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家を買うタイミングはいつがいい?子供の有無や年齢、離婚は影響する?

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 家を買うタイミングは年齢やライフイベント、貯金額などの視点から考えることができる
  • 家を買うタイミングを決める際は金利の動向や各種控除制度などを確認しておく

家を買うタイミングは、いつが正解なのでしょうか。家は人生の中でも大きな買い物です。失敗したくないと考えるばかり「いつ購入したら良いのかわからない」と悩んでいる方は少なくないでしょう。

この記事では、年齢や世帯年収、家族構成などさまざまな視点で家を買うタイミングについて検証します。

また家を買うタイミングを決める際の注意点や、家を買うタイミングにまつわるよくある質問をQ&A形式で紹介します。家を買うタイミングを迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

家を買うタイミングの考え方

家を買うタイミングに正解はありません。しかし家を買った人の多くは、何かしらの要因や変化があったはずです。

家を買うときに影響すると思われる年齢や貯金額など、6つの視点で家を買うタイミングについて検証します。

  • 年齢から考える
  • 平均世帯年収から考える
  • 家族の人数から考える
  • ライフイベントから考える
  • 貯金額から考える
  • 不動産価格指数から考える

年齢から考える

国土交通省住宅局が毎年公表している「令和4年度(2022年度)住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅を取得した世帯主の年齢は、全国・三大都市圏ともに30歳代が最も多く、それぞれ36.9%・35.4%でした。次いで多いのはどちらも40歳代で、平均年齢は43.8歳・43.7歳です。

ちなみに新築工事をした世帯主の年齢は、全国で30歳代が最も多く41.7%、次いで多いのは40歳代で、平均は41.1歳です。

過去5年分(2018年から2022年)のデータを見ても、多くの人が30歳代から40歳代で家を購入していることがわかります。

出典:令和4年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省 住宅局

平均世帯年収から考える

同じく国土交通省住宅局が公表している「令和4年度(2022年度)住宅市場動向調査報告書」によると、家を購入したときの世帯年収(税込)は、全国・三大都市圏ともに600万~800万未満の世帯が最も多く、全体の25.7%・23.1%でした。平均年収は、それぞれ801万円・896万円です。

なお過去5年分(2018年から2022年)データを見ると、全国・三大都市圏ともに平均年収(税込)は上昇傾向にあります。

2018年の平均世帯年収(全国)は705万円でしたが、2022年の平均年収は801万円となっており、100万円近く上昇しています。これは三大都市の平均年収にも見られる変化で、2018年の三大都市圏の平均年収は779万円でしたが、2022年の平均年収は896万円となっており、約120万円の上昇です。

家族の人数から考える

家族の人数も家の購入に影響するのでしょうか。これについても国土交通省住宅局が公表している「令和4年度(2022年度)住宅市場動向調査報告書」を参考にして見てみましょう。

注文住宅を取得したときの世帯の家族人数は、全国・三大都市圏ともに3人が最も多く、それぞれ全体の29.3%・31.8%でした。また平均の家族人数は全国で3.2人、三大都市圏では3.3人です。

なお全国で見ると、2番目に多いのは4人で全体の25.7%でしたが、3番目の2人(25.3%)と僅差でした。ちなみに三大都市圏では4人が全体の26.9%、2人が24.0%です。

全国と三大都市圏のそれぞれ過去5年間のデータを見ても、平均は3.3人前後で推移しており、大きな変化は見られませんでした。多くの世帯が家族3人のときに家を購入していることがわかります。

ライフイベントから考える

結婚や出産、子どもの独立・進学、定年退職など、一般的にライフイベントに合わせて家を購入するケースは少なくありません。

例えば結婚を機に新居を検討する場合、賃貸物件と売買物件を比較して検討する場合があります。そして賃料と月々の住宅ローン返済額が同等であれば、家を買ってしまった方が得だと考えて、購入に踏み切る方は比較的多いです。

若いときに購入した方が借入期間を長く設定できるので、収入に対する返済比率が低くなり、月々の返済も比較的楽になります。

しかし将来の家族構成によっては、新婚時に購入した物件が手狭に感じることもあります。広さや立地など、よく考えて購入しましょう。

出産前に家を購入する場合、子どもが生まれてからその泣き声や足音が気になるケースがあります。集合住宅を購入したものの、出産してから戸建て住宅にすればよかったと後悔することもあります。音の問題も考慮して、住まいを選ぶようにしましょう。

子どもの進学にあわせて家を買うケースでは、学区にも注意しましょう。小中学校への距離だけでなく、学校の特徴なども確認しておくと安心です。最近では小中学校もホームページを設けているケースが多いため、ある程度学校の情報も収集しておきます。

子どもの独立や世帯主の定年のタイミングで家を購入する場合は、ローン借入期間が短くなることが多いため、月々の返済額が大きくなる傾向があります。早い段階で資金計画についてシミュレーションしておくとよいでしょう。

貯金額から考える

ある程度貯金が貯まったタイミングで、家を買うことを検討するケースもあります。例えばマンションを購入する場合、自己資金はいくら必要になるのでしょうか。実際の成約事例と、前述の「住宅市場動向調査報告書」のデータをもとにシミュレーションします。

国土交通大臣指定の不動産流通機構が管理・運営している「レインズマーケットインフォメーション」は、実際に取引された成約価格を検索できます。以下の成約事例を参考にします。

購入物件:中古マンション
最寄り駅:東急田園都市線「三軒茶屋」
駅からの距離:徒歩10分
所在:世田谷区上馬
購入価格:5,000万円
専有面積:50~55㎡
建築年:2014年

シミュレーション例

世帯主年収:800万円
年齢:38歳
住宅ローン期間:35年
住宅ローン借入額:4,500万円
金利:変動金利0.375%
頭金:500万円
諸費用:400万円(マンション購入価格の8%)
※諸費用内訳/仲介手数料171.6万円(税込)・金融機関の保証料や手数料約125万円・登記費用(登録免許税・司法書士への報酬)・印紙代(5,000万円の場合1万円)・不動産取得税など

中古マンションを購入するのに、一般的に諸費用は6~9%かかるといわれています。ここでは8%とし、諸費用は400万円で計算します。

つまり5,000万円のマンションを買う場合、別途諸経費が400万円かかるため、合計で必要になるのは5,400万円です。

この場合において、マンションを担保に住宅ローンを借り入れるとします。マンションの担保評価や年収によって借り入れ可能額は異なりますが、ここでは4,500万円借り入れることとし、自己資金から充当する頭金は500万円とします。

住宅ローンとは別に自己資金で用意する金額は500万円+400万円で900万円となります。

4,500万円を変動金利で35年借り入れする場合、月々の返済額は114,344円(ボーナス払い無し)で、年間では1,372,128円です。

ちなみに一般的に住宅ローンを無理なく返済できるのは、返済比率20~25%といわれています。返済比率は年間返済額÷年収×100で算出できます。

年収が800万円で返済比率を25%に抑える場合、年間の住宅ローン返済額は200万円(200万円÷800万円×100=返済比率25%)ですから、無理なく返済できる金額といえます。しかし金利は変動するため、ある程度ゆとりをもって資金計画を立てる必要があります。

新築マンションを購入する場合は担保評価が高いため、年収によっては頭金なしで購入できるケースもありますが、一般的には物件価格の2割程度を自己資金(貯金)で用意できると、無理のない資金計画になります。

不動産価格指数から考える

不動産価格指数とは、国土交通省が毎月公表しているもので、不動産価格の動向を指数化した統計データです。

多少下落するタイミングはあるものの、2013年頃から全体的に右肩上がりに上昇し続けていることがわかります。

しかし今後の金利の動向や世界情勢によっては、不動産価格指数が下落する可能性もあります。

今後不動産の購入を検討している人は、不動産価格指数を参考にし、家の買い時を見極めることをおすすめします。

出典:不動産価格指数|国土交通省

家を買うタイミングを決める際の注意点

家を買うタイミングを決める際は、いくつか注意すべきポイントがあります。代表的な2つの注意点を紹介します。

  • 金利の動向や各種控除制度などを確認する
  • 購入資金に加えて購入後の維持費についても考えておく

金利動向や各種控除制度などを確認する

住宅ローンの金利は変動する可能性があります。また売買契約時の金利ではなく、住宅ローンが実行された月の金利が適用になります。家の購入を考えていたときのシミュレーション(月々の返済額や総支払額)とは異なる場合があることを覚えておきましょう。

また控除や特例には期限があります。利用を検討する場合はその要件や期限も確認するようにしましょう。

ちなみに「特定のマイホームを買い換えたときの特例」は、2023年12月31日までに家を売却したときに適用になります(2023年9月時点)。今後特例の期間が延長されなければ、2024年1月1日以降は利用できません。

また現在2024年3月31日までは印紙税に対して軽減措置があり、不動産売買契約書に貼付する印紙税は軽減されます。1,000万円超~5,000万円以下は1万円ですが、2024年4月1日以降は2万円になります。契約するタイミングによっては、印紙税が倍額になりますので注意しましょう。

出典:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国土交通省

購入資金に加えて購入後の維持費についても考えておく

購入までは資金計画を綿密に立てていた人も、購入後にはうっかりしてしまうこともあります。購入後にかかる費用についても、事前に確認しておきましょう。

なお購入後にかかる費用は、以下の通りです。

  • 不動産取得税(課税標準額×3%)※2024年3月31日までは宅地は課税標準額が1/2になります
  • 固定資産税・都市計画税(購入した年は売主と精算、購入した翌年から納税通知書が届きます)
  • 管理費・修繕積立金(マンションの場合)

家を買うタイミングにまつわるQ&A

最後に、家を買うタイミングに関するよくあるQ&Aを紹介します。

  • 家を買うタイミングで離婚が決まったらどうする?
  • 2023年は家を買うタイミングとしてふさわしい?
  • 独身の場合、家を買うタイミングはどうやって考える?

家を買うタイミングで離婚が決まったらどうする?

離婚による財産分与は本来当事者で決めるものですが、夫婦の財産は二人で築いたものと考えられるため、預貯金などは名義に関係なく折半する(1/2)のが原則です。

もし家を購入した後に離婚が決まった場合、「売却する」か「どちらかが住み続ける」のかを決める必要があります。

売却するのであれば住宅ローンを完済して、手元に残った現金を折半します。売却できたタイミングで精算できるので安心です。

しかし例えば夫が住宅ローンを借り入れし、離婚後に妻が住み続ける場合は、注意が必要です。夫が住宅ローンの返済を怠った場合、金融機関から不動産を差し押さえられ、競売になる可能性があります。

また夫が住宅ローンを支払い続けて家に住み続ける場合でも、妻が住宅ローンの連帯保証人になっているケースでは、住宅ローンの返済が滞ると妻にも支払い義務が発生します。

財産分与はスムーズに決着がつかないことも多いため、家庭裁判所に「離婚調停」や「財産分与請求調停」を申し立てることも検討しましょう。なお財産分与請求をする場合は、離婚後2年以内に請求する必要がありますので注意してください。

2023年は家を買うタイミングとしてふさわしい?

家を買うタイミングとしてふさわしいかどうかについて、断定することは難しいものです。

しかしここ10年を見ても不動産の価格は年々上昇しており、住宅ローンが低金利で推移していることを考慮すると、2023年に家の購入を検討することは望ましいといえます。

とはいえ、不動産市場や社会情勢の変化は、不動産価格に大きく影響します。家の購入を検討する場合は、常に情報収集するように心がけましょう。

独身の場合、家を買うタイミングはどうやって考える?

結婚や出産などのライフイベントがない独身の場合は、家を買うタイミングをどう考えたらよいのでしょうか。

基本的には20代や30代など早い段階で家を購入すれば、早い段階で住宅ローンを完済できるメリットがあるいえます。

ただしライフプランが変わって結婚したり、転勤したりすることもあるかもしれません。将来に備えて売却や賃貸しやすい家を選ぶようにしましょう。

この記事のポイント

家を買うタイミングの考え方は?

家を買うタイミングは、年齢から考える、平均世帯年収から考える、家族の人数から考える、ライフイベントから考えるといった方法で決めることができます。

そのほか、貯金額から考える、不動産価格指数から考えるという方法もあります。

詳しくは「家を買うタイミングの考え方」をご覧ください。

家を買うタイミングを決める際の注意点は?

家を買うタイミングを決める際は、金利の動向や各種控除制度などを確認し、購入資金に加えて購入後の維持費についても考えておくことが重要です。

詳しくは「家を買うタイミングを決める際の注意点」をご覧ください。

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