ざっくり要約!
- 専有面積とは専有部分の面積のことで、マンションの場合は各室の面積が該当する
- 専有面積には居室やキッチン、バス、トイレ、玄関、収納などが含まれる一方、バルコニーや共用廊下などの共用部は含まれない
マンションの購入を検討し始めると「専有面積」という言葉を目にするようになります。
専有面積とは、簡単にいうと部屋の面積のことです。
同じ3LDKであっても専有面積が異なれば、価格だけでなく収納量や置ける家具の大きさ等も異なってきます。
住宅の広さは住みやすさに直結する要素であることから、専有面積の把握は重要です。
では、マンションの専有面積とは、いったいどこを指すのでしょうか。
この記事では「専有面積」について解説します。
記事サマリー
専有面積とは
専有面積の概要を紹介します。
区分所有者が単独で専有している部分の床面積
専有面積とは、専有部分の面積のことを指します。
専有部分とは、構造上の独立性と利用上の独立性の両方の要素を満たした部分のことです。
分譲マンションであれば、区分所有権の目的となる建物の部分が該当します。
いわゆる201号室や303号室といった各室の面積が、専有面積です。
なお、単独で「専有」している部分と単独で「専用」している部分は、意味が異なります。
専有とは、自分一人だけで所有することです。
それに対して、専用とは特定の者だけが使うことを指します。
マンションの場合、バルコニー(ベランダ)のように構造上、独立していない部分であっても購入者が独占的に利用できる部分があります。
バルコニーは構造上の独立性の要件を満たしていないことから、専有部分ではありません。
バルコニー部分は、分類としては共用部に該当します。
共用部とは専有部分以外の建物の部分のことです。
バルコニーは専有部分ではないことから、専有面積には含まれません。
ただし、マンションでは、バルコニーに対して区分所有者(購入者)に専用使用権という権利が与えられているため、共用部分であっても独占的に利用できるようになっています。
専有面積と延べ床面積の違い
専有面積とは、専有部分の面積のことです。
区分所有者が1人で所有している部分の面積が、専有面積に該当します。
延べ床面積とは、日本語としては各階床面積の合計値のことです。
建築基準法でいう延べ床面積は、自動車車庫等の一部は延べ床面積に算入されないことになっています。
なお、延べ床面積は、原則として壁や屋根で区画された部分の面積が相当します。
バルコニーや外廊下、庇の部分は、壁で区画されていないことから、原則として延べ床面積には含まれません。
バルコニーや外廊下等の全ての床面積を含んだ合計面積のことは、「施工床面積」と呼びます。
専有面積の計算方法
専有面積の計算方法について解説します。
内法面積
内法(うちのり)面積とは、壁の内側で測定した室内の面積のことです。
【内法面積の計算方法】
内法面積 = 壁の内側から内側の寸法 × 壁の内側から内側の寸法
内法とは、部材間の寸法のことを指し、内側から内側までの距離のことを指します。
元々は敷居と鴨居との間の寸法を指す言葉でしたが、現在は拡大して使用されている用語です。
敷居と鴨居は障子等の建具を入れるための水平部材のことで、敷居は下部分、鴨居は上部分のことを指します。
マンションの登記簿謄本に記載されている専有部分の床面積は、内法面積です。
マンションの部屋の壁の内側から内側の間で計測した面積が登記簿謄本に記載されています。
壁芯面積
壁芯面積とは、壁の中心線で測定した室内の面積のことです。
壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積のことを指します。
【壁芯面積の計算方法】
壁芯面積 = 壁の中心線から中心線の寸法 × 壁の中心線から中心線の寸法
マンションでは、分譲時のパンフレットに記載されている面積は壁芯面積であることが一般的です。
マンションでは、共用部分や敷地の部分を共有の状態で有しています。
共用部分や敷地部分の共有持分割合のことを「敷地権割合」と呼びます。
敷地権割合は、専有面積を全体の専有面積合計で割ったものです。
この際、敷地権割合の計算で用いられる専有面積は、「壁芯面積」が採用されています。
マンションの登記簿謄本を見てみると、「専有部分の床面積」と「敷地権の割合」が表記されています。
専有部分の床面積は内法面積ですが、敷地権の割合は壁芯面積によって計算されたものです。
例えば、専有部分の床面積が「87.15平米」と記載されており、
敷地権の割合が「2934439分の9167」と記載されていたとします。
この場合、壁芯面積は敷地権割合の分子と同じとなっているケースが多く、登記簿謄本から壁芯面積が「91.67平米」と推測することもできます。
専有面積はどこからどこまで?
専有面積はどこからどこまでかという点に関して、解説します。
専有面積に含まれるスペース
専有面積は、分譲マンションであれば区分所有権の対象となる部分であり、構造上の独立性と利用上の独立性の両方の要素を満たした部分の面積のことです。
構造上独立した壁の内側にある居室やキッチン、バス、トイレ、洗面所、玄関、廊下、収納等は全て専有面積に含まれます。
専有面積に含まれないスペース
共用部は、専有面積に含まれないスペースとなります。
バルコニーや共用廊下、共用階段、集合玄関、エレベーターホール、エレベーター等は共用部のため、専有面積には含まれません。
また、構造上独立した壁の内側にあっても、上下階の給排水管を通すパイプスペースやメーターボックスは専有面積に含まれない部分です。
なお、室内にロフト(中二階)がある場合、ロフトは専有部分ですが、広告の専有面積には表示されないことが一般的となっています。
専有面積を畳数に変換する計算式
不動産の広告では、畳の面積は1枚当たり1.62平米以上で計算するというルールが定められています。
「不動産の表示に関する公正競争規約」というルールであり、不動産会社が作成するパンフレットやチラシ、インターネット広告等は、全てこの規約に従っています。
1畳あたり1.62平米以上であることから、仮に1畳を1.62平米とした場合、専有面積を畳数に変換する計算式は以下の通りです。
畳数 = 専有面積 ÷ 1.62
なお、畳は、地域や種類によって面積が異なります。
畳の種類と面積の関係を示すと、下表の通りです。
畳の種類 | 面積 |
---|---|
中京間 | 約1.65平米 |
京間 | 約1.82平米 |
江戸間 | 約1.54平米 |
団地間 | 約1.44平米 |
例えば、京間に慣れている人であれば、専有面積を1.62で割った畳数が普段自分で認識している広さよりも感覚的に狭く感じることもあります。
1.62を使った上式は、あくまでも広告に記載する畳数を求めるための計算式であり、唯一絶対的な正解ではありません。
京間での畳数を知りたい場合には、専有面積を1.82で割ったものが畳数を求める式ということになります。
居住人数別・おすすめの専有面積と間取り
厚生労働省では、住宅の面積の目安として「住生活基本計画における居住面積水準」を公表しています。
住生活基本計画における居住面積水準では、最低居住面積水準と誘導居住面積水準の2種類を示しています。
最低居住面積水準とは、世帯人数に応じて健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準のことです。
一方で誘導居住面積水準とは、世帯人数に応じて、豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積に関する水準を指します。
それぞれの面積の求め方は下表の通りです。
種類 | 算定式 | |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 単身者:25平米 2人以上の世帯:10平米×世帯人数+10平米 |
|
誘導居住面積水準 | 都市居住型 | 単身者:40平米 2人以上の世帯:20平米×世帯人数+15平米 |
一般型 | 単身者:55平米 2人以上の世帯:25平米×世帯人数+25平米 |
都市居住型:都心とその周辺での共同住宅居住を想定
一般型:郊外や都市部以外での戸建住宅居住を想定
人数別のそれぞれの面積を示すと、以下の通りになります。
1人暮らしの場合
種類 | 面積 | |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 25平米 | |
誘導居住面積水準 | 都市居住型 | 40平米 |
一般型 | 55平米 |
間取りは1Kや1LDK等がおすすめです。
2人暮らしの場合
種類 | 面積 | |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 30平米 | |
誘導居住面積水準 | 都市居住型 | 55平米 |
一般型 | 75平米 |
間取りは1LDKや2LDK等がおすすめです。
3人暮らしの場合
種類 | 面積 | |
---|---|---|
最低居住面積水準 | 40平米 | |
誘導居住面積水準 | 都市居住型 | 75平米 |
一般型 | 100平米 |
間取りは2LDKや3LDK等がおすすめです。
専有面積をチェックする際の注意点
専有面積をチェックする際の注意点について解説します。
マンションの広告などの専有面積の記載に注意
専有面積は、マンションの種類によって変わるものではありません。
ただし、不動産会社がベースにしている情報によって広告に記載されている専有面積が異なることはあります。
例えば、中古マンションの広告の場合、売主が分譲時のパンフレットを紛失しており、不動産会社が壁芯面積を把握できないケースがあります。
このような場合には、登記簿謄本に記載されている内法面積を専有面積として記載していることが一般的です。
一方で中古マンションであっても、売主が壁芯面積の正確な情報を有していれば、広告に専有面積として壁芯面積が記載されています。
中古マンションの広告は、内法面積と壁芯面積が混在しやすいことから、内法面積か壁芯面積が明記されていることが多いです。
また、新築マンションの場合、分譲時点では建物が未登記であることから、内法面積が不明な状況で販売活動が行われています。
そのため、新築マンションの広告で表記されている面積は、壁芯面積となることが一般的です。
その他として、一棟賃貸マンションのようなマンションも存在します。
一棟賃貸マンションは、各部屋の区分登記をするわけではないことから、登記簿謄本では各部屋の内法面積を把握できない状態となっています。
そこで、一棟賃貸マンションのチラシは、設計図面に記載されたオーナーが把握している専有面積を用いることが多いです。
一棟賃貸マンションの場合、専有面積が内法面積なのか壁芯面積なのかは、正直なところ分からないといえます。
ただし、設計図面に表記されている専有面積は、壁芯面積であるケースが一般的です。
よって、一棟賃貸マンションの専有面積は壁芯面積で表示されていることが多いと推測されます。
・「家選び」に関する記事はこちら 家選びの第一歩……あなたは賃貸派? 購入派? |
この記事のポイント
- 専有面積はどこからどこまで?
構造上独立した壁の内側にある居室やキッチン、バス、トイレ、洗面所、玄関、廊下、収納等は全て専有面積に含まれます。
一方で、バルコニーや共用廊下、共用階段、集合玄関、エレベーターホール、エレベーター等は共用部のため、専有面積には含まれません。
詳しくは「専有面積はどこからどこまで?」をご覧ください。
- 専有面積を畳数に変換する計算式は?
不動産の広告では、畳の面積は1枚当たり1.62平米以上で計算するというルールが定められています。
1畳あたり1.62平米以上であることから、仮に1畳を1.62平米とした場合、専有面積を畳数に変換する計算式は以下の通りです。
畳数 = 専有面積 ÷ 1.62
詳しくは「専有面積を畳数に変換する計算式」をご覧ください。
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