更新日:  

フラット35とは?メリットから手続きの流れまでわかりやすく解説

執筆者プロフィール

大崎麻美
司法書士、FP技能士2級、宅地建物取引主任者、シニアライフマネージャー

日系エアラインのCAを経て30代で司法書士資格を取得。2012年あさみ司法書士事務所を設立。実需・収益不動産・商業に関する登記実務、終活のサポート業務を行う。2022年末より海外に移住。移住後は、実家じまいの情報発信サイト「実家じまい完全攻略ブログ」を運営。法律・不動産専門のライターとして活動。

ざっくり要約!

  • フラット35とは政府系金融機関である独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し扱う住宅ローン
  • フラット35は団信加入が任意のため、健康に不安がある方でも利用することが可能

住宅ローンを利用中の方や、今まさにローンを選んでいる方ならフラット35という言葉を耳にしたことがあるでしょう。フラット35は最近、子どもの数に応じ金利を引き下げる方針が決まり、国が後押しする公的な住宅ローンです。

本記事ではこのフラット35について以下の解説をします。

  • フラット35の基礎知識、メリットとデメリット
  • 民間ローンとの違い
  • フラット35の利用条件と金融機関の選び方
  • フラット35に向くケースと向かないケース

住宅ローンをこれから組む予定の方、借り換え予定の方はぜひご一読ください。

フラット35とは

フラット35とは、政府系金融機関である独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し扱う住宅ローンです。

フラット35には買取型と保証型の2種類があり、買取型と保証型のしくみは次のように異なります。

【フラット35買取型】
フラット35買取型は、民間金融機関が債務者に提供した住宅ローンを住宅金融支援機構が買い取るしくみです。民間金融機関は、融資を行った後に住宅ローン債権を売却できるため、ローンの回収リスクを負いません。住宅金融支援機構は買い取った住宅ローンを担保に債券を発行し、長期の資金調達を行います。

【フラット35保証型】
保証型は民間金融機関のローン回収リスクを住宅支援機構が住宅融資保険をかけて保証するしくみです。万が一債務者がローンを払いきれなくなった際は、保険金が民間金融機関に支払われ、民間金融機関はローン残額を回収できるしくみです。
フラット35の買取型と保証型の主な違いは次のとおりです。


買取型保証型
ローンの貸し手民間金融機関※融資後、住宅金融支援機構が債権を買い取る民間金融機関
抵当権住宅金融支援機構を第1順位とする抵当権が設定される民間金融機関を第1順位とする
抵当権が設定される
頭金の要否フルローンも可能建築費または購入価格の最低1割が必要
借入金利各金融機関が設定各金融機関が設定
買取型より低いことが多い
団体信用生命保険住宅金融支援機構が提供する 新機構団体信用生命保険に加入(任意)各金融機関の提供する団体信用生命保険に加入 (任意)
取り扱い金融機関   313機関
(2023年11月15日時点)
10機関
(2023年10月20日時点)

一般的にフラット35といえば買取型を意味し、ほとんどのケースで買取型が選択されるため、本記事ではフラット35買取型についての解説をします。

フラット35のメリット

フラット35を利用するメリットについて解説します。

8,000万円まで借り入れ可能

フラット35は年収等によるものの、100万円~8,000万円(1万円単位)以内で、建築費または購入価格が融資限度額です。

建築費、購入価格には仲介手数料や登記費用などの諸費用も含めることができ、土地取得費に対する借り入れを希望する場合は、その費用も含めた額となります。

団体信用生命保険制度に加入不可でも利用可能

民間の金融機関が提供するローンの利用は、一部例外を除き団体信用生命保険(団信)への加入が必須です。

団信とは、住宅ローンの債務者に万が一のことがあった際、住宅ローンの残債を保険金で弁済するための保険です。

団信の加入には審査があるため、審査に通らなければ民間金融機関の住宅ローンの契約ができません。しかし、フラット35は団信加入が任意のため、健康に不安がある方でも利用することが可能です。

最長35年の返済期間

フラット35は満70歳未満の人が申し込み可能です。返済期間は最短15年(債務者本人または連帯債務者が満60歳以上の場合10年)で、以下のいずれか短い年数が返済期間の上限です。

  1. 80歳ー申込時の年齢(1年未満切り上げ)
  2. 35年

申込者の年齢が45歳以下であれば35年、46歳以上であれば「80歳ー申込時の年齢」が最長の返済期間となります。

保証人や保証料は不要

フラット35は保証人・保証料ともに不要で、さらに繰り上げ返済手数料が無料です。

返済期間中の金利変動なし

フラット35は借入期間中の金利変動がない固定金利型であることが一番の特徴です。

固定金利型は、資金受取時に毎月払う金額が確定するため、安心して資金計画を立てることができます。

フラット35のデメリット

フラット35を利用するデメリットについて解説します。

住宅価格の9割以上の借り入れは高金利

フラット35で住宅購入価格の9割を超える融資を受ける場合、借り入れ金利が高くなります。

2023年11月現在、住宅購入資金の9割までの借り入れ時の金利は年1.960%程ですが、9割を超える資金を借り入れると年2.100%まで上がってしまうのです。

高金利を避けるには住宅購入価格の1割以上の頭金を用意する必要があります。

変動金利型より借り入れ金利が高い

全期間固定金利型のフラット35は、借り入れ金利が変動金利型より高めに設定される点がデメリットです。

2023年11月現在のフラット35最頻金利は年1.960%ですが、三菱UFJ銀行の変動金利型住宅ローン「ずーっと一律優遇コース 変動(スマート手続) 」の金利は年0.345%~です。

出典:【フラット35】|住宅金融支援機構
   住宅ローン金利一覧|三菱UFJ銀行

フラット35と民間住宅ローンの比較

フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し扱う住宅ローンです。一方で民間の金融機関は独自の住宅ローンを提供しています。それぞれの違いを比較しましょう。


フラット35民間の住宅ローン
金利タイプ全期間固定型変動型
固定金利期間選択型
全期間固定型
保証料なしなし~借入額の2%程度
※金融機関による
※不要なネット銀行等あり
手数料数万円~借入額2%程度 ※取り扱い金融機関による数万円~借入額2%程度
繰上返済手数料無料無料~数万円
団体信用生命保険任意原則加入
対象住宅の技術
基準レベル     
住宅金融支援機構の定める技術基準ありなし
融資の審査年齢・住宅の技術基準・年収に占める年間合計返済額の割合基準を審査年収・雇用形態・年収・勤続年数を中心に審査

フラット35の利用条件とは

フラット35の利用には一定条件を満たす必要があります。またフラット35の利用者が、耐震性やバリアフリー性等の優れた住宅を購入する場合、一定期間の借り入れ金利の引き下げが適用されるフラット35S(金利プランA・金利プランB)という制度があります。

金利引き下げ制度金利引き下げ期間金利引き下げ幅
フラット35S金利Aプラン当初10年間年マイナス0.25%
フラット35S金利Bプラン当初5年間年マイナス0.25%

出典:金利引下げメニュー(2024年3月31日までの申込受付分に適用)|フラット35

引用:【フラット35】Sの住宅のイメージ|フラット35

フラット35、フラット35Sの利用条件について確認していきましょう。

住宅の条件

フラット35、フラット35Sの利用には次の住宅条件を満たす必要があります。

【フラット35の借り入れ対象住宅】

  • 住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅
  • 一戸建て・連続建て・重ね建ては70㎡以上、マンションなどの共同建ては30㎡以上の床面積であること

【フラット35Sの借入対象住宅】

フラット35S金利Aプラン:次のいずれかを満たす住宅が借り入れ対象住宅です。

技術基準新築住宅中古住宅
省エネルギー性     ①断熱等性能等級5以上かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅①断熱等性能等級4以上かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅
②断熱等性能等級5以上かつ、一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
耐震性②耐震等級(構造躯体の倒壊等防)3の住宅
③免震建築物
③耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
④免震建築物
バリアフリー性④高齢者等配慮対策等級4以上の住宅⑤高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
耐久性・可変性⑤長期優良住宅⑥長期優良住宅(維持保全計画認定2も含む)
⑦劣化対策等級3かつ、維持管理対策等級2以上の住宅

フラット35S金利Bプラン:次のいずれかを満たす住宅が借り入れ対象住宅です。

技術基準新築住宅中古住宅
省エネルギー性    ①断熱等性能等級4かつ、一次エネルギー消費量等級6の住宅
②断熱等性能等級5以上かつ、一次エネルギー消費量等級4または5の住宅
①開口部断熱
②外壁等断熱
耐震性③耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅基準なし
バリアフリー性④高齢者等配慮対策等級3以上の住宅③高齢者等配慮対策等級2以上の住宅
耐久性・可変性⑤劣化対策等級3かつ、維持管理対策等級2以上の住宅基準なし

契約者の条件

フラット35、フラット35Sの契約者の条件は次のとおりです。

  • 申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上の方も申込可能)
  • 日本国籍または永住許可または特別永住者である外国籍の方
  • 年収に占める年間の合計返済額基準を満たすこと(この合計返済額はフラット35以外の自動車ローン、教育ローン、カードローンなど全ての借り入れが含まれます)
年収400万円未満400万円以上
基準30%以下35%以下

なお、年齢70歳未満の申込者の親、子、配偶者が申込者本人と同居する場合、連帯債務者になることで収入を合算することが可能です。

フラット35の利用が向いているのはどんな場合?

フラット35の利用が向くケース、向かないケースについて解説します。

向いている場合

フラット35の利用が向くのは以下のようなケースです。

  • 健康上の理由により団体信用生命保険に加入できない場合
  • 金利上昇が心配な場合
  • 長期のライフプランを立てたい場合
  • 自営業者や勤続年数が少ない場合
  • 雇用形態が正社員ではない場合

向いていない場合

フラット35の利用が向かないのは以下のようなケースです。

  • 超低金利時代の恩恵を受けたい場合
  • 購入住宅が住宅金融支援機構の技術基準を満たさない場合
  • 住宅購入価格の10%以上の頭金が用意できない場合

フラット35を申し込む金融機関を選ぶポイント

ここでは、フラット35の窓口となる金融機関を選ぶポイントについて解説します。

金融機関を選ぶ際は金利を比較しがちですが、昨今どの金融機関も低金利でフラット35を提供しています。そのため金利だけではなく、次の観点で比較するのがポイントです。

返済口座の管理のしやすさ

フラット35の返済は、窓口である金融機関の口座から引き落とされます。長期間の返済になるため、管理しやすい返済口座のある金融機関を選ぶことが大切です。

団体信用生命保や付帯サービスの充実

フラット35を扱う金融機関のなかには、独自の付帯サービスを提供している金融機関があります。

団体信用生命保険に無料で全疾病保障が付帯する住信SBIネット銀行(フラット35保証型)、毎日のお買い物が5%オフになるイオン銀行など、自分にあった付帯サービスを探してみるとよいでしょう。

融資手数料の支払い方式

融資手数料は、融資額に対し定率で手数料がかかる定率型と、借り入れ金額に関わらず一定額の手数料となる定額型があります。

フラット35の融資手数料は窓口となる金融機関が自由に設定するため、融資手数料の方式や金額が異なります。


借り入れ金利手数料目安
定率型相対的に低い借り入れ金額の1~2%
定額型相対的に高い3万円~5万円

融資手数料で差別化をしている金融機関もあるため、返済総額のシミュレーションを行い比較検討するのがおすすめです。

この記事のポイント

フラット35とは?

フラット35とは、政府系金融機関である独立行政法人住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し扱う住宅ローンです。

フラット35には買取型と保証型の2種類がありますが、一般的にフラット35といえば買取型をさします。

詳しくは「フラット35とは」をご覧ください。

フラット35のメリットは?

フラット35には、8,000万円まで借り入れ可能、団体信用生命保険制度に加入不可でも利用可能、最長35年の返済期間、保証人や保証料は不要、返済期間中の金利変動なしといったメリットがあります。

詳しくは「フラット35のメリット」をご覧ください。

物件探しや売却がもっと便利に。

無料登録で最新物件情報をお届けいたします。

Myリバブルのサービス詳細はこちら