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マンションのメリットとデメリットは?戸建てと比較しながら解説

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • マンションは冷暖房の効率性が高い、共有設備が利用できる、セキュリティが高いなどのメリットがある
  • マンションは近隣住民との騒音トラブルが起こる可能性がある、リフォームに制限があるなどのデメリットがある

マンションは実際に住んでみると快適に暮らせることがわかります。
しかしながら、今まで戸建てにしか住んだことのない人は、マンションの暮らしは実際にどうなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

近年は、はじめてマイホームを買う人だけでなく、シニア世代でも住み替えでマンションを選ぶ人が増えてきました。
マンションを検討している方は、マンションのメリットをしっかり把握した上で購入することが望ましいといえます。
この記事では「マンションのメリット」について解説します。

マンションのメリットとは

最初にマンションのメリットについて解説します。

気密性の高さによって冷暖房効率UP

近年建てられたマンションは気密性が高い物件が多く、冷暖房の効率が良いです。

鉄筋コンクリート造自体は木造よりも断熱性が低いのですが、戸建てに比べるとマンションは隙間なく作られており、熱の出入りが防がれています。

マンションの中間階や中間部の部屋は上下左右を部屋に囲まれており、外気に直接接する部分が戸建てよりも少ないことから、冬も温かく過ごせるようになっています。

採光や眺望を期待できる

マンションは、高層階に住むと採光や眺望が期待できます。
戸建ての場合、道路が南向きにある敷地であっても高台に建っていないと、日中でもすぐに部屋が暗くなってしまうことがあります。

マンションの高層階は、採光をさえ切るものが少ないため、戸建てよりも部屋が明るい時間を長く感じやすいです。

また、マンションの高層階からは、戸建てでは得がたい眺望が存在します。
物件によっては眼下に広い空間を見渡すことができ、毎日の生活に高揚感がもたらされるケースもあります。

通勤通学しやすい立地

マンションは通勤や通学がしやすい利便性の高い立地に物件が多いです。
マンションが駅に近い場所や中心市街地に多いのは、容積率との関係もあります。
容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことです。

マンションのように高層建築物を建てるには、土地に高い容積率が指定されていることが必要となります。
高い容積率が指定されている場所は、駅に近い場所や中心市街地等の利便性の高い地域に多いです。

そのため、マンションは必然的に戸建てよりも利便性の高い場所に多く建っています。

セキュリティの安全性

マンションはセキュリティの安全性が高い点もメリットです。

警視庁によると、2022年における侵入窃盗の発生場所別認知件数は、戸建て住宅が最も高く33.0%となっています。

2位以降は割合が多い順から一般事務所(11.1%)、生活環境営業(8.1%)、3階以下の共同住宅(7.8%)、商店(6.5%)、4階以上の共同住宅(4.3%)です。
生活環境営業とは、パチンコ店やホテル・旅館、深夜飲食店等が該当します。

特にマンションの4階建て以上の部屋は、侵入窃盗の件数が大きく減っていることが特徴です。

戸建ては侵入経路が多く泥棒が浸入しやすいですが、マンションの4階建て以上の部屋は泥棒の浸入が困難であるため、必然的にセキュリティが高いといえます。

出典:住まいる防犯110番|警視庁

共有設備やサービスが利用可能

近年の新築マンションは共用部が充実しており、共有設備やサービスが利用できる点もメリットです。

物件にもよりますが、マンションの共用施設にはコワーキングスペースやコインランドリー、キッチンスタジオ、キッズルーム、トレーニングルーム、ラウンジ等があります。

また、物件によってはコンビニやスーパーマーケット、ドラッグストア等の店舗が1階にテナントとして入居しているマンションもあり、戸建てにはない利便性が存在します。

段差のないフラットな床

近年新築されているマンションは、専有部がバリアフリー構造となっており、段差のないフラットな床となっています。

戸建てとは異なり、家の中に階段がないことから、暮らしやすいです。

高齢になると、家の中にある階段が億劫になることもあります。マンションは、部屋が全て同じ階に完結しているため、高齢者にとっても住みやすい家となっています。

大規模修繕を計画的に実施してくれる

マンションは、建物の大規模修繕等を管理組合が計画的に実行してくれます。
戸建ての場合、外壁塗装等の大規模修繕は所有者が自ら計画して行わなければなりません。
貯金がなければ実行できないこともあります。

マンションは、管理組合が組織的に大規模修繕を実行してくれますので、所有者が特に何もしなくても建物が適切に維持されていきます。

マンションのデメリットとは

マンションのデメリットについて解説します。

近隣住民との騒音トラブル

マンションは壁を挟んで住戸が隣接しているため、隣接住戸との騒音等のトラブルが発生しやすいです。

例えば、上の階の足音や物音がトラブルになることがあります。
下の階に受験生が住んでおり、上の階に小さな子供が住んでいるようなケースでは、子供が走り回る足音が原因でトラブルになることが多いです。

トラブルに発展しないように、特に下階へ与える騒音は要注意といえます。

マンションは、同じ縦列の人たちがエレベーターで顔を合わせることもよくあります。
真下の階の人の顔をしっかりと認識し、普段からあいさつを交わす等の良好な関係を築くことをおすすめします。

ペットの飼育が難しいことがある

物件にもよりますが、マンションの中にはペットの飼育を禁止している物件もあります。
ただし、近年に新築されるマンションではペットブームの背景もあり、ペット可の物件も増えてきました。

ペットを飼いたい人は、ペット可の物件であることを調べて購入することが必要です。
ペット可の物件であっても、マンションではペットの体長、体高、飼育できる頭数等の制約が設けられている場合がありますので、注意が必要です。
不安な方は、管理組合へ確認することをお勧めします。

収納量が総じて少ない

マンションは戸建てに比べると収納量が総じて少ないです。
マンションは、自分の庭もありませんので、庭に物置きを置くといったこともできません。
また、家の中に階段もないことから階段下収納も作れない構造です。

マンションは広い収納場所を確保することが難しいことから、大きなものを置きにくいといえます。
戸建てからマンションへ引っ越す場合には、極力荷物を減らしてから転居することをおすすめします。

リフォームに一定の制限があり増築もできない

マンションは、リフォームの自由度が戸建てに比べると低い点が特徴です。
マンションでリフォームできるのは、専有部だけとなります。
例えばマンションの玄関扉の外側は共用部となるため、所有者が玄関扉を勝手に交換するようなことはできません。

また、マンションでは、下階への騒音を考慮し、管理規約で使用できる床材に制限を設けている物件も多いです。
具体的には、床の仕上げ材に天然の無垢材を使用するといったことができない場合もあります。

さらに、戸建てのように増築をすることはできず、部屋が狭くても、それ以上広げることができません。
そのため、内見時にご自身の家具や荷物がどれくらいあるかイメージを持っておくことで、転居後との部屋の大きさのギャップを減らすことができます。

管理費および修繕積立金・駐車場代が別途発生する

マンションでは、毎月、管理費および修繕積立金が発生する点がデメリットです。
維持費としては、固定資産税や火災保険料も発生しますので、ランニングコストは戸建てよりもマンションの方が高いといえます。

管理費に関しては、戸数が少なく、かつ共用施設が多い物件は高い傾向があります。
戸数の少なさは、一戸当たりの負担を重くすることから管理費が割高となる原因です。
また、キッズルームやトレーニングルーム、コワーキングルーム等の共用施設が充実しているほど、その施設を維持していくための費用がかかることから、割高の原因となります。

修繕積立金に関しては、戸数が少なく、かつ築年数の古い物件ほど高い傾向があります。
マンションは築年数が古くなると、必要となる大規模修繕工事が増えます。
修繕積立金は、築年数が増えるほど徴収される金額も増えていくことが一般的です。

また、マンションでは駐車場を利用する場合、駐車場使用料が発生します。
戸建てでは自分の敷地に車を停めるのに駐車場代は発生しないため、駐車場使用料の存在はマンションのデメリットです。

しかも、マンションの駐車場は戸建てと比べると部屋から遠くなる傾向があります。
お米や水等の重たい商品の買い物をした場合には、車から部屋まで重たい荷物を運ぶことになります。

将来の建て替えが現実的に難しい

マンションは将来の建て替えが現実的に難しい点がデメリットです。
マンションは、区分所有者および議決権(専有部分の割合に応じて持つ権利)の各5分の4以上の多数で建て替えをすることができますが、この建て替え決議を取ることが現実的には難しくなっています。

戸建てとは異なり、古くなったときに抜本的な改善がしにくいといえます。

マンションはメリットだらけって本当?戸建てとの比較

マンションと戸建ての比較について解説します。

マンションと戸建ての住みやすさの違い

好みにもよりますが、マンションの方が都会的な生活をできると感じる人は多いといえます。
一方で、戸建てであれば広々と住める点に快適さを感じる人もいます。
住みやすさは人によって感じ方が異なるため、一概にどちらの方が優れているとはいえません。

マンションと戸建てにかかる維持費の違い

マンションも戸建ても、固定資産税や建物の損害保険料が発生します。
また、マンションには管理費および修繕積立金、駐車場使用料、駐輪費用等の費用も発生します。

一方で、将来の大規模修繕に関しては、戸建ては自分で費用を準備していくことが必要となります。
マンションに関しては、修繕積立金を支払っていますので、修繕が必要となった場合に自分で費用を準備する必要はありません。

マンションと戸建ての資産価値の違い

資産価値も何をどうとらえるかによって異なります。
マンションは鉄筋コンクリート造で建てられており、立地条件も良い物件が多いことから、戸建てに比べると総じて価値は下がりにくいです。

一方で、戸建ては将来建て替えることができますので、次世代や次々世代も利用できるという意味では、マンションよりも価値は高いです。

築30年くらいまでのスパンで見ればマンションの方が価値は高いかもしれませんが、築50年を超えるスパンで見ると自由に建て替えができる戸建ての方が価値は高いといえます。

この記事のポイント

マンションのメリットとは?

マンションには、気密性の高さによって冷暖房効率UP、採光や眺望を期待できる、通勤通学しやすい立地に物件があるなど、さまざまなメリットがあります。

詳しくは「マンションのメリットとは」をご覧ください。

マンションと戸建てで維持費の違いはある?

マンションも戸建ても、固定資産税や建物の損害保険料が発生します。 また、マンションには管理費および修繕積立金、駐車場使用料、駐輪費用等の費用も発生します。
戸建ての場合は修繕が必要になったときに備えて、自分で費用を準備しておく必要があります。

詳しくは「マンションと戸建てにかかる維持費の違い」をご覧ください。

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