ざっくり要約!
- 三和土は日本古来の伝統的な工法で、ぬくもりや自然な風合いが感じられるのが特徴
- 三和土のDIYは難易度が高く、施工するためには経験や知識が必要なのでプロに任せた方が安心
三和土(たたき)とは、赤土と砂利に消石灰とにがりを混ぜて練ったもので、土間の表面を固めるための仕上げ材です。またその工法自体をさすこともあります。
伝統的な日本家屋では、三和土は土間の仕上げ材として使われていましたが、現代では玄関の靴脱ぎ場、つまりコンクリートの上にタイルが貼ってある部分を三和土と呼ぶこともあります。
この記事では「住まいに自然由来の素材を取り入れたい」「自然素材特有のぬくもりを感じられる空間にしたい」と考えている方のために、三和土の作り方や利用するメリットとデメリットを紹介します。
記事サマリー
三和土(たたき)とは
その昔、日本家屋の玄関には土間がありました。屋内でありながら土足のまま歩ける土間は、炊事や農具の手入れ、来客者を迎える場所として便利な空間でした。
しかし土のままの状態では、人の出入りなどで風が起きるたびに、土埃が舞い上がる可能性があります。そこでその土間の表面を固めるために使われたのが、三和土です。
たとえば炊事場は水や火を使いますが、三和土は火が燃え移ることがなく、また水分を含んでも板間のように腐ることもありません。
三和土の読み方と由来
三和土は「たたき」と読みます。おもに花崗岩が風化してできた赤土などを、叩いて固めたため、「叩き土・敲き土(たたきつち)」と呼ばれるようになったといわれています。のちに「たたきつち」が略されて「たたき」になりました。
また、一般的に赤土・砂利・消石灰などが使われますが、3種類の素材を混ぜて作るため「三和土」になったともいわれています。
三和土の作り方
三和土は日本古来の工法で、各地方で使われる土や配合は多少異なります。ここでは、一般的な三和土の作り方を紹介します。
赤土・砂利などに消石灰とにがりを混ぜる
花崗岩が風化してできた赤土などに砂利と消石灰を混ぜて、にがりと水を加えてよく練ります。にがりは三和土の硬化や凍結防止のために使います。
混ぜ合わせた素材でまず下地を作り、叩いて固めます。その後よく乾燥させてから、2層目を同じように叩いて、水平になるように仕上げます。
叩き固める作業を繰り返し行う必要があり、完全に乾くまでに時間がかかります。想像以上に手間と時間がかかる工法です。
にがりは塩化カルシウムでも代用可能
にがりは食用のものが販売されているため、簡単に入手できます。しかしにがりは高価なため、三和土などで大量に使う場合は塩化カルシウムを代用することが多いです。
三和土は DIY できる?
三和土をDIYする方法を、テレビ番組やブログで紹介しているのを見たという方もいるかもしれません。しかし実際には三和土のDIYは難易度が高い作業で、施工するためには経験や知識が必要です。
たとえば材料の配合によっては固まらない可能性があるため、サンプルを作るなどして試行錯誤する必要があります。そして一度に広範囲の施工が難しい場合、見た目が継ぎはぎになるかもしれません。
また屋外に施工する場合は、水が流れるように勾配を考慮しなければならず、水が溜まるような箇所ができてしまうと、コケやカビが生えやすくなるので注意が必要です。
三和土部分に湿気を帯びた状態が続いた場合、建物の強度に影響が出る恐れがあります。とくに屋内に施工する場合は、プロの職人に任せることをおすすめします。
三和土と土間の違い
土間とは、屋内の中にある土足のまま歩ける「空間」です。昔はその名の通り「土の間」でした。その後、土の表面を固めるために、三和土で仕上げるようになりました。
この場合、土間は空間をさし、三和土は土間の仕上げ材(床の部分)をさします。
今でもその名残で、玄関の靴脱ぎ場を三和土と呼ぶことがあります。
三和土がよく使われるスペース
三和土が一般的によく使われるスペースを紹介します。
玄関
現代では玄関の靴脱ぎ場にタイルや大理石などが使われることが多くなりましたが、中には三和土の自然素材の風合いを生かした玄関もあります。
庭
コンクリートやレンガの代わりとして、テラス部分に三和土を利用することもできます。土のままの状態よりも歩きやすく、コンクリートよりも自然となじんだ雰囲気を演出できます。
その他にも、玄関へのアプローチや犬走にも利用できます。
犬走とは、建物の周囲に設ける通路のことです。雨の跳ね上がりによる汚れや湿気から家を守るために設けるもので、幅に規定はありませんが50~100㎝程度とするのが一般的です。
三和土を使うメリット
三和土は日本古来の伝統的な工法です。コンクリートやモルタルなどと比べて、どのようなメリットがあるのでしょうか。この章では、おもな5つのメリットを紹介します。
ぬくもりや自然な風合い
三和土は、天然素材特有の自然な風合いを楽しむことができます。
工場製品のような均一性は望めませんが、その分人の手によって作られたぬくもりを感じられるでしょう。
温かみのある優しい雰囲気を住宅に取り入れたい方に向いています。
足への負担を軽減
三和土はコンクリートほど硬くありません。長時間歩いたり立っていたりしても、足や腰に負担が少なく、疲れにくいのが特徴です。
また三和土はタイルなどに比べて、水で濡れた状態でも滑りにくいので、安心して歩くことができます。
化学成分不使用
三和土は赤土や砂利、消石灰、にがりなど自然素材を混ぜたものです。
つまり化学成分が含まれていないことがメリットといえます。
また昔ながらの工法や素材を利用することで、結果的に自然への負担を減らすことにも貢献できます。
断熱性がある
土には断熱性があり、三和土でもその性質を期待できます。タイルや石張りの玄関は気温が低いときや冬は冷たくなりますが、三和土から底冷えがするような寒さを感じることはないでしょう。
また暑い夏には涼しく感じることができます。
気温の影響を大きく受けないことがメリットです。
自然だけでなく、人に体にも優しい素材といえます。
湿度調整効果がある
土には湿気を調整する効果があるため、三和土は湿気が多い時期は吸収し、乾燥する季節は湿度を適度に放出します。
コンクリートやタイルなどの床とは異なり、木材と同じような効果を感じられるでしょう。
三和土を使うデメリット
三和土を使うことで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。この章ではおもなデメリットを3つ紹介します。
コンクリートより強度や耐久性が劣る
三和土は配合や施工を工夫することで、ある程度硬く仕上げることは可能です。しかし強い力を加えると欠けたり、崩れたりすることがあり、コンクリートなどと比べると強度や耐久性は劣ります。
三和土は、強度を重視したい箇所や日常的に強い力が加わるような箇所には向かないでしょう。
コストや時間がかかりやすい
コンクリートやモルタルなどに比べて、工期が長くなります。材料をよく叩いて固める必要があり、乾燥までに通常でも2週間程度かかります。
季節や天候によっては1ヶ月以上かかる可能性もあり、新築時に採用する場合は全体のスケジュールに影響が出ることもあるでしょう。
工期が長くなる分、人件費などコストがかかり、結果的にモルタルなどで仕上げるのに比べて高額になることがあります。
また三和土は誰でも施工できる工法ではなく、手がける職人が減少していることもコスト高に影響しています。
経年劣化しやすい
三和土はコンクリートやモルタルなどに比べて経年により劣化しやすく、歩行の程度によっては表面がでこぼこしたり、ひび割れたりします。
雨風が当たるような屋外にも施工することはできますが、劣化に応じて手入れが必要になることを想定しておきましょう。
この記事のポイント
- 三和土を使うメリットは?
三和土には、天然素材特有の自然な風合いを楽しむことができる、長時間歩いたり立っていたりしても足や腰への負担が少なく疲れにくい、化学成分が含まれていないなどのメリットがあります。
また、タイルや石張りの玄関は気温が低いときや冬は冷たくなりますが、三和土から底冷えがするような寒さを感じることはなく、気温の影響を大きく受けることがありません。さらに、三和土は湿気が多い時期は吸収し、乾燥する季節は湿度を適度に放出するので、湿度調整効果が期待できます。
詳しくは「三和土を使うメリット」をご覧ください。
- 三和土を使うデメリットは?
コンクリートより強度や耐久性が劣る、コンクリートやモルタルなどに比べて工期が長くなるので季節や天候によっては1ヶ月以上かかる可能性もあるといったデメリットがあります。
また、コンクリートやモルタルなどに比べて経年劣化しやすいので、手入れが必要です。
詳しくは「三和土を使うデメリット」をご覧ください。
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