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駐車場の寸法基準とは?車種や住宅に合わせたポイントを紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 駐車場の寸法は、普通乗用車なら「6.0m×2.5m」を目安にするとゆったりと駐車できることが多い
  • 駐車場の寸法では車路のスペースや縁石なども考慮する必要がある

戸建てにお住まいの方は、リフォームで新たに駐車場を設けたいと考えている人もいらっしゃると思います。
注文住宅を検討している方も、駐車場をぜひ設置したいと希望している人も多いのではないでしょうか。

駐車場を計画するにあたって知っておきたいことは、適切な寸法です。
駐車場は車種の大きさよりも余裕を持った広さで計画することが、停めやすい駐車場を作るコツとなります。
この記事では、「駐車場の寸法」について解説します。

国土交通省の指針による駐車場の寸法基準

国土交通省では、都道府県向けに駐車場の「駐車場設計・施工指針について」という指針を通達しています。

この指針は、地方公共団体が駐車場を整備する際に目安とするために定められたものです。
法律ではなく、公共の駐車場における寸法の一つの目安となります。

指針で示されている駐車場の寸法の目安は、下表の通りです。

(単位:m)

設計対象車両長さ  幅員  
軽自動車3.62.0
小型乗用車5.02.3
普通乗用車6.02.5
小型貨物車7.73.0
大型貨物車およびバス13.03.3

出典:駐車場設計・施工指針について|国土交通省

公共の駐車場の目安ですので、寸法は比較的ゆったりめの印象があります。

例えば、普通乗用車は「6.0m×2.5m」となっています。
民間のコインパーキング等は「5.0m×2.5m」で設計されていることも多いため、若干ゆとりを持った指針であるといえます。

一般的な車種の寸法

車種の一般的な寸法を示すと下表の通りです(下表の具体例は範囲内に含まれる目安の車種であり、実際のサイズとは異なります。正確なサイズは車検証等でご確認願います)。

車種長さ具体例
軽自動車3.41.48ワゴンR、ムーヴ、ハスラー、タント
コンパクトカー
5ナンバー
4.11.7アクア、ルーミー、フィット、ノート
中型車
5ナンバー
4.71.7カローラ、プリウス、インプレッサ、フリード
SUV・2BOX
3ナンバー
5.0~5.211.85~1.875クラウン、ハリアー、XV、アコードHV
ワンボックス
ハイルーフ
4.81.7ステップワゴン、セレナ、エルグランド、アルファード

軽自動車や5ナンバー、3ナンバーの寸法企画の定義を示すと、下表のようになります。

ナンバー長さ
軽自動車3.4m以下1.48m以下
5ナンバー4.7m以下1.7m以下
3ナンバー4.7m超1.7m超

5ナンバーの車は、「4.7m×1.7m」であるため、民間のコインパーキング等の「5.0m×2.5m」の寸法でも収まる範囲です。

一方で、3ナンバーだと長さが5mを超えるため、「5.0m×2.5m」では車の前方部分がはみ出してしまいます。

公共の駐車場の目安は、普通乗用車が「6.0m×2.5m」でしたので、3ナンバーは公共の駐車場程度の広さがあればゆったりと停めることができます。

3ナンバー用の駐車場の場合、一般的には「5.7m×3.0m」の規模を目安とすることが多いようです。

駐車場タイプ別による寸法基準

駐車場タイプ別による寸法基準について解説します。

縦列駐車

縦列駐車とは、一列に並んだ車の間に停める駐車方式のことを指します。
縦列駐車は、基本的にはバックで駐車することになります。

縦列駐車の1台あたりの駐車スペースは、車の長さの1.5倍程度を確保することが目安です。

例えば、5ナンバーで長さが4.7mある車種であれば、長さは7.05m必要となります。

幅に関しては、車の幅プラス1mが目安となります。
幅がプラス1m要する理由は、ドアの開閉スペースを確保する必要があるからです。

5ナンバーで長さと幅が「4.7m×1.7m」の車種であれば、縦列駐車は1台当たり「7.05m×2.7m」程度は必要であるということです。

複数台の縦列駐車を行う場合は、台数分の広さが必要となります。

並列駐車

並列駐車とは、道路に対して平行に並んで停める駐車方式のことです。
家の奥行が十分になく、間口が広い場合には並列駐車が選択されることもあります。

並列駐車の駐車スペースは、車の長さの2.0倍程度を確保することが目安です。
幅に関しては、車の幅プラス1mが目安となります。

5ナンバーで長さと幅が「4.7m×1.7m」の車種であれば、縦列駐車は1台当たり「9.4m×2.7m」程度は必要であるということです。

なお、前面道路の幅員が狭い場合には、長さを広めに確保すると停めやすくなります。

直角駐車

直角駐車とは、スペースに対して直角に駐車することです。
バックで方向転換して駐車する方式であり、コインパーキングや商業施設の駐車場等で一般的に見られる駐車方式となります。

直角駐車場と車種の寸法との目安を示すと、下表の通りです。

車種駐車場の長さ駐車場の幅車種の寸法
軽自動車4.32.43.4×1.48
小型車5.02.74.1×1.7
中型車5.72.74.7×1.7
大型車5.73.05.0×1.85
ワンボックス車5.72.74.8×1.7

駐車場の幅は、ドアの開閉を考慮し、プラス1m程度確保することが目安となります。
3ナンバーのような大型車は、バックの切り返しやすさを考慮し、プラス1m強の幅があると望ましいです。

また、直角駐車は前面道路の幅員によっても停めやすさに影響を及ぼします。
上表に示す駐車場の幅は、前面道路の幅員が5m以上あることを想定しています。

仮に前面道路の幅員が4mの場合には、中型車でも駐車場の幅を3.3m程度確保した方が望ましいといえます。

平面駐車場

平面駐車場とは、平面に確保した駐車場のことです。
月極駐車場やコインパーキング、商業施設の駐車場等に多く採用されています。
マンションでも敷地の広い物件では、平置きの平面駐車場がある物件も存在します。

平面駐車場は特に駐車方式に決まりはありませんが、効率的に台数を確保できる直角駐車の方式が採用されているケースが多いです。

特にコインパーキングや月極駐車場は収益性の観点から台数を確保することが優先されており、「5.0m×2.5m」程度の狭めのサイズのものをよく見かけます。

平面駐車場の中には、自走式の立体駐車場も存在します。
自走式の立体駐車場もサイズは青空駐車場とほぼ同じです。

ただし、立体駐車所の場合、柱が存在する場所もあることから、青空駐車場と同じスペースであっても若干停めにくさを感じることもあります。

機械式駐車場

機械式駐車場は、都市部の商業施設やマンションに見られる駐車場のことです。

商業施設には、タワー式駐車場がよく見られます。
タワー式駐車場とは、エレベーター等で車を観覧車のように巡回させるタイプの駐車場のことです。

マンションには、パズル式(昇降横行式)やピット式(昇降式)と呼ばれる駐車場が見られます。
パズル式駐車場とは、駐車スペースが上下左右に動くタイプの駐車場のことです。
ピット式とは、駐車スペース上下に動くタイプの駐車場を指します。

いずれの機械式駐車場も車を停める駐車スペースは、パレットと呼ばれます。
機械式駐車場のパレットは、標準的な長さと幅は「5m×1.9m」程度のものが多いです。
規格によってはもう少し大きいものもあります。

パレットには高さにも制限がある点が注意点です。
高さは1.9m以下のものが多くなっています。
ハイルーフ車は高さが2mの車両もありますので、パレットの高さを十分に確認することが適切です。

さまざまな車室を考慮した駐車場の寸法基準

駐車場は、空間で囲まれた車室とすることもあります。
この章では、車室の寸法について解説します。

直角駐車の車室の寸法

国土交通省の指針では、車室の天井の高さの目安も示されています。
車両別に見る天井の高さの目安は、下表の通りです。

(単位:m)

設計対象車両天井の高さ  
軽自動車2.1
小型乗用車2.1
普通乗用車2.2
小型貨物車3.5
大型貨物車およびバス3.9

出典:駐車場設計・施工指針について|国土交通省

指針では普通乗用車の目安は2.2mです。

車両の高さは、背の高い軽自動車や小型車で1.65m、一般的なセダンで1.5m、ハイルーフ車で2.0mとなっていますので、2.2mあれば十分な高さであるといえます。

車椅子利用時の車室の寸法

車椅子の利用を前提とした車室は、自動車から降りた利用者が車椅子で移動することを考慮し、車椅子で迂回できるスペースを確保する必要があります。

国土交通省の指針では、駐車スペースの幅は3.5m以上設けることを推奨しています。

普通乗用車で推奨されている駐車スペースの幅は2.5mですので、通常よりも1m以上幅を広くすることが必要です。

また、車室を設ける場合は、出入口の幅員も1.75m以上に確保することが推奨されています。

出入口まで高低差がある場合には、スロープを設け、勾配も12分の1以下とするといった細かい配慮も必要です。

車室の扉も、自動ドアか車椅子利用者が円滑に開閉しやすい構造のものが求められています。

駐車場の寸法のほかに注意すべきポイント

駐車場の寸法以外で注意すべきポイントについて解説します。

車路のスペース

駐車場で意識したい点は、車路や道路といった切り返しを行うスペースです。
直角駐車では、車を切り返してバックで入庫することが一般的ですので、前面の車路が広いほど停めやすくなります。

車路の幅が狭い場合、駐車場の幅を広く設計することで停めにくさを解消できます。

標準的な駐車場の幅は5m程度の車路幅を前提としていますので、車路が5mよりも狭い場合には、標準的な幅よりも広くすることが望ましいといえます。

縁石

駐車場は、幅が広くても出入口の端部に縁石が出っ張っていると停めにくくなります。
縁石はドライバーから見えにくい高さにあるため、慣れないと縁石に車体をこすってしまうことも多いです。
出入り口付近には、縁石が生じない構造が望ましいといえます。

また、駐車場のコンクリートのたたきの部分を周辺より一段低く仕上げる場合も、外周部に車体をこすりやすい構造となります。

周辺が一段高くなっている場合には、出入り口部分を隅切り状にして入出庫しやすい構造にすることが適切です。

カーポートを設置する場合、柱の存在も車を停めにくくする原因となります。

カーポートの中には、柱を片持ち構造にして、柱を少なくしている構造のものもあります。

片持ちとは、片側の柱だけで支えている構造のことです。

カーポートは片持ち構造を選ぶだけでも停めやすくなりますので、選ぶ際はさまざまなタイプのものを比較することをおすすめします。

斜面

広い土地は、敷地内に斜面があることも多いです。
また、分譲地であっても山の斜面上にできた分譲地は前面道路が斜面になっていることもあります。

車庫の前面の車路が斜面になっていると、車を停めにくいです。

駐車場部分は平たんですので、斜面と駐車場との間にスロープ状のアプローチが必要となることもあります。
斜面がある場合には、どこに駐車場を設けることが適切か、位置を含めて検討することが適切です。

この記事のポイント

縦列駐車の場合、駐車場の寸法の目安はどのくらい?

縦列駐車の1台あたりの駐車スペースは、車の長さの1.5倍程度を確保することが目安です。

例えば、5ナンバーで長さが4.7mある車種であれば、長さは7.05m必要となります。

幅に関しては、車の幅プラス1mが目安となります。

詳しくは「駐車場タイプ別による寸法基準」をご覧ください。

車椅子の利用を前提とした車室の寸法の注意点は?

車椅子の利用を前提とした車室は、自動車から降りた利用者が車椅子で移動することを考慮し、車椅子で迂回できるスペースを確保する必要があります。

そのほかにもさまざまな注意点があるので事前に確認しましょう。

詳しくは「さまざまな車室を考慮した駐車場の寸法基準」をご覧ください。

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