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SOHOと賃貸オフィス物件の違いとは?メリットとデメリットも紹介

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • SOHOとは居住空間と職場空間を組み合わせた物件
  • SOHOは居住用物件として分類されるため、不特定多数の人が出入りするような業種は基本的に入居できない

SOHO(ソーホー)には「自宅兼事務所」や「小さなオフィス」という意味で使われるほか、「自宅を職場にし、パソコンやインターネットを使って仕事をするビジネススタイル」をさすこともあります。

フリーランスや個人事業主の増加とともに、SOHOというスタイルが注目され、実際にSOHO可の賃貸物件を目にすることが増えました。

しかしSOHOは一般的な貸事務所と条件や特徴が異なるため、借りる際はよく確認する必要があります。

この記事では、SOHOとはどういう物件なのか解説し、一般的な事務所との違いやメリット・デメリット、選び方を紹介します。

SOHOとは

SOHOとは「Small Office Home Office」の略です。実際のところ明確な定義はなく、住居兼事務所そのものや、自宅や小さなオフィスにてパソコン1つで仕事をするようなビジネススタイルをSOHOと呼ぶこともあります。

SOHO可の物件について詳しく解説します。

SOHOの意味

SOHOは住宅兼事務所として利用できる物件ですが、分類としては居住用物件です。トイレやキッチンはもちろん浴室もあり、基本的には住むための設備がすべて備わっています。

SOHOは事務所としても利用できますが、業種や事業形態に制限があることが多く、基本的に不特定多数の人が出入りするような業種は入居できません。また看板や表札の掲示や法人登記ができない物件が多いため、入居を希望する場合は条件をよく確認する必要があります。

自宅と職場の組み合わせ

SOHOは、居住空間と職場空間を組み合わせた物件です。通勤時間がかからず、仕事の合間に家事をすることもできます。また、夜に仕事をして疲れたら、帰宅する手間なくそのまま就寝することも可能です。

オフィスに通勤する働き方に比べて制約が少なく、時間を有効に使えるのが魅力です。

賃貸物件の中には、最初からSOHOとして貸し出すことを想定して設計したケースもあれば、途中からSOHO可物件に変更したケースもあります。

したがって住居部分と職場部分が区分しやすい間取りもあれば、玄関から住居スペースを通らないと職場スペースに行けないといったレイアウトもあります。

SOHOに入居する際はライフスタイルや来客の有無など、実際の生活やビジネススタイルをイメージして選ぶようにしましょう。

SOHOと賃貸オフィス物件の違い

SOHOと一般的な賃貸オフィスには、どのような違いがあるのでしょうか。代表的な違いは以下の通りです。

 SOHO賃貸オフィス(貸事務所)
分類居住用事業用
人の出入り不特定多数の出入りは不可制限なし(時間帯による制限があることもある)
看板や表札の設置不可可能
法人登記できないことが多いできる
家賃に対する消費税非課税課税
住居としての利用可能不可
初期費用比較的安い比較的高額になる

SOHOと一般的な賃貸オフィスは一見似ているようですが、実は特徴が大きく異なります。それぞれの特徴やメリット・デメリットを考慮して、自分に合ったタイプを選ぶようにしましょう。

費用と制約

SOHOは居住用物件として分類されるため、不特定多数の人が出入りするような業種は基本的に入居できません。また看板や表札の掲示や法人登記ができないなどの制約があります。

たとえば接客・サービス業といった不特定多数の顧客が日常的に来店するような業種や、活動する時間帯が不規則な職種には向いていません。

費用面でいえば、賃貸オフィス物件よりもSOHOの方が比較的賃料や初期費用が安く、借りやすいのが魅力です。

ちなみにSOHOは居住用物件であるため、賃料に消費税はかかりません。

出典:No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など|国税庁

仕事とプライベートのバランス

SOHOは自宅と職場が同じ空間にあるため、通勤時間がかかりません。また仕事の合間に家事をしたり、子どもの面倒をみたりすることもでき、時間を有効に使えます。

家庭と仕事を両立しやすい点はメリットともいえますが、時間に制約がない分、夜遅くまで仕事ができてしまったり、逆に家事に追われて仕事が進まなかったりすることもあります。

できるだけ仕事とプライベートの時間の区切りをつけるようにし、ワークバランスに注意する必要があるでしょう。

SOHOのメリット

SOHOの代表的なメリットを2つ紹介します。

プライベートとビジネスの統合

SOHOとは、いわばプライベートとビジネスの統合です。自宅にいながらにして仕事ができるスタイルは、時間を有効に使えるため家庭と仕事を両立しやすく、たとえば子育てや介護を続けやすいメリットがあります。

初期費用の安さ

一般的な賃貸オフィス物件は賃料が高く、初期費用として家賃6~12カ月分を支払わなければならない例もあります。

SOHOであれば比較的家賃が安く、また初期費用も家賃2~3カ月程度が相場です。賃貸オフィス物件に比べて、初期費用を安く抑えることができます。

加えて、自宅と事務所を別々に借りる必要がないため、無駄なコストや交通費もかかりません。SOHOは、事業資金をなるべく温存させたい方に向いています。

SOHOのデメリット

SOHOにはメリットだけでなく、デメリットもあります。ここでは代表的なデメリットを4つ紹介しますので、実際に借りる際はぜひ参考にしてください。

表札や看板の設置ができない

SOHOは、居住用物件に分類されます。住宅としての環境を維持する必要があるため、基本的には看板や表札を出すことができません。

事務所の存在について近隣に知らせたい場合は、デメリットになるでしょう。

ただし、郵便物を受け取るために、ポストに小さく社名を表示することは可能なこともあります。事前に不動産会社に相談してみましょう。

人の出入りの制限

SOHOは、不特定多数の人の出入りするような業態や業種は入居できないことが多く、物件によっては仕事をする時間帯にも配慮する必要があります。

具体的には、パソコンとインターネットを使って仕事するようなライターやプログラマー、デザイナーなどの業種はSOHOに向いています。しかし、不特定多数の顧客が来店するような物品販売やエステサロンなどには向かず、基本的には入居が認められないでしょう。

法人登記が難しい場合がある

SOHOは法人登記できない物件が多いため、不動産登記が必要な会社には向きません。

法人登記が不要な方やフリーランス、個人事業主などに向いています。

事業系のゴミとなり別途費用がかかる

事業系のゴミは、基本的に回収業者に回収を依頼しなければならず、回収費用がかかります。SOHOによっては一括してゴミの回収を依頼していることもあります。ゴミ出しのルールについては、事前に確認しておきましょう。

職業別のSOHOと賃貸オフィス物件の選び方

SOHOには制約があるため、職業によって向き不向きがあります。最後に、SOHOと賃貸オフィスの職業別の選び方を紹介します。

リモートワークやフリーランス向け

対面での打ち合わせがほとんどなく、メールやオンラインツールを使った打ち合わせが多い職業・職種はSOHOが向いています。また法人登記が不要なフリーランスや個人事業主は、SOHOで困ることもないでしょう。表札に社名を表記したい場合は、不動産会社に相談してください。

基本的に来客がない場合は、仕事に使える独立した部屋があれば、間取りやレイアウトを心配することはありません。

自宅兼オフィスで打ち合わせをする可能性がある場合は、玄関から居住スペースを通らないでオフィスに入室できるような動線の物件がよいでしょう。

また、できればトイレや洗面所も、玄関からオフィスまでの動線上にレイアウトされた間取りだと使い勝手が良くなります。間取りは、寝室と仕事用にそれぞれ独立した部屋が使える2DK以上がおすすめです。

ビジネスオーナー向け

不動産登記が必要で、看板を掲示したいビジネスオーナーには、賃貸オフィス物件(貸事務所など)がおすすめです。SOHOに比べて家賃や保証金が高い傾向がありますが、利用上の制約が少なく、ビジネス利用しやすいのが特徴です。

ただし事務所としての使用が想定されていても、使用できる時間帯や曜日に制限がある物件もあります。

なかには夜中や日曜日に利用できない物件もあるため、利用条件についてしっかり確認しておきましょう。

賃貸オフィス物件(貸事務所)には、専有部分にトイレやミニキッチンがある物件と、共用スペースのトイレやキッチンを利用する物件もあります。専有部分にトイレなどが備わっている方が使いやすいものの、その分賃料が高くなります。優先順位を考えて選ぶとよいでしょう。

事業用の物件はワンフロア―(1室)の物件が多く、仕切って使いたい場合は入居者が造作することになります。

造作工事をする場合は貸主の許可を得て行い、退去の際に原状回復する必要があります。

また看板を出したい場合は、どこに出すことができるのかに加えて、看板使用料の有無や金額も確認しておきましょう。

この記事のポイント

SOHOとはどんな物件?

SOHOは、居住空間と職場空間を組み合わせた物件です。通勤時間がかからず、仕事の合間に家事をすることもできます。また、夜に仕事をして疲れたら、帰宅する手間なくそのまま就寝することも可能です。
オフィスに通勤する働き方に比べて制約が少なく、時間を有効に使えるのが魅力です。

詳しくは「SOHOとは」をご覧ください。

SOHOのメリットは?

一般的な賃貸オフィス物件は賃料が高く、初期費用として家賃6~12カ月分を支払わなければならない例もあります。
SOHOであれば比較的家賃が安く、また初期費用も家賃2~3カ月程度が相場です。賃貸オフィス物件に比べて、初期費用を安く抑えることができます。
加えて、自宅と事務所を別々に借りる必要がないため、無駄なコストや交通費もかかりません。

詳しくは「SOHOのメリット」をご覧ください。

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