ざっくり要約!
- 家を建て替える場合は、解体費用と仮住まいの家賃、余分にかかる引っ越し費用なども考慮して余裕を持った資金計画を立てる必要がある
- 家を建て替える場合は、解体費用と仮住まいの家賃、余分にかかる引っ越し費用なども考慮して余裕を持った資金計画を立てる必要がある
家の建て替えを検討するとき、一番気になるのはコスト面ではないでしょうか。タイミングによっては住宅ローンの返済が終わっていない可能性もあり、あらたなローンが組めるかどうかで計画も変わってくるでしょう。
この記事では、建て替えのメリット・デメリットや建て替えにかかる費用や補助金や住宅ローンの活用について解説します。
建て替え費用を抑えるコツも紹介しますので、これから建て替えを検討する方はぜひ参考にしてください。
記事サマリー
家の建て替えと新築の違いとは
家の建て替えと新築はどちらも「新しい家を建てる」ことですが、手順やコスト、工事にかかる期間などが異なるため、検討する場合はそれぞれの違いを把握しておく必要があります。
まず、家の建て替えと新築、またリフォームとの違いについて解説します。
家の建て替えと新築の違い
家を建て替える場合は、既存の家を解体してから家を建てる必要があります。解体費用や登記費用(建物の滅失登記費用)が余分にかかり、工期も長くなります。
また建て替え工事中は仮住まいしなければならず、家賃や引っ越し費用(2回分)もかかります。
解体費用と仮住まいの家賃、余分にかかる引っ越し費用を考慮して、資金計画を立てる必要があるでしょう。
新築する場合は更地であれば解体費用はかかりませんが、古家付きの土地を購入して家を建てる場合は解体費がかかります。したがって古家付きの土地に家を建てる場合も、建て替えと表現することもあります。
建て替えは住環境が変わることはありませんが、土地を購入して家を新築した場合、別の土地に身を置くことになります。住環境を変えたいか、それとも変えたくないかという視点でもぜひ検討してみてください。
家の建て替えとリフォームの違い
家の築年数や予算によっては、建て替えとリフォームのどちらを選択するか迷うこともあるでしょう。
建て替えは自由度が高いため、家の大きさやレイアウトを大幅に変えたいときや、築年数が古く耐震強度が心配なときにおすすめです。
たとえばリフォームで全面的に耐震補強すると多額の費用がかかります。建て替えと変わらないコストがかかることもあるので、よく検討したうえで選択しましょう。
一方、リフォームは住みながら工事できるため、仮住まいをする必要がなく、コストを抑えられるのが魅力です。また新築すると不動産取得税がかかり、建物の評価が高くなる分固定資産税なども高くなりますが、リフォームはそれに該当しません。
それぞれメリットとデメリットがあるため、家の老朽度合いや希望に応じて選ぶとよいでしょう。
家の建て替え時の土地活用ポイント
家を建て替えるのであれば、土地の活用も検討しましょう。
たとえば土地が広い場合は、一部を売却することで建て替え費用を捻出できます。
また、ある程度高い建物が建てられる地域であれば、一部を賃貸物件にして貸し出すことで家賃収入を得ることができます。
家の建て替えのメリット
家を建て替える場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。この章では、代表的なメリットを3つ紹介します。
最新の家の設備を利用できる
家を建て替えることで、最新の設備を採用することができます。リフォームでも最新の設備に入れ替えることは可能ですが、構造や広さによっては制限が生じることがあります。
たとえばキッチンや浴室、トイレなど水回りに最新設備を採用することで、日々の生活を快適に過ごすことができるでしょう。
また省エネルギーに配慮した設備を採用することで、地球環境に配慮した生活ができます。
希望に近いプランを実現できる
部分的な改修では難しいことも、建て替えすることで希望に近いプランを実現できます。たとえば「キッチンをアイランドキッチンにして家族で料理したい」「入浴後に外気浴できるスペースが欲しい」というプランも、建て替えであれば実現が可能でしょう。
希望を実現するためにいちからプランを作成できるのが、建て替えの魅力であり醍醐味といえます。
新耐震基準に適合した家に住める
家を建て替えることで、新耐震基準の家に住むことができます。
1981年6月1日以降の建物は、現行の耐震基準で建てられていますが、それ以前の建物は旧耐震基準であるため、耐震強度が心配という方も多いでしょう。
既存の家に対して耐震補強工事をすることはできますが、全面的に補強する場合は高額な費用がかかる可能性があります。
耐震性が心配な方には、建て替えがおすすめです。
家の建て替えのデメリット
家の建て替えは、メリットがある一方でデメリットもあります。この章では、代表的なデメリットを3つ紹介します。
建て替え費用が高額になりやすい
家の建て替えは建築費以外に解体費用もかかり、リフォームに比べてかなり費用が高額になることがデメリットです。
国土交通省の「令和4年度住宅市場動向調査報告書」によると、建て替えした世帯の購入資金の平均額は4,487万円ですが、リフォームした世帯の平均額は206万円です。
ちなみに令和3年度の住宅市場動向調査報告書では、建て替え世帯の購入資金は3,299万円です。新築やリフォームした世帯に比べると、資金の上昇率が高い結果となっています。今後、建築資材や人件費の高騰によっては、さらに高額になる可能性もあります。
出典:令和4年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省
令和3年度 住宅市場動向調査報告書|国土交通省
リフォームの内容と価格について|国土交通省
工事の騒音による近所迷惑
建物の解体や建築工事をする際に騒音が発生し、近所迷惑になる可能性があります。リフォーム工事をする場合に音が出ない訳ではありませんが、家の建て替えは解体工事と建築工事を行うため期間が長くなります。
工事の騒音から近隣トラブルになることもあるので、事前に挨拶をするなど周辺住民への配慮が必要です。
仮住まいの家賃と新居の引っ越し費用がかかる
建て替えの場合、仮住まいの家賃に加えて、引っ越し費用が2回分かかるため、それを資金計画に含めておく必要があります。
仮住まいは短くても3~4カ月、長ければ1年以上になります。賃料によっては、かなりの負担となるでしょう。
また近隣で希望する賃貸物件を見つられなければ、広範囲で探さなければならず、通勤や通学が不便になる可能性があります。そうでなくとも、想定した家賃の仮住まいが見つからず、予定よりも高い賃料を払うことになるかもしれません。
貸主は長期的な入居を希望するため、短期の貸し出しを敬遠するケースがほとんどです。短期間でも借りられる物件を探す場合、時間がかかることもあるので、なるべく早く仮住まいを探しておきましょう。
家の建て替えに必要な費用の内訳
家の建て替えにはさまざまな費用がかかります。ここでは、解体から新しい家への入居までにかかる費用を流れにそって紹介します。
解体から再建までの流れと費用
家の解体から入居までの流れは以下の通りです。
- 解体工事
- 建物の滅失登記・火災保険解約
- 建設工事請負契約の締結
- 地盤調査の実施
- 建設工事
- 建物保存登記
- 新居に入居・火災保険加入
解体から入居までにかかる費用を、流れに沿ってそれぞれ紹介します。
解体工事代
まず既存の家を解体します。
構造によって解体工事にかかる費用は異なりますが、木造の場合は3~5万円/坪、鉄骨造は4~6万円/坪、鉄筋コンクリート造は6~8万円/坪が一般的な相場です。
たとえば30坪の木造住宅の場合は、90~150万円程度の解体費用がかかります。なおブロック塀やカーポートなどある場合は、追加で解体費用がかかります。
滅失登記費用
家の解体後に、土地家屋調査士に依頼して建物の滅失登記をします。報酬を含め4~5万円が相場です。
家の所有者が自ら登記することもできますが、解体後1カ月以内で登記しなければならないので、期日に注意しましょう。なお自分で登記する場合の費用は数千円程度です。
印紙税
建設工事請負契約書は課税文書のため、請負契約を締結する際に印紙税がかかります。契約書に印紙を貼って納めます。
なお、1,000万円超~5,000万円以下の建物の請負契約書にかかる印紙税は、本来2万円ですが、2024年3月31日までに作成する契約書については軽減措置により1万円になります。
地盤調査費用
建物を建てる際は、地盤調査が必要になります。
建築するハウスメーカーや施工会社によって調査方法や費用は異なりますが、スウェーデン式サウンディング試験だと5~10万円、ボーリング調査は15~30万円が一般的な相場です。
もし調査により土地の強度が不十分だと判断された場合は、地盤改良工事が必要になります。
建築費用(設計費用)
建築費用は依頼先によって異なり、別途設計費用がかかる場合もあります。
建築費用の一般的な相場は70~90万円/坪ですが、グレードや採用する設備によって高額になることもあります。
なお建築費以外に、外構工事費や付帯工事費、諸経費などがかかります。
所有権保存登記
新しい家の登記をするために、所有権保存登記をします。
登記にかかる登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」ですが、軽減税率が適用になる場合は0.15%になります。
なお司法書士の報酬は3〜5万円が相場です。
不動産取得税
不動産取得税とは、不動産を取得した際に1度課税される税金です。
「取得した不動産の価格×税率」で計算しますが、2024年3月31日までの税率は3%(本来は4%)です。
なお、新築には軽減制度があり、一定の条件を満たす場合は不動産の価格から1200万円控除されます。
火災保険料(地震保険料)
家の構造や構造などによって火災保険料は異なります。住宅ローンを組む場合は、必ず一定額以上の火災保険を組まなければなりません。
ちなみに木造の場合は15~30万円が相場です。地震保険を付けた場合は、別途地震保険料がかかります。なお、解体した家の火災保険の解約を忘れないようにしましょう。
家の建て替え時の住宅ローンの活用方法
国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査によれば、55.1%の世帯が住宅ローンを利用しています。
家の建て替えをするタイミングですでに住宅ローンを完済している場合は、建て替えの資金として住宅ローンを利用することができます。
もし住宅ローンが残っている場合は、住み替えローンなどを利用してローンを1本化するという方法もあります。
金融機関によってローンの名称や条件が異なりますので、事前に相談してみてください。
・「中古マンションの建て替え費用を軽減できる制度」に関する記事はこちら
中古マンションの建て替え費用を軽減できる制度とは?建て替えまでの流れも紹介
家の建て替え費用を抑えるためのコツと注意点
最後に、家の建て替え費用を抑えるためのコツと、注意点を紹介します。補助金を上手に利用して、建て替え費用を抑えましょう。
施工業者選びと見積もりのポイント
ハウスメーカーや施工会社を選ぶ際は、それぞれの強みや特徴をまず確認します。
木の質感を生かした木造の住宅メーカーもあれば、コンクリートの外壁を採用している住宅メーカーもあります。耐震や断熱、省エネなど、求める性能に応じてハウスメーカーや施工会社を選びましょう。
依頼先によって建築コストも異なります。
かならず複数社に見積もりを依頼し、比較するようにしましょう。
また見積書はそれぞれ計上している項目が異なることがあるので、どこまでの費用が含まれているのか確認し、なるべく同じ条件にして比較するとよいでしょう。
補助金を活用
自治体によっては、老朽化した建築物の解体に対して助成制度を用意しているケースがあります。それぞれ助成金額や条件が異なりますので、お住まいの自治体のホームページや窓口で確認してみましょう。
また省エネ性能などの条件を満たした新築住宅の取得に対しては、補助金が使えることがあります。
たとえば「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に、一定の条件を満たす長期優良住宅に対し100万円/戸、ZEH住宅には80万円/戸を補助する事業です。
また、「断熱性能を高めてエネルギー消費を削減し、再生可能エネルギーを生み出すことで、家庭内のエネルギー収支をゼロにする住まい」をZEHといいますが、2021年(令和3年度)から2025年(令和7年度)にかけてZEH支援事業が行われています。
条件によって補助金額が異なりますが、ZEHに対しては55万円/戸、ZEH+に対しては100万円/戸が補助されます。
いずれの支援事業も、タイミングによっては予算額に到達し、受付を終了していることがあります。申請を考えている場合は、最新情報を公式ホームページなどで確認するようにしてください。
出典:子育てエコホーム支援事業|国土交通省
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(経済産業省・国土交通省連携事業)|環境省
この記事のポイント
- 家の建て替えとリフォームの違いは?
建て替えは自由度が高いため、家の大きさやレイアウトを大幅に変えたいときや、築年数が古く耐震強度が心配なときにおすすめです。
一方、リフォームは住みながら工事できるため、仮住まいをする必要がなく、コストを抑えられるのが魅力です。
詳しくは「家の建て替えと新築の違いとは」をご覧ください。
- 家の建て替えで住宅ローンは使える?
すでに住宅ローンを完済している場合は、建て替えの資金として住宅ローンを利用することができます。
もし住宅ローンが残っている場合は、住み替えローンなどを利用してローンを1本化するという方法もあります。
金融機関によってローンの名称や条件が異なりますので、事前に相談してみてください。詳しくは「家の建て替えに必要な費用の内訳」をご覧ください。
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