マンション価格推移
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【2024年版】新築・中古マンション価格の推移と地域別データを紹介

執筆者プロフィール

竹内 英二
不動産鑑定士

不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)、住宅ローンアドバイザー、中小企業診断士の資格を保有。

ざっくり要約!

  • 近年は日本国内でもインフレが進行しており、マンション価格が上がっている
  • ここ10年のマンション価格の上昇は2013年頃から行われた日銀の異次元金融緩和政策が原因

マンションの価格は、10年以上も上昇傾向が続いています。
近年は、中古マンションの売却価格が新築マンションの購入当時の価格よりも高くなるケースが増えてきました。
インフレ傾向は一段と強まっており、マンション価格はまだ上昇する見込みがあります。

一方で、日銀は低金利政策を見直し始めており、住宅ローンの固定金利は2022年頃からすでに上昇し始めている状況です。
マンション価格の高騰は、一体いつまで続くのでしょうか。
この記事では「マンション価格の推移」について解説します。

新築マンション価格の推移【首都圏・近畿圏】

新築マンション価格の推移を示します。

首都圏の新築マンション価格の推移

(万円)

平均価格平米単価
2021年6,26093.6
2022年6,28895.1
2023年8,101122.6
出典:首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023 年のまとめ|株式会社不動産経済研究所

近畿圏の新築マンション価格の推移

(万円)

平均価格平米単価
2021年4,56275.1
2022年4,63577.4
2023年4,66679.0
出典:近畿圏 新築分譲マンション市場動向 2023 年のまとめ|株式会社不動産経済研究所

中古マンション価格の推移【首都圏・中部圏・近畿圏】

中古マンション価格の推移を示します。

首都圏の中古マンション価格の推移

首都圏の中古マンション価格の推移は下表のとおりです。

(万円)

平均価格平米単価
2021年3,86959.81
2022年4,27667.24
2023年4,57571.90
出典:首都圏不動産流通市場の動向(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

東京都の中古マンション価格の推移は下表のようになります。

(万円)

平均価格平米単価
2021年4,87980.67
2022年5,33390.17
2023年5,67895.38
出典:首都圏不動産流通市場の動向(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構
   首都圏不動産流通市場の動向(2022年)|公益財団法人東日本不動産流通機構
   首都圏不動産流通市場の動向(2021年)|公益財団法人東日本不動産流通機構

中部圏の中古マンション価格の推移

(万円)

平均価格平米単価
2020年2,00627.13
2021年2,12728.59
2022年2,19329.50
出典:中部圏市場動向|公益社団法人中部圏不動産流通機構

近畿圏の中古マンション価格の推移

(万円)

平均価格平米単価
2020年2,33733.60
2021年2,49136.04
2022年2,65938.83
出典:2022年度年刊市況レポート|公益社団法人中部圏不動産流通機構

マンション価格推移の要因分析

マンションの価格推移の要因について解説します。

インフレの進行

近年は日本国内でもインフレが進行しており、マンション価格を引き上げる主たる要因となっています。

インフレは物価が上がる現象ですが、見方を変えると貨幣価値が下がる現象です。
一般的に価格は需要と供給の関係によって決まり、需要が強まれば価格が上昇していきます。

しかしながら、需要が強まると価格が上がるという関係は、あくまでも貨幣価値が同じであることが前提です。

例えば、近年は電気代や食品、ガソリンの価格等が値上がりしていますが、これらは特に需要が以前よりも強まったから価格が上昇したわけではありません。
需要と供給の関係とは関係なく物価が上昇しており、貨幣価値の下落によるインフレが生じている状況です。

不動産の価格も、貨幣価値の下落を反映した物価の1つになります。
最近では、特に需要が強まっていなくても不動産価格が上昇している現象も見られます。

ここ1~2年は、郊外では新築マンションの価格があまりにも高くなり過ぎたことから、新築マンションが竣工後も売れ残っている物件が目立ち始めました。

従来であれば、強い需要によって価格が上がっていたため、新築マンションはすぐに売り切れていたはずです。

しかしながら、昨今では需要は以前よりも強いとは言い切れず、売れ残るマンションであっても価格が高止まりしている状況となっています。

2024年に入って以降、給料も引き上げる会社が増えてきました。物価が上がり、給料も上がっていくと、いよいよ本格的なインフレ時代の幕開けです。

欧米諸国では、インフレが長期化するものと懸念されています。
世界的にインフレが続けば、日本も引きずられる形で物価が上昇する可能性があり、インフレによって今後も不動産価格が上がっていく可能性があるのです。

低金利の影響

ここ10年のマンション価格の上昇は、2013年頃から行われた日銀の異次元金融緩和政策が原因です。

低金利政策により住宅ローンが組みやすくなり、マンション価格の上昇を引き起こしました。

住宅ローンには「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。
固定金利と変動金利は、日銀の制御方法が異なる点が特徴です。

固定金利は10年国債の利回りに連動する形で決定することから、日銀が間接的に低金利にコントロールしています。

国債は、価格が上がると利回りが下がり、価格が下がると利回りが上がるという特徴があることから、日銀は債券市場で国債を高く購入することで利回りを低く維持しています。
このように債券市場で国債を購入することで金利を抑える方法を「イールドカーブコントロール」と呼びます。

10年国債の利回りは、諸外国の政策金利にも連動することから、諸外国の金利が上昇すると10年国債の利回りも上昇してしまうことが特徴です。

2022年頃から、諸外国ではインフレを抑えるべく、金利を押し上げる政策を進めました。
その結果、10年国債の利回りも上昇する形となったのです。

債券市場で10年国債の利回りが上昇すると、イールドカーブコントロールを継続するために日銀が国債をさらに購入する必要性が出てきます。

そのため、2022年頃から日銀がイールドカーブコントロールを継続することが難しくなり始めました。

そこで、日銀は2022年12月に長期金利の変動許容幅を従来の0.25%程度に抑え込んでいたものを0.5%程度まで許容する修正し、2023年7月にも長期金利の変動許容幅を0.5%から1.0%まで許容することを修正しています。

このように日銀が長期金利の変動許容幅を修正していくたびに国債の利回りは上昇し、連動して固定金利も上昇していきました。
つまり、固定金利に関しては、すでに1年以上前から上昇している状況です。

なお、2024年3月19日の日銀の金融政策決定会合では、イールドカーブコントロールが撤廃されることが決定されました。
ただし、同時に日銀はこれまでとおおむね同程度の金額で長期国債の買い入れを継続し、長期金利が急激に上昇する場合は毎月の予定額にかかわらず、機動的に国債買い入れを増やすといった措置をとるとも述べています。

つまり、イールドカーブコントロール「のようなこと」は、今後も継続されるということです。

一方で、変動金利は日銀が直接コントロールできる金利となります。
2024年3月19日の日銀の金融政策決定会合では、マイナス金利政策の解除が決定されました。
政策金利を上昇させれば、変動金利は上昇する可能性はあります。
ただし、当面、緩和的な金融環境が継続すると言及しており、変動金利も急激に上げるとは考えにくいです。

固定金利は1年以上前から上昇していますが、不動産価格にはほとんど影響していません。

変動金利もわずかな上昇と考えられるため、マンション価格は今後も引き続き上昇するものと予想されます。

円安圧力の継続

円安の状況が続いていることも、マンション価格を引き上げる要因となっています。
まず、近年の円安の原因は、諸外国との金利差が原因です。
通貨は金利の高いもので運用した方が有利なことから、円が売られ諸外国の通貨が買われる状況が続いています。
円が大量に売られれば円の価値が下がるため、円安となっているのです。

諸外国との金利差が生じた理由は、諸外国がインフレ対策で金利を上げたときに、日本が低金利を維持したためです。

円安になると、輸入建築資材が高騰します。
輸入建築資材が高騰すれば、新築マンションの価格が上がります。
新築マンションの価格が上がると新築マンションを買えない人が中古マンション市場に流れ込み、中古マンションの需要が強まって中古マンションの価格が高くなるのです。

また、円安は外国人労働者の確保を難しくしてしまいます。
近年の建築費の高騰は、建設業界における人材不足が主たる原因です。

日本は人材不足を補うために2019年に入管法を改正して外国人労働者を受け入れる準備を進めていきましたが、新型コロナウイルスの影響や円安により効果を発揮できないままでいます。

このまま円安が続けば、建築業界の人材不足を解消することができず、建築費はさらに高騰していくものと予想されます。

マンションの価格推移を考慮した購入戦略

マンションの価格推移を考慮した購入戦略について解説します。

マンションを購入するタイミング

インフレの長期化によりマンション価格は今後もしばらく上昇が続くと考えると、今こそマンションの買いどきです。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、特に新築マンションは買いどきといえます。

近年は、新築マンションを購入し、数年後に売却すると購入時よりも高く売れる現象が生じています。

購入時よりも高く売れるということは、新築マンションの価格は新築時が1番安いということです。

・「家を買うタイミング」に関する記事はこちら
家を買うタイミングはいつがいい?子供の有無や年齢、離婚は影響する?

投資目的でのマンション選びのポイント

不動産の売却益は、数年間保有しないと得ることができない点が特徴です。
数年間保有している間、何らかの事情により不動産価格が急落するリスクは考えられます。

そのため、投資目的でマンションを購入する場合は「値下がりしにくい物件」を購入することが何よりも重要です。

値下がりしにくい物件を買っておけば、数年間の間に経済事情が変化して価格が急落しても、被害を最小限に抑えることができます。

値下がりしにくい物件とは、例えば「都市部に存在し、ターミナル駅から徒歩5分圏内にあり、南向きバルコニーで高層階に位置する物件」です。

一般的に良い物件とされるものが値下がりしにくい物件であるため、投資をするのであれば良い物件にこだわって投資をすべきといえます。

値下がりしにくい物件は、同時に値上がりしやすい物件でもあることから、良い立地に新築マンションが分譲される予定があれば検討してみてもいいかもしれません。

この記事のポイント

マンションの価格はなぜ上がっているの?

近年は日本国内でもインフレが進行しており、マンション価格を引き上げる主たる要因となっています。
インフレは物価が上がる現象ですが、見方を変えると貨幣価値が下がる現象です。
一般的に価格は需要と供給の関係によって決まり、需要が強まれば価格が上昇していきます。

詳しくは「マンション価格推移の要因分析」をご覧ください。

マンションを購入するタイミングはいつがいい?

インフレの長期化によりマンション価格は今後もしばらく上昇が続くと考えると、2024年の今こそマンションの買いどきです。
逆説的に聞こえるかもしれませんが、特に新築マンションは買いどきといえます。

近年は、新築マンションを購入し、数年後に売却すると購入時よりも高く売れる現象が生じています。購入時よりも高く売れるということは、新築マンションの価格は新築時が1番安いということです。

詳しくは「マンションの価格推移を考慮した購入戦略」をご覧ください。

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