家の売却
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家の売却でやってはいけないことは?よくあるトラブルやNG行為を解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 家の売却では不動産会社の選び方や価格設定を慎重に行うことが大切
  • 家の売却では支払いや隠れた瑕疵にまつわるトラブルが起こる可能性があるため、事前の対策が必要

家の売却を検討している方のために、事前に知っておくべきこととして、契約の流れや必要書類、注意点を紹介します。

また家の売却時に発生しやすいトラブルや高く売るコツ、売却益が生じたときの税金対策についても解説しますので、家の売却を予定している方だけでなく、翌年に確定申告を控えている方もぜひ参考にしてください。

家を売却する前に知っておくべき基本

家を売却する前に、不動産を売るときの一般的な流れや、売却前に準備すべき書類を把握しておきましょう。

事前に不動産取引についてある程度把握しておくことで、スムーズに進めることができます。この章では、まず家を売却する前に知っておくべき基本的なことを解説します。

  • 家を売却するときの流れ
  • 売却前に準備すべき書類
  • 契約後の手続きと注意点

家を売却するときの流れ

家を売却するときの一般的な流れを、10のステップで紹介します。

1. 売却に必要な書類を準備する

売買契約を締結する際に、必要になる書類があります。契約時になって慌てることがないように、事前に書類の有無を確認しておきます。

2. 相場価格を把握する

不動産会社へ売却を相談する前に、自分自身で相場価格を確認しておきます。あらかじめ相場を把握しておくことで査定価格が適正であるか判断しやすく、売り出し価格を決めやすくなります。

3. 不動産会社に査定を依頼する

不動産会社へ査定を依頼します。査定にはおもに机上査定(簡易査定)と訪問査定の2種類がありますが、売りに出す場合は訪問査定が必要になります。もし売却をするか否か判断するために、すぐに査定価格を知りたい場合は、机上査定もおすすめです。

4. 査定価格を参考にして売り出し価格を決める

不動産会社から提案された査定価格を参考にし、売り出し価格を決めます。かならずしも査定価格で売り出さなければならないわけではありませんが、高すぎると売却までに時間がかかってしまう可能性があります。担当者と相談し、適正価格で売り出しましょう。

5. 不動産会社と媒介契約を締結する

不動産会社に家の売却を依頼する際は、媒介契約を締結する必要があります。1社に限定する場合は専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約、複数社に依頼する場合は一般媒介契約を選びます。

それぞれ不動産会社が負う義務や、条件が異なります。違いを理解し、自分に合った媒介契約を選びましょう。


一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
複数社へ依頼できる××
レインズへの登録義務任意義務 媒介契約締結の翌日から7営業日以内義務 媒介契約締結の翌日から5営業日以内
不動産会社から売主への報告義務任意2週間に1回以上の報告義務あり1週間に1回以上の報告義務あり
自己発見取引できる×
契約期間3カ月以内 (標準媒介契約約款による)3カ月以内 (宅地建物取引業法の定め)3カ月以内( 宅地建物取引業法の定め)
媒介契約の更新可能可能可能

6. 内覧に対応する

媒介契約を締結したら、不動産会社は販売活動を始めます。内覧希望者から内覧の希望日時を提案されたら、予定を調整し対応します。あらかじめ室内の整理整頓を心がけ、内覧前には念入りに清掃をしておきましょう。

7. 売買契約を締結する

不動産会社経由で、購入希望者からの買い付け証明書(購入申込書)を受け取ります。書面には購入希望価格や引渡し希望日などが記載されているので、相手側の希望に応じるか否かを判断します。条件に折り合いがついたら、売買契約を締結します。

売買契約時には必要書類を準備します。実際には不動産会社の担当者に確認し、準備を進めましょう。

8. 引っ越しをする

家の残代決済日の前日までに、引っ越しを済ませます。電気や水道、ガスなどは、引っ越しの手続きをしておきます。また郵便局へ転居届を提出し、郵便物の転送手続きも忘れないようにしましょう。

9. 残代金決済・家の引き渡しをする

残代金を受け取ったら、住宅ローンが残っている場合は完済し、家の所有権を買主へ移転します。家の引渡しをするのも決済日です。家の鍵のほか、引き継ぐべき書類があれば、すべて買主に渡します。

10. 翌年に確定申告をする

家を売却したことにより得た利益(所得)に対して、譲渡所得税がかかります。翌年の確定申告で申告し、納税することになります。なお課税対象となる譲渡所得金額は以下の計算式で計算します。

【譲渡所得金額=家の売却代金-(家の取得費+家の譲渡にかかった費用)-特別控除】

自宅など居住用の財産で、一定の条件を満たす不動産を売却したときは、その所有期間に関係なく最高で3,000万円まで控除できます。この特例を「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。この特例について、詳しくは後半で解説します。

出典:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

売却前に準備すべき書類

売買契約を締結する際に必要になる書類を、不動産の種別ごとに紹介します。すべてが揃わないと売買契約ができないわけではありませんが、事前に揃えておくことでスムーズに進めることができます。

また固定資産評価証明書や土地・建物の登記簿謄本、土地の測量図や建物図面は役所や法務局で入手できるため、不動産会社が調査を兼ねて用意するケースがほとんどです。まずは何が必要になるのか、確認しておきましょう。

必要書類
入手先一戸建て  土地マンション    
登記識別情報 または登記済証(権利証)家を購入したときに入手
本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなど)手元に保管しているもの
印鑑証明書(3カ月以内に発行)・実印役所の窓口(証明書自動交付機・コンビニエンスストア)
住民票(または戸籍の附票)
同上
(※1)

(※1)

(※1)
固定資産評価証明書(写し)役所で入手可(東京23区は都税事務所)
固定資産税・都市計画税納税通知書毎年役所から届く
建築確認済証・検査済証家を購入したときに入手

境界確認書測量時や購入時に入手
土地の測量図測量時に入手もしくは法務局で入手可


土地・建物の登記簿謄本法務局にて入手可
建物平面図法務局にて入手可(建築時や購入時に入手)
間取図・工事設計図書建築時や購入時に入手


分譲時のパンフレット購入時に入手

管理規約・使用細則など購入時に入手(管理会社で購入可。もしくは管理人室で保管しているものを閲覧か)

総会議案書・議事録・長期修繕計画書管理組合または管理会社から入手

設備の取扱説明書・保証書購入時に入手
抵当権抹消書類金融機関より入手
(※1)住所変更登記が必要な場合に使用
(※1)戸籍の附票は住民票で住所が追いきれない場合に代わりに使用

契約後の手続きと注意点

住宅ローンが残っている場合は、残代金決済日に完済し、抵当権を抹消してから買主へ所有権を移転することになります。

売買契約後には、住宅ローンを完済する予定であることを金融機関に連絡し、スケジュールを伝えておきます。そして、残代金決済日に住宅ローンの残高がいくらになるのか確認しておきましょう。

また、金融機関の完済手続きには時間を要するため、残代金決済日直前の連絡とならないよう注意が必要です。残代金決済日の何日前までに手続きが必要か、あらかじめ確認するとよいでしょう。

売買契約締結から家の引渡しまで1~2カ月程度であることが多いため、間に合うように引っ越しの準備を進めます。

住宅ローンが残っていて住み替えローンを利用する場合は、家と新居の決済を同日にしなければなりません。同日に設定することが難しいケースが多いため、基本的には仮住まいが必要になります。

売り先行と買い先行どちらにするのかよく検討したうえで、住み替えを進めることをおすすめします。

家の売却で注意するポイント

家の売却は人生のうちに、そう何度も経験するものではえありません。家の売却を進めていく過程で「失敗した」と後悔することもあるでしょう。

この章では、家の売却で注意すべきポイントと対処法を紹介します。

不動産会社の選び方を間違えた

不動産の売却をスムーズに進められるか否かは、不動産会社の力量や担当者の経験やスキルが影響します。仲介を依頼する不動産会社選びは、慎重に行いましょう。

査定価格が高いからといって、高値での売却ができるとは限りません。査定価格は、あくまでも売却予想価格です。他社と比べて高すぎる査定価格は、相場価格を適正に把握できていない可能性もあります。

査定額の高さだけで依頼先を決定せず、不動産会社の実績や付加サービス、担当者との相性も考慮して選ぶようにしましょう。

価格設定を誤った

売り出し価格の設定は、不動産のプロでも難しいことがあります。
価格設定に正解はなく、最終的には売主が納得できる取引をすることが重要です。

たとえば、あっけないほど早く売れた場合「安すぎたかもしれない」と後悔する方もいれば、「早く売れてよかった」と満足する方もいます。つまり、一概に正解だと判断できないのが、価格設定の難しいところです。

売り出し価格の設定については、売却時期や資金計画も含めて担当者とよく相談し、引渡しまでのシナリオをよく考えた上で臨みましょう。

・「マンション売却の失敗事例」に関する記事はこちら
マンション売却時にありがちな失敗事例とは?後悔しないコツを解説

家の売却で発生しやすいトラブル

家の売却で発生しやすいトラブルを理解しておくことで、未然に防ぐことも可能です。この章では、とくに注意したいポイントを4つ紹介します。

支払いにまつわるトラブル

住宅ローンが残っている状態でも、家を売り出すことは可能ですが、引渡し日には完済してから買主に引き渡さなければなりません。

引渡し日に買主から受け取る売買代金で完済できないときは、自己資金を一部充当するか、住み替えローンを利用することになります。

住宅ローンを完済して、抵当権を抹消しなければ、引渡しできず契約不履行(債務不履行)になってしまいます。

支払い方法や住宅ローンの残高は、よく確認するようにしましょう。

隠れた瑕疵にまつわるトラブル

家に傷や不具合があるときは、契約前に買主に明示し、納得してもらった上で契約してください。
契約で定めた状態や数量と異なる状態であることが引渡し後に判明した場合、契約不適合責任を問われる可能性があります。

買い主から代金減額請求や損害賠償請求をされるおそれがあり、内容によっては契約解除になることもあります。

売買契約時には、物件状況報告書や付帯設備表に家や設備の状態を記載して買主に説明しますが、くれぐれも虚偽とならないように注意しましょう。

契約解除にまつわるトラブル

売買契約を締結した後に、契約が解除になることがあります。たとえば買主の住宅ローン特約による解除になった場合、受領済みの手付金は返還しなければなりません。

手付金は決済日までなるべく手をつけないようにし、新居を購入するための資金として使う場合でも、ローン特約による解除期日以降にするようにしましょう。

仲介手数料にまつわるトラブル

家の売却には、印紙税や登記費用などの諸費用がかかります。その中でも大きな割合を占めるのが、不動産会社へ支払う仲介手数料です。新居を購入する場合は、仲介手数料が2回かかります。

想定以上に諸費用がかかることもあります。
契約前に不動産会社に資金計画表を作成してもらうようにし、実際にかかる費用を確認しておきましょう。

家を高く売却するためのコツと戦略

家をなるべく高く売るためのコツと、その戦略を紹介します。

市場分析と価格戦略

家を高く売るためには、市場の分析と価格戦略が重要です。不動産は需要と供給の影響を受けやすいため、近隣の市場をよく分析します。

近隣に競合となるような物件が少ないときは、その希少性から高めに価格を設定しても、スムーズに売却できる可能性があります。

逆に比較されるような物件が多く売りに出ているときは、高めに価格を設定してしまうと、売却するのに苦労するかもしれません。不動産会社の担当者と相談した上で、価格を設定しましょう。

家の魅力を最大限に引き出すコツ

最近では不動産会社のホームページに掲載された物件写真を見て、内覧するかどうかを判断する方が多いため、紹介用写真の見栄えが重要です。

不動産会社によっては、プロのカメラマンによる撮影やリフォーム後のイメージ画像をホームページに掲載できるサービスがあります。

不動産会社の独自の付加サービスを利用して、家の魅力を最大限に引き出してもらいましょう。たとえば東急リバブルでは、リフォーム後の暮らしをCGで体験できるサービスや、360°パノラマで撮影した室内写真をホームページに掲載できるサービスなどがあります。

・東急リバブルの「CGリフォームイメージ」はこちら

家の売却後の住宅ローンと税金

最後に、家の売却後の住宅ローンの処理と税金対策について解説します。

売却益が出た場合の税金対策

自宅など居住用の不動産を売却して売却益が発生しても、一定の条件を満たすことで最高で3,000万円まで控除できます。

取得や売却にかかった経費を差し引いた後に、3,000万円を控除することができるため、売却益が余程高額にならない限り譲渡所得税はかからないでしょう。

しかし、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は、自動的に控除されるわけではありません。

この特例の適用を受けるためには、翌年の確定申告が必要なため、忘れないように注意しましょう。

出典:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

売却後の住宅ローン残債の処理

住宅ローンの残債が残っている場合は、金融機関に一括返済する予定であることを伝えておく必要があります。

決済日時点の住宅ローンの残債額を確認し、もし売買代金を上回る場合は自己資金を充当するか、住み替えローンを利用します。

しかし住み替えローンを利用する場合は、家の決済日と新居の決済日を同日に設定しなければなりません。また不動産の担保評価に対して融資額が大きくなる傾向が高く、審査は厳しくなります。

家の売却時に資金計画を綿密に立てるようにし、住み替えローンを利用する場合は、早めに金融機関に相談をしておきましょう。

この記事のポイント

家の売却で発生しやすいトラブルには何がある?

家の売却では、支払いにまつわるトラブル、隠れた瑕疵にまつわるトラブル、契約解除にまつわるトラブル、仲介手数料にまつわるトラブルなどが起こる可能性があります。

詳しくは「家の売却で発生しやすいトラブル」をご覧ください。

家を高く売却するためのコツは?

家を高く売るためには、市場の分析と価格戦略が重要です。不動産は需要と供給の影響を受けやすいため、近隣の市場をよく分析します。
また、最近では不動産会社のホームページに掲載された物件写真を見て、内覧するかどうかを判断する方が多いため、紹介用写真の見栄えも重要です。

詳しくは「家を高く売却するためのコツと戦略」をご覧ください。

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