ざっくり要約!
- 土地(建物)が担保となる住宅ローンにおいて連帯保証人は基本的に求められない
- 連帯保証人になれるのは原則として20歳以上で安定した収入があり、連帯保証人として返済能力がある人
住宅ローンの借り入れ可能額は概ね契約予定者の年収に左右されます。共働き世帯が多い昨今、大黒柱の収入だけでは借入希望額に届かず、夫婦でペアローンや収入合算して住宅ローンを組むこともあるでしょう。
ペアローンを組んだ場合、ローンは2本です。夫の住宅ローン契約には妻が連帯保証人となり、妻の契約には夫が連帯保証人となる、このように毎月のローン返済を保証し合うこととなります。一方、収入合算して借り入れた場合は1本の住宅ローン契約ですので、夫が契約者であれば妻がその連帯保証人となります。
検討する項目の多いマイホーム購入ですが、「連帯保証人」欄は何気なくサインしてよいものではありません。これから筆者と一緒に連帯保証人について確認していきましょう!
住宅ローンにおける連帯保証人とは?配偶者でもOK?
連帯保証人が求められるケース
最初にお断りしておきたいのですが、保証会社による代位弁済制度が整っている現在、土地(建物)が担保となる住宅ローンにおいて、連帯保証人は基本的に求められません。
そもそも金融機関は、融資をする前に土地の担保価値や住宅ローン申込者の返済能力を慎重に審査します。担保が十分ではない、返済能力が十分ではない。そのような場合に限り連帯保証人を立てることが求められるのです。
冒頭で述べたペアローンや収入合算して借り入れを起こす場合に加え、次のようなケースが挙げられます。
- 収入が安定していない場合
- 勤続年数が短い場合
- (年収に比べて)高額な住宅を購入する場合
- 夫婦の共有名義にする場合
- 親名義の土地に家を建てる場合 など
連帯保証人と保証人の違い
そもそも住宅ローンにおける連帯保証人とはどういった役割なのでしょうか。
簡単に言うと「金融機関の貸し倒れリスクを避けるために立てる、代わりの債務者」です。
ここでキーとなる言葉が”連帯”です。
住宅ローン契約者(債務者)に連なって完済を保証する人=連帯保証人なわけですから、債務者の負うべきローン返済義務と同等の責任が発生します。
契約者本人の返済能力や返済遅延の有無によらず、金融機関(債権者)は連帯保証人にローン返済を求めてもよいとされているほど、強力な責任があることを記憶にとどめておいてください。
その点、保証人は違います。主ではなく従の存在です。住宅ローン契約者(債務者)の返済が滞ってしまった場合にはじめて返済責任を負う、という順番になります。
連帯保証人になれる人・なれない人の条件
連帯保証人になれるのは、原則として20歳以上で、安定した収入がある人です。
また、連帯保証人として返済能力があることも条件となります。
以上の条件に当てはまらない人が連帯保証人になれない人となりますが、具体的には次のような方が考えられるでしょう。
- 未成年者
- 毎月決まった収入がない人、あっても返済能力の低い人
- すでに多額の借金がある人
- 過去に返済事故がある人 など
住宅ローンの連帯保証人のリスクとは
連帯保証人には大きな責任が伴います。以下の項で、責任とリスク、債務者の死亡時や離婚といった関係性の変化に関しての注意点などをみていきましょう。
連帯保証人にまつわる責任とリスク
住宅ローンの契約者(債務者)が返済できなくなった場合、その連帯保証人はいきなり、ローン残債の一括返済を求められる可能性があります。
連帯保証人が返済できない場合、金融機関は財産差し押さえなど厳しい法的手段を取るかもしれません。連帯保証人の給与や預貯金、自宅などの所有不動産を差し押さえられる可能性があるということです。
返済事故がいったん起きてしまえば、信用情報機関にも連帯保証人として内容が登録され、今後、携帯電話の購入やクレジットカードの新規発行などが難しくなる可能性があります。
債務者が死亡した場合
住宅ローンを組む際に団体信用生命保険に加入した契約者(債務者)であれば、ローン残債は保険金によって賄われるため、連帯保証人に返済責任が発生することはありません。
ただ、健康上の事由で生命保険に入らなかった債務者の連帯保証人となった場合は、残債の返済から免れることは原則できません。
連帯保証人が死亡した場合
まず住宅ローン契約書を確認してみましょう。
契約条項に「必ず連帯保証人を立てること」といった約束事項があれば、死亡された連帯保証人の方と同等以上の返済能力を持つ後任の連帯保証人を立てる必要があります。
その他の場合、死亡時点の住宅ローン元本残高や契約者自身の返済能力などによって、後任の連帯保証人が必要かどうか決まります。早めに金融機関に相談したほうがよいでしょう。
連帯保証人になった配偶者と離婚した場合
やっかいなのが「元配偶者=連帯保証人」というケース。
例えば、住宅ローン契約は夫が行い、当時の妻が連帯保証人となった。しかし現在は離婚したため別に住んでいる……。このような場合です。
住宅ローン契約が生きている間、債権者、債務者、連帯保証人の関係性はずっと続いています。婚姻関係の解消はこの三者の関係に影響を与えません。
契約者がローン返済できなくなった場合、その連帯保証人である元配偶者に返済責任が発生します。
離婚時、連帯保証人を変えたいと願ったとしても、変更にはお金を貸した金融機関の同意が必要になります。残債額や配偶者の属性にもよりますが、なかなか難しいのではないでしょうか。離婚の財産分与の話し合い時にこうしたリスクも踏まえ話し合い、納得いく配分を決めることが肝要です。
・「離婚時の住宅ローン」に関する記事はこちら 離婚したら住宅ローンはどうなる?妻が住む場合や財産分与について解説 |
配偶者を連帯保証人にするケース
夫婦ペアローンしかり、収入合算しかり。配偶者を連帯保証人にするケースは多いと考えられます。そのメリットやデメリットについてみていきましょう。
配偶者が連帯保証人になるメリット
収入合算を例に挙げるとイメージしやすいと思いますが、配偶者を連帯保証人にすることで住宅ローン審査も通りやすく、借入可能額の上限も上げやすくなるのが最大のメリットです。
配偶者が連帯保証人になるデメリット
住宅ローンは基本、長期間にわたる多額の借金です。その間の夫婦の経済状況もかなり変わることが予想されます。離婚時のリスクは先ほど述べましたが、離婚しなくともリスクはあります。
たとえば、住宅ローン契約後に契約者である夫の転職や勤め先の倒産などで返済能力が著しく下がってしまった場合、連帯保証人となった妻が返済するしかなくなります。
子育てなどで妻がその時点で無職だった場合、返済は相当困難を極めるでしょう。
・「ペアローン」に関する記事はこちら ペアローンはデメリットが多い?後悔しないために知っておきたいこと |
親を連帯保証人にするケース
続いて、二世帯住宅の建築など、配偶者に続いて多いと思われる「親」を連帯保証人にするケースのメリット、デメリットについても触れておきます。
親が連帯保証人になるメリット
例えば親の土地に家を建てる場合であれば、建物だけでは担保が不十分なところを土地の持ち主である親が連帯保証人となることで審査が通りやすくなるメリットがあります。
また、夫婦共にフリーランス(自営業)ということで、収入の安定性に不安が残るケースでは、親が会社員の場合に連帯保証人となることでより大きな借り入れができるかもしれません。
親が連帯保証人になるデメリット
住宅ローンを組んで家を購入するほどの子を持つ親であれば、定年も比較的近いご年齢ではないでしょうか。
親が子の連帯保証人となる最大のリスクは、ローン返済遅延・事故などで金融機関より一括返済を求められたときに起こる親の資産減少と言えます。
年齢的にリカバリーが効かないと思われ、深刻なダメージとならざるを得ません。
連帯保証人にまつわるQ&A
最後にいくつか、連帯保証人に関する疑問にお答えしておきましょう。
連帯保証人は変更できる?
「変更できるか、できないか」と問われれば、変更は可能だと思いますが、大前提として融資した金融機関の承諾が得られた場合のみ可能です。
これまでローン返済を1回も遅らせたことはないのはもちろんのこと、差し替える連帯保証人についても同等以上の返済能力がある方が必須でしょう。
現実的な別案としては、不動産を売却して整理を行うことが挙げられます。あるいは、ある程度元本返済が進んでいる住宅ローンであれば連帯保証人のいらない形で住宅ローンの借り換えを検討してみるのも一案です。
連帯保証人になってくれる人がいない場合はどうする?
すでに学んできたように、連帯保証人の責任はかなり重いもの。親兄弟とは疎遠で頼める相手が見つからない方にとってかなりハードルが高いと言えます。その場合は、保証料はかかりますが、保証会社を使うことがよいと思います。
属性的に保証会社の審査も厳しいようであれば、資金計画そのものの見直しを検討する必要が出てきます。例えば充当する頭金を増やして借入金額を減らすことで相対的に返済余力が上向き、連帯保証人まで求められなくなることがあるかもしれません。
連帯保証人に借金があると銀行にバレる?
そもそも連帯保証人は返済能力がある人がなるものです。金融機関は連帯保証人として適しているかを確認するため、その人の信用情報をチェックする可能性があります。
過去に借り入れがあれば、その時期や金額など返済状況や延滞事故の有無などを調べられます。基本的には調査時に借金はバレると考えてよいでしょう。
この記事のポイント
- 住宅ローンの連帯保証人が求められるケースとは?
保証会社による代位弁済制度が整っている現在、土地(建物)が担保となる住宅ローンにおいて、連帯保証人は基本的に求められません。
そもそも金融機関は、融資をする前に土地の担保価値や住宅ローン申込者の返済能力を慎重に審査します。担保が十分ではない、返済能力が十分ではない場合に限り連帯保証人を立てることが求められるのです。
詳しくは「連帯保証人が求められるケース」をご覧ください。
- 配偶者を連帯保証人にするメリットは?
配偶者を連帯保証人にすることで住宅ローン審査が通りやすくなり、借入可能額の上限も上げやすくなるのが最大のメリットです。
詳しくは「配偶者を連帯保証人にするケース」をご覧ください。
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