ざっくり要約!
- 3階建ての標準的な高さは13mとされ、用途地域によっては建てられないので事前に確認することが大切
- 「3階建ては売れない」ということはなく間取りや価格によっては売れやすくなることもある
「3階建て住宅は売れない」といわれることがありますが、本当なのでしょうか。確かに3階建てにはデメリットもあるので、購入してから後悔しないためにも、その特徴については把握しておきたいものです。
この記事では、3階建て住宅のメリット・デメリットと、3階建てであることを生かした間取り例を紹介します。
また注意すべきポイントも紹介しますので、3階建ての購入や建築を検討している方はぜひ参考にしてください。
3階建て住宅とは?「高さ制限」との関連も
建物を建てる際は、建築基準法による制限があり、用途地域によっては絶対高さが定められています。
たとえば低層住居専用地域や田園住居地域では、10mもしくは12mを超えるような建物は建てられません。
3階建ての標準的な高さは13mとされており、用途地域によっては3階建てを建てることはできません。また3階建てを建てられる地域でも、高さ制限によっては十分な広さを確保できないこともあります。
土地を購入する際は、用途地域や高さ制限について確認するようにしましょう。
出典:建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)|e-Gov法令検索
3階建てのメリット
まず、3階建てのメリットを4つ紹介します。
限られたスペースでも床面積や部屋数を確保
とくに都心部では、大きな土地を購入することが難しい傾向があります。
しかし土地面積が限られている場合でも、3階建てにすることで希望する床面積や部屋数を確保しやすくなります。
また庭を作ることが難しい場合でも、3階建ての屋上部分に大きなルーフバルコニーを配置することで癒しの空間を演出でき、ガーデニングを楽しむこともできます。
採光や眺望を期待できる
住宅密集地などに建築する場合でも、3階建ては2階建てに比べ、採光や眺望を確保しやすくなります。
たとえば天窓や高窓を設けることで、太陽光を取り入れやすくなります。
また高さを生かすことで眺望を楽しむことができ、吹き抜けを採用することで、開放的な空間も演出できるでしょう。
フロアごとに用途を使い分けやすい
3階建ては建物を3層に分けて使うことができるので、たとえば2世帯住宅や住居兼店舗などにしても使い分けしやすく、互いにプライバシーを守りやすいメリットがあります。
またリビングと寝室のある階を分けることで、帰宅が遅い場合でも必要以上に音を気にせずに過ごすことができます。
水害対策になる
河川の近くに家を建てる際は、洪水時の水害を想定しておく必要があります。
たとえば1階をビルトインガレージにし、2階以上を生活空間にすることで、床上浸水による被害を最小限に抑えることができます。
3階建ての場合、リビングや寝室を2階以上のフロアにレイアウトしやすいので、家電や貴重品が水没するリスクを軽減できます。
3階建てのデメリット
次に、3階建てのデメリットを4つ紹介します。
室内の移動に苦労する
3階建てにすると構造的に階段が多くなり、日々の生活の中で移動に苦労する可能性があります。
たとえば買い物をして帰ってきたときの荷物や、掃除機を持って移動することも想定し、間取りやレイアウトを検討しましょう。場合によってはホームエレベーターの設置を検討し、日々の生活が苦にならないように工夫することをおすすめします。
・「ホームエレベーター」に関する記事はこちら ホームエレベーターの価格や維持費を解説!後付けも可能 |
建築費が高くなる傾向がある
3階建ては2階建てと異なり、構造計算が必要です。また工期も長くなることから、その分建築費が高くなる傾向があります。
さらに3階建ては地盤にかかる荷重が大きくなるため、地盤改良が必要になることもあります。
予算オーバーとならないように、土地を購入する前にハウスメーカーや建築会社へ建築コストやプランについて相談しておきましょう。
構造的に揺れやすくなる
3階建ては2階に比べて構造的に揺れやすく、小さな地震でも揺れが気になる可能性があります。また大きな街道沿いなどでは、トラックなど大きな車両の走行でも揺れることがあります。
揺れが気になる場合は耐震性を重視し、ハウスメーカーや建築会社を選ぶようにしてください。
冷暖房の効率が悪くなる
3階建ては冷暖房の効率が悪く、その分光熱費が割高になることがあります。
3階建ては縦に長い構造になるため、暖かい空気が3階に集まりやすく、夏はとくに冷房が効きにくくなります。
一方で1階部分は冷たい空気が溜まりやすく、また日当たりも確保しにくいため、同じ家の中でも温度差が生じやすいでしょう。
3階建ての間取り例
3階建てを建てる場合、どのような間取りやレイアウトができるのでしょうか。この章では3つのプランを紹介します。
2階にリビングとキッチンを設けた例
3階建ての間取り例としては、たとえば1日の中でも長い時間を過ごすことになるリビングを、太陽光を取り入れやすい2階にレイアウトするプランがおすすめです。
室内の移動も2階を起点にすることになるため、最小限の移動で済みます。
また床面積に余裕があれば、浴室や物干し場も2階にレイアウトすることで、家事負担も軽減できます。
吹き抜けやスケルトン階段を活用した例
2階リビングに接する部分をスケルトン階段(階段の踏み板と骨組みだけで施工する階段)にし、リビングを吹き抜けにすることで、開放感のある空間を演出できます。
また吹き抜けに大きな窓を配置することで、上部からの光を取り入れやすくなり、明るいリビングにすることもできます。
1階をビルトインガレージにした例
敷地内に駐車スペースを設けるのが難しい場合は、1階をビルトインガレージにすることで駐車場を設けることも可能です。屋根付きの駐車場になるので、車好きな方にもおすすめのプランといえます。
1階部分に玄関と寝室、2階にリビングやキッチン、浴室を配置し、3階部分に子ども部屋にするプランが考えられます。
3階建て住宅を購入する際の注意点
3階建て住宅を購入するとしたら、どのようなことに注意したらよいのでしょうか。この章では、とくに注意したいポイントを4つ紹介します。
3階建て住宅に関わる法律・規制を理解しておく
高さ制限により3階建てが建てられない地域や、3階建てが建てられたとしても高さ制限により希望する床面積を確保できないことがあります。
3階建てを希望する際は用途地域や高さ制限を確認し、購入前にハウスメーカーや建築会社に相談しておきましょう。
水周りの動線に注意
3階建て住宅は3層の空間に分けられるため、浴室と洗濯機、バルコニーの位置関係には注意が必要です。
入浴前に脱いだ衣類を洗濯機に入れる作業と、洗濯機から衣類を取り出して干すまでの作業動線が長い場合、家事負担が増えてしまいます。
対処法としては同じ階に水回りと物干し場を設ける方法がありますが、乾燥機を利用して外干しをしないという選択肢もあります。
地震対策をしっかりと行う
3階建ては構造的に揺れやすく、その揺れが長い間には躯体や構造を痛めるおそれがあります。3階建てを建てる際は耐震性を重視するようにし、必要に応じて地盤改良もしっかり行うようにしましょう。
ハウスメーカー選びは慎重に
3階建てを建てる際には、構造計算が必要になります。
また3階建てならではの注意点もあるため、3階建ての実績が豊富でノウハウのあるハウスメーカーや建築会社を選ぶことをおすすめします。
3階建て住宅は売れない?後悔するって本当?
3階建ては売れないのでしょうか。また「3階建てを建てて後悔した」という話を聞くこともありますが、実際はどうなのでしょうか。3階建ての住宅を建ててから、後悔しないためのポイントと合わせて解説します。
3階建て住宅は売れない?
「3階建ては売れない」といわれることがありますが、実際にまったく売れないわけではありません。そもそも階数に限らず、万人受けしないような個性的なデザインや、使いにくい間取りにしてしまうと売れにくくなることはあります。
敷地が狭くても使いやすい間取りや工夫が見られるレイアウトなど、魅力的な3階建てであれば、価格帯によってはかえって売れやすくなることもあります。
3階建て住宅を建てて後悔しないためのポイント
3階建てにはメリットだけでなく、デメリットもあります。3階建てを検討する場合は、デメリットや特徴をよく理解し、建ててから後悔しないように心がけましょう。
たとえば室内の移動に苦労しないためにホームエレベーターを採用したり、揺れが気になる場合は耐震性を重視してハウスメーカーを選んだりすることでも対処できます。
また3階建ての実績が豊富なハウスメーカーを選ぶようにし、実際の暮らしをイメージして建築プランをたてるようにしましょう。
この記事のポイント
- 3階建てのメリットは?
土地面積が限られている場合でも、3階建てにすることで希望する床面積や部屋数を確保しやすくなります。
また庭を作ることが難しい場合でも、3階建ての屋上部分に大きなルーフバルコニーを配置することで癒しの空間を演出でき、ガーデニングを楽しむこともできます。
それ以外にもさまざまなメリットがあります。
詳しくは「3階建てのメリット」をご覧ください。
- 3階建て住宅を購入する際の注意点は?
高さ制限により3階建てが建てられない地域や、3階建てが建てられたとしても高さ制限により希望する床面積を確保できないことがあります。
3階建てを希望する際は用途地域や高さ制限を確認し、購入前にハウスメーカーや建築会社に相談しておきましょう。
詳しくは「3階建て住宅を購入する際の注意点」をご覧ください。
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