ざっくり要約!
- 施主支給とは「工事の依頼者が自分で商品を購入し、施工会社に支給して取り付けてもらうこと」
- 施主支給品を選ぶ際に最も気を付けたいのが「JIS規格を満たしているか」という点
注文住宅を建てる人の中には、細かい部品までこだわりを持って決めたいと考えている方もいらっしゃると思います。
ハウスメーカーが提案してくる商品以外のものを選びたいときは、施主支給を選択するというのも1つの方法です。
施主支給とは、一見すると良いようにも見えますが、デメリットや注意点も存在します。
日本には「JIS規格」という工業規格があり、詳しく調べずに商品を選んでしまうと自ら不良品を選択してしまうこともあります。
施主支給を行う場合、どのように進めていけば良いのでしょいうか。この記事では「施主支給」について解説します。
記事サマリー
施主支給(施主支給品)とは
施主とは、施工会社に対して工事を発注する依頼主のことを指します。
施主支給とは「工事の依頼者が自分で商品を購入し、施工会社に支給して取り付けてもらうこと」です。
例えば、キッチンの水栓金物で海外製のおしゃれな蛇口を見つけ、それを自分の家に取り入れたいとします。
施工会社が提案してきた蛇口に自分が見つけたものがなかったら、蛇口だけ施主が自分で買ってそれを施工会社に取り付けてもらうのが施主支給になります。
住宅には、キッチンやバスの水栓金物の他、トイレのペーパーカッター、洗面所のタオル掛け等の細かい商品が存在します。これらの商品は、必ずしも施主が使いたいものが設置されるとは限りません。
施主で使いたいものがあれば自ら選び、施工会社に取り付けてもらうのが施主支給という方法です。
施主支給のメリット
施主支給のメリットには、以下のようなものが挙げられます。
【施主支給のメリット】
- 自分で気に入った商品を選べる
- 見積額からコストダウンできる場合がある
- 自分の知識を生かすことができる
- 価値あるものを再利用ができる
1つ目は、自分で気に入った商品を選べるという点です。
施工会社から提案された商品がどれも気に入らない場合には、自分で購入することで納得のいく商品を選択することができます。
2つ目は、見積額からコストダウンできるという点です。
これはメリットというよりは当然のことですが、見積もりの中に入っていた商品を取り止めれば、施工会社に対して支払う金額は減額されます。
加えて格安商品を購入し、自分で取り付け等も行えば、最終的にコストダウンできる場合もあります。
3つ目は、自分の知識を生かすことができるという点です。
施主の中には、建設会社や不動産会社に勤務している人もいます。
同業者の人は、提案された商品よりも良い商品を知っていることも多いです。
仕事柄、良い仕入れ先を知っている人は、そのルートを使ってもっと良い商品をマイホームに取り入れることもできます。
4つ目は、価値あるものを再利用ができるという点です。
住宅の中で価値ある部材としては、例えば和室の床の間で利用する床柱があります。
床柱とは、床の間に建つ柱であり、見せる柱であることから高級品の木材が使われていることが多いです。
実家で使用していた床柱が今では入手困難な高級木材であれば、施主支給によってその木材を再利用することもできます。
施主支給のデメリット
施主支給のデメリットには、以下のようなものが挙げられます。
【施主支給のデメリット】
- 施工会社に断わられることも多い
- 保証の対象外となる
- スケジュールに間に合わないことがある
- 全体としてはコストアップになることもある
1つ目は、施工会社に断わられることも多いという点です。
よくあるのが、施主が海外のJIS規格外の商品の設置を要望し、断られるケースです。
海外の商品では、デザイン性が高く、かつコストも安いといったものも存在します。
施主の中には、そのような商品を発見すると施主支給を希望する人も多いです。
しかしながら、JIS規格外の商品は、施主支給を断られることもよくあります。仮にJIS規格外の商品を付けたことで、他のJIS規格商品の部分にまで不具合が生じた場合、保証しようがないからです。
特に大手の施工会社は品質に厳しいため、施主支給が断られる場合があります。
2つ目は、施主支給した部分は保証の対象外となるという点です。
新築住宅の保証は、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の影響もあり、手厚い保証が受けられることが特徴となっています。
新築住宅の施主は、品確法で手厚く守られていますので、わざわざ保証を受けられる権利を放棄する必要はありません。
新築住宅は、普通に建てても竣工後にさまざまな不具合が発生することがよくあります。
どのような不具合が生じるかわかりませんので、なるべく施工会社に保証してもらえる状態にしておく方が望ましいです。
3つ目は、スケジュールに間に合わないことがあるという点です。
住宅の設備は、工事の後半に取り付け作業が行われますが、商品を取り付け作業までに調達しないと設置してもらえないことになります。
海外から商品を輸入する場合は、スケジュールに間に合わず、施主支給ができないことも考えられます。
4つ目は、全体としてはコストアップになることもあるという点です。
施工会社は商品を大量発注していますので、そもそも商品を安く購入することができます。
施主が単品で調達するよりも安いため、施主支給を選択すると逆にトータルコストは高くなってしまうことも多いです。
施工会社は廉価品も使いながらコストをうまく圧縮していますので、施主が施主支給をしてコストを下げることは実際にはかなり難しいといえます。
施主支給の流れ
施主支給の流れについて解説します。
施主支給の流れと注意点
施主支給は、見積もりの段階で施工会社に申し出ることが望ましいです。
施工会社に対し、希望の商品の取り付けの了解を得たら、施主が商品を調達します。
調達の際は、工事の工程も確認し、納品が取り付け工程に間に合うかを確認することが注意点です。
取り付け工程までに商品が届いたら、施工会社に商品を渡し、設置してもらいます。
施主支給品の選び方
商品を選ぶ際に最も気を付けたいのが「JIS規格を満たしているか」という点です。
JIS規格を満たしていない商品は、施工会社に断られてしまう可能性があります。
また、商品を選んだら事前に施工会社に相談し、取り付け可能かを確認してから最終的に決定することが望ましいです。
おすすめの施主支給アイテム
おすすめの施主支給アイテムについて解説します。
カップボード
施主支給で比較的多いのは、カップボード(食器棚)です。
カップボードは施主支給というよりは、もともと見積に入っていないケースも多く、後から希望して作り付けの商品を設置してもらうことがよくあります。
カップボードは、食器の多い人や背の低い人等にはオーダーメードで使いやすいものを設置できるという点がメリットです。
キッチン
キッチンは、こだわりが強い人も多いため、施主支給が選択されることもよくあります。
キッチン全体で施主支給するというよりは、例えば蛇口等の水栓金物だけを施主支給にする人も多いです。
具体的には、シャワー機能付きの蛇口や浄水器付きの蛇口等を施主支給する人がいます。
洗面台
洗面台にはホテルにあるようなおしゃれな商品がありますので、施主支給を選択する人もいます。
洗面ボールと合わせて蛇口等の水栓金物やタオル掛け等を施主支給する場合があります。
また、洗面所の鏡の裏の収納量が少ない場合に、収納付きの三面鏡を施主支給するケースも存在します。
照明
照明は、施主支給というよりももともと見積に入っていないことも多いです。
照明は天井が高いと取り付けが大変なため、竣工までに用意して施工会社に依頼しておけばサービスで取り付けてもらえることもあります。
おすすめできない施主支給アイテム
施主支給アイテムの中で、おすすめできないものは「水栓金物でJIS規格を取っていない商品」です。
JIS規格を取っていない蛇口は、内部で錆や腐食が発生する恐れがあります。
蛇口から出る水は直接飲む場合もありますので、安全面を考慮するとJIS規格を取得していない商品は利用を避けるべきです。
しっかりとした施工会社であればそもそもJIS規格を取得していない商品は、施主支給に応諾してくれない可能性があります。
水栓金物はデザイン性だけでなく、安全性も考慮して選ぶことが適切です。
また、洗面台の洗面ボールは、形状によって周囲に水はねが生じやすい商品も存在します。
洗面台を施主支給する人の中には、洗面台の天板に木材を選定してしまう人もいます。
水はねがしやすい洗面ボールで洗面台の天板が木材だと、天板の部分が腐食しやすいです。
洗面台の仕様は、デザイン性だけでなく、使い勝手や耐久性等を考慮して選ぶことが適切といえます。
施主支給リフォームでトラブルを避けるポイント
施主支給でトラブルを避けるポイントについて解説します。
施主支給時のトラブル事例と対策
施主支給では、耐久性の弱いものを選定してトラブルになることもあります。
蛇口やシャワーヘッドでいえば、つなぎ目から水が漏れる、締りが悪い、グラグラするといったトラブルが考えられます。
施工会社はプロですので、もともとトラブルの少ない商品を選定して取り付けています。
施主支給は、プロが判断した良品を差し置いて、経験値の少ない人が商品を選んでいる状態となる場合も多いことから、品質の悪いものを選択して失敗しやすいです。
そのため、施工会社が提案してきた商品が気に入らない場合は、安易に施主支給するのではなく、希望を伝えて再提案してもらうことをおすすめします。
良いものを希望すれば、大抵はコストアップすることが多いです。そこで、提案時には他の部分で減額案も含めて再提案してもらうことが望ましいといえます。
トラブルを避けるには、施工会社の再提案の中から選びなおすことも選択肢に入れるという方法もあります。
また、施工会社からのプロの意見に耳を傾けることで、使い勝手や耐久性など目には見えない部分のリスクを把握しておくことも対策といえるでしょう。
施主支給契約時のチェックリスト
施主支給契約時のチェックリストとしては、以下の点が挙げられます。
- 同様類似のもので施工者から提案できる商品はないか
- JIS規格を取っている商品か
- 納期は工程に間に合うか
- 施工会社は取り付けを了承するか
施主支給する場合は、インターネットで商品を注文するのではなく、ショールームに出向いて営業担当者の話を聞きながら商品決定することが適切です。
営業担当者の名刺をもらい、専門的なことは施工会社とショールームの営業担当者との間で確認してもらうようにしておくと間違いがないといえます。
この記事のポイント
- 施主支給のメリットは?
施主支給のメリットには、自分で気に入った商品を選べる、見積額からコストダウンできる場合がある、自分の知識を生かすことができる、価値あるものを再利用ができるなどがあります。
詳しくは「施主支給のメリット」をご覧ください。
- 施主支給のデメリットは?
施主支給のデメリットとしては、施工会社に断わられることも多い、保証の対象外となる、スケジュールに間に合わないことがある、全体としてはコストアップになることもあるなどがあります。
詳しくは「施主支給のデメリット」をご覧ください。
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