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新築住宅の固定資産税とは?相場や計算方法、減税について解説

執筆者プロフィール

桜木 理恵
資格情報: Webライター、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者

大学在学中に宅地建物取引士に合格。新卒で大手不動産会社に入社し、売買仲介営業担当として約8年勤務。結婚・出産を機に大手ハウスメーカーのリフォームアドバイザーに転身し約5年勤務。その他信託銀行にて不動産事務として勤務経験あり。現在は不動産の知識と経験を活かし、フリーランスのWebライターとして活動。不動産や建築にまつわる記事を多数執筆。「宅地建物取引士」「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」「管理業務主任者」所持。

ざっくり要約!

  • 固定資産税は課税標準額(固定資産の価格)により決められている
  • 3,000万円の新築一戸建てを購入した場合の固定資産税は10~15万円程度が目安

固定資産税とは、土地や建物、償却資産を所有している人に対して、市区町村(東京都、23区は都)が課税する税金です。毎年1月1日時点で固定資産を所有している人には、4~6月頃に固定資産税の納税通知書が届きます。

そのため実際の固定資産税額は、納税通知書が届くまでわかりません。新築住宅を購入した人にとっては、納税額がいくらなのかわからず、不安を感じることもあるでしょう。

この記事では、固定資産税の支払い方法や、新築一戸建てに対してかかる固定資産税の相場を紹介します。

税金の軽減措置や注意点も解説しますので、新築一戸建てを購入した人や、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

固定資産税とは

固定資産税とは、1月1日時点で土地や建物などの固定資産を所有する人に対して、市町村が課税する市町村税です。ただし東京都23区内については、特例により都が課税する(都税)ことになっています。

固定資産税の納税義務者は、賦課期日である1月1日に固定資産課税台帳に登録されている人です。市区町村(東京都23区は都)は、課税標準額をもとに固定資産税を算出し、4~6月頃に納税通知書を発送しています。

固定資産税の税率は一律1.4%(下限)ですが、条例により税率を別途定められることができ、市町村によって税率が異なることがあります。

固定資産税とは別に市街化区域内に所在する土地や建物に対しては、都市計画税も課税されるのが一般的です。

都市計画税は、1月1日に土地や建物を所有する人が納税義務者であり、固定資産税とあわせて納付します。

固定資産税と都市計画税の納付期日は市町村によって異なりますが、通常4期にわかれています。

固定資産税の決め方とは

固定資産税は課税標準額(固定資産の価格)により決められています。課税標準額とは、原則固定資産課税台帳に登録されている固定資産税評価額です。総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、市町村(東京都23区は都)がそれぞれ個別に定めています。

固定資産税評価額は、たとえば土地であれば立地の条件や形状、面積、道路付けによって評価は異なり、3年ごとに評価額は見直されます。これを評価替えといいますが、2024年は基準年度にあたり、固定資産税評価額が見直されました。

建物については、新築した際に固定資産評価基準をもとづいて、自治体の評価員が家屋調査を行ない、評価額を算定します。評価額は、構造や床面積、使用資材、用途によって異なります。

なお新築住宅に対しては減税措置があり、2026年3月31日までは固定資産税が3年間(マンション等の場合は5年間)1/2になります。認定長期優良住宅は5年間(マンション等の場合は7年間)1/2です。

固定資産税が高すぎる場合は再審査依頼が可能

固定資産税について疑問点がある場合は、固定資産が所在する地域を管轄する税事務所へ問い合わせましょう。また固定資産税が高すぎると感じる場合は、固定資産評価審査委員会に対して再審査の申出ができます。

なお再審査の申出ができるのは、通常納税通知書を受け取った日から3カ月以内です。高いと感じたらそのままにせず、なるべく早めに申告しましょう。

新築前に固定資産税を予想できる?

新築前であっても、固定資産税がどのくらいかかるのか、ある程度予想することができます。

土地の固定資産税評価額は、地価公示価格の70%を目安とするのが一般的です。しかし地価公示価格が設定されるのは選定された基準地のみであり、すべての地域で地価公示価格が公表されているわけではありません。

土地については購入価格の70%程度、新築住宅については建築費の60%程度を固定資産税評価額の目安とし、翌年に課税される固定資産税を想定してみましょう。

出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局
全国地価マップ|一般財団法人 資産評価システム研究センター

固定資産税の発生時期と支払い方法

固定資産税は賦課期日である1月1日の所有者に対し、4~6月に市町村(東京都23区は都)から固定資産税の納税通知書が届きます。通常は一括、もしくは4期の納付期限ごとに支払います。

固定資産税の支払い方法はいくつかあり、現金による窓口納付や口座振替だけでなく、最近ではクレジット払いや決済アプリでの支払いもできる自治体が増えました。

なお納付期限や支払い方法は自治体によって異なるため、詳細については自治体の窓口や納付書を確認するようにしてください。

ちなみに、年度の途中で固定資産税の納税義務者が変更されることはなく、1月1日に所有している人が全額支払う必要があります。

不動産売却時には、その年に納付すべき固定資産税(都市計画税も同様)を売主と買主で日割り清算するのが一般的です。

買主は決済日以降の日割り分を売主へ支払い、売主は買い主から受け取った清算金とあわせて1年分を納めます。

固定資産税の支払いのときの注意点

固定資産税は延滞すると遅延損害金が発生するため、納付期限を忘れないようにしましょう。延滞額に対する年率は遅れた日数によっても異なりますが、たとえば東京都の場合1カ月未満は2.4%、1か月を超えた場合は8.7%です(税率は自治体によって異なる)。

遅延損害金=延滞額×年率(%)×延滞日数÷365

決済アプリやクレジットを利用して支払うとポイントが還元されますが、決済手数料がかかることがあります。また決済アプリによっては高額決済できない場合もあるため、利用条件を事前に確認しておきましょう。

新築一戸建ての固定資産税の相場

1年間に納付する固定資産税額は、土地の評価額や建物の構造・床面積など条件によって異なります。したがって一概にはいえませんが、3,000万円の新築一戸建てを購入した場合は10~15万円程度が目安です。

しかし新築住宅に対する軽減措置が適用にならないときは、高額になることが予想されます。判断が難しいときは、不動産会社の担当者に相談してみましょう。

・「固定資産税はいつ払う」に関する記事はこちら
固定資産税はいつ払う?納税通知書の届くタイミングと支払い方法などを解説

固定資産税の計算方法

固定資産税を求める際は、建物と土地についてそれぞれ別々に計算します。下記で詳しく解説していきます。

建物の固定資産税固定資産税課税台帳に登録されている価格×税率1.4%
土地の固定資産税課税標準額×税率1.4%

建物の固定資産税の計算方法

固定資産税の税率は一律1.4%(下限)で、建物の固定資産税額を求める計算式は以下の通りです。ちなみに条例により税率を別途定められることができ、市町村によって税率が異なることがあります。

固定資産税額=固定資産税課税台帳に登録されている価格×税率1.4%

なお市区町村の役所や税事務所などで固定資産税台帳を閲覧することができ、固定資産課税台帳に記載された内容を証明する、固定資産税評価証明書を取得することでも確認できます。

土地の固定資産税の計算方法

土地に対する固定資産税額を求める計算式は、以下の通りです。条例により税率を別途定められることができるため、市町村によって税率が異なることがあります。

固定資産税額=課税標準額×税率1.4%

原則として、固定資産税台帳に登録されている固定資産税評価額が課税標準額となりますが、住宅地など課税標準の特例が適用されている場合などは、固定資産税評価額よりも低く算定されることがあります。

なお課税標準額は、納税通知書と一緒に送られてくる課税明細書に記載されています。

固定資産税評価額は、市区町村の役所等にある固定資産税台帳を閲覧することができ、固定資産課税台帳に記載された内容を証明する、固定資産税評価証明書を取得することでも確認できます。

・「固定資産税はいくら」に関する記事はこちら
固定資産税はいくら?マンションと一戸建ての違いは?

新築の固定資産税の減税・軽減措置とは

一定の要件を満たす新築住宅に対しては減税措置があり、2024年の税制改正により2026年3月31日まで延長されました。固定資産税が3年間(3階以上の耐火・準耐火建築物やマンションの場合は5年間)1/2になります。

この章では、軽減措置を受けるためのポイントと注意点について解説します。

減税するためのポイント

新築住宅が認定長期優良住宅の要件を満たしている場合は、固定資産税が5年間(3階以上の耐火・準耐火建築物やマンションの場合は7年間)1/2になります。

自治体の家屋調査は正当な理由がない場合、基本的に断ることはできません。かならず受けるようにし、期限までに申請するようにします。

適用要件を満たすか否かの判断や固定資産税の計算が難しいときは、不動産会社の担当者に相談しましょう。

軽減措置を受けるときの注意点

最後に、固定資産税の軽減措置に関する注意点を紹介します。

期限までの申請が必要

認定長期優良住宅の新築に対する固定資産税の軽減措置を受ける場合は、一定の書類を準備し、新築した翌年の1月31日までに申告する必要があります。新築住宅に対する軽減措置の適用には申告不要なことが多いものの、自治体によっては必要なケースもあります。

申告時の必要書類は自治体によって多少名称が異なりますが、認定長期優良住宅にかかる固定資産税の減額申告書と長期優良住宅の認定通知書の写しが必要になります。

住宅用地に対しては特例措置があり、小規模住宅用地(住宅用地で200㎡まで)は固定資産税が1/6、都市計画税は1/3になります。しかし賦課期日に建物が解体されて更地になっている場合は住宅用地としてみなされず、原則特例措置が適用にならないため注意しましょう。

固定資産税の住宅用地等申告書に、建築予定であることを証明する建築確認済証などを添えて、建物を解体した翌年の1月31日までに税事務所等へ提出するようにしてください。

3~5年で減税されなくなる

固定資産税の軽減措置が適用になるのは、新築住宅は3年間(認定長期優良住宅は5年間)、新築マンションは5年間(認定長期優良住宅は7年)です。

新築住宅の場合は4年目には軽減措置が適用にならず、支払額が高くなるため注意しましょう。

出典:新築住宅に係る税額の減額措置|国土交通省

・「固定資産税が高い理由は」に関する記事はこちら
固定資産税が高い理由は?安く抑えるための特例を紹介

この記事のポイント

固定資産税はいつ支払う?

固定資産税は賦課期日である1月1日の所有者に対し、4~6月に市町村(東京都23区は都)から固定資産税の納税通知書が届きます。

通常は一括、もしくは4期の納付期限ごとに支払います。

詳しくは「固定資産税の発生時期と支払い方法」をご覧ください。

新築の固定資産税はどのくらい減税される?

新築住宅が認定長期優良住宅の要件を満たしている場合は、固定資産税が5年間(3階以上の耐火・準耐火建築物やマンションの場合は7年間)1/2になります。

詳しくは「新築の固定資産税の減税・軽減措置とは」をご覧ください。

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