ざっくり要約!
- 家を売却する際の評価は築年数はもちろん、キッチンや浴室の仕様やグレード、内装の状態も影響する
- 3,000万円で買った家を希望価格で売るためには市場動向を読み解くことも重要
3,000万円で購入した家がいくらぐらいで売れるのか、不動産会社に査定依頼する前に知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか。
建物は経年によって価値が減少するため、築年数によって資産価値は異なります。この記事では、築年数ごとの売却価格の目安について解説します。
不動産の価値を左右する要因や、家を売却するタイミングの見極め方も紹介しますので、売却を検討している方はぜひ参考にしてください。
記事サマリー
3000万で買った家はいくらで売れるのか?築年数ごとの目安
まず、3,000万円で購入した家がいくらぐらいで売れるのか、築5年・10年・20年・30年で売った場合を想定し、それぞれ解説していきます。
なお、土地の価格を2,000万円、建物の価格を1,000万円であったと仮定し、土地の相場は変動しないものとして計算します。
築5年以内で売った場合
国土交通省が公表している「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」のグラフを参考にすると、建物の価格は5年で20~30%程度減額することがわかります。
土地値は変動しないと仮定すると、築5年の家の価格を算出する計算式は以下の通りです。
土地:2,000万円(変動なし)
建物:1,000万円×70%~80%=700~800万円
合計:土地2,000万円+建物700~800万円
=2,700~2,800万円が目安
築10年以内で売った場合
新築から10年経つと、建物の価格はほぼ半額になります。水回りの状態にもよりますが、家の価格は40~50%程度に減額します。
土地:2,000万円(変動なし)
建物:1,000万円×40~50%=400~500万円
合計:土地2,000万円+建物400~500万円
=2,400~2500万円が目安
なお土地の価格が上昇していると感じる場合は、土地値の上昇率を少し加味してもよいでしょう。
築20年以内で売った場合
家は築20年になると、建物の価格は15~20%程度に減額します。外装や内装の状態によって建物の査定額が異なるため、ぜひ実施済みの場合はその旨を伝えるようにしてください。リフォーム工事の契約書や領収書があると、説明しやすくなります。
土地:2,000万円
建物:1,000万円×15~20%=150~200万円
合計:土地2,000万円+建物150~200万円
=2,150~2,200万円が目安
築30年以内で売った場合
家は築10年程度になると、建物の価格はほぼ底値になり、価格は新築当時の10%程度になります。ただし建物の状態によってはリフォームや改修費がかかるため、土地値になることもあります。
土地:2,000万円
建物:1,000万円×10%=100万円
合計:土地2,000万円+建物100万円
=2,100万円が目安
建物価値はほとんどなくなりますが、土地の立地や条件がよい場合は評価が高くなり、比較的スムーズに売却できることがあります。
築30年以上で売った場合
建物は築20年程度で底値になり、実は築30年でも評価はあまり変わりません。しかし建物の価値がないとみなされると、古家付き土地として販売することになり、土地値から建物の解体費用を差し引いて評価される傾向があります。
土地:2,000万円
建物:建物の価値を評価せず、解体費用を差し引いて査定
合計:土地2,000万円-解体費用90~150万円
=1,850~1,910万円が目安
解体費用は木造の場合は、坪あたり3~5万円が相場です。
坪30坪の建物の場合は、30坪×3~5万円/坪=90~150万円となります。
3000万で買った家の価値を知る方法
ここまで3,000万円で購入した家について、築年数ごとに目安となる価格を紹介してきました。しかし実際には築年数だけでなく、設備のグレードや内装の状態も価格に影響します。
この章では、3,000万円で購入した家の価値を知る方法を詳しく解説します。
不動産の価値を左右する要因
家の評価は、築年数だけで判断されるわけではありません。キッチンや浴室の仕様やグレード、内装の状態も影響します。
建物は経年により劣化するため年数とともに価値は減少しますが、リフォームや改修によって改善されている場合は、査定時にプラスに評価されます。
購入検討者は改修費用がどの程度かかるのか試算し、家を購入するのであればいくらが妥当なのか判断します。したがってリフォームしていないにしても、内装や水回りがきれいな状態であればリフォーム費用を抑えられるため、購入までのハードルは低くなります。
そのためリフォームをしていない場合でも、売り出す前になるべくきれいに清掃しておくことも重要でしょう。
ただし、リフォームやハウスクリーニングにかかった費用を上乗せできるとは限りません。リフォームやハウスクリーニングの実施を検討する場合は、不動産会社に相談することをおすすめします。
専門家による査定の重要性とそのプロセス
家を売却する場合、まずは適正な価格を知ることが重要です。価格設定が高過ぎると売却までに時間がかかってしまい、結局値下げをせざるを得なくなります。また逆に安すぎると早期に売却はできるかもしれませんが、大切な資産を安く手放すことになってしまいます。
不動産の専門家による査定は、家の売却を成功させるために重要なプロセスの1つといえます。
家の査定は、売却実績が豊富で、信頼できる不動産会社へ依頼するようにしましょう。
査定価格が適正であるか判断が難しいときは、複数の不動産会社へ相談し、査定価格の根拠や不動産市場の動向について説明してもらうようにします。
明確な説明ができない場合は、相場価格を把握できていない可能性があるので注意しましょう。
・「家の査定」に関する記事はこちら
「家の査定」とは?家を高く売るにはコツがある!査定の事前準備と注意点を実例も踏まえ解説
オンライン不動産査定サービスの活用
不動産査定には現地調査が不要なAI査定や机上査定(簡易査定)がありますが、より精度が高い査定価格を知るためには、通常は現地を調査して査定する訪問査定が必要でした。
しかし最近ではオンラインで不動産売却相談や、査定ができるケースが増えています。移動に時間がかからないため、効率よく査定依頼できるのも魅力です。
ちなみに東急リバブルでは、ビデオ会議ツールである「Google Meet」や「Zoom」を利用したオンライン接客を、全国の売買・賃貸仲介店舗で採用しています。
たとえば査定依頼者が室内をライブ中継することで、オンライン上で室内を調査してもらうことができます。
・東急リバブルの「オンライン相談」はこちら
3000万で買った家を売るために市場動向を読み解く
3,000万円で買った家を希望価格で売るためには、市場動向を読み解くことが大切です。一見難しくも感じますが、ポイントを押さえることで、ある程度判断することは可能です。この章では、3つのポイントを紹介します。
不動産市場の現状と将来予測
不動産市場の現状を知ることで、ある程度将来予測することは可能です。
たとえば国土交通省では、不動産価格の動向を指数化した不動産価格指数を毎月公表しています。
住宅地・戸建住宅・マンション・住宅総合の不動産価格指数を、2010年の平均値を100とし、それぞれの推移をグラフにしています。多少の変動はあるものの、ここ10年右肩上がりに上昇していることがわかります。とくにマンションについては、その上昇率が顕著です。
地域別の価格変動傾向
不動産価格指数は、全国・ブロック別・都市圏別に、住宅地・戸建住宅・マンション・住宅総合の数値も公表されているため、対前月比を見ることでより詳細な変動も確認できます。
たとえば、住宅総合では対前月比でプラスになっていたとしても、ブロックや都市圏で見るとマイナスになっていることもあり、地域の特性も把握できます。
毎月継続して見ていくことで、価格変動の傾向や、価格が上昇しやすいタイミングもつかめるでしょう。
経済情勢が不動産価値に与える影響
不動産の価格は、経済情勢の影響を受けやすいのが特徴です。
現在建築資材の高騰や人材不足等により、不動産の価格も上昇傾向にありますが、今後金利の上昇によっては不動産取引が減少する可能性はあるでしょう。
不動産取引が減少すれば、在庫が増え、結果的に不動産価格が下降に転じるかもしれません。日々経済情勢に対してアンテナを張っておき、不動産売却に適したタイミングを見極めるようにしましょう。
・「家の売却でやってはいけないこと」に関する記事はこちら 家の売却でやってはいけないことは?よくあるトラブルやNG行為を解説 |
不動産売却のタイミングを決めるときの注意点
家の売却は、子どもの進学や独立、定年退職など、家族のライフスタイルの変化にともなって検討することが多いものです。家を売る際はその後納める税金について後悔しないためにも、税制や税金の特例について理解するようにしてください。
たとえば家を売却するにあたって利益が発生しそうなときは、売却した年の1月1日に所有期間が5年を超えるようにし、短期譲渡所得に比べて税率が低い長期譲渡所得になるようにしましょう。
なお築10年になる家を売却する場合も、売却する年の1月1日に所有期間が10年を超えるタイミングで売却することで、長期譲渡所得よりさらに低い税率が適用になる特例があります。数日の違いで譲渡所得に対する税率が大きく異なることもあるので、売却するタイミングには気をつけましょう。
所有期間 (売却した年の1月1日時点) | 所得税 | 復興特別所得税 ※ (2037年まで) | 住民税 | 合計税率 | |
---|---|---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
軽減税率の特例 | 10年超 6,000万以下の部分 | 10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
10年超 6,000万円超の部分 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
※復興特別所得税:所得税とあわせて(基準所得税の2.1%)申告・納付する
出典:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
No.3211 短期譲渡所得の税額の計算|国税庁
No.3208 長期譲渡所得の税額の計算|国税庁
季節や市場状況を考慮した売却戦略
不動産を売却する際は季節や市場状況を意識し、不動産の需要が高まる時期にタイミングを合わせるようにしましょう。
子どもの新入学前や新生活が始まる前に不動産購入を検討する人が増えるため、一般的に1年の中でも1~3月に需要が高まりやすいといわれています。
早期成約を目指すのであれば、12月から不動産査定を依頼し、早めに売却準備を始めるようにしましょう。
・「家を売るタイミング」に関する記事はこちら
家を売るタイミングはいつがいい?築年数や税金・社会情勢などの観点から解説
売却前に行うべき準備とは
売却前に、必要書類を準備しておきましょう。不動産査定や売買契約時に必要になる書類を早めに準備しておくことで、その後の手続きをスムーズに進めることができます。
また不動産売却にともなって各種諸費用がかかるため、住宅ローンが残っている場合は残高を把握し、売買代金で完済できるのか確認しておきましょう。
家の売却にかかる諸費用や税金の計算は、難しいと感じる方が多いでしょう。資金計画についても不動産会社へ相談することができます。売却前に揃えておくべき書類とともに、早めに確認しておくことをおすすめします。
・「不動産売却の基礎知識」に関する記事はこちら
不動産売却の基礎知識を完全ガイド!売却の流れや必要書類、売却方法を解説
この記事のポイント
- 3000万円で買った家を築10年以内に売ったらいくらになる?
新築から10年経つと、建物の価格はほぼ半額になります。水回りの状態にもよりますが、家の価格は40~50%程度に減額します。
なお土地の価格が上昇していると感じる場合は、土地値の上昇率を少し加味してもよいでしょう。
詳しくは「3000万で買った家はいくらで売れるのか?築年数ごとの目安」をご覧ください。
- 不動産売却のタイミングを決めるときの注意点は?
家を売る際はその後納める税金について後悔しないためにも、税制や税金の特例について理解するようにしてください。
たとえば家を売却するにあたって利益が発生しそうなときは、売却した年の1月1日に所有期間が5年を超えるようにし、短期譲渡所得に比べて税率が低い長期譲渡所得になるようにしましょう。
詳しくは「3000万で買った家を売るために市場動向を読み解く」をご覧ください。
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